住宅ローンを借り換えるタイミングとは?効果や注意点を紹介します

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住宅ローンは、長い年月をかけて返済していくローンです。そのため、返済中に借り換えを検討することもあるでしょう。

しかし、住宅ローンは返済の全体像が見えにくく、今のこのタイミングで住宅ローンを借り換えることが良いことなのかどうか、判断しにくいことも確かです。

そこで今回は、住宅ローン借り換えに関して「効果があるとされるタイミング」「注意点」「借り換える際のシミュレーション」を紹介します。

目次

住宅ローンの借り換えとは

「住宅ローンの借り換え」とは、

  • 新しい住宅ローンを借り入れる
  • それまでの住宅ローンを一括返済する
  • その後、新しい住宅ローンを返済していく

といった一連の流れを指します。

住宅ローン借り換えの流れ

住宅ローン借り換えの、大まかな流れは次の通りです。

  • 借り換え住宅ローンの検討
  • 借り換え住宅ローンの事前審査→本審査
  • 現在返済中の金融機関に全額繰上返済の申込
  • 新しい住宅ローンの借り入れ
  • 融資実行→それまでの住宅ローンの一括返済
  • 新しい住宅ローンの返済開始

特別に難しいやり取りがあるわけではありません。

ただし、現在の住宅ローンと新しい住宅ローン、2つの金融機関とのやり取りが必要となるため、対応することは多いです。

また、住宅ローン審査があるため、借り換えしようと思っても、すぐにできるわけではないことも注意が必要です。

借り換えによって期待できる効果

住宅ローンの借り換えによって、次のような効果が期待できます。

  • 利息を軽減することにより総返済額を減らせる
  • 毎月の返済額や返済期間をご自身の都合にあわせて調整できる
  • 金利選択や団信などにおいて、より魅力的な住宅ローンを選択できる

一般的には、1の「総返済額を減らすこと」が、最も大きな効果です。

低い金利の住宅ローンに乗り換えできれば、総返済額や毎月の家計負担を減らすことが可能です。

このようなメリットがある一方、注意点もあります。場合によっては手間ばかり掛かってしまい、効果が伴わないことにもなりかねません。

そのため、「出来る限り良い流れや条件、タイミングで、借り換えしたい」と思うはずです。

そこで、次章では、効果的な借り換えの状況について、詳しく紹介します。

住宅ローンの借り換えで効果が期待できる条件

「住宅ローンの借り換えで、総返済額を減らせる」とされる条件を紹介します。

ただし、これらの条件を満たしていれば、必ずしも借り換え効果が得られるわけではありません。

あくまで、一般的な傾向であるとお考えください。

1.住宅ローンの金利差が1%以上

まずは、現在の住宅ローンと、借り換えを検討している住宅ローンの金利差が大きい場合です。

様々な手間や手続きを考慮して、現在の住宅ローンに対して、借り換えを検討している住宅ローンの金利が、1%以上低いことが一つの目安です。

ただし、金利差が1%未満でも、住宅ローン残高が多ければ効果が出ることもあります。

2.ローン残高が1,000万円以上ある

次に、ローン残高が1,000万円以上ある場合です。

1,000万円というのはあくまで目安ですが、元本(住宅ローン残高)が多いと、相対的に利息削減効果が大きくなるためです。

1と合わせて、検討すべき事項でしょう。

3.返済期間が10年以上残っている

最後に、返済期間。特に、元利均等返済の場合です。住宅ローンの一般的な返済方法である「元利均等返済」では、当初は返済額における元金の割合が小さいです。

逆に、住宅ローンの返済期間が10年を切ると元金の割合が大きくなるため、利息による返済額への削減効果は小さくなる傾向にあります。

この段階で借り換えをしてしまうと、また元金の割合が小さくなってしまうため、表面上の金利差ほどの効果が得られないケースに陥ってしまいます。

借り換えするなら、元金の割合が小さい内に、ということです。

これらの条件を満たしていたら、借り換えのタイミングとして適している可能性が高いので、積極的かつ具体的に検討してみましょう。

※住宅ローン返済中は、常に条件に当てはまるか意識しておくといいでしょう。

住宅ローンの借り換えを検討すべきタイミングは?

また、住宅ローンの返済中に、返済プランや返済リスクが変わるタイミングがあります。

そのような中で、現行のローンを継続するよりも、「借り換え」によって返済プランをより良いものにしたり、返済リスクを小さくしたりすることができる場合があります。

具体的なタイミングや条件は次のとおりです。

  • 固定金利特約の固定金利期間が終了
  • 変動金利の返済額が変わる
  • 現在の返済額が負担になっている
  • 転職を検討中
  • ここ数年の健康状態が良好

固定金利特約の固定金利期間が終了

固定金利特約の場合、一般的に、固定金利期間が終了すると、

  • 自動的に変動金利に移行
  • 再度、固定金利期間を選ぶ

を、選択することが可能です。

いずれにせよ、固定金利終了時に、そのときの金利水準で新たな金利が設定されます。

現在の住宅ローン金利が上昇する基調である場合、見直しの意義が高まります。

特に、当初優遇型の住宅ローンの場合、固定金利期間終了後は金利の引き下げ幅が小さくなり、想定以上に金利が上がるかもしれません。

適用金利が高くなり、返済額が増えるタイミングで金利の低い住宅ローンへ借り換えれば、家計の負担が重くなるのを回避することが可能です。

また、今後の金利変動リスクを抑えたい方は、変動金利から長期の固定金利へ変更を検討します。

変動金利の返済額が変わるタイミング

一般的な変動金利には「5年ルール」が適用されます。

通常変動金利の金利の見直しは半年ごとですが、仮に住宅ローンの金利が上昇したとしても、5年間は返済額に反映されない、つまり5年間は返済額が変わらないルールが定められています。

5年の節目ごとに返済額を予測し、高くなりそうなときにより低い金利水準の住宅ローンに借り換えると、家計への負担が重くなるのを回避することが可能です。

変動金利から変動金利への借り換え

同じ変動金利の住宅ローンなら、特に金利が低いとされるネット銀行の住宅ローンを探す選択肢が考えられます。

また、メガバンクでもインターネットから手続きをすることで、金利優遇が受けられることがあります。

ただし、「変動金利」を選択する場合、金利上昇リスクは変わりません。

変動金利から「10年固定金利」や「全期間固定金利」への借り換え

ただでさえ、10年固定や全期間固定金利は、変動金利よりも金利水準が高めです。

特に、金利上昇局面では、低金利の住宅ローンを探しにくいかもしれません。

しかし、返済額(金利)が上がっても、金利上昇リスクが抑えられるメリットがあります。

今後、金利が上昇し続けるだろう、という基調を読んでいる場合、却って金利を抑えられる可能性があります。

なお、10年固定の金利イメージは、変動金利と全期間固定金利の中間です。

例えば、今後10年間は子どもの教育費の負担が大きいといった場合、「多少金利が上がっても、返済額が変わらないことの方がメリットが大きい」と考えることもできます。

現在の返済額が負担になっているきたタイミング

すでに返済が苦しい場合、ギリギリまで耐えるのではなく、早めに対策を考えた方が良いケースが多いです。

もし、返済を延滞してしまうと、そもそもの借り換えができなくなる可能性が高まります。

というのも、延滞をすると信用情報に「延滞」の履歴が残ってしまうため、借り換え先の住宅ローン審査に通らなくなってしまうからです。

延滞が生じる前の対策として、特に金利の低い住宅ローンへの借り換えは有効です。

また、取り扱っている金融機関は少ないですが、それまでの住宅ローンより返済期間を延長して、借り換えられるケースもあります。

返済期間が延びるため、利息軽減効果は小さくなりますが、毎月の返済額を減らすことが可能です。

総返済額よりも「返済し続ける(完済を目指す)こと」が重要なときは、検討の余地があるでしょう。

転職を検討中

転職をすると勤続年数が一旦途切れるため、その後数年間は借り換えができなくなる可能性が高いです。

これは、金融機関が住宅ローンを貸す際、借入する人の勤務歴をローン審査項目に採り入れているところが非常に多いからです。

そのため、転職前に借り換えの必要性を考え、必要性が高いときは、積極的に検討しましょう。

ここ数年の健康状態が良好

住宅ローンの「団信」に加入するためには、所定の条件を満たす必要があります。

一般的には、過去3年程度において、所定の病歴・治療歴がないことが条件です。

告知事項は個別に異なりますが、例えば心臓や血圧に関する病気では「高血圧症、不整脈、狭心症、心筋梗塞、心不全」などがあります。

そのほか、脳関連では「脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)、脳動脈硬化症」など。吸器系なら慢性気管支炎、ぜんそくなどがあります。

現在の住宅ローンを組む際に健康状態が原因で「ワイド団信(※)」や「団信なしのフラット35」に加入している方は、借り換えることで団信(一般団信)の付いた住宅ローンに借り換えられるかもしれません。

※引き受け条件が緩和された団信で、病歴・治療歴があっても加入しやすいのが特徴

※ワイド団信は基本保障(死亡・高度障害)のみを保障しますが、一般団信はがんや三大疾病等も保障する特約がつけられるメリットがあります。

住宅ローンを借り換えるときの注意点

住宅ローンを借り換える際は、併せて以下の点も注意しましょう。

借り換え先でも審査はある

借り換え先の金融機関でも、借り入れの審査があります。

審査書類を集める手間がかかることだけでなく、審査によっては、想定よりも高い金利が適用されること、そもそも審査に通らない可能性もあります。

諸経費がかかる

住宅ローンの借り換えでは、次のような手数料がかかります。

新たな住宅ローンにかかる諸経費

  • 事務手数料
  • 保証料
  • 抵当権設定費用(登録免許税)
  • 抵当権設定にかかる手数料や司法書士報酬

元の抵当権抹消にかかる諸経費

  • 住宅ローンの一括返済手数料
  • 抵当権抹消にかかる手数料や司法書士報酬

金融機関の「特典」は期待しすぎない

金融機関によっては、提携している商業施設で割引が受けられたり、関連企業のポイント還元を受けられたりします。

ただし、インセンティブや割引は、将来的に継続するかはわかりません。また、ポイント還元も有効期限が決められてることや、細かい条件があることがあります。

あくまで特典を目的とせずに、おまけとして考えるのがおすすめです。

金利上昇局面では、借り換えの難易度が高い

利息軽減効果を狙う場合、借り換えを成功させる重要な要素が「金利」です。

しかし、金利の上昇局面では、金利の低い住宅ローンを探すのは容易ではありません。

金利が低いと思っても、事前審査から本審査と手続きを経る中で、金融機関の基準金利が上昇することもあるので注意しましょう。

住宅ローンの利息は、金利によってどれだけ変わるのか?

利息軽減が大きな目的で借り換えを検討する場合、金利によって利息がどの程度変わるのでしょう。

※住宅金融支援機構の「借り換えシミュレーション」を利用して筆者作成
※千円以下は切り捨て。また、シミュレーション結果はあくまで目安です

A:借り換え前の住宅ローン

【前提条件】

  • 金利種類:全期間固定金利から全期間固定金利への借り換え
  • 借入額:3,000万円
  • 適用金利:2.5%

※原則として、このほかの要素は考慮しません

この場合の返済額は、下記となります。

毎月返済額約10.7万円
年間返済額約128.6万円
総返済額約4504.4万円

B:残高約2,000万円

  • 住宅ローン残高2,023万円(※)
  • 残りの住宅ローン期間約20年
  • 適用金利2.5%から「1.5%」

※返済の途中なので端数が出ています

この場合の返済額は、下記となります。

毎月返済額約9.7万円
年間返済額約117.1万円
金利軽減額(Aとの比較)約229.9万円の軽減

C:残高約1,500万円

  • 残高残高1,518万円(※)
  • 残りの住宅ローン期間約14年
  • 適用金利2.5%から「1.5%」

※返済の途中なので端数が出ています

毎月返済額約10万円
年間返済額約120万円
金利軽減額(Aとの比較)約116.8万円の軽減

※毎月返済額が減って家計に余裕ができた分を貯めておき、繰り上げすると、さらに大きな効果が得られます。

まとめ|住宅ローン借り換えのタイミングが来たら、早めの決断が大事

2023年6月現在の住宅ローン金利は低く抑えられていますが、じわじわと上昇している印象です。

もし今、審査や諸経費などの諸材料を考慮したうえで住宅ローン借り換えのタイミングだと感じたら、早めに決断することをおすすめします。

諸材料を考慮すると、現時点で借り換えメリットが小さいと考えるときは、借り換えにこだわらずに時期を待つことも選択肢のひとつです。

多方面から最善の返済プランを探って、ベストなタイミングで借り換えを実行しましょう。

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この記事を書いた人

お金に関する基本的な知識から貯金のコツ、資産形成まで幅広く伝えるメディア「@nextマガジン」の運営を行っています。ここにくれば、お金の悩みが解決できる「お金の広辞苑」を目指して日々記事を公開中です。本当にタメになる情報だけを厳選してお届けします。

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