住宅ローン控除(減税)の適用条件は?2024年以降の変更点や注意点を解説

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住宅ローンを組んでマイホームを購入する際に、知っておきたいのがいわゆる「住宅ローン減税」です。

一言でいえば、住宅ローンを組んだ人の所得税(住民税含む)の税負担が軽減される優遇措置で、マイホーム購入後の家計の負担軽減につながります。

しかし、減税を受けるには条件がありますし、購入する住宅の種類や金額によっても優遇される金額が変わってきます。

マイホーム購入後に「要件を満たしていなかった」と後悔することがないよう、マイホーム購入前に、制度を知っておきましょう。

目次

住宅ローン減税とは

住宅ローン減税の正式名称は「住宅借入金等特別控除」ですが、一般には「住宅ローン減税」「住宅ローン控除」などと呼ばれます。

なお、所得税における「控除」とは、税額税計算の際に所得から一定の額を差し引くこと、もしくは所得税額そのものを所定の額差し引くことです。

控除によって、結果として所得税が小さくなる(減税)ため、「住宅ローン減税」と「住宅ローン控除」は同じ意味合いです。

それでは、最初に住宅ローン減税の概要を確認しておきましょう。

減税される額は?

住宅ローン減税では、居住開始後の年末借入残高の「0.7%」が所得税から控除されます。

仮に年末の借入残高が3,000万円であれば、「21万円(3,000万×0.7%)」が控除可能です。

控除(減税)期間は?

控除期間は原則13年間です。ただし、一部の住宅区分では控除期間が10年です。

住宅区分については後述します。

住民税も対象?

所得税で控除しきれない場合は、住民税からも控除可能です。

例えば所得税額が20万円なのに、控除可能額が25万円であった場合、5万円を住民税から控除できるイメージです。

法改正があったらどうなる?

条件や控除期間は法改正によって変更されることがあります。

しかし今までの法改正では、すでに住宅ローン減税の最初に適用を受けている方においては、最初の条件が継続されました。今後も同様の流れだと考えられます。

住宅ローン減税の条件

マイホームが新築住宅である場合の、住宅ローン減税の基本的な条件を解説します。

1.居住条件

  • 住宅の新築等の日から6か月以内に居住の用に供していること。
  • この特別控除を受ける年分の12月31日まで引き続き居住の用に供していること。

※個人が死亡した日の属する年にあっては、同日まで引き続き住んでいること

なお、過去には居住条件が緩和されたことがあります。

新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、入居が遅れた方を対象に入居期限が緩和されました。

2.床面積条件(原則)

住宅の床面積(注1)が50平方メートル以上であり、かつ、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供していること

床面積要件は、登記簿に記載されている床面積によって可否を判断します。

店舗や事務所との併用住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断します。

マンションの場合は、エントランスや通路など共同で使用している部分(共有部分)については床面積に含めません。

登記簿上の専有部分の床面積によって判断します。

また、マンションのパンフレット等では、壁の内側(中心線)を起点として測った床面積が記載されていることがありますが、登記上は壁の内側のみで床面積を計算します。

そのため、パンフレットを見て床面積条件を満たしていると思っても、登記上では満たしていない、ということがあるので注意しましょう。

壁の内側(中心線)を起点として測る面積を「壁芯面積」といい、建築基準法で定められたものです。

建物の強度においては壁の要素も重要であるため、壁芯面積も住宅を見極める際には必要な情報だと言えるでしょう。

3.所得要件

この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、2,000万円以下であること

その年ごとに判断します。例えば住宅ローン減税を受けたあと、2年目は2,000万円を超過したが、3年目は以降2,000万円以下であったようなケースでは、2年目のみが対象外です。

住宅ローンの返済期間が10年以上

4.住宅ローン条件

当初10年以上の住宅ローンを組んでいたとしても、繰り上げ返済をすることで当初からの返済期間が10年未満となる場合は、住宅ローン控除の対象外となります。

5.住宅要件

・2つ以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供する住宅であること

自らの住宅だとしても、それが別荘であれば要件を満たしません。当然、投資用不動産も対象外です。

もしもマイホームを購入して住宅ローン減税を受けていた方が、事情によってマイホームを賃貸に出すような場合、以後は住宅ローン減税を受けることはできません。

6.取得要件

・生計を一にする親族や特別な関係のある者からの住宅の取得でないこと。また、贈与による住宅の取得でないこと

7.他の特例との兼ね合い

居住年およびその前2年の計3年間に、次に挙げる譲渡所得の課税の特例の適用を受けていないことも要件です。主にマイホームの譲渡や買い替えにかかる特例です。

  • 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
  • 居住用財産の譲渡所得の特別控除 ※被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除により適用する場合を除く
  • 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
  • 財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
  • 既存市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例

※参考:国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

2024年の住宅ローン減税

2024年1月から、住宅ローン減税が変わりました。

2024年1月以降に建築確認を受けたマイホームを購入した場合の注意点として、以前からの変更点を紹介します。

床面積条件の特例

正確には、2022年度の税制改正による緩和措置です。

本来は住宅ローン控除を受けるためには床面積50平方メートル以上という条件があります。

しかし次の要件に当てはまる場合は、床面積条件が「40平方メートル以上」へと条件緩和されるというものです。

  • 住宅の床面積が40平方メートル以上であり、かつ、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供している
  • この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、1,000万円以下

本特例については2023年の末までに建築確認を行うことが条件となっていましたが、期限が「2024年末まで」に延長される見通しです(※)

例年通りであれば、4月をめどに確定するでしょう。

本特例については、現時点で建築確認の期限を令和6年12 月31 日(改正前:令和5年12 月31日)に延長されています。

上記の床面積のマイホームを購入・建築予定の方は、要件や建築確認の期限について、アンテナを張っておくことをおすすめします。

※参考:国土交通省 住宅ローン減税の制度内容が変更されます!~令和6年度税制改正における住宅関係税制のご案内~

区分に応じた住宅要件

2024年1月以降は、新築住宅で住宅ローン減税を受ける際は「省エネ性能が必須」となりました。

控除期間と控除率は同一ですが、住宅の区分に応じて借入限度額が異なります。

住宅の区分ごとの、各年の控除限度額は次のとおりです。

<認定長期優良住宅/認定低炭素住宅>

  • 借入限度額:4,500万円
  • 各年の控除限度額:31.5万円

<特定エネルギー消費性能向上住宅>

  • 借入限度額:3,500万円
  • 各年の控除限度額:24.5万円

<エネルギー消費性能向上住宅>

  • 借入限度額:3,000万円
  • 各年の控除限度額:21万円

※全て2024-2025年に居住した場合

「一般住宅」は、住宅ローン減税の対象外となりました。

次のいずれかの要件を満たしていれば、2,000万円を限度額に10年間控除が受けられます。

  • 2023年12月31日までに建築確認を受けているものであること
  • 2024年6月30日までに建築されたものであること

<一般住宅>

  • 借入限度額:2,000万円
  • 各年の控除限度額:14万円

住民税における控除上限額の引き下げ(2022年改正)

こちらは2022年の改正ですが、変更をご存じない方も多いかと思うので紹介いたします。

住宅ローン減税の概要の部分で、住宅ローン控除の控除額が所得税から控除しきれない場合は、翌年の住民税からも控除することが可能とお伝えしました。

この金額の上限は、以前は「前年度課税所得×7%、最大13万6,500円まで」でしたが、2022年より次のように引き下げられました。

前年度課税所得×5%、最大9万7,500円まで

2024年の改正と合わせて、知っておくといいでしょう。

住宅ローン減税の注意点

住宅ローン減税は細かい改正が繰り返されています。

マイホーム購入を検討されている方は、常に最新情報を確認することが重要です。

条件等が改正された場合も、「最初に適用を受けた条件が継続される」ことは既述のとおりです。

ですが、適用期限が「建築確認の日」や「入居年月日」などとなっているため、いつまでに何をすれば、条件を満たすのかを把握しなければなりません。

また、以下の点にも留意しましょう。

初年度は確定申告が必要

条件を満たしたとしても、漫然と減税が受けられるわけではなく、確定申告が必要です。

2年目以降は勤務先の源泉徴収で減税が受けられますが、初年度はご自身で確定申告を行います

支払った所得税以上の恩恵は受けられない

さらに、見落としがちなのが、所得税(住民税含む)の還付が受けられる制度である点です。

減税の限度額はご自身が支払った「所得税」となるので、制度上の上限額と個々人の上限額が異なります。ご自身の所得額を考慮した実際の恩恵(減額)を把握することも重要です。

まとめ|住宅ローン減税で賢いマイホーム購入を!

住宅ローン減税は家計にとってメリットがありますが、条件を満たさなければ適用されません。

条件を知っておかないと住宅ローン減税を受けられなくなるリスクが高くなるほか、適用を受けたけれど思ったよりも恩恵が小さかった、といった事態になりかねません。

特に近年は改正がありますので、最新情報をチェックすることが必要です。

活用できる制度は適用を受け、家計の安定性を高めましょう。

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この記事を書いた人

お金に関する基本的な知識から貯金のコツ、資産形成まで幅広く伝えるメディア「@nextマガジン」の運営を行っています。ここにくれば、お金の悩みが解決できる「お金の広辞苑」を目指して日々記事を公開中です。本当にタメになる情報だけを厳選してお届けします。

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