仕事の責任も増えてやりがいを感じる30代ですが、将来の収入に不安を感じ始める時期でもあります。
「このまま今の会社で働いていても、年収アップに期待ができない」と感じ、転職を検討する方も多いでしょう。
実は30代での転職は、他の年代での転職よりも年収アップさせやすい傾向があります。
この記事では、30代の転職で年収がアップした割合や相場とあわせて、年収を上げる転職方法やコツをご紹介します。効率的に年収をアップさせたい方はぜひ最後までチェックしてください。
転職で年収アップできる?年収アップした人の割合を紹介
転職によって年収アップした人は少なくありません。なかには100万円以上の年収アップを成功させたケースもあります。
さまざまな統計値を参考に、転職して年収がアップした人の割合や、年収がアップしやすい年代を詳しく見ていきましょう。
年収を上げるためのキャリアアップの方法については、下記記事を参考にしてください。
転職で年収アップした人は4割
厚生労働省が発表した「令和4年雇用動向調査結果」によると、令和4年の1年間に転職した人のなかで、前職よりも転職先の賃金のほうが増加した人の割合は34.9%でした。
なかでも、現役世代である20代〜50代に限定すると、賃金が増加した人の割合は37.1%に上昇します。
賃金が変わらなかった人の割合29.9%を合わせると、転職した人のうちの67%が「現状維持もしくは年収アップ」の結果を得ている計算です。
また、株式会社マイナビによる20代〜50代の正社員に限った転職動向調査によると、2022年に転職した人のうちの39.5%が「年収が上がった」と回答しています。
参照:転職動向調査 2023年版(2022年実績)|株式会社マイナビ
現役世代の転職であれば、おおよそ4割弱の人が年収アップに成功しているといえます。
年収アップした人は30代前半が最も多い
さらに、年収アップした人の割合を細かく年代別に見ると「30代前半」がピークであることがわかります。
厚生労働省の「令和2年転職者実態調査の概況」から転職によって賃金が増加した人の割合は、以下のように30代前半が最も高い傾向があります。
- 25〜29歳で46.5%
- 30〜34歳で48.6%
- 35〜39歳で40.6%
上記の結果を見ると、30代前半の転職者の半数弱が、収入を増加させていることがわかります。
また、株式会社マイナビの「転職動向調査 2023年版」で、年収アップした人の割合を性別・年代別に比較すると、「男性30代」が47.7%でトップという結果でした。
一方、女性は男性よりも年収が増加した人の割合が低い傾向にあります。なかでも、20代、30代の女性はそれぞれ27.4%、31.4%と平均よりも低い値で、結婚・出産の影響が大きいと考えられます。
したがって、年収アップを狙って転職するなら「30代前半」が最も狙い目といえます。
30代前半は、仕事に対する熱意や意欲が高く、かつ前職場のカラーに染まり切っていないと捉えられる年齢です。
特に30代前半の男性は、統計上でも半数近くの方が年収アップの転職に成功しているため、転職に絶好のタイミングといえるでしょう。
30代の転職で年収はいくら上がる?相場や上がり幅を紹介
転職による年収アップは、前職の年収に対して1.1倍が相場といわれています。
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概要」によると、転職により賃金が増加した30〜34歳の人のうちの68%が、前職の賃金より1割以上増加していることがわかります。
30~34歳の平均年収は約430万円(参照:令和4年民間給与実態統計調査結果|国税庁)のため、平均年収の1割が増加したとすると年間40万円以上の年収アップです。
月平均3万円強の収入増となるため、日々の生活に余裕が生まれ、貯蓄や投資に積み立てるお金も増えるでしょう。
さらに、30~34歳の転職した人のうち7.7%が「3割以上賃金が増加した」調査結果もあります(参照:令和2年転職者実態調査の概況|厚生労働省)。
年収400万円の人が3割増加したとすると、120万円の年収アップです。転職した人のうちの1割弱という少ない割合ではありますが、100万円以上の年収アップも決して夢ではないことがわかるでしょう。
大幅な年収アップを目指すなら、転職先の選び方が重要です。年収がアップする理由やコツを次章以降で詳しくご紹介していきます。
30代転職で年収アップするのはなぜ?評価される2つのポイント
30代は、若さゆえの体力とこれまでに培った経験や能力を併せ持つため、企業から見ても今後の発展に貢献してくれる期待が高まる世代であります。
転職に強い30代ではありますが、さらに大きく年収アップするには「個人の能力」を企業といかにマッチングさせるかが大切です。
企業が採用時に特に重要視する「過去の経験やスキル」と「マネジメント能力」の2点について解説します。
過去の経験やスキル
30代の転職は、これまでに獲得した経験やスキルを適切にアピールすることが大切です。
企業が30代の転職者に求めるものは即戦力です。自身が持つ経験や能力が、転職先の企業でどのように活用できるのか、面接官がイメージできるように具体的に伝えましょう。
経験やスキルは、専門的なものだけが評価されるわけではありません。
業界を超えて活用できる「ポータブルスキル」として、基礎的な実務力、仕事に対する価値観なども立派なスキルです。
例えば、非管理職の採用であれば、
「自分やチームの力が最大限に発揮できるよう、具体的に〇〇に取り組み、チームの工数を□□創出しました。トライ&エラーを繰り返して再現性があり効果が高いと実感できるものは、積極的にチームメンバーと共有し、部署全体の業務効率向上に繋がりました。上長にスキームとして承認され、現在も基本的なワークフローとして部署内の業務に導入されています。」
など。ふんわりとした誰にでも言えることではなく、定量的な数値や実績を併せてアピールすることがポイントです。
これまでに評価されたことや難なくできることをピックアップして、応募する企業のニーズを満たせないか考えてみましょう。
また、過去の経験やキャリアだけでなく、「転職先の起業戦略に対してどのような貢献ができるか」という点は非常に重要です。
新卒・第二新卒とは異なり、面接官との対話の中で、「御社の課題やビジョンは〇〇で、それに対して私は□□という貢献が出来ます」というメッセージは、転職先とのマッチング率や即戦力であることをアピールする上でも重要でしょう。
マネジメント能力
ある程度の経験を積んできたとみなされる30代には「マネジメント能力」が期待されます。
マネジメント能力は、後輩や部下をまとめチームの管理業務をおこなうスキルであり、必ずしも役職の経験を求められているものではありません。
自分のマネジメント能力を伝えるときには、「数値」と「考え」を盛り込むように意識しましょう。
チームの人数、達成した目標値、携わった期間などの「数値」と、どのような目的・目線で取り組んだのかの「考え」を伝えると、具体的な実績とともに仕事に対する姿勢もアピールできます。
マネジメント能力といっても、リーダーシップ、教育・指導力、業務進捗や予算・人員の管理能力など、企業や職種によって求めているスキルが異なります。
チームの課題を解決する力、自分の考えを発信する影響力、周囲への理解と協力を求める力など、自分の能力がどのようにマネジメントに活用できるかを考えてみましょう。
一般的にはプレイヤー職とは異なり、マネージャーは「全体最適化」の視点や、「ルールや仕組み作りの能力」「上と下との接し方や距離感」などが求められることは共通しています。
日本はプレイヤーとして優秀な人がマネージャーへと「出世」する企業がほとんどですが、実際には求められているものが異なることに注意してください。
転職先の企業文化を読み取った上で、適切なマネジメント力をアピールすることで転職へとグッと近付けます。
30代の転職で年収アップするには?
転職で年収を上げるにはアピールできるスキルを磨くことも大切ですが、働く業界や企業を変えるだけで年収がアップする可能性があります。
また、年収の交渉も転職時の大切なポイントです。
転職で年収アップを狙うためのコツを3つにまとめてご紹介しますので、効率の良い転職活動をおこなう際の参考にしてください。
年収が高い業界・業種に転職する
年収が上がりやすい環境をゲットするには、業界の平均年収は注目すべき項目といえるでしょう。
国税庁の令和4年分民間給与実態統計調査から、30〜34歳の業界別平均年収ランキングをまとめました。
職種 | 年収 | |
---|---|---|
1. | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 約615万円 |
2. | 金融業・保険業 | 約582万円 |
3. | 情報通信業 | 約538万円 |
4. | 学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業 | 約493万円 |
5. | 製造業製造業 | 約472万円 |
電気・ガスなど景気に左右されにくいインフラ業界、金融・保険など利益率が高く専門性が求められる業界、今後も成長が期待されるIT業界などが上位に上がっています。
異なる業界への転職で年収アップを成功させるポイントは、これまでに培った経験や能力が活かせる「同じ職種」での転職を狙う点です。
異業界なうえに現職とは別の職種へ転職すると、まったくの未経験者として低い給与水準で採用されてしまう可能性が高いでしょう。
「不動産業の営業職からWeb業界の営業職へ」のように、同じ職種であれば必要となるスキルは共通している部分が大きいです。異業種であってもこれまでの経験を評価してもらいやすくなります。
また、業界全体で「平均年収が高い・低い」と一括りにするだけでなく、企業ごとに経営状態や給与体制を詳しく確認するようにしましょう。
現職と同じ業界・職種で大手企業へ転職する
また、現在と同じ業界・職種のまま今よりも大手企業へ転職するのも、年収をアップさせるのに有効な手段です。
即戦力を求める企業としても、同じ業界・同じ職種で働いていた人材が持つスキルやノウハウなどに期待が高まるでしょう。
会社の規模が大きい企業は、一般的に従業員への給与も高くなる傾向にあります。
企業規模による賃金格差が起こる理由は、規模が拡大すると競争力やブランド力が向上し、より収益率が高まるためと考えられます。
したがって、同じ職種で同じ働き方をしたとしても、人件費にも資金を潤沢に回せる大手企業のほうが高い年収を得られる可能性は高いでしょう。
一方で、大手企業のなかには、中途入社が評価を得にくい「年功序列」が根強い企業も多いため注意が必要です。
実力や実績を重視する成果報酬制度を採用する企業であれば、勤続年数に関わらず、実際の働きぶりを評価して給与に反映してもらえるでしょう。
根拠を明確にして年収交渉する
面接時における年収の交渉は、労働者にとっての権利であり、年収をアップさせる大切なステップでもあります。
しかし、希望する金額や伝え方次第ではマイナスな印象を与えてしまいかねません。
次の3つのポイントに沿って「根拠を明確にした年収交渉」を意識しましょう。
- 業界と応募先企業の平均年収を把握する
- 自分の市場価値を客観的に分析する
- 最低限必要なラインを決めておく
まず、転職先の業界全体や、応募する企業の平均的な年収の水準をチェックしておきましょう。
上場企業であれば、公式サイトのIR情報にある「有価証券報告書」や、上場企業情報が検索できる「Yahoo!ファイナンス」などで、簡単に平均年収を調べられます。
自分の市場価値を知るには、転職サイトなどが提供するWeb上での市場価値チェックツールがおすすめです。
適正年収の目安が数分程度で算出されるため、本格的に転職を検討する前の方でも気軽にチェックできます。
さらに、年収の希望額だけではなく最低限必要な額も明確にしておきましょう。
生活するのに必要な金額、現在の職場を手放すのに納得できる金額など、自分なりのボーダーラインを決めておくと転職後の後悔を防げます。
そして年収交渉の場では、ただ漠然と希望額を述べるのではなく、採用担当者の立場に立って伝え方を考えることが大切です。
応募企業のニーズをしっかりリサーチし、それに応えられる自分のスキルや与えられるメリットなどを伝えます。
「○○の経験を活かしてスムーズな業務に役立てる」など、会社に貢献できる根拠を明確にし、希望する年収に説得力を持たせましょう。
終わりに|転職で年収アップするなら30代がチャンス
30代の男性は、転職による年収アップの傾向が顕著です。
転職をした30代男性のうち、半数近くの人が年収が上がったという調査結果も出ています。年収が上がる相場は前職の1割程度といわれていますが、なかには3割以上年収をアップさせた人もいます。
30代の転職で重視されるのは「過去の経験やスキル」と「マネジメント能力」です。
また、年収アップの転職をするには、「平均年収が高い業界」もしくは「同業種・同職種の大手企業」を選び、客観的な目線による年収交渉をおこなうことが大切です。
企業が求めるニーズと、これまでに培った経験をうまく合致できれば、現在よりも高い年収を得るのもそう難しくありません。
自分の市場価値を正当に評価してもらうためにも転職活動にトライして、効率的なキャリアアップを目指しましょう。
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