【2025年6月16日】の経済・時事ニュースまとめ

きょう6月16日は、イスラエルとイランの軍事衝突が長期化する懸念から原油相場が続伸し、安全資産買いでドルと円が同時に強含むなど、市場は地政学と金融政策の綱引きに揺れました。
国内では日銀があすまで開催する金融政策決定会合で追加利上げを見送る見方が強まり、企業サイドでは日産自動車がルノー株の追加売却を検討するとの報道が注目されています。

本稿では午前10時時点の主要指標を起点に、国内外の注目ニュースを整理して解説します。
主要株価指数・為替レート(6月16日 午前10時時点)
指標名 | 値 | 前日比 |
---|---|---|
日経平均株価 | 38,193.39円 | +359.14 (0.95%)円 |
NYダウ | 42,197.79ドル | −769.83 (1.79%)ドル |
S&P500 | 5,976.97ポイント | −68.29 (1.13%)ポイント |
ドル/円 | 144.40円 | +0.30円 |
株価・為替のポイント
日経平均は寄り付き後に38,000円台を維持し、中国の小売売上高が市場予想を上回ったことを好感して上げ幅を拡大しました。
ドル/円は144円台前半で底堅く推移していますが、中東情勢や、その影響に依る原油高から米国株価指数は大幅下落となっています。
資産運用者はこの局面、どのようなスタンスでいるべきか?
※以下のアドバイスは、特定の銘柄や投資商品の売買を勧めるものではありません。投資判断は必ず自己責任でお願いします。
NISAやiDeCoを運用している人はどうすべき?
NISAやiDeCoを運用している方は、この局面に対して一般的にどのようなスタンスが望ましいでしょうか。
制度としては銘柄の切り替えは自由度が高いものの、時間が限られる中で、日ごとの株価指数や為替レートを見て NISA/iDeCo 内で“ぐるぐる銘柄を入れ替える”人はごく少数です。

基本的には長期・分散投資を徹底して、静観していくことが重要です。
新NISAの銘柄変更について
まだ買っていない “これからの買付” を切り替えるだけなら、年内に何度でも自由に変更可。
既に買った分を売って別銘柄に充て直すのは、その年中は不可。
iDeCoの銘柄変更について
iDeCoも同様に、毎月設定した掛金で買う商品の配分変更は自由(主要なネット証券の場合)。
すでに保有している資産のスイッチング(入替)も毎日可能(松井・SBI・楽天など)。ただし、毎月の掛け金そのものは年1回しか変更できない。



為替リスクを平準化しながら外貨資産を積み増す
ドル/円が144円前後で推移しているいまは、為替ヘッジ無しの米国株ETFや全世界株インデックスを「割安に買える局面」と捉えやすいです。
ただし中東情勢しだいで円高に振れる可能性もあるため、ヘッジ付きファンドを50%程度混ぜるか、積立額を月分散(週ごと・隔週など)に細分化して急変をならすと安心です。
原油高インフレに強い資産を組み込む
ブレント原油が75ドル台へ上昇しており、エネルギー関連株や資源国REITの配当利回りが相対的に魅力を増しています。
NISAの成長投資枠で米国エネルギーセクターETFや豪州REITを一部組み入れると、生活必需品の値上げで受ける実質負担を投資リターンで相殺しやすくなります。
国内債券はデュレーション短縮で金利リスクを抑える
日銀が16〜17日の会合で追加利上げを見送る見通しでも、年内に再利上げが再燃するシナリオは残ります。
iDeCoの国内債券比率を見直し、期間3年未満の短期債ファンドやMMFへ段階的にシフトすれば、将来の金利上昇による価格下落を限定的にできます。
積立は止めずに“待機キャッシュ”を確保
新NISAでもiDeCoでも、積立継続が時間分散の基本です。
そのうえで月拠出額の5〜10%を普通預金に留保し、急落時のスポット買い・繰上げ返済・生活防衛費に回せる余裕資金を確保すると、不安相場でもメンタルがぶれにくくなります。
FXをやっている人は、この局面はどうする?
FXの場合は長期投資と異なり、短期的な為替の変動が利益や損失に直接影響します。
ただし、以下のポイントを抑えることでリスク管理を図ることが望ましいです。


ヘッドラインリスクに備えポジションを絞る
イスラエルとイランの報道でドル/円は142〜145円のレンジを上下しかねません。
重要指標(17日の日銀決定・18日の米小売統計)前には保有量を通常の50%以下に削減し、スプレッド拡大に耐えられる証拠金維持率300%以上を確保してください。
ストップロスとトレーリングで損小利大
円買い方向に仕掛けるならエントリーは143.00円割れ、損切りを142.50円に浅く置き、利確は141円台前半を分割で。
円売り方向は145.00円上抜けを待ち、144.20円にストップ、目標は146円台へ伸ばす「切り下げ幅<利幅」の比率を徹底すると大きな負けを防げます。
資源国通貨とオイル連動を監視
原油高が続く場合、カナダドル/円やノルウェークローネ/円が底堅く推移しやすいです。
WTI先物と合わせてチャート確認し、クロス円で分散ポジションを持つとドル偏重のリスクを軽減できます。
自動売買は“イベントモード”へ切替
リピート系システムを稼働している人は、値幅を通常の2倍(例:0.40円→0.80円)に広げ、最大ポジション数を半減させておくと急変時に過剰建玉が積み上がるのを防げます。
国内ニュース
日銀会合 追加利上げ見送りが大勢
日銀は16~17日に開催する会合で政策金利の据え置きを決定する公算が大きいと報じられました。
市場では「成長率見通しを下方修正しつつ、債券買い入れペースの緩和時期を探る」との観測が広がっています。

日産、自社ルノー株5%売却を検討
日産自動車のイバン・エスピノサCEOは、ルノー持分を15%から10%へ縮小する意向を日経に語り、約1,000億円の資金をEV開発へ再投資すると明かしました。
長年の資本提携を「対等」へ近づける狙いがあります。
東証プライムで臨時売買停止
ウレルネット広告(9235)が経営統合を発表した影響で、午前8時38分から約8分間の売買停止となりました。
投資家保護を優先する東証の自動ルールが機能した形です。
海外ニュース
中東情勢が原油を押し上げ 安全資産買いも継続
イスラエルとイランの交戦は週末も沈静化せず、ブレント先物は75ドル台へ1.5%高となりました。
一方、ドル指数は0.2%上昇、円とスイスフランが買われるリスクオフの組み合わせが続いています。
中国5月小売売上高が+6.4%と予想超え
国家統計局発表のデータで、中国の小売売上高は前年同月比6.4%増と市場予想4.9%を大幅に上回りました。
工業生産は+5.6%と堅調で、アジア株を下支えしました。
G7サミット前にEUが対ロ追加制裁を提案
フォンデアライエン欧州委員長は、カナダで開かれるG7首脳会議に先立ち「第18弾制裁パッケージ」でロシアへの圧力強化を呼びかけました。
中東有事によるエネルギー不安も議題となる見通しです。
私たちの生活に起こること
原油高が長引く場合、ガソリン・電気料金が再び上昇し家計負担が増えます。
短期策
ポイント還元率が高い決済アプリでガソリン代を支払い、家計簿アプリで毎月の光熱費を可視化する。
中期策
エアコンや給湯器などエネルギー効率の高い家電へ買い替え、電力会社の燃料調整コストを抑制するプランを比較検討する。
円相場が144円台で推移するあいだは、為替ヘッジ無しの米国株ETFを割安に積み増すチャンスですが、円高余地もあるため、
- ヘッジ付き商品と半々にする
- 積立設定を毎月同額にしてドルコスト平均効果を高める
といった分散が安心です。
日銀が追加利上げを見送れば変動型住宅ローンの金利急騰リスクは当面限定的ですが、
- 繰上げ返済資金を定期預金やMRFで確保し、年内の利上げ再開に備える
- 長期固定型へ借換えを検討する場合は事務手数料と総支払額を比較して判断する
といった準備が家計を守ります。
