【2025年6月20日】の経済・時事ニュースまとめ

6月20日朝の東京市場は、中東情勢の緊迫化と米金融政策への警戒感が交錯し、リスク資産と安全資産が綱引きを続けています。
国内ではコアインフレが2年ぶり高水準となり、日銀の追加利上げ観測がくすぶる一方、為替は米ドル高・円安基調が続いています。
海外ではイスラエルとイランの空爆応酬が長期化し、原油・金価格が急伸。

こうした要因が主要指数や企業行動、私たちの暮らしにどのような影響を及ぼすのかを整理します。
主要株価指数・為替レート(06月20日 午前11時時点)
指数・通貨 | 値 | 前日比 |
---|---|---|
日経平均株価 | 38,431.08円 | −57.26 (0.15%)円 |
NYダウ平均株価 | 42,171.66ドル | −44.14 (0.10%)ドル |
S&P500 | 5,980.87ポイント | −1.85 (0.031%)ポイント |
ドル/円 | 145.26 円 | -0.25 (-0.17%) |
日経平均株価:半導体株は支えも方向感に欠ける
午前中は半導体指数が上昇したものの、米株先物の軟調と中東リスクを嫌気した売りが重なり、指数全体は小幅安で推移しました。
特に自動車株は対米関税警戒で上値が重く、値がさハイテク株が下支えする構図となっています。

NYダウ・S&P500先物:米市場休場明けを控え神経質
19日の米国はJuneteenthの祝日で現物市場が休場でしたが、先物は中東情勢の悪化を受けて反落スタート。
その後は原油高と米利下げ観測の綱引きで値を戻しています。
ドル/円:インフレ再燃観測で145円台
FRBが「年内2回利下げ」を維持する一方、パウエル議長がインフレ再加速に言及したことで米金利高・ドル高が続き、円は145円台後半で推移しています。
日銀の追加利上げ観測は円買い材料となるものの、当面は米金利動向が主導しそうです。
国内ニュース
コアインフレ3.7%上昇、2年ぶり高水準—食品価格が主因
総務省が発表した5月の全国コアCPIは前年比+3.7%と市場予想を上回り、日銀目標を超える状態が3年以上続いています。
食品・外食価格の高騰が主因で、サービス価格も緩やかに上昇。追加利上げ期待と景気下振れリスクの両にらみとなりました
Nippon Steel:米政府のゴールデンシェア「経営計画に支障なし」
U.S. Steel買収を巡り米政府が保有するゴールデンシェア(拒否権)に懸念が高まる中、日鉄の橋本英二社長は「事業計画への影響はない」と強調。
トランプ政権による鉄鋼関税強化もあり、対米投資の政治リスクが再注目されています。
日銀5月議事要旨:利上げ継続派と慎重派で割れる
20日公表の議事要旨では、「さらなる利上げが必要」との声がある一方、米関税や中東リスクを理由に一時停止を主張する委員も存在。
市場では「夏以降の追加利上げは見送り」の見方が優勢ですが、CPIの高止まりが局面を変える可能性があります。
英イングランド銀行、政策金利を4.25%で据え置き—雇用悪化で追加緩和も示唆
英中銀は19日の金融政策委員会で政策金利を据え置きました。
声明では「労働市場の軟化とエネルギー価格高騰の一服」を挙げ、年内の利下げ余地に言及しています。
これによりポンドは対ドルで小幅安、英長期金利は低下しました。
米国、TikTok禁止措置を90日間再猶予—買収交渉は難航
トランプ大統領は19日、TikTokの米国内サービス停止期限を9月17日まで再延長する大統領令に署名しました。
中国バイトダンスが安全保障審査で求められた米企業への事業売却に応じていないためで、複数企業との交渉が続いています。
ドル高、週足で0.5%上昇—安全資産需要・パウエル発言が追い風
地政学リスクとFRBの「タカ派寄り据え置き」でドル指数は週足ベースで最大の伸び。
対円では145円台前半まで押し戻されたものの、高止まりが続いています。
Grab‐GoTo合併交渉、インドネシア当局が難色
東南アジア配車・配送大手のGrabとGoToの大型合併交渉に対し、インドネシア政府は雇用や競争への悪影響を懸念し、地元資本比率の確保を求めています。
取引は最大70億ドル規模と見込まれますが、規制対応が焦点です。
韓国、新政権が14.7兆円の追加予算—内需テコ入れ
韓国の李在明大統領が就任後2度目の補正予算を編成。
低迷する個人消費を下支えする狙いで、半導体支援やエネルギー補助金も盛り込みました。
資産運用のポイント
考え方の整理
- 金利見通しの二極化
・米英など主要国は「利下げ前の足踏み」段階ですが、スウェーデンや中東リスクで長期金利が乱高下しています。
・金利連動型商品のバリュエーション修正を先読みすることが重要です。 - 地政学リスクと通貨防衛
・中東情勢とTikTok問題でリスクオフ/オンが急変しやすい局面です。
・円安・ドル高が145円台で定着する一方、スイスフランや金が逃避先として買われています。 - 新興国財政とインフレ
・ケニアやインドネシアの事例のように、財政引き締めがインフレに跳ね返るケースがあります。
・新興国債券は「利回り>通貨安リスク」のバランスを要確認です。
具体的アクション
① 株式
- 分散とセクター調整
米英の利下げ観測が強まるまでは、ディフェンシブ(ヘルスケア・公益)を厚め、金融・資本財はウエート中立に保ちましょう。 - テーマ投資は期間を区切る
AI・半導体銘柄は値動きが大きく、NISA枠でも5~10%程度に抑え、「利確ルール」を決めておくと安定します。

② 債券
- 国内債は超長期利回りの反発に備える
日銀追加利上げ観測が強まった場合、40年債など超長期ゾーンが値下がりしやすくなります。残存5~10年程度へバランスを移行し、クーポン収益を確保することが有効です。 - 外債は為替ヘッジ付きで
円安がさらに進んでも米金利低下局面でドル反落リスクがあります。為替ヘッジコストを考慮し、償還2~3年の高格付け社債などで時間分散しましょう。
③ コモディティ・代替資産
- 金と原油は投機色が強い
中東情勢で急騰した後は反落が早いのが常です。先物ETFを利用する場合でも、ポートフォリオ全体の3~5%目安に留め、トレーリングストップ注文を活用しましょう。 - REITは国選びがカギ
英国の利下げ期待が高まればロンドン市況型REITが先導する可能性があります。一方、ケニアやインドネシアなど新興国REITは通貨変動リスクを要警戒です。
④ 長期分散投資(NISA/iDeCo)
- 急なスイッチングは避ける
積立型NISAやiDeCoは長期複利を前提とした制度です。相場急変時にリスク資産を一括売却すると将来の回復機会を逃します。 - キーワードは「定額・自動・再投資」
毎月同額の積立を継続し、分配金は自動再投資に設定して「単価平準化」の効果を最大化しましょう。


私たちの生活に起こること
- 物価上昇と家計防衛策
食品インフレが長期化する可能性があります。まとめ買いよりも「必要量を分散購入」し、価格比較アプリを活用するなどして機動的に対応しましょう。 - 為替変動と海外旅行・留学費用
円安が続くと海外旅行や留学コストが増大します。早めの外貨両替やカード会社の為替手数料を比較しておくと負担を抑えられます。 - 投資ポートフォリオの再点検
金利上昇局面では債券価格が下落しやすくなります。NISAなど長期投資口座は分散を維持しつつ、短期資金はキャッシュポジションを厚めにすると変動に備えやすいでしょう。