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住宅ローン借り換えのメリット・デメリット|借り換えた方が良いケースなど紹介

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住宅ローンの借り換えは、金利差を活かして総返済額や毎月の負担を減らし、家計にゆとりをもたらす有効な手段です

しかし、

どのくらい得になるの?

諸費用や手続きの手間に見合うの?

が分からず、判断を迷う方も多いでしょう

この記事では、借り換えによって得られる主なメリットとして、

  • 利息軽減による総支払額の削減
  • 返済期間の短縮や条件変更によるライフプランへの適合
  • 団信の保障内容見直しや金利タイプ変更による将来リスク対策

まで、具体例を交えて解説します。

加えて、デメリットや注意点、借り換えが効果的な条件やタイミング、見送った方が良いケースも整理します。

MIYABI

これを読めば、自分が借り換えで本当に得をするかどうかを、数字と条件で判断できるようになります。

目次

住宅ローン借り換えのメリット

住宅ローンの借り換えは、「毎月の返済額を下げたい」「総支払額を減らしたい」と考える方にとって大きなチャンスです。

特に近年は低金利競争が続き、金融機関によっては借り換え専用の優遇金利プランを用意しているケースもあります。

こうした環境を上手く活用すれば、現在のローン条件を見直し、家計全体の負担を軽くできる可能性があります。

さらに、借り換えは単なる「金利の引き下げ」だけでなく、返済期間や金利タイプ、団体信用生命保険の保障内容なども同時に見直せるタイミングです。

つまり、ライフプランや将来の金利動向に合わせてローン全体を再設計できるわけです。

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ここでは、借り換えによって得られる具体的なメリットを順番に見ていきましょう。

まずは、多くの方が注目する「利息負担の軽減」から解説します。

利息負担を軽減して総返済額を減らせる

住宅ローンを借り換える最大のメリットは、現在より低い金利の商品に乗り換えることで利息負担を減らし、総返済額を減少させられる可能性がある点です。

例えば、借入残高2,000万円・残り返済期間20年のローンを金利年1.5%から年1.0%に借り換えた場合(元利均等・月利=年利/12)、毎月返済額は約96,700円→約92,100円、差額は約4,600円/月、総返済差は約110万円(240回払い・諸費用除く)。

回収期間(ブレークイーブン)=「借換諸費用 ÷ 月々の削減額」。

例:諸費用40万円なら約87か月(約7.3年)で回収。以降は純粋なメリットになる計算です。

わずかな金利差でも、借入額や残期間が大きければ利息総額で数百万円の差が生じるケースもあります。

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借り換えにかかる諸費用を考慮しても節約効果が上回るかどうか、まずシミュレーションで確認してみましょう。

毎月の返済負担を減らして家計にゆとりを

金利が下がれば毎月の返済額も軽減されるため、家計の負担が減ります

月々の支出が抑えられれば、浮いたお金を教育費や老後資金、資産運用など他の用途に回すことができます。

特に子育てやライフイベントで出費が増える30代〜40代のご家庭にとって、月数千円~数万円の負担減は大きなゆとりとなるでしょう。

「月々の返済が苦しい」という状況なら、借り換えで返済額を圧縮することが家計改善の有力な手段になります。

返済期間の短縮も可能

毎月の返済額は今のままで構わないので、とにかく総支払利息を減らしたい!

という場合、借り換え後も現在と同程度の返済額を維持することで返済期間を短縮できる可能性があります。

毎月の返済額を減らさず繰り上げ返済効果を狙うイメージです。金利が下がった分だけ返済ペースを速められれば、結果的に総返済額をさらに圧縮できます

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ただし、無理のない範囲で設定することが重要で、家計に負担をかけすぎないよう注意しましょう。

団体信用生命保険(団信)の保障内容を見直せる

スクロールできます
金利死亡・所定の高度障害状態がん7大疾病その他病気やケガ
ベース一般団信上乗せなし
残債0円
×××
がん団信+0.1%
残債0円

残債0円
××
オプションを付けた場合一般団信+8大疾病
残債0円

月額返済補償+残債一括補償

月額返済補償+残債一括補償
×
一般団信+8大疾病+その他病気やケガ
残債0円

月額返済補償+残債一括補償

月額返済補償+残債一括補償

月額返済補償
がん団信+7大疾病
残債0円

残債0円

月額返済補償+残債一括補償
×
がん団信+7大疾病+その他けがや病気
残債0円

残債0円

月額返済補償+残債一括補償

月額返済補償
その他ワイド団信+0.3%
残債0円
×××
ペアローン団信(一般団信)+0.2%
残債0円
×××
ペアローン団信(がん団信)+0.2%
残債0円

残債0円
××

オプションについては上乗せ金利ではなく、ローン返済支援保険として年齢別料率区分方式となっています。そのため、途中加入・脱退が可能となっており、ライフプランに合わせて検討できます。

7大疾病とは、脳卒中、急性心筋梗塞、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性すい炎症をさします。8大疾病は+がん。

借り換えは団体信用生命保険(団信)を見直す好機でもあります。

住宅ローンには通常、万一の際に残債がゼロになる団信が付帯しますが、近年はがん保障付き八大疾病保障付きなど、より手厚い保障が付いた団信商品が増えています。

現在のローンで一般的な団信に加入している場合、借り換えを機に保障内容を充実させることが可能です。

また新しい団信の保険料(または金利上乗せ分)が抑えられている商品を選べば、保障を厚くしつつ保険料負担を軽減できるケースもあります。

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ただし健康状態によっては新たな団信に加入できない場合もあるため、加入条件を確認しましょう。

借換えで旧ローンの団信保障は終了し、新たに加入申込が必要です。

健康状態によって加入不可の可能性があります。加入が難しい場合の選択肢としてワイド団信(例:金利+0.3%)を用意する金融機関もあります。

金利タイプを変更して将来のリスクに備えられる

借り換えにより、金利タイプ(固定・変動)の変更も行えます。

例えば

今後の金利上昇が不安なので変動金利から固定金利に替えたい!

当面は返済額を抑えたいので固定から変動に戻したい!

といったニーズに対応できます。

スクロールできます
変動金利条件固定金利10年フラット35頭金年齢完済時借入可能額借入期間返済方法事務手数料保証料手数料印紙代5年ルール125%ルールペアローン収入合算年収勤続年数一部繰り上げ返済全額繰り上げ返済繰り上げ返済方式金利タイプ変更相談方法事前審査審査日数産休/育休
みずほ銀行0.525%1.90%取り扱いなし記載なし18歳以上70歳の誕生日まで80歳の誕生日まで50万円以上3億円1年以上35年以内元利均等返済/元金均等返済33,000円不要借入金額×2.2%電子契約:不要ありありありなし記載なし3か月以上みずほダイレクト:無料
店舗:33,000円
店舗のみ:33,000円期間短縮型/返済額軽減型みずほダイレクト:無料
店舗:11,000円
店舗/電話/ネット正式審査から1週間から10日取扱不可
三菱UFJ銀行0.595%2.05%取り扱いなし記載なし500万円以上2億円以内2年以上35年以内(1年単位)元利均等返済/元金均等返済なし不要借入金額×2.2%電子契約:不要ありありありあり記載なし1年以上ネット:無料
店舗:16,500円
ネット:16,500円
店舗:33,000円
期間短縮型/返済額軽減型ネット:無料
店舗:11,000円
店舗/電話即日回答記載なし申込可能
auじぶん銀行0.950%「携帯電話」「電気」「インターネット」「TV」の各サービスと住宅ローンを一緒にご利用1.845%~取り扱いなし20%満18歳以上満65歳未満満80歳の誕生日まで500万円以上2億円以内(10万円単位)1年以上50年以内(1か月単位)元利均等返済/元金均等返済なし不要借入金額×2.2%電子契約:不要ありありありあり200万円以上1年未満でも可能無料変動金利:無料
固定金利:33,000円
期間短縮型/返済額軽減型変更不可店舗/電話/ネット当日~3営業日3~10営業日申込可能
りそな銀行0.640%WEB申込・完結
りそなの商品・サービス利用
2.345%~買取型20%満20歳以上満70歳未満満80歳未満50万円以上3億円以内(1万円単位)1年以上40年以内(1年単位)元利均等返済なし不要借入金額×2.2%電子契約:不要ありなしありあり100万円以上1年以上ネット:無料
店頭:変動金利5,500円
固定金利:33,000円
ネット:取扱なし
店舗:変動金利11,000円
固定金利33,000円
期間短縮型/返済額軽減型ネット:無料
店舗:5,500円
店舗1~3営業日5~10営業日申込可能
SBI新生銀行0.680%1.600%~取り扱いなし10%20歳以上65歳以下80歳未満500万円以上3億円以内(10万円単位)5年以上35年以内(1年単位)元利均等返済なし不要借入金額×2.2%電子契約:不要
サービス利用料:5,500円
なしなしありあり300万円以上1年以上無料無料期間短縮型変更不可
期間終了後の変更:5,500円
店舗/電話/ネット5営業日最短1か月申込可能
住信SBIネット銀行0.698%1.909%~買取型/保障型20%満18歳以上万65歳以下80歳未満500万円以上3億円以内(10万円単位)1年以上50年以内元利均等返済/元金均等返済なし不要借入金額×2.2%電子契約:不要ありありありあり記載なし1年以上無料変動金利:無料
固定金利:33,000円
期間短縮型/返済額軽減型無料メール/電話最短即日7~10営業日申込可能
楽天銀行1.004%2.288%~買取型記載なし65歳6か月未満満80歳未満500万円以上2億円以内(10万円単位)1年以上35年以内(1年単位)元利均等返済/元金均等返済なし不要330,000円2,000円~10万円ありありありあり400万円以上転職直後でも可能無料無料期間短縮型/返済額軽減型記載なし電話/ネット5~10日7~14日申込可能
PayPay銀行0.600%ソフトバンクスマユーザー1.500%~取り扱いなし記載なし20歳以上65歳未満80歳未満500万円以上2億円以内(10万円単位)元利均等返済なし不要借入金額×2.2%なしなしなしありあり200万円以上1年未満でも可無料
電話:5,500円
電話:33,000円期間短縮型/返済額軽減型無料電話当日~2営業日3~10営業日申込可能
イオン銀行0.780%1.68%~買取型20%18歳以上71歳未満満80歳未満200万円以上2億円以内(10万円単位)1年以上50年以内(1か月単位)元利均等返済なし不要定額型:110,000円
定率型:借入金額×2.2%
電子契約:不要
サービス利用料:5,500円
ありありありあり100万円以上6ヶ月以上無料55,000円期間短縮型/返済額軽減型変更不可店舗/電話最短即日1~2週間申込可能
ソニー銀行0.897%環境配慮型住宅の新築物件の購入・新築の場合に適用1.947%取り扱いなし記載なし満20歳以上満65歳未満満85歳未満500万円以上2億円以内(10万円単位)1年以上35年以内(1か月単位)元利均等返済なし不要借入金額×2.2%電子契約:不要なしなしありなし400万円以上条件なし無料無料期間短縮型/返済額軽減型手数料ありネット1日~3日7日~10日申込可能
三井住友銀行0.925%Oliveアカウント開設が必須1.85%~買取型20%満18歳以上満70歳の誕生日まで満80歳の誕生日まで100万円以上3億円以内(10万円単位)1年以上35年以内(1か月単位)元利均等返済/元金均等返済なし不要借入金額×2.2%電子契約:不要ありありありなし記載なし3か月以上無料(SMBCダイレクト)
店舗:16,500円
無料(SMBCダイレクト)
店舗:33,000円
期間短縮型/返済額軽減型ネット:無料
店舗:16,500円
電話/ネット1週間~10日1か月申込可能
2025.08現在

特に2025年以降は住宅ローン金利が変動・固定とも上昇する可能性が指摘されています。

変動金利には多くの銀行で「5年ルール/125%ルール」があり、返済額の見直しは原則5年ごと、増額幅は前回の1.25倍が上限。

ただし採用しない商品もあるほか、急速な金利上昇時は未払利息が積み上がるリスクがあります。商品仕様を必ず確認しましょう。

現在変動金利で借りている方は、将来の金利上昇リスクを避けるために低いうちに固定金利へ借り換えるのも有力な選択肢です。

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逆に、金利情勢によってはより低い変動金利へ乗り換えて当面の負担軽減を図ることもできます。

このように市場動向やライフプランに合わせて金利タイプを選び直せるのも借り換えのメリットです。

住宅ローン借り換えのデメリット・注意点

借り換えは多くの場合、家計改善につながる有効な手段ですが、当然ながら良い点ばかりではありません。

条件や状況によっては、かえって負担やリスクが増える可能性もあります。

ここからは、借り換えを検討する際に知っておきたいデメリットや注意点を解説します。

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「知らなかった」では済まされない費用面・手間・審査条件など、事前に理解しておくことで後悔や損失を避けられます。

まずは、多くの方が見落としがちな諸費用から確認していきましょう。

借り換えには諸費用がかかる

住宅ローンの借り換えは新たにローンを組み直す手続きのため、様々な諸費用が発生します。

主な費用は次のとおりです。

  • 事務手数料: 新しい金融機関に支払う手数料。定額型(例:数万円の固定)と定率型(例:借入額の2.2%)があり、数万円〜数十万円と金融機関によって幅があります。
  • 保証料: 保証会社に支払う費用です。借入金額に応じて数十万円になることもあります(金融機関によっては保証料不要のローンもあります)。
  • 印紙税: 金銭消費貸借契約書(ローン契約書)に貼付する収入印紙代です。契約金額に応じて数万円程度。
  • 登記関係費用: 抵当権の抹消登記と設定登記にかかる費用(登録免許税)や司法書士への報酬です。合計で数万円〜十数万円ほど。
  • その他: 現在のローンを一括繰上返済する際の手数料などが発生する場合があります。

これら諸費用の総額は一般的に30万~80万円程度になると言われていますが、場合によっては100万円近くかかることもあります

諸費用の主な項目例

  • 事務手数料:定額型(例:5.5万円など)/定率型(目安借入額×2.2%)。商品によりどちらかを採用。
  • 印紙税:金銭消費貸借契約書の契約金額帯で決定(例:1,000万円超~5,000万円以下 2万円/5,000万円超~1億円以下 6万円)。
  • 登録免許税:抵当権設定=借入額×0.4%、抹消=1物件1,000円。借換えは購入時の軽減特例の対象外が一般的。
  • 保証料:商品により必要/不要(例:フラット35は保証料・繰上返済手数料なし)。

借り換えで削減できる利息額より諸費用の方が高くつくと、かえって損をしてしまいます。

したがって、借り換えを検討する際は新旧ローンの総支払額の差額と諸費用を比較し、費用対効果がプラスになるか慎重に判断しましょう。

手続きの手間と時間がかかる

借り換えには手間と時間も伴います。

必要書類の収集、新しい金融機関選び、申し込み、審査、契約手続き、既存ローンの一括返済手続き・・・と、完了までに1〜2ヶ月程度は見ておく必要があります。

平日の日中に銀行窓口や司法書士とやり取りする場面も多く、勤務状況によっては休暇取得などの調整が必要になるでしょう。

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インターネット完結型のローンを選べば多少手間は省けますが、それでも契約に関する打ち合わせや郵送手続きなどは発生します。

「手続きが煩雑で面倒」という点は借り換えのデメリットとして認識しておきましょう。

新しい審査に必ず通るとは限らない

借り換えも新規のローン契約ですから、当然ながら審査があります。

申し込み時点の年齢・年収、勤続年数、雇用形態、他の借入状況などが総合的に審査され、現在より厳しい条件を求められる場合もあります

また借り入れ中の物件についても、担保評価額が下がっていると希望通りの条件で借り換えできない可能性があります。

例えば、転職して間もない場合収入が以前より減少している場合、あるいはフリーランスなどで収入が不安定な場合は審査通過が難しくなる傾向があります。

せっかく借り換え手続きを進めても審査に落ちては元も子もないため、事前に各金融機関の審査基準の目安を確認し、自分が通りそうか冷静に見極めることも大切です。

健康状態によっては団信加入が難しいケースも

住宅ローンの借り換えでは、原則として新しい団信への加入が必要です。

しかし現在のローン契約時より健康状態が悪化していると、借り換え先で団信の審査に通らず契約できないケースがあります。

例えば重大な病気の罹患歴ができてしまった場合などです。団信に加入できなければ基本的に住宅ローンを組むことはできません。

健康面に不安がある方は、借り換え手続きの前に告知項目を確認し、自分が加入可能かどうか検討しましょう。

なお、ごく一部ですが団信不加入でも利用できる住宅ローンを提供している金融機関もあります。

ただし金利が高めに設定されるなど条件が限られるため、総合的に判断することが必要です。

税制の注意点(住宅ローン控除)

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、原則として「住宅の新築・購入・増改築などに伴い借り入れた資金」を対象とする制度です。

そのため、借り換えによって新たに借り入れた資金は控除の対象外となるのが基本です。

ただし、国税庁のタックスアンサーNo.1233でも示されている通り、一定の要件を満たす場合には控除を継続できるケースがあります。

例えば、借り換え後のローンが旧ローンの残債を完済するためのものであり、借り換え時点で住宅ローン控除の適用期間中であることなどが条件となります。

控除の継続可否は、年末残高や返済期間、返済方法の変更内容などによって左右されるため、事前に自分のケースが該当するかを慎重に確認することが重要です。

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誤って適用外になってしまうと、最大で数十万円規模の税額控除を失う可能性があります。

必ず国税庁の公式情報や税務署にて条件と手続きを確認し、必要書類の準備を怠らないようにしましょう。

借り換えした方が良いケース・タイミング

住宅ローンの借り換えは、条件次第で利息削減や返済負担の軽減につながります。

ただし効果が出やすいのは、金利差残高残期間の3条件がそろう場合。

変動金利のリスク回避や、返済期間を含む条件の見直しにも活用できるため、自分のライフプランに合わせて最適なタイミングを見極めましょう。

この条件に当てはまるほど利息軽減効果が大きくなりやすい

金利が下がるなら今すぐ借り換えた方が得!

と、思うかもしれませんが、実際には借り換えのメリットが大きくなるケースには一定の傾向があります。

一般的に、以下の3つの条件を満たす場合は借り換え効果が高いと言われます。

  • 金利差が約1%以上ある(現在のローン金利と借り換え先ローン金利の差)
  • ローン残高が1,000万円以上ある(借り換え時点の残債額)
  • 残り返済期間が10年以上ある(完済までの年数)

上記はあくまで目安ですが、確かにこの条件に当てはまるほど利息軽減効果が大きくなりやすいのは事実です。

目安(「金利差1%・残高1,000万円・残期間10年」)は諸費用と前提で大きく変動します。

逆に、上記目安に満たなくても諸費用込みのブレークイーブンで判断を。税制(住宅ローン控除の継続要件)完済時年齢(多くは80歳)も制約要素なので、総合的に踏まえて判断しましょう。

ただし全てを満たさなくても借り換えメリットが出るケースはあります。

たとえば「金利差は0.5%程度でも、借入残高が多く残期間も長ければ十分メリットが出る」といったケースです。

実際、金利差0.5〜0.8%程度の借り換えでも数百万円規模の総支払額軽減に成功した例もあります。

要は「諸費用を差し引いてもプラスかどうか」が判断基準ですので、条件に少し足りない場合もシミュレーションでメリットが出るか検証してみる価値はあります。

変動金利リスクが気になる人は要検討

特に現在、変動金利で借りている人は注意が必要です。変動金利は当初の金利が低く返済負担も軽い反面、将来の金利上昇リスクがあります。

実際、物価上昇や金融政策変更により2025年以降は金利が上昇局面に向かう可能性が指摘されています。

今は低金利でも、例えば数年後に変動金利が上昇すれば毎月の返済額が増え家計負担が重くなるリスクがあります。

こうした場合、早めに全期間固定金利へ借り換えておくことで金利上昇による影響を回避し、長期的な返済計画を安定させることができます。

MIYABI

「今後金利が上がりそうで不安」という方は、低金利の固定ローンへ乗り換えるタイミングを検討してみると良いでしょう。

また、現在のローンが当初固定金利期間終了後に変動金利へ切り替わったタイミングにある人も要チェックです。

固定期間終了後の適用金利は当初より高めに設定されるケースが多いため、そのまま変動で払い続けるより他行の低金利ローンに借り換える方が有利になりやすいです。

ローン条件を自分のライフプランに合わせ直すことが可能

さらに、借り換えによってローン条件を自分のライフプランに合わせ直すことも可能です。

例えば「子どもが小さいうちは出費がかさむので返済期間を延長して月々の負担を減らしたい」といったケースです。

期間延長は完済時年齢の上限(例:多くの銀行で80歳)に制約されます。

延長で月額は下がっても総利息は増加しやすいため、期間×金利×残高の感度とブレークイーブンを併記して判断しましょう。

一般に一度借りた住宅ローンの返済期間を後から延ばすことはできませんが、借り換え時に元のローンより長い返済期間を設定できる金融機関も存在します。

将来的に収入増が見込めるのであれば、一時的に毎月返済額を減らして家計を楽にするために借り換えるのも一つの戦略です(ただし返済期間を延ばすと総利息は増える点に留意)。

借り換えを見送った方が良いケース

一方で、条件によっては無理に借り換えをしない方が良い場合もあります。

MIYABI

「借り換え=常に正解」ではないので、次のようなケースでは慎重に検討しましょう。

残高や残期間が少なくメリットが出にくい場合

前述の目安に反するケース、つまり残りの借入残高が少額だったり残存期間が短い場合は、借り換えによる利息軽減額も小さいためメリットがほとんど出ません。

例えば残債500万円・残期間5年程度しかないような状況では、仮に金利差が1%以上あっても削減できる利息総額が僅かです。

一方で諸費用は最低数十万円は発生しますから、ほとんど費用倒れになってしまうでしょう。

実際、金利差1%未満・残高1,000万円未満・残期間10年未満のケースでは、借り換え費用を入れるとかえって総支払額が増える可能性が高いと指摘されています。

MIYABI

このようにメリットが出にくい場合は、無理に借り換えず今のローンをこのまま返済し切った方が賢明です。

今のローン金利が十分低く条件が有利な場合

現在利用中のローンの金利や条件が非常に良い場合も、あえて借り換える必要はありません。

例えばここ数年で市場最低水準の変動金利(年0.4~0.5%台)固定金利(フラット35の歴史的低水準など)で借りられた人は、既に最適な条件を享受できている可能性が高いです。

こうした方が今借り換えを検討しても、借り換え先の金利が同等かそれ以上であればメリットは皆無です。

MIYABI

特に2020年前後に超低金利で借りた人は、そのまま当初の金利をキープする方が得策でしょう。

金利タイプの変更ニーズがない限り、今の好条件を手放す必要はありません。

近い将来に繰上返済や売却予定がある場合

もし数年以内に繰上返済で完済する計画があったり、転勤・住み替え等で物件を手放す予定がある場合も、借り換えメリットは限定的です。

借り換えの効果を十分に出すには、ある程度の年数そのローンを返済し続ける必要があります。

短期間で完済・解消してしまうなら、高い諸費用を払って借り換えるよりも今のローンのまま繰上返済に充てる方が合理的でしょう。

また売却でローン自体が消えるなら、手間と費用をかけて借り換える意味はあまりありません。

MIYABI

このように、今後の方針次第では借り換えせず現状維持がベターなケースもあると覚えておいてください。

審査や団信のハードルが高い場合

前述したように、収入面や健康面で不安要素がある場合も借り換えは慎重に考えるべきです。

例えば転職直後で収入証明が安定しない、フリーランスで直近の収入が落ちているといったケースでは審査落ちのリスクがあります。

同様に、持病が悪化していて団信に入れない可能性が高い場合も、現時点での借り換えは難しいでしょう。

無理に申し込んで否決されると信用情報に記録が残る可能性もあるため、状況が整うまで借り換えを見送る判断も大切です。

MIYABI

現在のローンを延滞なく返済しつつ、信用力や健康状態の維持・改善に努め、いずれ条件が整ったときに改めて検討する方が結果的に得策となるでしょう。

【Q&A】住宅ローン借り換えの疑問に答える

そして、ここまでの内容やその他をまとめて、Q&A形式にしました。

住宅ローンの借り換えでどのくらい得になるの?

金利差や残高・残期間によっては数百万円規模の総返済額削減が可能です。

例えば金利1.5%→1.0%に借り換えると、総返済額が約108万円減るケースもあります。効果は借入額が大きく残期間が長いほど高まります。

借り換えにはどんな諸費用がかかる?

事務手数料・保証料・印紙税・登記費用などで30万〜80万円程度が一般的です。

場合によっては100万円近くかかることもあり、削減できる利息額より高くなると損をします

借り換えの審査は通りやすいの?

新規ローン契約と同様に年齢・年収・勤続年数・借入状況などで審査され、必ず通るわけではありません

収入減や担保評価額の低下などがあると条件が厳しくなることもあります。

団体信用生命保険(団信)はどうなる?

借り換え時は原則新しい団信に加入します。

保障内容をがん保障や疾病保障付きなどに見直せるチャンスですが、健康状態によっては加入できない場合もあります。

借り換えに向いている条件やタイミングは?

一般的には「金利差1%以上」「残高1,000万円以上」「残期間10年以上」が目安です。

ただし条件をすべて満たさなくても、諸費用差し引き後にメリットがあれば実行価値があります。

変動金利から固定金利に変えるメリットは?

将来の金利上昇リスクを避け、返済額を安定させられます。

特に2025年以降の金利上昇が懸念される中、早めの固定金利化は家計防衛につながります。

借り換えしない方が良いのはどんな場合?

残高や残期間が少ない、今の金利が極めて低い、数年以内に繰上返済や売却予定がある、または審査や団信加入が難しい場合はメリットが出にくく、見送るのが賢明です

終わりに|借り換えは家計と未来を見据えた選択を

住宅ローンの借り換えは、単なる金利の見直しにとどまらず、家計やライフプランを大きく左右する重要な判断です。

メリットデメリットの両面を理解し、自分の状況に即した選択をすることが、後悔のない結果につながります。

特に、金利差や残高・残期間だけでなく、将来の収入見通しや家族のライフイベントなども踏まえて検討することが大切です。

条件さえ整えば、返済総額の圧縮や家計のゆとり、保障の充実など、多くの恩恵を受けられる可能性があります。

まずは、現状のローン条件と借り換え候補を比較し、費用対効果を冷静に数値で確認しましょう。

MIYABI

そのうえで、無理のない返済計画を立て、長期的に安心して暮らせる形を目指すことが第一歩です。

今日の小さな検討が、未来の大きな安心につながります。借り換えの可能性に気づいた今こそ、自分に合った選択肢を探し始めてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

住宅ローンアドバイザー&不動産投資家として25年以上の経験を持つ、不動産領域の頼れるナイスミドルのライター。
FP1級や宅建、住宅ローンアドバイザー資格を活かし、無理なく返せるローンの選び方から不動産の最新市況までを分かりやすく解説。
自身は持ち家と賃貸物件を1つずつ保有しており、長く安心して返済できる知識を発信している。

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