三井住友FG「Olive」とソフトバンク系「PayPay」が連携へ 決済機能強化とポイント相互交換も

三井住友FGの総合金融サービス「Olive」とソフトバンク系スマホ決済「PayPay」が提携し、
- OliveアプリでPayPay残高払いが選べる
- Vポイント⇔PayPayポイント を相互に交換できる
- ソフトバンクの生成AIと決済データを組み合わせた新サービスを検討
という内容が、5月15日に正式発表されました。
この提携により、利用者数500万人以上を抱える「Olive」と6900万人以上が利用する「PayPay」間で顧客の相互誘導を図り、金融サービスにおける顧客囲い込み競争が一層激化するとみられます。

OliveでのPayPay決済が可能に、ポイント相互交換も実現
関係者によると、今回の提携は三井住友FGの子会社である三井住友カードとソフトバンクが包括提携を結ぶ形で行われます。
この連携により、「Olive」を利用して店舗で決済を行う際、従来の
- クレジットカード
- デビットカード
- Vポイント
での支払いに加え、新たにPayPay残高での支払いが選択できるようになり、Oliveユーザーは支払い方法の選択肢が広がり、利便性が向上します。
さらに、Oliveの利用で貯まるVポイントと、PayPay決済で貯まるPayPayポイントの相互交換も可能になる予定です。
これにより、両サービスのユーザーはポイントをより柔軟に活用できるようになり、サービスの魅力向上につながると期待されます。
AI活用による新ビジネス展開も視野に
今回の提携では、ソフトバンクの生成AI(人工知能)を活用し、決済データを用いた新たなビジネス展開も視野に入れているとのことです。
膨大な決済データを分析することで、個々のユーザーに最適化された金融サービスの提案や、新たなマーケティング戦略の構築などが可能になると考えられます。
激化する金融サービスの顧客囲い込み競争
金融業界では、業界の垣根を越えた提携による顧客囲い込みの動きが活発化しています。
2024年11月には、みずほフィナンシャルグループと楽天グループが提携強化を発表しており、今回の三井住友FGとソフトバンクの連携も、こうした競争環境の中で多くの顧客を獲得し、サービスの利用拡大を目指す狙いがあるとみられます。
今回の連携は、それぞれの強みを持つ両社が協力することで、若年層を含む幅広い顧客層へのアプローチを強化し、デジタル金融サービス市場における競争力を高めるものとなりそうです。
良い点(メリット)
観点 | 期待できる効果 |
---|---|
ユーザー体験 | Olive利用者はQRコード決済が追加され決済手段が一括管理できる。 PayPay利用者は銀行・証券・保険までワンストップ化が視野に入る。 |
ポイント経済圏 | 互換性が生まれ、「PayPayにしか使えない/Vポイントだけ余る」といった “死蔵” を減らせる。 将来的に相互キャンペーンで還元率アップも期待。 |
顧客基盤の拡大 | 既にOlive500万+PayPay6900万口座の相互送客。特に20~30代の囲い込み強化。 |
データ×AIの活用 | 決済+通信+位置情報を束ね、 ・個人に最適化した金融提案 ・出店候補地分析など加盟店支援 など新たな収益源を狙える。 |
コスト効率 | 三井住友カードは既存のVisaネットワーク手数料を抑えつつ、QR決済網を補完。PayPayは銀行API連携の開発負担を軽減。 |
懸念点・リスク
観点 | 主な懸念 |
---|---|
個人情報保護 | 消費行動・資産状況が両社で横串に可視化される。 個人情報保護法(改正APPI)に基づく同意取得・匿名加工 が不十分だと炎上リスク。 |
競争法・寡占 | キャッシュレス上位同士の提携は「実質的な囲い込み」と見なされれば公取委のチェック対象に。 中小FinTechや他行に不利との声も出そう。 |
ポイント設計の複雑化 | 交換比率・上限・有効期限が複雑だと「結局どっちがお得?」と混乱。 ルール改定時のユーザー不信を招きやすい。 |
システム統合リスク | アプリ間連携で障害が連鎖すると決済トラブルが拡大。 特に大型キャンペーン時はアクセス集中に要注意。 |
自社サービスのカニバリ | OliveにPayPayを載せることで、三井住友カードのクレカ加盟店手数料がQR決済側に流れる可能性。収益構造の再設計が必要。 |
高齢層の取りこぼし | デジタル手続きが前提のため、店頭やコールセンター負荷が逆に増える恐れ。 |
Oliveができること
Olive(オリーブ)は、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)が提供する、銀行口座、カード決済、資産運用、保険などのさまざまな金融サービスをスマートフォンアプリ上でまとめて管理できるモバイル総合金融サービスです。
Oliveでできる主なことは以下の通りです。
1. お金の管理をアプリで一元化
- 口座管理: 三井住友銀行の口座残高や入出金明細(最大30年分)の確認、振込手続きなどがアプリで完結します。
- キャッシュレス決済の一元管理: クレジットカードの利用明細、デビットカードの利用明細、ポイント残高などをまとめて確認できます。
- 資産運用: SBI証券と連携し、投資信託や株式の取引状況をアプリで確認できます。新NISAのクレカ積立にも対応しており、Vポイントを貯めながら資産形成が可能です。
- 保険: 選べる無料保険やVポイントが貯まる保険の申し込み、管理がアプリで行えます。
- 各種手続き: 住所変更などの手続きもアプリで一括して行えます。
2. 1枚5役の多機能カード「Oliveフレキシブルペイ」
Oliveフレキシブルペイは、1枚のカードに以下の5つの機能を集約しています。
- キャッシュカード
- クレジットカード
- デビットカード
- ポイント払い
- 追加したカードでの支払い(※)
アプリで支払いモードを簡単に切り替えることができ、複数のカードを持ち歩く必要がなくなります。
カードはカード番号や口座番号が記載されていないナンバーレスデザインで、セキュリティ面でも安心です。
※お手持ちの対象クレジットカードを支払いモードに追加できる新機能も提供されています(Visaが開発した機能で世界初)。
3. Vポイントが貯まる・使える
ポイントが貯まる
普段のお買い物や各種サービスの利用、給与振込口座の設定などでVポイントが貯まります。
特に対象のコンビニや飲食店でVisaのタッチ決済を利用すると、高いポイント還元率が適用されます(条件により最大20%)。
ポイントを使う
貯まったVポイントは、1ポイント1円として全国のVisa加盟店での支払いやネットショッピング(ポイント払いモード)、クレジットカードの支払いへの充当、振込手数料の割引、景品や他社ポイントへの交換、SBI証券での投資などに利用できます。

4. お得な特典と手数料優遇
- 基本特典: SMBCダイレクトでの他行あて振込手数料無料(月3回まで)、三井住友銀行本支店ATM・三菱UFJ銀行店舗外ATMの時間外手数料無料、定額自動送金の手数料無料など、銀行取引に関する手数料優遇があります。
- 選べる特典: 毎月、「給与・年金受取でVポイント200ポイント」「コンビニATM手数料月1回無料」「Vポイントアッププログラム+1%」などの中から、自分のライフスタイルに合わせて特典を選択できます。
- アカウントランク: 「一般」「ゴールド」「プラチナプリファード」の3つのアカウントランクがあり、ランクに応じた年会費や特典が用意されています。「ゴールド」は年間100万円以上の利用で翌年以降の年会費が永年無料になる特典などがあります。
5. その他の便利な機能
既存カードとの併用
三井住友カードのクレジットカードを既にお持ちの場合、Oliveアカウントと併用することでOliveの特典を受けつつ、既存カードも引き続き利用できます。
紙通帳不要
OliveアカウントはWeb通帳となり、紙の通帳は発行されません。
既存口座からの切り替え
すでに三井住友銀行の口座をお持ちの方は、その口座をOliveアカウントに切り替えることができます(口座番号は変わりません)。
