【2025年6月11日】の経済・時事ニュースまとめ

2025年6月11日、日本の卸売物価が緩やかに減速し、政府が備蓄米を追加放出、さらに日銀が金融引き締めの意志を再確認しました。
これら複数のニュースは、政府・中央銀行の政策判断や私たちの生活に関わる重要な節目となります。

本記事では、株価や為替の動向も交えながら、わかりやすく解説します。
主要株価指数・為替レート(6月11日 午後2時時点)
指標名 | 値 | 前日比 |
---|---|---|
日経平均株価 | 38,401.55円 | +190.04 (0.50%)円 |
NYダウ | 42,866.87ドル | +105.11 (0.25%)ドル |
S&P500 | 6,038.81ポイント | +32.93 (0.55%)ポイント |
ドル/円為替 | 145.08 円 | +0.22円 |
日経平均株価の値動きと背景
東京市場は、米中貿易協議が「枠組み合意」に達したとの報道と円安進行が追い風となり、日経平均株価が3万8,000円台中盤まで上昇しました。
一方、日銀は来週の金融政策決定会合で国債買い入れ減額幅を想定より縮小し、年内追加利上げを見送るとの観測が浮上しています。
為替:ドル/円は144円台後半で一進一退
東京為替市場は円買いで144.40円まで下押しした後、米CPIを控え方向感を欠いている状況です。
予想を上回れば145円台再挑戦、下回れば143円台を試す展開が見込まれます。
米国株式:FOMC控えも底堅く推移
海外では10日のダウ平均とS&P500が続伸し、今夜発表の米消費者物価指数(CPI)と来週のFOMCを前に投資家は様子見を続けつつも、相場は底堅さを保ちました。
10日のダウ平均は+0.25%、S&P500は+0.55%で取引を終え、半導体関連が指数を押し上げました。
利下げ開始時期は9月以降との見方が優勢で、インフレ指標が注目されています。
資産運用者はこの局面、どのようなスタンスでいるべきか?
※以下のアドバイスは、特定の銘柄や投資商品の売買を勧めるものではありません。投資判断は必ず自己責任でお願いします。
NISAやiDeCoを運用している人はどうすべき?
NISAやiDeCoを運用している方は、この局面に対して一般的にどのようなスタンスが望ましいでしょうか。
制度としては銘柄の切り替えは自由度が高いものの、時間が限られる中で、日ごとの株価指数や為替レートを見て NISA/iDeCo 内で“ぐるぐる銘柄を入れ替える”人はごく少数です。

基本的には長期・分散投資を徹底して、静観していくことが重要です。
新NISAの銘柄変更について
まだ買っていない “これからの買付” を切り替えるだけなら、年内に何度でも自由に変更可。
既に買った分を売って別銘柄に充て直すのは、その年中は不可。
iDeCoの銘柄変更について
iDeCoも同様に、毎月設定した掛金で買う商品の配分変更は自由(主要なネット証券の場合)。
すでに保有している資産のスイッチング(入替)も毎日可能(松井・SBI・楽天など)。ただし、毎月の掛け金そのものは年1回しか変更できない。



短期の上下に慌てず、積立・分散投資を継続
- 日経平均が続伸し、米中協議で世界的に株高傾向ですが、材料次第で上下動しやすい環境が続いています。
- NISAやiDeCoは「長期の資産形成」が基本です。今後もコツコツと積立投資と分散投資を続けることが最も堅実な戦略です。
為替や金利リスクを意識してリバランスも検討
- 日銀が「基調的なインフレなら利上げも」と発言したことで、今後金利が上がる可能性も出ています。
- 外貨建て資産や国内債券のバランスを定期的に見直し、「円高」「金利上昇」局面にも備えましょう。
- 米中協議が好転すれば海外資産、金利上昇が強まるなら債券への分散を増やすなど、自分のポートフォリオを年に1回はリバランスすることが大切です。
食料・生活コストにも注目
- 政府の備蓄米放出で米価が下がりやすくなり、食費の負担が和らぐ可能性も。
- こうした「物価安定」局面は家計管理や現金比率の見直しタイミングにもなります。
FXをやっている人は、この局面はどうする?
FXの場合は長期投資と異なり、短期的な為替の変動が利益や損失に直接影響します。
ただし、以下のポイントを抑えることでリスク管理を図ることが望ましいです。


米中協議や日銀発言などのイベントリスクに注意
- 世界的な株高・ドル高傾向ですが、米中交渉や日銀の利上げ発言などで「円高・円安」「ドル高・ドル安」いずれにも振れやすい地合いです。
- 指標発表・会見前後はポジションを抑えめにし、損切りルールを徹底してください。
為替トレンドに乗るなら柔軟な対応を
- 現状、円安・ドル高のトレンドが続いていますが、材料が出れば急反転もありえます。
- テクニカル・ファンダメンタルズ両面から、大きなトレンドの転換には素早く反応できるようにしましょう。
日本国内のトピック
日銀・上田総裁、インフレ対応と金融引き締めの可能性に言及
日銀・上田総裁は、需要主導の基調的インフレが明確になれば、政策金利を追加引き上げする可能性を示唆しました。
6月16–17日の会合では、現状維持が有力ですが、今後の物価動向次第で金融引き締め姿勢を強める意向です。
市場の急激な金利上昇を避けるため、来年度以降に国債の買い縮小(テーパリング)を慎重に進める方向も示されました。
日銀:利上げ先送り観測と国債買い入れ減額幅の縮小
一方、ロイター経済調査によると、エコノミストの過半数が「日銀は今年の追加利上げを見送り、次の25ベーシスポイント引き上げは2026年1〜3月期」と予想しました。
同時に、2026年度以降の国債買い入れ減額幅を現在より小さくする見通しも示されています。
これが実現すれば長期金利の急騰リスクは抑えられ、固定型住宅ローン金利の上昇ペースも緩やかになると考えられます。

卸売物価の伸び鈍化で追加利上げ圧力が後退
5月の企業物価指数(CGPI)は前年比+3.2%と予想を下回り、資源価格の落ち着きが背景にあります。
物価鈍化は企業のコスト転嫁を和らげ、日銀の利上げ論調を一段と弱める材料となりました。
政府、備蓄米を追加で20万トン放出
農林水産省は急騰した米価を抑えるため、備蓄米を20万トン追加放出すると発表しました。
これにより小売価格は下落し、スーパーでの5kg袋が平均4,223円と、4月末比で下がり続けています。
海外のトピック
米中貿易協議:枠組み合意は「歓迎も詳細待ち」
ロンドンでの閣僚級協議で、レアアース輸出規制の緩和を含む枠組み合意に達したと報じられ、市場はリスク選好を強めました。
ただし具体策が示されていないため、投資家は「慎重歓迎」の構えを崩していません。
私たちの生活に起こること
- 物価と生活コスト
卸売物価の伸びが鈍化することで、今後の消費者物価上昇にも歯止めがかかる可能性があります。備蓄米放出による米価低下も、家庭の食費負担を和らげそうです。 - 金融政策と借入コスト
日銀の追加金利引き上げリスクがある一方、債券テーパリングの慎重化により、住宅ローン金利や企業の借入金利に緩やかな影響が及ぶでしょう。 - 投資や資産形成
米中協議による株高・ドル高の流れに乗るには、分散投資と為替リスクへの備えが重要です。特に外貨建て資産への積立や、リスクを抑えた債券への投資も併せて検討してください。