【2025年6月26日】の経済・時事ニュースまとめ

6月26日のマーケットは、日経平均が約4か月ぶりに39,000円台へ回復し、ドル円は144円台後半まで円高が進むなど、株高・円高が同時進行する珍しいスタートとなりました。
背景には、
- 米国半導体株の連騰
- イスラエルとイランの停戦継続による原油安
- トランプ政権の追加関税をめぐるパウエルFRB議長の慎重発言
があり、投資家心理を複雑に揺さぶっています。
主要株価指数・為替レート(06月26日 午前10時時点)
指数・レート | 値 | 前日比 |
---|---|---|
日経平均株価 | 39,349.85円 | +407.78 (1.05%)円 |
NYダウ | 42,982.43ドル | −106.59 (0.25%)ドル |
S&P500 | 6,092.16ポイント | −0.020 (0.00033%)ポイント |
ドル円為替 | 144.74円 | -0.45 (-0.31%)円 |
米半導体株高が日経を押し上げ
日経平均株価は、4か月ぶりに39,000円台を回復しています。
前日の米国市場でNVIDIAが時価総額3.7兆ドルを突破するなど半導体関連が全面高となり、東京市場でも東京エレクトロンやアドバンテストが買い先行。
指数寄与度の高い3銘柄だけで日経を約210円押し上げている格好です。

円高のワケは「関税インフレ」懸念
トランプ大統領が示唆する対中・対EU関税案でインフレ長期化リスクが浮上。
パウエル議長は「拙速な利下げは持続的インフレを招き兼ねない」と証言し、米金利先安観が後退しています。
結果としてドルが売られ、ドル円は144円台の円高方向で推移しています。
中東停戦と原油安で米株は一服
イスラエルとイランの停戦が保たれ、原油は週初から約10ドル下落しています。
また、エネルギー株が軟化し、NYダウとS&P500は共に小幅マイナスで終了しました。
資産運用で心掛けるべきこと(6月26日版)
まず、米国の関税インフレ懸念でFRBが利下げを先送りしそうだというシグナルが出ています。パウエル議長は「一次的ではなく持続的なインフレのリスクがある」と警告しています。
同時に、日本政府は2025年度の実質成長率見通しを1%未満に下方修正する方向で検討しています。
さらに、国内では毎月分配型の高配当ファンドが新たに設定され、インカム志向マネーが急拡大する兆しがあります。

これらを踏まえると「世界的に金利が読みにくく、国内成長も鈍化傾向だが、高配当需要と円高の波は同時進行」という複雑な局面にあると言えます。
分散投資で半導体偏重を補う
株価上昇を牽引するのはAI関連半導体株ですが、指数寄与度の高い少数銘柄に資金が集中しています。
保有ポートフォリオの業種比率を点検し、エネルギー・ヘルスケア・生活必需品など景気に左右されにくいセクターを加えることで、値動きの偏りを抑えられます。
バリュー株ETFやTOPIX連動型に一定比率を移すのも一案です。

為替リスクには「二刀流」ヘッジ
円高が進みやすい地合いでは、
- 外貨建ての保有比率を為替ヘッジ付きファンドで調整する
- 外貨MMFで短期金利を享受する
という両面策が有効です。
ヘッジコストが高止まりしている場合は、円建てインフラ投資信託やREITで代替利回りを狙うことも検討しましょう。
インフレ長期化懸念と債券の役割
FRBが「利下げを急がない」と明言したことで、米国長期金利は今後も上下に振れやすくなります。
変動金利型社債や短期米国債ファンドでデュレーションを抑え、逆イールド解消後に長期債へ段階的に乗り換える戦略がリスクを抑えます。
国内債券は利回りこそ低いものの、円建ての価格変動抑制効果が依然高い点を再確認してください。
高配当ブームとの付き合い方
カレラ日本好配当ファンドのような毎月分配型が再び脚光を浴びていますが、分配金の原資は元本払戻しの場合もあるため、トータルリターンを必ず確認しましょう。
分配金を生活費に充てる場合でも、特定口座での再投資設定を併用し「貰い過ぎて再投資しにくい」状況を避けることが大切です。
NISA・iDeCoは慌てて動かさない
新NISAの非課税枠は通算1,800万円、つみたて投資枠は年間120万円です。
短期の円高・株高局面で売却益を狙うより、インデックス投信による長期・積立・分散を継続した方が税制メリットを最大化できます。
iDeCoも同様に、掛金を景気動向で増減させるより、生活設計に合わせて一定額を淡々と拠出する方がリスクを抑えられます。


まとめ
- 半導体偏重の株高と関税インフレリスクが同居するため、セクターとアセットを広げた分散が不可欠です。
- 円高基調では為替ヘッジの有無を意識し、外貨と円資産のバランスを見直しましょう。
- 高配当商品はトータルリターンを重視し、分配金の使い道を決めてから購入判断を。
- NISA・iDeCoは制度本来の長期投資方針を崩さず、短期の市場変動で売買を繰り返さないことが最終的なリターン向上につながります。

以上が本日局面での資産運用のヒントです。
焦らず、情報源を確認しながら計画的に行動しましょう。
国内ニュース
政府、2025年度実質成長率を下方修正へ検討
政府は2025年度の実質成長率に関して、年初想定の1.2%→1%未満に引き下げも視野に入れている状況です。
米相互関税発動の影響を見極め、7月末決定を目指します。
スバルとマツダ、米国関税に対応し「生産移管・値上げ」を検討
スバルとマツダは25日の定時株主総会で、トランプ政権の25%自動車関税が長期化した場合、
- 北米への追加投資による生産移管
- 日本国内生産車の北米向け価格引き上げ
を同時に検討していると説明しました。
部品の内製率向上や為替ヘッジ強化も合わせ、利益圧迫を最小化する狙いです。
原発建設費の上振れ分、電気料金で回収へ——経産省が支援策案
経済産業省は26日朝、再稼働や新増設で建設費が当初計画を超過した場合、その追加分を小売電気料金に上乗せして回収できる制度を導入する方針を示しました。
対象は2030年代前半に着工する新型炉を想定し、早ければ2026年度の制度改正に盛り込まれます。
消費者団体は「実質的な負担転嫁」として慎重論を強めています。
海外ニュース
パウエル議長「関税は持続的インフレの火種」——利下げ時期を再考
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は上院公聴会で「一次的な物価上振れでなく、粘着的インフレを警戒」と表明しました。
結果、市場は年内2回→1回の利下げ織り込みに後退しています。
NATO首脳会議、防衛費目標をGDP比5%へ引き上げ
25日から始まったNATO(北大西洋条約機構)首脳会議がハーグ宣言で合意。
ウクライナ支援と対イラン抑止を両立させるため、加盟国の国防産業へ大規模な発注が進む見通しです。
ボッシュCEO「AI規制が過度なら欧州は“自滅”」独シュトゥットガルトで警鐘
ボッシュのStefan Hartung最高経営責任者は25日のテック会議で「欧州はAI規制で自らの競争力を殺しかねない」と発言。
独自のAI特許総数が欧州最多である同社は、2027年までに25億ユーロを追加投資する方針ですが、複雑な手続きが研究開発の阻害要因になると強調しました。
Starlink衛星27機を追加投入——年間170回打ち上げ目標に前進
SpaceXはフロリダ時間25日深夜、Starlink衛星27機を低軌道へ投入しました。
Falcon 9の一段目は25回目の再使用に成功し、年間170機会打ち上げ計画の達成確度が高まっています。
私たちの生活に起こること
- 株高と円高の同時進行
半導体バブルによるレバレッジ買いが株価を押し上げる一方、関税リスクで米金利低下→ドル売りが発生し、日本株と円がともに買われるねじれが発生。 - 景気下振れリスク
政府の成長率引き下げ検討は、実体経済が金融市場の強さに追随できていないサイン。 - 地政学リスクの小休止
中東停戦で原油が落ち着くも、合意破綻時には再度エネルギー高騰→インフレ再燃の恐れ。