【2025年7月9日】の経済・時事ニュースまとめ

7月9日(水)の朝、国内外で注目を集めるニュースがそろいました。
東京市場は米国の追加関税をめぐる警戒感が続きつつも前日終値付近を推移し、為替はドル高基調が維持されている一方、米国ではトランプ大統領が14ヵ国に25%関税を通告し、市場が再び揺れました。
また、国内では総務省が「情報通信白書」を公表し、日本企業の生成AI活用の遅れが浮き彫りになりました。

以下、主要指標と個別ニュースを整理し、影響と今後の見通しを解説します。
主要株価指数・為替レート(7月9日 午前10時時点)
インデックス/通貨 | 値 | 前日比 |
---|---|---|
日経平均株価 | 39,692.70円 | +3.89 (0.0098%)円 |
NYダウ平均 | 44,240.76ドル | −165.60 (0.37%)ドル |
S&P500 | 6,225.52ポイント | −4.46 (0.072%)ポイント |
ドル円 | 146.83円 | +0.28 (+0.19%)円 |
日経平均の小幅安
日経平均は10時現在、39,600円台後半で推移しており前日終値近辺を動いています。
米国の対日関税が8月に発動されるとの見方が重石となり、自動車株中心に売りが先行している一方、半面、エネルギー関連は原油高を背景に底堅く、指数全体の上下値は限定的です。
米国株は関税ショック後も底堅さ
トランプ大統領の追加関税表明を受け、ダウ平均株価は一時、600ドルを超える値下がりに。
大型ハイテクが買い支えたものの、貿易摩擦が再び激化することへの懸念から売り注文が広がる展開となりました。
ドル円は146円台後半で推移
関税によるリスクオフを背景に、米長期金利が上昇。
日米金利差拡大観測からドル円は146円台後半へ上昇しています。
148円を試すとの見方も出ていますが、FRBの利下げ開始時期が焦点です。
国内ニュース
日米通商交渉、追加関税25%回避へ攻防
石破首相は、トランプ大統領が8月1日に対日25%関税を発動すると予告したことを受け、「互恵的合意を追求する」と声明。
交渉期限が7月9日に迫る中、GDP押し下げ試算や円安加速を背景に、市場は不透明感を織り込み続けています。
生成AI活用率、日本企業は55%にとどまる
総務省が公表した「情報通信白書」によると、日本企業の生成AI利用率は55%で米中独の90%超を大きく下回りました。
個人利用でも「必要ない」「使い道が分からない」といった回答が多く、デジタル投資の遅れが浮き彫りになっています。
企業競争力確保のため、国は教育・規制整備を急ぐ構えです。
猛暑日が続出、全国で熱中症警戒アラート
関東甲信から九州まで35℃超えの地点が相次ぎ、環境省は複数地域に警戒アラートを発令しました。
外出は短時間とし、冷房使用と水分補給を呼びかけています。
電力需給は今のところ安定していますが、政府は需給逼迫時の追加供給力公募の準備を進めています。
参院選期日前投票所で相次ぐ掲示ミス、総務省が再発防止通知
期日前投票所で比例代表名簿の張り違いが多発したことを受け、総務省が全国自治体に対しマニュアル徹底を通知しました。
選挙運営の信頼確保が急務となっています。
海外ニュース
トランプ大統領、14ヵ国に25%関税を通告
トランプ大統領は8月1日から関税を実施すると明言し、市場は再び「貿易戦争」リスクを織り込みました。
S&P500は小幅安にとどまりましたが、素材・自動車株は軟調です。
日本政府は自動車関税の譲歩を米側に要請中です。
FRB、利下げの根拠探しに苦慮
企業調査では成長鈍化とインフレ高止まりが混在し、FRBは9月会合での利下げ見送り観測が浮上しています。
トランプ関税(タリフ)問題が判断を難しくし、ドル高の一因にもなっています。
豪州中銀、予想外の据え置き
豪RBA(オーストラリア準備銀行)は市場予想に反し、政策金利を3.85%で据え置きました。
豪ドルは上昇し、アジア市場の金利見通しにも影響を与えています。
Metaが伊EssilorLuxottica株を3%取得 AIスマートグラス事業を拡大
Meta Platformsは、Ray-Banブランドで知られる伊EssilorLuxottica株の約3%を約30億ユーロで取得しました。
同社は2023年以降スマートグラスを数百万台販売しており、今回の出資で生産能力を拡大しつつ、将来は出資比率を5%まで引き上げることも検討しています。
生成AIを搭載したハンズフリー型「Oakley Meta HSTN」は、高解像度カメラと開放型スピーカーを備え、今後のウェアラブル市場をけん引すると期待されています。
Apple、Sabih Khan氏をCOOに昇格 サプライチェーン強化狙う
Appleは30年在籍するサプライチェーン責任者Sabih Khan氏をCOOに任命しました。
前任のJeff Williams氏は年内に退任予定で、Khan氏は世界2000社超の部品・組立網を統括しながら、自動運転やヘルスケア向け新規製品にも関与します。
長期の後継者計画が表面化し、ティム・クックCEOの在任後もオペレーション体制を維持する狙いが透けて見えます。
BRICS諸国、EU炭素国境税を「保護主義」と批判
ブラジル・ロシア・インド・中国・南アなどBRICS諸国は、EUが来年導入予定の炭素国境調整措置(CBAM)を「一方的で差別的」と非難する共同声明を発表しました。
鉄鋼やアルミ輸出国に追加コストを課す仕組みに対し、「開発途上国の脱炭素投資を阻害する」として撤回を要求しています。
今後の国際交渉で、日本企業の欧州向け輸出にも波及するリスクが浮上しました。
この局面で心掛ける資産運用ポイント
短期の為替・株価変動への耐性を確保する
ドル円は146円台後半と円安方向に振れており、米長期金利と関税リスクが主因です。
外貨建て資産比率が高い投資家は、円転(利益確定)や為替ヘッジ付き投信を併用し、評価益の目減りを防ぐ選択肢を検討しましょう。

関税リスクを踏まえた株式ポートフォリオ再点検
対米輸出比率の高い自動車・機械株は値動きが荒くなる可能性があります。
配当利回りや国内需要に強いインフラ・通信株を組み合わせ、セクター分散でボラティリティを抑えることが有効です。
債券・金など安全資産の活用
米利下げ観測が後退する局面では、期間短めの日本国債や円建て社債で利回りを確保しつつ、インフレヘッジとして金ETFを5~10%組み入れると下値を緩和できます。


NISA・iDeCoは長期視点を維持
長期非課税メリットを生かすため、焦ってスイッチングを繰り返すよりも、積立設定を継続しつつ年1回のリバランスで十分です。
新NISAの成長投資枠では、手数料の低いインデックスファンドを軸にし、関税テーマ型ETFはあくまでサテライトに留めるのが無難です。


リスク管理と流動性の確保
証券口座や外貨預金の追証・追加担保に備え、普段から生活費6ヵ月分程度の現金を確保しましょう。
また、急激な市場調整時は「時間分散の分割購入」や「逆指値の活用」で感情的な売買を避けることが重要です。
私たちの生活に起こること
生成AIの活用格差が広がれば、国内産業の生産性にも影響します。
企業や学校現場では「使わない」理由を解消する学習機会の整備が急務です。
また、猛暑と高関税のダブルパンチは家計にも響きます。
具体的な対策は下記のとおりです。
- 冷房の節電より熱中症対策を優先
エアコン使用は健康投資。最新省エネ機種への買い替えは電気料金の上昇を相殺する効果が期待できます。 - 食品・日用品の“まとめ買い”は慎重に
関税発動前後で価格が乱高下する可能性があるため、消費者は必要量と保存期間を見極めることが大切です。 - 為替変動リスクへの備え
輸入価格の上昇が家計を圧迫します。外貨建てオンラインショッピングはレートを確認し、必要なら決済通貨を分散しましょう。