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財務省が10年物「クライメート・トランジション国債(CTJGB)」を2025年10月に発行決定| グリーントランスフォーメーション促進国債の基本情報

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財務省は10月14日、10年物の「クライメート・トランジション国債(CTJGB)」を2025年10月に発行することを公表しました。

CTJGB(GX経済移行債)とは、資金使途をグリーントランスフォーメーション(GX)関連に限定した日本政府のラベル付き国債です。

日本が2024年2月に初回発行した“ソブリン(国)によるトランジション債”として国際的に初事例と報じられており、発行体はいずれも日本国であり、利払・償還の信用リスクは他の利付国債と同様に“日本国の信用”に依拠※します。

※ CTJGBは『クライメート・トランジション利付国債』として、利払・償還は日本国の信用に基づく点で他の利付国債と同様です。一方、市場価格の変動等の投資リスクは別途存在します(確認日: 2025年10月16日)。

CTJGBとは

CTJGBとは、国が気候変動対策(グリーントランスフォーメーション=GX)への移行を促進するために発行するラベル付き国債です。

資金使途がGX関連事業に限定される点が特徴で、調達資金の使い道や報告方法が明確に定められています。

通常の建設国債や特例国債などと同様、日本政府の信用で発行されるため信用リスク(元本や利払いのリスク)は通常の国債と同等であり、あくまで「用途が環境分野に紐づいている」点だけが異なる国債です。

本稿では、2025年10月発行の10年債の公式条件を整理し、個人向け国債との換金・利率の違いと価格変動リスク、発行スケジュールと投資の意義までを要点中心にわかりやすく示します。

ねくこ

個人は発行後に市場流通する既発債の店頭・オンライン取引での購入が基本となり、また当該回は第II非価格競争入札の掲載がなく、新発時の非競争取得枠の案内はありません。

購入判断に必要なポイント把握したうえで、ご自身の資産形成ポートフォリオに対して検討してみてください。

本稿は一般的な情報提供であり、特定の金融商品の勧誘や投資助言を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。各商品の最新情報や利率・税制・手数料等は必ず公式情報をご確認ください。税制・口座区分の取扱いは将来変更される可能性があります。最新の制度・適用条件は金融機関・監督官庁・業界団体の公表資料でご確認ください。

目次

CTJGBとは(正式名称・GX使途・“世界初”の特徴)

CTJGB(GX経済移行債:クライメート・トランジション利付国債)とは、日本政府が気候変動対策のための資金調達手段として発行するラベル付き国債です。

集めた資金の使途をグリーントランスフォーメーション(GX)関連事業に限定する点が特徴で、何に使うかを定めたフレームワークに基づき発行されます。

CTJGBは「国が発行する世界初のトランジション債」として2024年2月に初めて発行されこれが岸田政権のGX債プログラム第一弾となりました。

当初の10年債発行額は8,000億円規模で、GX関連プロジェクト(低コスト風力発電設備や代替燃料航空機開発などへの資金が充てられることになっています。

ESG投資需要により利回りが相対的に低下する“グリーニアム”が観察される局面も指摘されていますが、時点や市況により異なります。

政府は今後10年間で合計20兆円規模のGX経済移行債を発行し、2050年カーボンニュートラル実現に向けた巨額の投資資金に充てる計画です。

ねくこ

信用リスク(元本や利払いのリスク)は日本政府発行の他の国債と同じであり、「調達資金の用途が環境分野に限定されている」点だけが異なる通常の国債といえます。

10年CTJGB(10月債)の発行条件【公式情報ベース】

2025年10月発行の10年物CTJGB(GX経済移行債)について、財務省が公表した発行条件は以下のとおりです。

出典:財務省『10年クライメート・トランジション利付国債(10月債)の発行予定額等』(2025年10月14日公表)/入札カレンダー(令和7年10月、CTJGB行の第II非価格競争欄は掲載なし/確認日: 2025年10月16日)

  • 入札日:2025年10月21日(火)
  • 発行日:2025年10月22日(水)
  • 償還日:2035年9月20日(満期10年)
  • 発行額:額面ベースで約3,000億円程度
  • 利率(クーポン):入札結果に基づき決定(利回り競争入札)
  • 入札方式利回り競争入札のダッチ方式(単一価格方式)で実施※
  • 応札単位:0.1ベーシスポイント刻み(0.001%刻み)

※本件入札は利回り競争入札(ダッチ方式)。0.1bp刻み(0.001%)で応札(MOF告知)。

日本の新発10年債入札などでも採用されている方法で、CTJGBでも同様に実施されます。

また、今回のCTJGB入札では通常の「第II非価格競争入札」(国債市場特別参加者向けの枠)は実施予定が示されていません。

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そのため発行時に個人投資家が非競争で取得する枠はなく、後述のように個人は主にセカンダリー市場で取得する形になります。

個人投資家の購入方法|既発中心、新窓販との違い

CTJGBは個人でも購入可能ですが、銀行窓口で販売されている「個人向け国債」(変動10年・固定5年・固定3年、額面1万円単位)とは別物ですので注意が必要です。

CTJGBは「入札発行の一般利付国債」で、個人も「新窓販国債」(窓口販売)として購入可能なケースがありますが、今回はCTJGBの新規割当の“窓口募集(新窓販)”は設定されていません。

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実務上は「既発債を市場(店頭)で購入」するのが基本です。

既発債を購入するのが現実的

当初CTJGBも新窓販の対象とされ、発行前に募集期間を設けて証券会社等で申し込み・購入代金払い込みを行い、発行日に額面分の債券を受け取るという流れが想定されました。

しかし、今回のCTJGB発行では非競争入札(新窓販の割当枠)が設けられなかったため、個人投資家が新発時に直接入手することはできませんでした。

証券会社によっては独自に機関投資家からの配分を個人顧客に回すケースも考えられますが、基本的には発行後に市場で流通し始めた既発債を購入するのが現実的な方法となります。

取り扱いがある証券会社で買い付けられる

既発債の購入とは、発行済みのCTJGBを市場取引で買うことです。

証券会社のオンライン取引画面の債券ページで該当のCTJGBを検索して買付注文を出すか、店頭証券では担当者に銘柄を指定して注文します。

銘柄名は通常「〇年クライメート・トランジション国債(◯年◯月債)」のように発行年月で識別されます(今回の債券は「2025年10月債」と呼称されます)。

ねくこ

購入可能かどうかや価格(水準)はタイミングによりますので、興味がある場合は証券会社に問い合わせて確認すると良いでしょう。

市場購入の際も経過利子は支払う

なお、市場で購入する場合も購入時点の前回利払日から経過した利息分の経過利子を支払う必要があります。

新窓販国債の最低購入単位は額面5万円(5万円単位)で、購入時には前回利払日翌日から受渡日までの経過利子を支払います。

経過利子=前回利払日翌日から受渡日までの利息相当分。買付時に支払い、次回利払日に満額受取で相殺される性質です。

さらに、国債購入手数料は不要(例外あり)ですが、口座管理料等は各社規程に従います。

ねくこ

購入時に手数料は通常かかりませんが、証券会社によっては債券の口座管理料が発生する場合があります(一般にネット証券なら無料です)。

CTJGBの発行スケジュール(2025年度:リオープンなし)

CTJGBの発行スケジュールは通常の国債と同様、あらかじめ年度計画として公表されています。

2025年度(令和7年度)の場合、現時点で以下の発行予定となっています。

  • 10年物CTJGB:2025年10月発行・2026年3月発行(年2回、※それぞれ別個の債券)
  • 5年物CTJGB:2025年7月発行・2026年1月発行(年2回、※それぞれ別個の債券)

※令和7年度は上記のとおり各回とも新規発行(リオープン発行なし)の計画です。

通常の新発国債(例えば新発10年債など)は流動性向上のため同一銘柄を複数回に分けて追加発行するケースがありますが、CTJGBについては毎回が個別の銘柄として扱われます。

ねくこ

これは資金使途の明確化(各銘柄ごとに使途報告を行う)や需給動向を踏まえた調整のためで、今後も市場環境や投資ニーズに応じて発行時期・発行額が柔軟に調整される見通しです。

CTJGBと個人向け国債の違い(換金・単位・税・キャンペーン)

前述のとおり、CTJGBは通常の国債として市場で取引される新窓販国債であり、銀行等で販売される個人向け国債(変動10年・固定5年・固定3年)とは商品性が大きく異なります。

CTJGBには途中解約制度がない

最大の違いは元本保証(換金)の扱いです。

個人向け国債は発行から1年経過後であれば途中換金が可能で、直近2回分の利子相当額の一部(税引前利子の0.79685倍)を差し引けば額面で解約できます。

ねくこ

市場金利がどう動こうとも額面で元本が戻ってくる安全性が特徴で、その代わり利率は低めに抑えられています。

一方でCTJGBを含む新窓販方式の通常国債には途中解約制度がなく、中途で現金化する場合は市場で売却する必要があります。

売却時の価格はその時々の市場金利・債券需要によって変動するため、金利上昇局面では価格下落(元本割れ)のリスクがあります。

ただし市場で売却できるため、満期前でも現金化自体は可能です。

リスク・リターンの観点では「安全性重視なら個人向け国債、利回り重視ならCTJGB等の新窓販国債」と言われることがあります。

実際、CTJGBは市場実勢に沿った利回り(2025年10月債も落札利回りは新発10年国債と同程度になる見込み)を享受できますが、個人向け国債 変動10年の適用利率は「基準金利×0.66」(年0.05%の下限あり)です(MOF商品概要)。

購入単位などその他の違い

その他の違いも押さえておきましょう。

購入単位は個人向け国債が額面1万円から1万円単位なのに対し、新窓販の国債(CTJGB含む)は額面5万円から5万円刻みです。

利子・譲渡益・償還差益はいずれも申告分離課税20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税)で、利子は源泉徴収、譲渡益は特定口座の利用可、同一グループ内で損益通算可です。

なお2024年以降の新NISAでは、つみたて・成長投資枠ともに預金・個別の国債・社債は対象外とされています(日本証券業協会Q&A参照)。

販売面では、銀行や証券会社が実施する現金や商品券のプレゼントキャンペーンは個人向け国債限定の特典であり、CTJGBを含む新窓販国債には基本的にありません。

CTJGと個人向け国債:比較一覧はこちら

以下に主要な違い比較表にまとめました。

スクロールできます
項目個人向け国債(変動10年型等)CTJGB(GX経済移行債)
購入対象者個人のみ購入可能(名前のとおり個人限定)個人・法人いずれも購入可能(市場で取引)
最低購入単位額面1万円から1万円単位額面5万円から5万円単位
利率固定3年・5年型は募集時に決定(低水準)
変動10年型は「基準金利×0.66(最低年0.05%)」で半年ごとに見直し
発行時の入札で決定(市場実勢の利回り)
固定利付(発行後満期まで利率変わらず)
利払日年2回(半年ごと)※変動型は利率変動年2回(半年ごと、固定利率)
元本換金発行から1年後以降、額面で中途換金可
(直近2回分利子の一部控除あり)
中途換金制度なし
市場価格で売却して換金(価格変動リスクあり)
満期までの保証国が元本100%保証(途中換金時も額面保証)国が元本保証(償還時100円で償還)
※途中売却時は市場価格による
税金利子:20.315%源泉徴収(申告分離可)
売却益:原則発生しない(途中換金は額面)
利子:20.315%源泉徴収(申告分離可)
売却益:約20%譲渡益課税(特定口座可)
販売窓口銀行や証券で随時募集(毎月発行)証券会社等で購入(発行時または市場取引)
キャンペーン金融機関による現金・粗品プレゼントあり(購入額に応じた特典)特典なし(キャンペーンは個人向け国債のみ)

個人向け国債の変動10年型は半年ごとに利率が見直され、市場金利上昇時には利払い額も増えますが、中途換金しない限り元本価値は常に額面=100円で保全されています。

一方、新窓販国債のCTJGBは表面利率が固定され価格が市場で変動するため、金利上昇局面では額面割れ(100円未満)となる可能性があります。

ねくこ

その分、利回り水準(投資収益)は高めになりやすく、市場環境によっては通常の国債より利回りが低下する「グリーニアム」が付くこともあります。

【Q&A】GX経済移行債(CTJGB)の疑問に答える

そして、ここまでの内容やその他をまとめて、Q&A形式にしました。

CTJGB(GX経済移行債)とはどんな国債?

CTJGBは、日本政府が脱炭素社会への移行(GX)に必要な資金を集めるために発行する「環境目的限定の国債」です。

資金の使い道がGX関連事業に限定され、世界初の「国が発行するトランジション債」として注目されています。

2025年10月発行のCTJGB(10年債)の条件は?

入札日は2025年10月21日、発行日は10月22日、償還日は2035年9月20日です。

発行額は約3,000億円で、利率は入札結果によって決定されます。

入札は「ダッチ方式(単一価格方式)」で行われ、最低入札単位は0.001%刻みです。

個人投資家はCTJGBをどのように購入できる?

個人は証券会社や銀行の証券口座を通じて市場で購入します。

今回は非競争入札(新窓販枠)がなかったため、発行後に市場で流通し始めた既発債を買う形になります。

オンライン証券や店頭で銘柄名(例:「2025年10月債」)を指定して注文します。

CTJGBと個人向け国債の違いは?

最大の違いは換金方法です。

個人向け国債は1年後から額面で途中換金可能ですが、CTJGBは市場で売却するしかなく、価格変動リスクがあります。

また、CTJGBは額面5万円単位、個人向けは1万円単位で、キャンペーン特典もCTJGBにはありません。

CTJGBはどんな投資リスクがある?

発行元が日本政府のため信用リスクは極めて低いですが、市場金利上昇時には価格下落(元本割れ)の可能性があります。

中途換金制度がないため、途中売却する場合は市場価格での損益が発生します。

CTJGBはNISA口座で買える?

買えません。

国債などの債券はNISAの非課税枠の対象外です。

課税口座で購入した場合、利子には20.315%の源泉徴収税がかかります。

2025年度のCTJGBの発行スケジュールは?

MOFのIR資料では、10年CTJGBは10月・3月、5年は7月・1月の想定が示され、需要・市況に応じ柔軟に調整される旨が記載されています(リオープン有無は回次ごとに告知を確認)。

CTJGBへの投資にはどんな意義がある?

GX経済移行債は、国の信用力を背景にしつつ、投資資金を環境分野へ直接結びつけられる点が特徴です。

ESG投資の一環として、社会的意義と一定の利回りを両立できる投資先といえます。

終わりに|CTJGBのESG投資としての意義

GX経済移行債(CTJGB)は、日本の脱炭素社会への移行を金融面から後押しする意義深い債券です。

国が発行する債券として高い信用力を持ちながら、調達資金の使途が環境プロジェクトに限定されることで、投資を通じて社会のサステナビリティに貢献できる点が魅力と言えます。

個人投資家にとっても、ESG投資の関心が高まる中で安全性と利回りのバランスを考慮した投資先として検討する価値があるでしょう。

もっとも債券である以上、市場金利の変動による価格リスクは避けられません。

CTJGBへの投資を検討する際は、本記事で整理した発行条件や購入方法、通常の個人向け国債との違いをしっかり理解した上で、証券会社から提供される最新情報や公式発表も確認するようにしてください。

ねくこ

CTJGBはまだ発行歴の浅い新しい国債ですが、「未来への投資」としてその動向に注目しつつ、賢明な資産運用に活かしていただければ幸いです。

注意・免責事項

本記事は2025年10月15日時点の公式発表や市場情報に基づき作成されています。情報の正確性・完全性には万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。債券の価格や金利は市場環境により変動します。投資にあたっては必ず最新の情報をご確認のうえ、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事は特定の債券の購入を勧誘・推奨するものではなく、あくまで一般的な情報提供を目的としています。

脚注・参考リンク

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この記事を書いた人

編集部の資産形成担当。
20代後半ながら金融に関する相談実績多数で、投資信託から株式まで幅広い知識を持ち、今のあなたに必要なことを洗い出し、寄り添った提案を心掛けています。
たけのこ派&猫派です!

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