生命保険料控除の対象者は?実際の控除額や申告方法をわかりやすく解説

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節税対策として生命保険料控除を受ける際に、「誰が対象者になるのか」「自分だけではなく妻の保険も対象にできるのか」と困っている人は多くいらっしゃいます。

一度調べてはみたものの、難しいと感じる人もいるのではないでしょうか。

税による負担を適正に軽くするには、まず生命保険料控除の対象者について理解することが大切です。

そこでこの記事では、生命保険料控除の対象者についてわかりやすく解説します。ぜひお役立てください。

この記事でわかること

  • 生命保険料控除の対象は、原則としてその年に保険料を実際に負担した人(契約者名義とは限りません)
  • 妻名義の保険でも、夫が保険料を支払い、受取人要件を満たせば夫の控除対象になることがある
  • 会社員は年末調整で、申告漏れがあれば確定申告で手続きできる

税制や取扱いは年度改正や契約内容、受取人の設定などで変わることがあります。実際の申告では、最新の国税庁案内や生命保険会社の控除証明書もあわせて確認してください。

目次

生命保険料控除の対象者は?

生命保険料控除証明書の例

「生命保険料控除を使えるのは契約者だから、契約者じゃない自分が支払っていると使えない」と考える人もいるかもしれません。

はじめに生命保険料控除の対象者について具体的に解説します。

保険料を支払った者

生命保険料控除を使える人は、原則としてその年に保険料を負担した人です。

生命保険料控除を適用できるかは、あくまで「実際に保険料を負担した人」で判断するためです。

例えば夫が契約者として生命保険に加入し、夫自身で保険料を支払っている場合には、夫が会社の年末調整や確定申告で申請できることになります。

妻の保険料を支払った場合にも申告できる

妻名義の契約でも、夫がその年の保険料を実質的に負担していることを説明でき、かつ保険金受取人が夫または配偶者・親族の範囲に入るなどの要件を満たす場合、夫の生命保険料控除として扱えることがあります。

この場合、夫は年末調整や確定申告で、自分の分と妻の分をまとめて申告することになります。

申告時は、夫がその保険料を負担したことを説明できるよう控除証明書や支払状況が分かる資料を確認しておきましょう。[1][2]

注意点として、保険料の負担者を変えると、将来の保険金受取り時の課税関係が変わる場合があります。控除だけでなく、保険金の受取人と保険料負担の組合せも含めて確認しておくと安心です。

生命保険料控除の基本|対象になる保険や控除額は?

給与所得者の扶養控除(異動)申告表の右端にペンとハンコ、朱肉が置かれている。

生命保険料控除について調べると、難しい用語ばかりで理解できない人もいるかもしれません。

次に生命保険料控除の基本として、控除(所得から差し引ける)できる金額や対象になる保険を解説します。

対象になる保険は大きく分けて3種類ある

生命保険料控除の対象になる保険は3種類あります(なお、少額短期保険など対象外となる商品もあります)。

区分対象となる保険
新(旧)生命保険料控除定期保険、終身保険、学資保険など
介護医療保険料控除医療保険、がん保険、介護保険など
新(旧)個人年金保険料控除個人年金保険など

2012年1月1日以降に締結した保険を「新制度」といい、新制度では「新生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「新個人年金保険料控除」があります。

そして2011年12月31日以前に契約した「旧制度」は、「旧生命保険料控除」「旧個人年金保険料控除」の2つのみです。旧制度では介護医療保険料控除はありませんが、医療保険やがん保険、介護保険などは旧生命保険料控除として適用できていました。

「保」「険」と描かれたブロックの上に人形、その(向かって)左隣に家のオブジェが置かれている

一般生命保険料控除(新・旧)介護医療保険料控除は、保険金等の受取人のすべてが、保険料を負担する人またはその配偶者・親族であることが要件です。要件を満たさない受取人がいる契約は、控除の対象外になることがあります。[1][2] また保険期間が5年未満の貯蓄保険や傷害保険なども対象になりません。

加えて個人年金保険料控除を利用する際には、「個人年金保険料税制適格特約」が付加されており、以下のすべての条件を満たすことが必要です。

・年金の受取人が、保険料を支払う人または配偶者
・受取人は被保険者と同じ
・保険料払込期間が10年以上
・年金受取開始が60歳以降で、受取期間が10年以上(確定年金や有期年金の場合)


個人年金保険であっても、「個人年金保険料税制適格特約」が付いていない場合や、変額個人年金保険は、個人年金保険料控除ではなく一般生命保険料控除の対象になることがあります。控除区分は、生命保険会社から届く生命保険料控除証明書で確認しましょう。

加入しているすべての保険で生命保険料控除を使えるわけではありません。

控除できるかどうかは保険会社から毎年秋頃に送られてくる生命保険料控除証明書で確認しましょう。

新契約・旧契約で控除額が異なる

生命保険料控除は所得税と住民税を軽減できる制度です。所得税と住民税の控除額は以下のとおりです。

【新制度】

所得税住民税
年間の支払い保険料
※配当金・剰余金等がある場合は差引後
控除額年間の支払い保険料控除額
2万円以下支払い保険料の全額1万2,000円以下支払い保険料の全額
2万円超〜4万円以下支払い保険料×1/2+1万円1万2,000円超〜3万2,000円以下支払い保険料×1/2+6,000円
4万円超〜8万円以下支払い保険料×1/4+2万円3万2,000円超〜5万6,000円以下支払い保険料×1/4+1万4,000円
8万円超一律4万円5万6,000円超一律2万8,000円

※2026(令和8)年分は1年限りの時限措置として、23歳未満の扶養親族がいる場合、所得税における新制度の一般生命保険料控除(新生命保険料)の上限が6万円になります(合計の上限12万円は変更なし、住民税の枠は原則据置)。[9][10]

新生命保険料控除・介護医療保険料控除・新個人年金保険料控除の3枠すべてを使う際の適用限度額は、所得税で12万円、住民税で7万円となります。

【旧制度】

所得税住民税
年間の支払い保険料控除額年間の支払い保険料控除額
2万5,000円以下支払い保険料の全額1万5,000円以下支払い保険料の全額
2万5,000円超〜5万円以下支払い保険料×1/2+1万2,500円1万5,000円超〜4万円以下支払い保険料×1/2+7,500円
5万円超〜10万円以下支払い保険料×1/4+2万5,000円4万円超〜7万円以下支払い保険料×1/4+1万7,500円
10万円超一律5万円7万円超一律3万5,000円

旧生命保険料控除・旧個人年金保険料控除の2枠を使う場合には、全体の適用限度額は所得税で10万円住民税で7万円となります。

新制度と旧制度を両方使う際の上限は、所得税で12万円、住民税で7万円です。[10]

生命保険料控除で税負担はいくら軽くなる?

青地の上に「TAX」と書かれたブロックが階段状に4つ置かれ、その上に右下へ向いた→と¥マークがある

次に年収450万円の場合、生命保険料控除でいくら戻るのかシミュレーションしてみましょう。

なお、2025年(令和7年)分・2026年(令和8年)分の税制前提では、このケースでの課税所得金額は「450万円 − 給与所得控除134万円 − 基礎控除88万円 = 228万円」で、所得税の税率は10%となります。そして住民税の税率は10%です。[3][4][5]

※本章の金額は、控除額に税率を掛けた概算の目安です。実際の税額は、社会保険料控除・扶養控除等の有無、他の所得、復興特別所得税、住民税の均等割などにより変動します。

新契約の保険に加入している場合

新契約として、以下の保険に加入しているとします。保険料は以下のとおりです。

・終身保険:年間10万円
・医療保険:年間3万円
・個人年金保険:年間10万円

所得税の控除額は次のように計算します。

・終身保険(新生命保険料控除):一律4万円
・医療保険(介護医療保険料控除):3万円 × 1/2 + 1万円 = 2万5,000円
・個人年金保険(新個人年金保険料控除):一律4万円

合計の控除額は、4万円 + 2万5,000円 + 4万円 =「10万5,000円」になります。以上から所得税の節税額は、概算で10万5,000円 × 10% = 1万500円です。
※なお、実際の申告では復興特別所得税の影響もあるため、最終的な税額は申告内容によって前後します。[4][5]

次に住民税の控除額です。

・終身保険(新生命保険料控除):一律2万8,000円
・医療保険(介護医療保険料控除):3万円 × 1/2 + 6,000円 = 2万1,000円
・個人年金保険(新個人年金保険料控除):一律2万8,000円

合計の控除額は、計算上は2万8,000円 + 2万1,000円 + 2万8,000円 =「7万7,000円」になります。ただし、住民税の生命保険料控除額には全体上限7万円があるため、このケースで実際に適用される控除額は7万円となります。したがって、住民税の節税額は概算7,000円です。

旧契約の保険に加入している場合

次に旧契約のケースをシミュレーションしましょう。1年間に以下の保険料を支払っているとします。

・終身保険:年間12万円
・個人年金保険:年間10万円

所得税の控除額の計算式は以下のとおりです。

終身保険(旧生命保険料控除):一律5万円
個人年金保険(旧個人年金保険料控除):10万円 × 1/4 + 2万5,000円 = 5万円

合計の控除額は、5万円 + 5万円 =「10万円」となります。そして所得税の節税額は、10万円 × 10% = 1万円になります。

次に住民税の控除額は、以下のように計算しましょう。

・終身保険(旧生命保険料控除):一律3万5,000円
・個人年金保険(旧個人年金保険料控除):一律3万5,000円

合計の控除額は、3万5,000円 + 3万5,000円 =「7万円」です。

住民税の節税額は、7万円 × 10% = 7,000円となります。

生命保険料控除を申告する方法

生命保険料控除は保険に入っていれば自動的に行われるものではなく、対象者が自ら手続きをしなければなりません。しっかりと節税するために、申告の流れや必要書類をチェックしましょう。

会社員は年末調整で申告する

会社員が生命保険料控除を受ける場合、年末調整で申告します。生命保険会社から届く「生命保険料控除証明書」を確認しながら給与所得者の保険料控除申告書に必要事項を記入し、証明書と合わせて勤務先へ提出しましょう。提出期限は、原則としてその年最後に給与の支払を受ける日の前日までです(実務上は勤務先の社内締切が前倒しの場合があります)。

なお、電子的控除証明書を利用して勤務先へ電子提出できる場合もあり、マイナポータル連携に対応していれば、控除証明書データを一括取得して自動入力することも可能です。[6][7]

「給与所得者の保険料控除申告書」には生命保険料控除だけではなく、地震保険料控除など別の控除の記入欄もあるため、間違えないようにしてください。

忘れてしまったら確定申告をする

万が一、年末調整で申告を忘れてしまった際には、翌年の確定申告で手続きをしましょう。

国税庁のホームページなどから「確定申告書 第一表・第二表」を用意し、生命保険料控除を見ながら記入します。合わせて源泉徴収票にある支払金額と源泉徴収税額も記載する必要があります。

提出時には本人確認書類(マイナンバーカードなど)と生命保険料控除証明書を台紙に貼るか、職員に提示します。

なおe-Taxで申告する場合は、生命保険料控除証明書などの記載内容を入力して送信することで、税務署への提出または提示を省略できる場合があります。

ただし、入力内容の確認のために求められることがあるため、関係書類は原則として法定申告期限から5年間保存しておきましょう。[8]

まとめ|生命保険料控除を活用し豊かな生活を

自分が保険に加入し保険料を支払っている場合、自分の分として生命保険料控除を申請できます。妻の保険の保険料も支払っていれば、合わせて自分の分として申告が可能です。

なお、保険料を誰が負担するかによって、将来受け取る保険金の課税関係が変わる場合があります。生命保険料控除だけでなく、満期保険金や死亡保険金を受け取る際の税金も合わせて確認しておくと安心です。[2]

生命保険料控除の知識を身につけることで、年末調整で忘れることなく手続きができ、節税できます。もし手続きを忘れてしまった際には、確定申告を行いましょう。

今回の内容については、ぜひパートナーにも教えてあげてください。

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重要なご注意

本記事の内容は、2026年3月10日時点で確認できる公的機関・公式情報等をもとに作成しています。税制や取扱いは法改正、自治体の運用、契約内容、保険料負担者や受取人の設定などによって変わることがあります。実際の申告では、最新の国税庁案内や生命保険会社の控除証明書もあわせて確認してください。

参考・出典

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この記事を書いた人

駒澤大学法学部政治学科卒業後、大手生命保険会社の営業職を経て、Webライターとして独立。現在は金融・法律メインのライターとして活動している。得意分野は生命保険と相続。 2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP

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