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【社会保険】2025年改正『産後パパ育休制度』利用で、実際に手取りはどうなる?

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目次

2025年改正『産後パパ育休』とは?

2025年4月から、『産後パパ育休』(出生時育児休業制度)の一部が改正されます。

この改正により、男性が育児休業を取りやすくなるよう、給付額や利用期間などが大幅に改善されます。具体的にどのような変更があるのか、そして実際に手取り収入にどれくらい影響するのかを解説します。

改正される主なポイント

2025年改正の主なポイント

出生後休業支援給付金の創設により、一定の要件下で産後パパ育休期間の給付が“手取り10割相当(給付率80%)”になる点です。

取得可能期間は基本的に出生後8週間以内、取得可能日数は最大28日(2回分割可)となっています。

これにより、男性もより長期間、安心して育児休業を取得できるようになります。

参考:厚生労働省(育児休業等給付の内容と支給申請手続

実際に手取りはいくらになる?具体例でシミュレーション

では、実際に給付率が80%になった場合、男性会社員が産後パパ育休を取得すると、どのくらいの手取り収入が確保されるか具体的に見てみましょう。

【シミュレーションの前提条件】

  • 男性会社員(35歳)
  • 月給30万円(手取りで約24万円)
  • 産後パパ育休を1ヶ月(約30日間)取得
  • 給付率80%(2025年改正後)を利用

【産後パパ育休中の給付額の計算】

  • 給付の基準となる月給:30万円
  • 給付率:80%

計算式は以下の通りです:

育児休業給付金:『休業開始時賃金日額(過去6か月の賃金総額÷180)×支給日数』で算定
※上限日額(例:2025年8月1日時点16,110円/日)』があります。

『80%』は “出生時育児休業給付(67%)+出生後休業支援給付(13%)” の合算で、条件を満たす産後パパ育休の最大28日間が目安です。単純な『月給×80%』ではありません。

今回の場合は

休業開始時賃金:月給 30万円 × 6か月 = 1,800,000円
1,800,000 ÷ 180日 = 10,000円/日

よって、賃金日額モデルとしては 10,000円/日と仮定します。

育児休業給付金(月額)=賃金日額×支給額×67%=10,000円×30日×0.67=201,000円

出生後休業支援給付金(月額)=賃金日額×支給日数×13%=10,000円×30日×0.13=39,000円

つまり、産後パパ育休を1ヶ月間取得した場合、201,000円+39,000円となり、手取りは約24万円。

ほぼ普段の手取り収入(24万円)と同じ程度が確保されることになります。

給付金の80%は本当に「手取り額」と同じ水準?

育児休業等給付金(産後パパ育休中に受け取る給付金)は非課税で、育休中は健康保険・厚生年金の保険料は申出により免除となります(事業主側も免除)。雇用保険料は給与支給がなければ発生しません。

その結果、80%の給付でも“手取りベースで概ね10割相当”となります。給付率80%で計算される金額は実質的な「手取り額」となり、普段の給与から引かれている税金や社会保険料がないため、給料の手取り額に近いか、場合によっては実質的に増えることもあります。

【給与と育児休業給付金の比較例】

具体的に比較してみましょう:

スクロールできます
項目通常勤務(月額)育児休業給付(月額)
額面の給与(基準額)30万円24万円(80%)
所得税・住民税約3万円非課税(0円)
社会保険料約4万円免除(0円)
実際の手取り額約23万円24万円(非課税)

通常勤務時の手取りは約23万円ですが、育休中は非課税・社会保険料免除のため実質の手取りが約24万円となり、むしろ少し手取りが増えるケースもあります。

「社会保険料が免除される」ことのメリットとは?

2025年の産後パパ育休制度では、育児休業期間中の社会保険料が全額免除されます。免除期間中は年金額の計算上も支払ったものとみなされるため、将来の年金が減る心配もありません。

この制度は、本人だけでなく、雇用主(会社)にも社会保険料免除のメリットがあります。これにより、企業側も積極的に男性の育児休業を支援しやすくなっています。

2025年以降の「産後パパ育休」取得で気をつけるポイント

実際に育児休業を取得する際には以下のポイントに注意が必要です。

  • 給付金は会社経由またはハローワークから支給されます。受給するには本人や会社が一定の手続きを行う必要があります。
  • 給付金の算定基準は「育休前6ヶ月の平均給与額」を基準に決定されるため、残業代などで給与に変動がある場合、給付金額も変動します。
  • 「手取りが減らない」というメリットを最大限活用するためにも、事前に自分の給与明細や会社の制度を確認しておきましょう。
  • 「出生後休業支援給付金」は出生時育児休業給付金が支給されることが前提です。就労状況・賃金支払状況によっては不支給になり得るため、勤務先の賃金取扱(休業中の賃金支給有無)と就業合意(休業中就業)を必ず確認してください。

【Q&A】産後パパ育休の疑問に答える

そして、ここまでの内容をQ&A形式にまとめました。

2025年からの産後パパ育休はどう変わるの?

給付率が最大80%に引き上げられ、取得期間が出生後12週間以内・最大56日間に延長されます。

取得しやすくなり、手取り収入も維持しやすくなります。

育休中の手取り収入は実際どれくらい?

給付率80%で月収30万円の人なら、手取り約24万円となり、通常の手取り(約23万円)より多くなる可能性があります。

育児休業給付金の80%は本当に「手取り」と同じ?

はい。

給付金は非課税で、社会保険料も引かれないため、実質的な手取り額になります。

税や保険料が差し引かれない分、給料時より多くなるケースもあります。

社会保険料が免除されると将来の年金は減る?

育休中の保険料免除自体は将来年金に不利になりません。

復帰後に賃金が下がる場合は『養育期間標準報酬月額特例(みなし措置)』の申出で、3歳未満の子の養育期間について“下がる前”の標準報酬で年金額を計算できます。

育休を取る際に気をつけることは?

給付金は申請が必要で、金額は育休前6ヶ月の平均給与で決まります。

残業代などで変動がある人は事前確認を忘れずに。会社との連携も重要です。

結論:2025年の産後パパ育休で手取り収入は実質的に維持・増加する可能性も!

2025年の改正で給付率が80%に引き上げられ、育児休業給付金が非課税かつ社会保険料が免除になることにより、多くの男性会社員にとって産後パパ育休を取得しても手取り額はほぼ減らない、またはむしろ増える可能性が出てきます。

これにより、男性が家庭で育児に参加することの経済的ハードルがさらに低くなります。企業にとっても従業員が安心して育休を取れるよう支援するメリットが増すでしょう。

2025年以降、家族が増える男性の皆さんにはぜひ産後パパ育休を活用し、新しい家族との時間を大切にしてほしいと思います。

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この記事を書いた人

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