【速報】年金制度改革法が成立!「106万円の壁」撤廃で私たちの暮らしはどう変わる?メリットと課題を総まとめ

2025年6月13日、私たちの働き方と将来設計に深く関わる「年金制度改革法」が、参議院本会議で可決・成立しました。
この改革により、パート・アルバイトとして働く多くの方にとって意識する「壁」となっていた「年収106万円の壁」が、ついに取り払われることになります。

撤廃の理由として、政府は「より多くの人が手厚い保障を受けられるようになる」と説明しますが、本当なのでしょうか。

この歴史的な改革のメリットから、その裏に潜む課題や国の本音まで、多角的な視点で分かりやすく解説します。
まずは知っておきたい!制度改正の3つの大きなポイント

今回の制度改正で、私たちの働き方や社会保険のあり方は具体的にどう変わるのでしょうか。
まずは良い面に焦点を当て、主要な3つのポイントを見ていきましょう。
ポイント1:「年収106万円の壁」がついに撤廃へ
今回の改革で最も注目されているのが、パート労働者などが厚生年金に加入する基準となっていた年収要件(106万円以上)を3年以内に撤廃する点です。
これまで、この基準を超えると社会保険料の負担が発生して手取りが減ることを忌諱し、年末になると労働時間を調整する「働き控え」が問題視されてきました。

この壁がなくなることで、週20時間以上働く人は社会保険の加入要件を満たすことに。
皆の手取りが減る一方で厚生年金の加入壁を(良くも悪くも)気にすることがなくなるため、意欲に応じて働ける環境が整います。
ポイント2:中小企業で働く人も対象に!「企業規模要件」も廃止へ
現在は「従業員数51人以上」の企業で働く方が主な対象ですが、この企業規模要件も段階的に引き下げられ、完全に廃止されます。
これにより、これまで対象外だった中小企業で働くパート・アルバイトの方々も厚生年金に加入できるようになり、合計で約180万人が新たに加入対象となる見込みです。

ただし、社会保険の場合は「労使折半」といって、加入することであなたが支払う社会保険と同額を企業が国に納めなければなりません。
加入者が拡大するということは企業が国に納める保険料も増えることに他ならないため、企業の体力が削られ、却って採用控えや働き控えに繋がるリスクもあります。
ポイント3:将来の安心と手厚い保障
厚生年金に加入する最大のメリットは、将来の安心が手厚くなることです。
国民年金(基礎年金)に上乗せされる形で年金が支給されるため、老後の受給額が増えます。

また、万が一病気やけがで働けなくなった際の「障害厚生年金」や、亡くなった場合に遺族へ支払われる「遺族厚生年金」といった保障も充実しており、人生のリスクに備えることができます。
しかし、手放しでは喜べない?改革の裏に潜む3つの大きな課題

しかし一方で、この改革には労働者、そして企業にとっても、見過ごすことのできない課題が存在します。
課題①:「焼け石に水」?根本的な低賃金問題という現実
政府は今回の制度によって「氷河期世代を救う」ことアピールしますが、多くの方が抱くのは「そもそも保険料を納める元手となる給料が低い」「そもそも雇用されない」という切実な懸念です。
また、要件に入っていたとしても、厚生年金に加入すれば当然、保険料が給与から引かれるため目先の手取りは減ってしまいます。
将来の年金が少し増えると言われても、日々の生活が苦しくなっては本末転倒です。
さらに、厚生年金加入者が老後に受け取れる年金受給額は現役時代の収入に比例します。
低賃金のまま加入しても、年金の増加額は限定的で、「焼け石に水」ではないか、という声も根強くあります。

つまり、根本的な賃上げや待遇改善が伴わなければ、この改革の効果は半減どころか、ほとんど意味を成さないケースも多発してしまうでしょう。
課題②:真の狙いは財源確保?事実上の”社会保険料増税”という指摘
もう一つ、今回の改革の背景には、国の厳しい財政事情が透けて見えます。
それは、危機に瀕する年金制度を維持するため、保険料を払う人を一人でも多く増やしたいという思惑です。

「セーフティネットの拡充」という聞こえの良い言葉の裏で、実質的に保険料の徴収対象を拡大するこの動きは、国民から見れば、「事実上の社会保険料増税」と捉えられても仕方ありません。

本当に国民のためなのか、それとも国の財政維持が最優先なのか。そして、それがどのくらいやむを得ないことなのか。
その真意や真実に、多くの人が疑いの目を向けています。
課題③:「企業の体力が削られる」懸念は他人事ではない
そして、先述の通り、この改革の負担は労働者だけに向かうわけではありません。
社会保険料は、労働者と企業が半分ずつ負担する「労使折半」が原則です。つまり、加入者が増えれば、その分だけ企業の負担も増大します。
特に、パート労働力に大きく依存する飲食、小売、介護といった業界や、体力の乏しい中小企業にとって、この人件費の増加は経営を直撃する死活問題です。
政府は企業の保険料負担を一部補助する特例措置を3年間設けますが、それは一時しのぎに過ぎません。
負担増を嫌った企業が採用を控えたり、加入対象外となる「週20時間未満」のシフトを強いたりする動きが広がる可能性も否定できません。
そうなれば、労働者のための改革が、かえって働き手の雇用を不安定にさせるという本末転倒な事態に陥ります。

企業の負担増が、最終的には商品やサービス価格への転嫁(値上げ)や、私たちの雇用の喪失に繋がる懸念は、決して他人事ではないのです。
まとめ:歴史的改革とどう向き合うか。私たちに求められる視点
今回の「106万円の壁」撤廃は、単に働き方の選択肢を広げることや、将来の安心に繋がる可能性だけでとらえることはおすすめできません。
まず、そのメリットを正しく理解し、自身のライフプランに活かすことは非常に重要です。
しかし同時に、その裏にある「低賃金問題」「国の財政事情」、そして「企業の経営圧迫」という、より構造的な課題から目をそらしてはいけません。
この改革はゴールではなく、日本の社会保障のあり方を考える新たなスタートラインです。
社会全体でより良い未来を議論していくことが今、求められています。
私たち一人ひとりが、この変化を自分事として捉え、社会全体でより良い未来を議論していくことが今、求められています。