ガソリン価格はどう変わる? 当分の間税率(旧・暫定税率)廃止の時期と下げ幅|“いつから・いくら”完全ガイド【12/31予定/法改正前提】

家計やお店・会社の支出に直結するガソリン代の増減は、多くの人にとって無視できないテーマです。
2025年11月、与野党6党が「当分の間税率(旧暫定税率)を年末に廃止」することで合意(※報道ベース/法改正前提)。あわせて、11月中旬から補助を強め、12月中旬には廃止後に近い水準まで引き下げると伝えられています(報道ベース)。
本記事では、ガソリン価格が「いつから」「いくら安くなる」のかを整理し、店頭価格に差(時差)が出る理由、給油のタイミング、家計・業務の実務ポイントまで、すぐに使える形で解説します。
※本文の「店頭価格」= 看板や給油機に表示される税込1ℓ価格。
結論:いつから/いくら安くなるのか
まず、多くの人が真っ先に知りたいことからお伝えします。
当分の間税率の廃止日と廃止後の金額(理論値)は、以下のとおり。
・予定日:12月31日(法改正の成立が前提)
・下げ幅(理論値):税込 約27.6円/ℓ(= 25.1 × 1.10)
・店頭反映:在庫・仕入・POS更新などで時差
※11月中旬〜12月中旬は、補助強化で段階的に下がる見込み(報道ベース)。
ガソリン税の旧暫定税率(当分の間税率)の廃止自体は、2024年末の3党合意や野党法案を通じてすでに「既定路線」になっていました。
高市政権の発足が最後の一押しとなり、廃止へ向けた動きが一気に具体化したとの見方が有力です。
一目でわかる「時系列」と下げ幅(税抜25.1円/税込約27.6円)

ガソリン価格は“いつ”下がるのか、時系列を確認しましょう。
値下げの時系列(見込み)
| いつ | 何が起こる | 店頭への影響の目安 |
|---|---|---|
| 11月中旬ごろ | 補助を段階的に拡充(報道ベース) | 緩やかに下げ始める店あり |
| 12月中旬ごろ | 補助で廃止後に近い水準まで調整(報道ベース) | 廃止後に近い価格感まで下がる店舗が増える可能性 |
| 12月31日 | 当分の間税率を廃止予定(法改正の成立・公布・施行が前提) | 税制上の下げ幅が確定(理論値) |
| 年末〜年明け | 在庫・仕入・POS更新・手持品課税の処理 | 店舗ごとに時差 |
※軽油は別日程、沖縄は地域特例があります。
11月中旬から補助の強化に合わせて店頭価格は段階的に下がる見込み。12月中旬ごろには廃止後に近い水準まで近づく見通しです。
なお、実際に反映されるタイミングは、在庫・仕入・POS更新・手持品課税の状況で店舗ごとに時差が出ます。
次に、ガソリン価格がどの程度下がるかですが、理論値では以下となります。
ポイント
・本則28.7円/ℓは存置、石油石炭税2.8円/ℓは別税。廃止対象は当分の間税率25.1円/ℓのみ。
・店頭価格は原油・為替・在庫・仕入値・手持品課税で上下。一律・即時には反映されません。
・表示は端数処理で1円単位に丸められる場合があります。
理論値と実勢価格がズレる。その理由(在庫/為替/卸/手持品課税)
税だけで計算した理論値と店頭価格はズレることがあります。
主な理由は次の4つ。
1)在庫
・高い時期に仕入れた在庫を売り切るまで、店頭価格は下がりにくいです。
・仕入頻度が数日〜1週間の店舗は反映が遅れやすいです。
2)卸(元売価格)・納品タイミング
・元売の出荷価格は日次・週次で改定されます。
・納品日や仕入日に合わせて、店頭価格が動くことがあります。
3)為替・原油の変動
・為替や原油が上がると、税の下げ分が相殺されることがあります。
・逆に市況が下がれば、理論値以上に安く見える局面もあります。
4)手持品課税・控除(税率変更時の在庫精算)
・税率が変わると、卸・小売の在庫に課税/控除の精算が入ります。
・現金の出入りや事務処理が生じ、店頭反映の速度に影響します。
ねくここのほか、POSの更新タイミング、地域の競争状況、輸送コストなどでも差が出ます。
当分の間税率廃止の流れ(合意→法案→成立・公布→施行)
「合意」は方針が固まった段階(実施の前段階)で、実際に税率が変わるのは法律が通って施行された後。以下の流れを頭に入れておけば、値下がり前にフライングでガソリンスタンドへ向かってしまう失敗は避けられるかもしれません。
- 合意(済):2025年11月、与野党6党が「12月31日に廃止」で合意(報道ベース)。この段階では税率は未変更。
- 法案提出・審議:国会に法案提出→委員会・本会議で審議。
- 成立・公布:可決→官報で公布。条文や附則で施行日を明示。
- 施行:この日から税制上の下げ幅(理論値)が有効。POS・会計・サーチャージは施行日基準で更新。
家計・法人の行動ガイド(給油/サーチャージ/POS更新)
混乱しがちな切り替え時期にできるだけ損をしないよう、いまできる対策を頭に入れておきましょう。
家計(個人)と法人に分けて、それぞれがとるべき行動をガイドします。
※施行までは変更の可能性があります。最新の公式発表も必ず確認してください。
家計(個人)
目的は家計のムダを最小化すること。
価格は段階的に動きますが、少量給油→近隣比較→燃費の即効ケア → 記録の順で動けば、上下に振れても損が膨らみにくくなります。
きょう給油なら少量
相場が動く日は10〜20ℓだけ入れて様子を見るのが無難です。翌日以降にさらに下がればその時に満タン。上がった場合でも、少量にしておけば損失は小さく抑えられます。
近隣3店を比較
看板の価格だけでなく、給油機の画面(適用単価)まで確認を。会員/非会員や支払い方法で単価が変わることがあるため、同じ条件で3店舗を比べるのがポイントです。
遠回りは基本しない
数円/ℓの差のために大きく迂回すると、時間と燃料の消費で得が薄くなります。通勤や買い物のついでに寄れる範囲で比較・給油するほうが総コストは安定します。
長距離ドライブ前
出発地と目的地の相場差をざっとチェックし、高い地域に入る前に多めに入れておくと安心です。渋滞・夜間の選択肢の少なさも考えると、余裕を持った計画が安全です。
燃費の即効ケア
タイヤ空気圧を適正にし、不要な荷物を下ろすだけでムダな消費を減らせます。エアコン設定や急加速の抑制など、すぐ変えられる運転習慣も効果があります。
ミニ電卓
給油量 × 約27.6円/ℓ(税込の目安)= 今回の想定節約額です。
例:40ℓなら約1,104円。店頭価格は店舗差があるため、あくまで目安として使ってください。
法人(運送・建設・小売など)
切替時の混乱と逆転差額を出さないこと。これを念頭に、以下を実践してください。
運用は施行日 = 基準日で合わせ、サーチャージ基準の明文化/POS・価格テーブルの事前検証/手持品課税の段取り/周知と証憑管理の4本柱を前倒しで整えます。
サーチャージ運用
社内文書に基準日・参照指標・更新頻度を明記し、誰が・いつ更新するかを決めておきます。取引先への案内は「施行日以降に順次反映/在庫・システム都合で時差あり」の一文を入れると誤解を避けられます。
POS/価格テーブル
施行日 = 基準日で単価テーブルと税区分を切り替えます。テスト環境での事前検証→承認→配信→現場反映の流れを前週のうちに確認し、切替時刻と責任者を明確にしておくと混乱しません。
手持品課税・控除の想定
該当する場合に備えて、在庫のカットオフ時刻と棚卸手順、申告フローを共有します。現場は「いつの在庫が対象になるのか」だけを押さえられる資料にしておくと、作業ミスを減らせます。
領収書・レシート運用
領収書やレシートは、1ℓ単価・数量・給油日時が分かる形でそろえておくのが望ましいです。紙・電子にかかわらず、拠点ごとに保存場所とファイル名のルールを決め、同じ手順で保管すると後からの確認が速くなります。
電子保存は改ざん防止と検索性を確保し、月次での抜き取り確認を続けると運用が安定します。
サーチャージの精算や社内監査で根拠が必要になったときに備えて、日付・拠点・車両などですぐ検索できる状態を保つことが大切です。
価格動向の見方(短期/月次)
日々の店頭価格は、原油や為替の変動、元売の卸条件の見直しで短期的にぶれやすいため、日次の上下だけで判断しないほうが安定します。
社内の共有は、日々の数値は参考にとどめ、週次で簡易にまとめ、月次で要因だけを振り返る流れにすると無理がありません。サーチャージや見積単価の更新は、本文の「サーチャージ運用」で定めた参照指標と反映ラグに沿って機械的に処理し、恣意的な判断を避けるのが望ましいです。
周知・掲示
社内通達や店頭掲示は、「予定」「報道ベース」「法改正前提」のラベルを付けること。価格改定の案内文には、在庫・仕入・システム更新による時差があり得ることを短く明記しましょう。
店頭掲示テンプレ(短文)
価格改定のお知らせ
法改正の施行に合わせ、価格を順次見直します。在庫・仕入・システム更新の都合で反映時期が前後する場合があります。ご理解をお願いいたします。
損を防ぐ行動のヒント(短期でできること)
- 今日は少量、様子見(10〜20ℓ)。
- 近隣3店+適用単価で比べる。
- 24h/幹線沿い/大手チェーンは反映が早い目安。
- 支払い条件(会員・現金/カード・アプリ)で最終単価が変わる→給油機の画面で確認。
- 長距離は相場差を見て、高い地域に入る前に補給。
地域特例(沖縄)について
沖縄県には揮発油税などの軽減措置があり、同じタイミングでも店頭価格に地域差が出やすい地域です。
全国平均の数字をそのまま当てこむとズレやすい点に注意してください。
特定地域(沖縄)はここが違う
税のベースが異なる:軽減措置の適用状況により、同じ「税率の見直し」でも体感の下げ幅が違って見える(ことがある)
物流コストの影響:離島輸送・在庫回転の違いで、反映の速さや価格水準に差が出やすい
全国の補助運用は共通でも、もともとの税額・コスト構造が違うと店頭の動き方は揃いにくい
ねくこ最新の軽減措置の適用状況は、沖縄県や内閣府の公式情報で確認するのが望ましいです。
軽油はガソリンとは別日程
軽油は、ガソリン(揮発油)と仕組みも時期も別です。
対象は軽油引取税の当分の間税率(17.1円/ℓ)。
下げ幅(理論値)は、税抜17.1円/ℓ、税込約18.8円/ℓ(= 17.1 × 1.10)です。
軽油(軽油引取税)の当分の間税率 廃止時期
予定日は2026年4月1日(報道ベース)です。
ガソリンは2025年12月31日予定、軽油は翌年4月1日予定と日付がズレる(いずれも法改正の成立→公布→施行の後)ので、混同しないよう注意してください。
- いつ:施行日(2026/4/1の見込み)。以降、税制上の下げ幅(理論値)が確定。実際の店頭反映は在庫・仕入・卸・システム更新で時差が生まれる
- どれだけ:税抜17.1円/ℓ、税込約18.8円/ℓが目安(本則15.0円/ℓ + 当分の間17.1円/ℓ = 現行32.1円/ℓからの戻し)
- どう準備:ガソリンとは別建てで、サーチャージ/契約/POS・帳票を整える
事業実務の分離(法人向け)
運送・建設など軽油を多く使う事業では、ガソリンと分けて単価やサーチャージのルールを作ると迷いません。
☑️ チェックリスト
⬜︎ サーチャージ式:基準日・参照指標・反映ラグ・上限/下限を軽油向けに明文化。通知文は**「軽油は別日程」「順次反映」**を明記
⬜︎ 契約・見積もり:軽油専用の条項(基準日、価格式、見直し条件)を追加
⬜︎ POS/帳票:税区分と単価テーブルを品目別に用意し、テスト→承認→配信→現場反映を施行日前週に確認
⬜︎ 手持品課税・控除:該当する場合、在庫カットオフと棚卸手順、申告フローを現場に共有
⬜︎ 地域・契約差の想定:都市部/地方、内陸/港湾、固定契約の有無で反映の速さ・幅は変わります
基準日、指標、反映のラグ、上限・下限をはっきり決め、告知の文面もあらかじめ用意しておくとスムーズです。
ねくこ軽油は時期も仕組みも別。2026/4/1(報道ベース)を念頭に、理論値18.8円/ℓ(税込)を目安にしつつ、施行日基準・品目別運用で準備するのが迷いません。
まとめ/終わりに
最後に、“いつから/いくら安くなるのか”、要点を振り返っておきましょう。
切り替え時期の給油で損をしないよう、常に新しい情報をチェックするようにしてください。
工程の節目(11月中旬/12月中旬/12月31日)と、最新の公式発表は記事末の一次情報リンクから素早く確認できます。
FAQ(よくある質問・2025年11月10日時点)
- いつから安くなる?
-
施行日から税制上の下げ幅(理論値)が有効になります。11〜12月の段階的な下げは**補助の運用(報道ベース)**による動きで、店舗ごとに時差があります。
- いくら安くなる?
-
目安は税抜25.1円/ℓ、税込約27.6円/ℓ(= 25.1 × 1.10)。消費税は個別消費税等を含む価格にかかるため25.1円分にも10%が乗ります。本則28.7円/ℓは存置、石油石炭税2.8円/ℓは別税です。
- どうしてすぐには店頭価格が下がらないの?
-
在庫・仕入・卸価格・為替・手持品課税・POS更新・地域競争などの要因で、順次反映になるためです。
- 看板と給油機の価格が違うのはなぜ?どちらが精算?
-
支払方法・会員割引・クーポンで最終単価が変わります。精算は給油機の画面の単価(適用単価)が基準です。表示は1円単位に丸められることがあります。
- 沖縄も同様の値下げを期待できる?
-
沖縄は税の軽減措置により下げ幅の見え方や反映速度が異なります。最新の適用状況を公式情報で確認し、本記事の数値は参考値として扱ってください。
- 軽油はどうなる?
-
別日程の見通しが報道されています(法改正前提)。軽油(軽油引取税)の理論値は税抜17.1円/ℓ、税込約18.8円/ℓです(「軽油は別日程」参照)。
- 今日は給油したほうがいい?
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迷う日は**少量給油(10〜20ℓ)**で様子見 → 近隣3店+適用単価を比較。24h/幹線沿い/大手チェーンは反映が早い目安です。
- 企業の切替はいつ・どうする?
-
施行日 = 基準日で切替が望ましいです。基準日・参照指標・反映ラグを文書で固定し、当日〜翌営業日運用に。手持品課税/控除やPOSテストも事前確認を。
監修・免責
本記事は一般的な情報提供を目的としています。最終的な税率・廃止日・補助金の詳細は、関係法令の改正および官公庁の正式発表に基づき確定します。個別の判断(給油・契約・会計処理など)は最新の公式情報を確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。
脚注・出典(一次情報・最終確認:2025-11-10)
- 財務省|自動車関係諸税・エネルギー関係諸税(ガソリン税率の枠組み)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d10.htm - 国税庁タックスアンサー No.6313|個別消費税と消費税の課税標準
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6313.htm - 資源エネルギー庁|燃料油価格定額引下げ措置(制度ポータル)
https://nenryo-teigakuhikisage.go.jp/ - 石油情報センター|一般小売価格データ
https://oil-info.ieej.or.jp/price/price.html - 沖縄県/内閣府 沖縄振興(7円/ℓ軽減の根拠)
https://www.pref.okinawa.jp/kurashikankyo/zeikin/1003660/1003670/1023844/1003975.html