【超わかりやすい】ダウ平均株価急落|こんなとき、NISAを始めた私たちはどうすればいい?

2025年3月10日のニューヨーク株式市場は激しい乱高下に見舞われ、ダウ平均株価は一時1100ドル以上の急落しました。
引けにかけて多少持ち直したものの、終値でも前週末比約890ドル安と大幅下落しています。
この急落の背景には、トランプ米大統領による発言と、それに端を発した関税政策への懸念から投資家が相次いで売り注文を行ったことに起因します。


日経平均も3月11日午前、下落基調に
こういった要人の何らかの状況や発言、政策によって、株価はときに大きく乱高下します。
しかし、重要なことは(弊メディアでも薦めている)NISAなどで「長期分散投資」を行っている人が、このような場面でどのようなアクションを取るべきなのかという点です。



今回は資産運用のプロである私「ねくこ」が、
・今回の株価が大きく変動(下落)した原因と
・長期分散投資を行う人がどんな対応をすればよいか
を、経済の知識0の人にもわかりやすく解説します。




3月10日のNY株価指数下落は、なぜ起こった?


まずは、今回のNY(ニューヨーク)株価指数が大幅下落した原因について解説します。
※今回は最も代表的な「ダウ平均株価」を中心に話を進めていますが、基本的には他の主要株価指数に関しても同様です。
NY株価指数とは・・・
世界最大の金融市場であるアメリカ・ニューヨーク市場に上場している株式の値動きを表したものです。主に以下の3つがよく知られています。
① ダウ平均株価(ダウ工業株30種平均)
- アメリカを代表する大企業30社の株価を平均して算出。
- 例えば、Apple、マイクロソフト、コカ・コーラなどが含まれています。
- ニュースなどでよく耳にする「ニューヨークダウ」「NYダウ」と呼ばれる指数です。
② S&P500(エスアンドピー500)
- アメリカの主要企業500社の株価を元に算出。
- アメリカの経済全体を反映すると言われ、機関投資家が重視する指数です。
③NASDAQの特徴
- 世界最大級の電子取引所(オンライン上で取引が行われます)
- ハイテク企業(IT・半導体・インターネット・バイオ)などが多く上場
- アップル、マイクロソフト、Amazon、Google、テスラなどの有名企業が多く含まれる
なぜトランプ大統領の発言が市場に大きな影響を与えたのか?


今回の急落は、主にトランプ米大統領の「発言」が引き金となりました。
トランプ氏がインタビューで米経済について「過渡期にある」との見通しを示し、景気後退の可能性を否定しなかったことから、不安に覚えた投資家たちが保有している株式を売る動きが先行したことで、多くの株価が下落しました。
特に、第一期然り、大統領選から何かと世間を賑わせてきた「トランプ大統領」という影響力の大きい人物のネガティブな発言であったことから、多くの投資家が
という心理に繋がっています。
関税政策への懸念と市場心理への影響
さらに、トランプ氏の関税政策への不透明感も市場を動揺させました。
トランプ大統領はたびたび、「アメリカの自国産業を守る」ということを強調していますが、その主な手段が、
というものです。
関税自体は多くの国が(一部の条件を除き)導入しているものですが、トランプ政権の場合は2025年2月以降、
中国製品に対する関税
- 2025年2月4日:中国からの全製品に対し、10%の追加関税を課しました。
- 2025年3月3日:この追加関税率を20%に引き上げました。
カナダおよびメキシコ製品に対する関税
2025年2月4日:カナダとメキシコからの全製品に対し、25%の追加関税を課しました。ただし、カナダ産のエネルギー関連製品については、10%の追加関税となっています。
という、急激&かなりの関税を最大の貿易相手国である中国や、地理的に地続きとなっている隣国のカナダやメキシコに課しています。
これが「インパクトの影響を鑑みない場当たり的な政策」と揶揄され、懸念する投資家が多いことが原因です。
最近のニュースにもあるように、「中国からの輸入品に高い関税を課す」「鉄鋼やアルミに追加関税を検討する」といった方針が示されると、世界中に影響力が大きい2国による「米中貿易戦争」への不安が高まります。
関税が引き上げられれば、企業のコスト増や輸出減少に直結し、世界経済の減速や企業業績の悪化に繋がりかねません。
さらに、こうした懸念に加えて「他の投資家も一斉に売りに動くのでは」という市場心理も働きました。
一部の投資家の売りが連鎖反応を生み、雪だるま式に下落が加速するのが市場です。不安に駆られた投資家が売りを売り呼ぶパニック状況となり、結果的に下げ幅が一時1000ドル超という急落に至ったのです。
初心者投資家、特に最近NISAを始めた人への影響は?
\NISAをまだ始めていない人は、こちらもご参照ください!/


そして、気になるのが実際に近年の資産形成ブームや制度の変更を期に、NISAなどの資産運用を始めた人への影響です。



もちろん、もうすぐ新生活ということで「そろそろ資産運用を始めようかな?」と検討している人にとっても有益な内容となっているので、ぜひご覧ください。
新NISAを活用している人はどう感じたか?


今回のような株価の急落は、投資を始めたばかりの初心者の多くにとって大きな衝撃です。
新しいNISA制度を機に積立投資などを始めて順調に資産が増えていた人も、一瞬で含み益が消え評価額がマイナスに転じれば不安になるでしょう。
一口にNISAと言えど銘柄もさまざまですが、特に米国株や日系平均に投資をしている人、投資の比率が高い人は、ここ最近の価格推移は穏やかでないことは確かです。



実際、急落直後にはSNS上で「NISAで投資したら損をした」「もう続けるのが怖い」といった声も聞かれました。
結論、「うろたえずに寝かせておけばOK」なのですが、パニックになってしまうと冷静な判断ができなくなってしまいます。
短期的なパニック売りのリスク
上述したような心理を抱えた初心者が陥りやすい、避けるべき傾向にあるのが、短期的なパニック売り(狼狽売り)をしてしまうことです。
急激な下落局面では「これ以上損失を出したくない」と焦って保有株や投資信託を全部売却してしまうことがありますし、SNSなどで「売りだ!」という声を見かけると、売りが売りを呼ぶ切欠になりがちです。
確かに暴落時に現金化すればそれ以上の下落リスクからは逃れられますが、それは同時に「安値で売ってしまう」「売り払うことで将来の上昇を捨てる」ことを意味します。


長期的に見れば成長著しい
画像が今回話題に上げている「ダウ平均株価」ですが、上図の通り10年、20年、30年と長期的な視点で見るととんでもなく株価指数が上昇していることが分かります。
流石に2008年のリーマンショック、2020年のコロナショック時はさすがに大きく下落はしているものの、それでも数年単位で回復し、伸び続けていることが分かると思います。
もちろん、投資に絶対はありませんが、かといってインフレに弱い預金にリスクがないわけではありませんし、現に日本円の価値は「ダウ平均株価」や「日経平均株価」ほどは近年、価値上昇していないことも覚えていなければなりません。



NISAはそもそも、長期資産運用が前提の制度です。せっかく非課税枠で購入した新NISAの投資商品も、底値で手放してしまえば将来のリバウンドによる利益を得られません。
短期の値動きに振り回されて資産形成を中断してしまうことこそ、長期投資家にとって最大のリスクだと言えます。
結局どうすれば良い?併せて検討すると損しないTIPSも公開!


では、長期目線の初心者投資家にとって、このような急落時に結局どう対応すれば良いのでしょうか?
また、その他にもこういった株式相場の急落時に、どんなことをすれば損しにくいのでしょうか?



以下にNISAなどの資産運用時の心得と、生活にまつわる他の要素も合わせてポイントをまとめました。
長期運用を前提とした投資家は、まずはこれを心掛けること!
まず、長期資産運用を行う投資家は、以下の3点を心掛けましょう。
長期・分散投資の原則を貫く
基本に立ち返り、長期的な視野で投資を続けましょう。
株式市場は短期的には上下を繰り返しますが、長い目で見れば経済成長に伴い緩やかに上昇する傾向があります。



もちろん、「オルカン」「投資信託」など、特定の国や銘柄に偏らず国内外の株式や債券、投資信託などに分散投資しておけば、一時的なショックでも資産全体への影響を和らげることができます。
パニック売り(狼狽売り)をしない
繰り返しますが、暴落時こそ冷静さが重要です。
急落を目の当たりにすると不安になりますが、感情に任せて保有資産を売却してしまうのは避けましょう。
上述の通り、過去の例では、リーマンショック(2008年)の際に株価が大暴落しても、その後数年かけて市場は回復し、やがて暴落前の水準を超えて成長しています。



暴落はあくまで一時的な現象であり、長期保有していれば乗り越えられる可能性が高いのです。
暴落時も積立投資(ドルコスト平均法)を継続する


長期投資家にとって最も有効な戦略の一つが、定期的に一定額を投資し続けるドルコスト平均法です。
積立投資を続けていれば、今回のように市場が下落した時には同じ金額でより多くの口数を買うことができます。
つまり、暴落局面は将来のリターンを高める仕込みのチャンスにもなり得るのです。



例えばNISAの場合、基本的に「つみたて投資枠」がドルコスト平均法で運用されます。
実際、過去のデータでは積立投資を15年以上続ければ元本割れのリスクが極めて低くなるとの分析もあります。
途中で積立をやめたり現金化してしまっては、この長期効果を享受できませんし、新NISAの非課税メリットを最大化するためにも、市場が不安定なときほど積立を継続することが重要です。
【さらに】新NISAでの逆張り投資(安値買い増し)を検討
安く買って高く売るという投資の鉄則は、実は暴落時にこそ実践しやすくなります。
相場が下がったタイミングは、将来的なリバウンドを期待できる買い場になる可能性が高いからです。



なんとなく聞いたことがある人も多いと思いますが、株価が下落した次の日に反動で急回復するのはこういった状況などが関係しています。
新NISAをまだ利用していない方や、今年の非課税枠がまだ残っている方は、暴落中や暴落後の安値局面でインデックスファンドやETFをコツコツ買い増すことを検討してみましょう。
ただし、一度に無計画に大金を投下しすぎないように注意しましょう。
ドルコスト平均法的に、一定額ずつ複数回に分けて買い付けるのがリスクを抑えるカギです。
副業で別収入源を作り、リスク分散
もちろん、お勤めの企業や可処分時間に依るところはあると思いますが、投資の世界だけでなく、リスクを分散させるには「複数の収入源を持つ」ことも有効です。
「本業の給与の中から余剰資金で資産運用」だけだと、株価が下がって資産が目減りした時の精神的ダメージは大きくなりがちであることは確かです。
そこで、別の収入源があれば投資がうまくいかない局面でも冷静さを保ちやすくなります。



例えば「ブログを開設して広告収入を狙う」「SNSの活用方法を学び、アフィリエイトや情報発信で稼ぐ」「ポイントサイトに登録してコツコツ稼ぎ、副業の資金源とする」など、ネットを活用した副業から始めてみるのもいいでしょう。
そうした小さな収益を積み上げることで、自分の投資スタンスに余裕を持たせる人も一定数いらっしゃいます。
保険に加入されている方は、こちらも「資産形成型商品」を検討する


資産形成における選択肢は、株や投資信託だけではありません。
保険会社が提供している長期積立タイプの保険商品(終身保険や外貨建て積立保険など)も一つの方法です。
もちろん、利回りなどはNISAと異なる商品ではあるものの、保険商品であれば、万が一の死亡保障や介護保障を確保しつつ、お金を少しずつ蓄えていくことができます。


ただし、手数料(保険会社のコスト)がかかる場合があるため、しっかり内容を見極めることが重要です。
どんな保険が自分のライフプランに合っているか、あるいは保険よりも別の金融商品が良いのか、このままで良いのかまで含めて、一度ファイナンシャルプランナー(FP)など専門家に相談してみると安心です。
まとめ|株価の急落時にどんな対応を取るかで「本当に損しないか」が分かれる
\NISAをまだ始めていない人は、こちらもご参照ください!/


株価の急落は誰にとっても不安なものですが、短期的な値動きに振り回されず長期的な視点を持つことが何より大切です。
新NISAを活用して資産形成を目指すのであれば、目先の上下よりも5年後10年後のゴールを意識しましょう。
歴史を振り返れば、市場は幾度となく暴落を経験しながらも、そのたびに回復し成長してきましたし、今回の1100ドル急落という出来事も、長い投資人生から見れば一時的な通過点に過ぎません。



大切なお金を守り増やすため、焦りや恐怖に流されず、じっくりと腰を据えて投資を続けていきましょう。
それこそが、長期投資家にとって最大のリターンをもたらす対応策と言えるのです。


今回の暴落をきっかけに、「自分が思っていたよりもリスクに弱いかもしれない」と感じた方は、投資の心構えやスタイルを再点検するいいチャンスです。
今回の行動指針
- 自己流でなんとなく投資をしていたり、SNSやブログの情報を真に受けて行動していると、思わぬところで落とし穴があるかもしれません。
- 目標とリスク許容度に合ったポートフォリオを作ることで、今回のような暴落が起きても慌てずに対処できる「心のゆとり」を持つことができます。
- 場合によってはFPに相談し、NISAなど以外の家計の状況や将来のライフプラン(住宅取得、子どもの教育費、老後資金など)と照らし合わせながら、適切な資産運用プランを一緒に作り上げるのもおすすめです。



人生は長いので、焦らず、一喜一憂せずにご自身の状況に合わせた最適な選択と行動に寄与できたら嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!