生命保険は大きく分けて「掛け捨て型」と「積立型」があり、分かりずらいと感じる方も多数いらっしゃいます。
掛け捨て型は保険料が安く、解約返戻金がないかあってもごくわずか。積立型は掛け捨て型と比べて保険料が高く、解約返戻金は多くなる違いがあります。保険に入りっぱなしで、見直しを考えている人であれば、ライフステージが変わる今こそ自分に合った保険を知るべきタイミングではないでしょうか。
そこでこの記事では、今抑えておいてほしい生命保険の掛け捨て型と積立型の違いを解説します。
掛け捨て型と積立型がおすすめな人の特徴もわかり、保険を正しく見直せるでしょう。
掛け捨て型・積立型の大きな違い
掛け捨て型と積立型の主な違いは以下のとおりです。
掛け捨て型 | 積立型 | |
---|---|---|
保険期間 | 一定期間 | 一定期間もしくは一生涯 |
保険料 | 安い | 高い |
解約返戻金 | ないか、あってもごくわずか | あり |
満期保険金 | なし | あり(満期がある場合) |
同じ保険でも保険期間や保険料などに違いがあります。掛け捨て型と積立型の違いを理解し、自分に合う商品を見つけてみましょう。
保険が適応される期間
保険が適用される期間を「保険期間」といいます。具体的には死亡保障のある保険に加入し、保険期間内に死亡したら死亡保険金が受け取れるイメージです。
掛け捨て型の保険期間は「10年・20年」や「65歳まで」など、期間が定められています。期間が過ぎるとその後に死亡や病気になっても保険金を受け取れません。
一方積立型では「65歳まで」「子どもが18歳になるまで」などと期間が定められているものもあれば、終身(保障が一生涯続く)もあります。
なお死亡保険ではケースによって死亡保険金を受け取れないこともあります。
具体的には、「契約日から一定期間内に自殺した」「病歴や健康状態など虚偽の告知をした」場合などです。契約時に担当者に支払条件を説明してもらってから加入しましょう。
毎月の必要な保険料
掛け捨て型は解約返戻金がないか、あってもごくわずかで、満期保険金もないため、毎月の保険料を抑えることが可能です。
一方で積立型は保障と貯蓄の機能を併せ持つことから、保険料が高くなります。
具体的には死亡保障がある定期保険(掛け捨て型)と終身保険(積立型)を比較すると、保険金額が同じ場合、保険料は終身保険のほうが高額になります。
資産形成として活用できるか
掛け捨て型は死亡や病気、ケガなどの保障に特化した保険です
解約返戻金がないか、あってもごくわずかで、満期金がないため、資産形成には向いていません。
積立型は途中解約時に受け取れる解約返戻金や満期金があります。
解約返戻金は解約時期によって払込保険料の総額よりも少なくなるケースもありますが、掛け捨て型よりも貯蓄性があるといえるでしょう。
【目的から選ぶ】掛け捨て型/積立型のどちらがいい?
掛け捨て型と積立型を選ぶ際には「病気に備えたい」「老後資金を準備したい」など、目的を明確にすることが重要です。
次に目的別の生命保険の選び方を解説します。
「がん保険」などケガや病気に備えたい→『掛け捨て型』
病気やケガ、がんに備えたい時、一定期間の死亡に備えたい時には掛け捨て型がおすすめです。病気やケガには「医療保険」、がんには「がん保険」、死亡保障は「定期保険」や「収入保障保険」となります。
・医療保険
医療保険は病気やケガによる入院や手術、通院などに備える保険です。保険期間が一定期間のものもあれば、終身(一生涯続く)ものもあります。主流は掛け捨て型ですが、5年ごとに健康祝い金が受け取れるなど、貯蓄性がある商品もあります。
・がん保険
がん保険はがん治療に特化した保険です。一般的な医療保険でもがんの保障を受けられますが、がん保険のほうが入院給付金の支払い日数が無制限になるなど、保障が手厚くなります。がんによる入院や手術、通院以外にも放射線治療や抗がん剤治療、診断一時金などの保障があります。
・定期保険
定期保険は死亡した際に残された家族に死亡保険金が支払われるものです。「60歳まで」といった歳満了タイプと、「10年」などの年満了タイプがあります。
・収入保障保険
死亡保険金を年金形式で受け取りたい人には、収入保障保険がおすすめです。毎月(もしくは1年ごと)に給料のような形で受け取れ、受け取る金額や期間は自由に設定できます。保険料は契約時から少しずつ下がっていくのが一般的です。
「個人年金保険」「学資保険」など目的が明確→『積立型』
「老後の生活費を準備したい」「子どもの大学費用に備えたい」など、特定の目的がある場合には積立型を選びましょう。
老後の生活費には「個人年金保険」、子どもの学費には「学資保険」、保障に貯蓄をプラスしたい人は「終身保険」「養老保険」がおすすめです。
・個人年金保険
個人年金保険では「65歳から10年間」「70歳から一生涯」など、老後の生活費を準備できます。保険料はクレジットカードでも払えるため、強制的に貯められるのが魅力です。加えて生命保険料控除(所得税・住民税を軽減できる仕組み)を利用できることから、節税効果が期待できます。
・学資保険
学資保険は小学校や中学校、高校、大学といった教育費専用の保険です。契約時に決めたタイミングに一括もしくは数回にわけて学資金を受け取ります。基本的に親が契約者となり、万が一親が死亡した際にはそれ以降の保険料払込は免除されながらも、学資金は予定どおり受け取れます。
・終身保険
終身保険では死亡保障に加え、貯蓄が可能です。保険料払込は「10年」「60歳まで」などの短期払いから、一生涯払う終身払いもあります。短期払いの場合、保険料払込期間が過ぎると、解約返戻金が払込保険料の総額を上回るのが一般的です。
・養老保険
養老保険では満期までに生存していれば満期保険金を、死亡すれば死亡保険金を受け取れます。どちらか一方を受け取ると、保険は終了します。生存と死亡の両方に備えられることから貯蓄性は高くなりますが、終身保険と比べると保険料は高額です。
【特徴から選ぶ】掛け捨て型がおすすめな人
保険料を抑えたい人や貯蓄が少ない人、独身者、保険を定期的に見直したい人には、掛け捨て型が向いています。
自分に当てはまるか確認してみましょう。
掛け捨て型が向いているのは以下に該当する人です。
・保険料を抑えたい人
・独身の人、貯蓄が少ない人
・保険を定期的に見直したい人
保険料をなるべく抑えたい人
毎月の保険料の負担を抑え、できる限り節約したい人は掛け捨て型を選んでみましょう。理由は積立型よりも保険料が割安なためです。
例えば定期保険を選ぶ場合、同じ保険金額であっても保険会社によって人件費などが異なることから保険料は大きく変わります。
保険を選ぶ際には、複数の商品を比較検討することをおすすめします。
独身の人・貯蓄が少ない人
独身の人には掛け捨て型が適切です。独身の人は今後結婚や出産など、さまざまなライフイベントを迎えるかもしれません。そのためできる限り保険料を抑えることが大切です。
また貯蓄が少ない人も掛け捨て型であれば、少ない保険料で100万円・1,000万円単位の死亡保障を準備できます。病気やケガの保障も手頃な保険料で備えられます。
商品を選ぶ際には、自分が必要な保障額を計算してから契約しましょう。
生活環境が変わるごとに保険を見直したい人
掛け捨て型は結婚や出産、マイホームの購入、子どもの独立など、生活環境が変わるごとに保険を見直したい人にも向いています。掛け捨て型の保険期間は一定期間のものがほとんどで、「10年後の満了時に一旦見直す」といった機会を設けやすくなります。
しかし、更新時には保険料が上がる可能性があるため、他社も含めてしっかりと検討しましょう。
【特徴から選ぶ】積立型がおすすめな人
積立型がおすすめな人は、貯蓄と保障をまとめたい人や老後資金を準備したい人、保険の見直しがめんどうな人です。以下で自分には当てはまるかチェックしてみてください。
積立型が向いているのは下記に該当する人です。
・貯金と保障をまとめたい人
・老後資金を準備したい人
・保険の見直しが面倒な人
貯蓄と保障をまとめたい人
貯金をしつつ、死亡に備えたい人は積立型がいいでしょう。
積立型は解約すると解約返戻金を受け取れ、そのお金をマイホームや車の購入、進学費用などに活用できます。万が一保険期間中に自分が亡くなった際、家族は死亡保険金を受け取れるため、安心して生活できるでしょう。
ただし貯蓄と保障があると保険料は高くなるため、継続的に支払っていけるか家族と話し合うことをおすすめします。
生命保険の貯蔵については、下記記事で詳しく紹介しています。
老後の資金を貯蓄したいと考えている人
公的年金では足りないと考えている人や、老後にやりたいことがある人にも積立型は向いています。
少子高齢化などが原因で公的年金の受給額は減る可能性があります。また退職後に旅行をしたい人や習い事を始めたい人もいるでしょう。子どもや孫に結婚や住宅資金を渡したいと思うかもしれません。
老後資金を準備する際には、働いている間にどの程度貯めていけるか計算し、年金の受給額をねんきん定期便(毎年誕生月に日本年金機構から届くハガキ)で確認しましょう。
保険の見直しがめんどくさいと考えている人
積立型は保険を見直す手間を省きたい人にもぴったりです。
積立型は契約から満期まで保険料が変わらないことがほとんどで、掛け捨て型のように更新はありません。老後資金や教育費など目的別の保険が多いため、見直す必要が低くなります。
ただしニーズが変わり途中で解約すると、時期によっては解約返戻金が大幅に少なくなることもあるため注意しましょう。
最後に|ライフステージに応じて、使い分けて賢い運用がおすすめ
生命保険を乗り換える際には現在の保障内容と保険料、そして検討中の保障内容と保険料を比較することが大切です。
同じがん保険であっても、会社によって給付の条件は異なります。迷ったら複数の商品を比較検討してみましょう。
また掛け捨て型と積立型のどちらか一方にしか入れないわけではありません。掛け捨て型と積立型を使い分けて、豊かな生活を実現しましょう。