【2025年7月14日】の経済・時事ニュースまとめ

7月14日は、米国が発動を示唆する新たな30%関税の余波が世界市場に波及し、日本国内でも株価が下落するなど金融面の緊張が続いています。
国内では機械受注統計や参院選情勢が日銀の金融政策に影響を与えるとの見方が強まり、企業動向では日本航空(JAL)がインバウンド向け無料国内航空券を打ち出して話題となりました。
また、海外ではEUとインドネシアの自由貿易協定交渉が前進し、米国はウクライナへのPatriotミサイル追加供与を決定するなど、安全保障面でも動きが相次いでいます。

こうした国内外の主要トピックを、最新データとともにわかりやすく整理しました。
主要株価指数・為替レート(7月14日 午前10時時点)
指標 | 値 | 前日比 |
---|---|---|
日経平均株価 | 39,421.27円 | −148.41 (0.38%)円 |
NYダウ | 44,371.51ドル | −279.13 (0.63%)ドル |
S&P500 | 6,259.75ポイント | −20.71 (0.33%)ポイント |
ドル円 | 147.15円 | +0.89円 |
日経平均が軟調な理由
日経平均は輸出関連株に売りが広がっています。
背景には、米国が8月1日にEU・メキシコ製品へ30%の追加関税を課す方針を発表したことがあり、連鎖的に日本企業の対米輸出減少が意識されました。
為替市場ではドル高・円安が進行し、輸出採算面では追い風となるものの、関税リスクの不透明感が上回っている格好です。
NYダウ・S&P500下落の背景
前週末の米株は、関税ヘッドラインと決算シーズン入りを前に利益確定売りが優勢でした。
特にNYダウは▲279ドル安と3営業日ぶりの下落。S&P500も▲0.33%と小幅安ながら、ハイテク株中心のナスダックとともに週間ではマイナス圏で終了しました。
投資家は今週公表予定の米CPIや主要銀行決算を注視しています。
ドル円が147円台へ上昇
米長期金利が4.4%台で高止まりする一方、日銀は当面追加利上げを見送るとの観測が強まり、金利差拡大を意識したドル買い・円売りが優勢になりました。
もっとも、8月1日に発動予定の新関税が実体経済を冷やす懸念もあり、上値では輸出企業の為替ヘッジ売りも見られています。

資産運用で心掛けるべきこと(2025年7月14日現在)
短期的なボラティリティへの備え
米国がEUとメキシコからの輸入品に30%の追加関税を課す方針を示したため、世界の株式市場はリスクオフに傾きやすい状態です。
アジア株やNYダウ先物は小幅ながら下落しており、円相場も147円台で推移しています。
関税発動まで残り半月強しかなく、ヘッドラインで相場が振れやすいため、ポートフォリオの値動きを想定した上で「生活費6か月分程度の流動性資金」を別枠で確保しておくと急な下落局面でも慌てずに済みます。
現金比率の調整
短期資金は普通預金やMRF(マネーリザーブファンド)で確保し、中長期資金のみをリスク資産に振り向けることが基本です。
生活防衛資金を明確に分けることで、相場急落時に動揺しにくくなります。
ヘッジ手段の活用
FXでのドル買い/円売りや、輸出比率が高い企業(例:自動車、半導体)への投資は、円安による外貨建て収益の押し上げを取り込む一方で、為替ヘッジ付き外貨建て債券やゴールドETFを組み合わせることで価格変動を抑制できます。

長期分散投資の継続
日本銀行が追加利上げを参院選後に先送りするとの観測も出ていますが、インフレ率は依然として目標2%前後で推移しており、実質金利はほぼゼロです。
したがって「長期・積立・分散」を柱とするNISAやiDeCoの基本戦略は揺らぎません。
一時的な株価調整で毎月の積立額を止めると「安く買う機会」を逃すため、積立停止よりも「生活コストを精査して積立額を維持」する方が合理的です。
ドルコスト平均法の威力
毎月一定額で購入を続ければ、価格が低い局面では多く、高い局面では少なく買う効果が働き、平均取得単価が平準化されます。
慌てて一括売却すると、この効果が消えてしまいます。
為替リスク管理
ドル円が147円台という円安水準は過去20年でも円安寄りのゾーンです。
株式やREITを円建てで保有していても、企業の海外収益が為替差で押し上げられている面がある一方、今後円高に振れた場合は逆回転が起こります。
外貨建て資産の比率が高い場合は、為替予約や為替ヘッジ付きファンドで変動幅を抑制するか、円建て資産(国内インフラファンド、J–REITなど)を追加して通貨分散のバランスを取りましょう。

NISA・iDeCo活用のポイント
2024年開始の新NISAは年間360万円、つみたて枠と成長投資枠の併用が可能で、非課税保有限度額は1,800万円です。
iDeCoは加入年齢が事実上「65歳未満」に広がり、掛金全額が所得控除になるメリットが大きくなりました。
どちらも「長期運用前提」の制度設計なので、目先の関税ニュースだけで商品を入れ替えるより、
- 手数料が低いインデックスファンド中心
- 国内外株式と債券を組み合わせたバランス型
- 資金余力に応じた積立額調整
といった王道を徹底することが肝心です。


ロールオーバーと出口戦略
非課税期間終了時にはロールオーバー(翌年枠へ移管)を検討し、「保有期間を延ばせば複利効果が大きくなる」というNISA制度のメリットを最大化してください。
iDeCoは受取時の退職所得控除・公的年金等控除の仕組みを踏まえ「分割受取」で税負担を抑える策も有効です。

ポートフォリオの定期点検と情報アップデート
政治イベント(参院選)や通商政策(関税)など「政策発」をトリガーに相場が急変しやすい局面では、
- 市況を週一回程度まとめてチェック
- 年1、2回はリバランスを行う
- 決算シーズンや政策金利発表前後で企業・資産クラスごとの期待リターンを再確認する
といった手順が重要です。
運用方針を紙やアプリで可視化し、判断基準を事前に定めておくと感情的な売買を防げます。
情報源の選別
一次情報として決算短信や政府統計を確認し、二次情報として大手通信社の速報や金融機関のレポートを参照することで、誤情報リスクを下げることができます。
SNSは速さが魅力ですが、裏付けを取ったうえで活用しましょう。
【免責事項】
本記事は、一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の取得・売却を勧誘または推奨するものではありません。投資に関する最終的な意思決定は、ご自身の判断と責任で行ってください。投資に伴う損失について、当方は一切の責任を負いかねます。必要に応じて金融商品取引業者等の有資格専門家へご相談ください。
国内ニュース
5月の機械受注、前月比-0.6%も予想上振れ
内閣府が発表した5月の「船舶・電力を除く民需」機械受注は前月比-0.6%でした。
市場予想の-1.5%を上回り、4月の-9.1%からは持ち直し傾向です。
ただし輸出関連設備の発注は減少しており、今後の設備投資は米関税の影響を織り込む形で鈍化する可能性があります。
参院選情勢で日銀の追加利上げ先送り観測
今週末の参院選で与党が過半数を割り込むとの世論調査が報じられ、野党が主張する減税・財政拡大路線が勢いを増しています。
政策運営の不透明感から、日銀は「いったん休止局面」と述べた高田審議委員の発言どおり、追加利上げを来年3月以降に先送りするとの見方が市場で優勢になりました。
JALが訪日客向け無料国内線を開始、地方活性化へ
日本航空は、国際線と同一予約で国内線片道を無料にするキャンペーンを発表しました。
羽田・成田着の訪日客が対象で、北海道や沖縄など約60路線を選択できます。
東京一極集中によるオーバーツーリズム是正と地方消費拡大が狙いです。旅行需要の分散に加え、地方空港の活性化効果も期待されています。
天皇皇后両陛下、モンゴル国公式訪問から帰国
8日間の日程でモンゴルを訪れていた天皇皇后両陛下が帰国されました。
両国の友好70周年行事に出席し、環境保全や医療交流の現場を視察。政府関係者は「環境技術・医療機器の輸出拡大に弾み」と評価しています。
Fujitsu、AIによるサプライチェーン最適化でWEFから表彰
富士通は独自AIエージェントを用いたサプライチェーン最適化ソリューションが世界経済フォーラム(WEF)のAIガバナンス連盟「MINDS」における18の先進事例の1つに選定されたと発表しました。
川崎本社によれば、在庫削減効果は最大30%、CO2排出量も平均12%削減できる見込みです。
政府が推進するGX(グリーントランスフォーメーション)と歩調を合わせ、国内製造業の競争力強化にもつながると期待されています。
JAFCO、社会インパクト領域へ1,000億円ファンド新設
国内最大級のベンチャーキャピタルJAFCOは、AI・宇宙・核融合など社会課題解決型スタートアップに重点投資する1,000億円規模の新ファンドを立ち上げると公表しました。
成立すれば同社初のインパクト投資専用ビークルで、投資先企業の非財務KPIも開示する方針です。
大企業によるCVC参加も視野に入れており、スタートアップ・エコシステムの拡大が見込まれます。
全国学力テスト、国語・数学の正答率が過去最低水準
文部科学省が公表した2025年度全国学力テストでは、小学6年と中学3年の国語・数学正答率がいずれも前年から4~5ポイント低下しました。
特に文章表現と応用計算での苦戦が目立ち、専門家は「読解量の減少と基礎計算力の二極化」が背景と分析しています。
政府は生成AIを活用した個別最適化学習の拡充を検討中です。
海外ニュース
EUとインドネシア、FTA交渉が政治合意フェーズへ
EUのフォンデアライエン委員長とインドネシア大統領は、長年停滞していた自由貿易協定(CEPA)交渉を前進させる政治合意に達しました。
パーム油関税・原鉱石輸出規制で対立してきましたが、双方が段階的譲歩で一致。
域内バッテリー素材の調達多様化とASEAN市場の関税削減が期待されます。
米国、ウクライナへPatriotミサイル追加供与を決定
トランプ米大統領はウクライナ軍への防空網強化のため、Patriotミサイルシステムを追加供与すると表明しました。
今後数週間でドイツ経由の再配備を実施するとみられ、対ロシア抑止の強化が目的です。
議会は防衛支出拡大を巡り賛否が割れるものの、即応予備費の流用で早期実施が可能とされています。
世界株、米30%関税方針で軟調 リスク回避の円買いは限定的
トランプ政権がEU・メキシコに30%追加関税を課す計画を示したことで、アジア株は総じて下落しました。
MSCIアジア指数は小幅安、日経平均は▲0.5%。もっとも、市場は「交渉カード」との見方が強く、下げ幅は限定的でした。
シンガポールGDP、4.3%成長と予想上振れ
シンガポール貿易産業省の速報値によると、2025年Q2実質GDPは前年同期比+4.3%となり、電子輸出や観光回復が寄与しました。
ASEAN域内で最も高い伸びを示し、域内消費と半導体需要の底堅さが確認されました。
NATO新事務総長ルッテ氏、来週ワシントンでトランプ大統領と会談
NATOのマーク・ルッテ事務総長は7月14~15日に訪米し、トランプ米大統領と会談する予定です。
焦点は加盟国の防衛費負担増と対ロシア抑止策の再調整で、日本の安保政策にも影響が及ぶ可能性があります。
豪州、過剰鋼材問題で中国と協調へ
オーストラリアのアルバニージー首相は中豪ビジネスフォーラムで「脱炭素と並行して世界的な過剰鋼材能力に協力して対処する」と表明しました。
対中関係改善の一方で、公正貿易ルール作りを共同で進める姿勢が注目されています。
ダライ・ラマ後継問題が中印関係の火種に
中国大使館は「ダライ・ラマ14世の後継は中国政府が承認する」と強調し、インド側の独自承認の動きを牽制しました。
チベット仏教の宗教指導者選定を巡る対立が国境紛争の緊張に拍車をかける恐れがあります。
私たちの生活に起こること
米国関税の影響が長引く場合、輸入食料品や家電価格の上昇が懸念されます。
今できる備えとして、
- 家計簿アプリで日常支出を可視化し、値上げに備えた予算調整を行う
- 外貨建て保険や投信など円安耐性のある資産を一部組み入れ、為替変動リスクを分散する
- 無料航空券など旅行関連の割引キャンペーンを活用し、需要期を避けたオフピーク旅行でコストを抑える
- 政策金利上昇が遅れる局面でも、住宅ローンは固定と変動のミックス型を検討し、返済額の急変に備える。


長期分散投資(NISA/iDeCo)は、短期値動きに振り回されず、積立額とポートフォリオを定期点検するだけで十分です。