【2026年10月版】実質値上がり商品と、なぜインフレが起きているのかを易しく解説
2026年10月の飲食料品の値上げは3,153品目です。9月に続いて3,000品目を超え、年内で2番目に多い月となっています。
2026年1〜12月の値上げ予定を含む判明分は、9月30日時点で20,187品目に達し、前年の20,609品目に迫る水準となっています。
10月は酒類・飲料1,399品目、調味料820品目が値上げされ、キリンビバレッジ、ダイドードリンコ、明治の飲料などに値上げが見られました。
加工食品では缶詰や冷凍・チルド食品などが対象です。
2026年の値上げ判明分を要因別に見ると、原材料高が91.3%、エネルギー関連が63.8%、中東情勢関連が27.8%※です。
※複数の要因を含む集計であり、10月単月の割合ではありません。
また、値上げ1回あたりの平均値上げ率は10月単月で10%に上っており、値上げされる品目数だけでなく、個々の商品がいくら値上がりしたかという上昇幅にも注意が必要です。
ねくこ具体的にどの商品が値上がりしたか、家計全体への影響もふまえて確認しましょう。




【2026年10月】値上がりする具体的な商品・サービス一覧
2026年10月に価格改定が実施される主な商品・サービスには、ペットボトル・缶飲料やチルドの抹茶ラテなどがあります。
10月は酒類・飲料の改定が多く、調味料や加工食品にも値上げが広がる月です。
ねくこ旧価格・新価格が公表されている商品は税抜価格を記載し、価格が一律でない商品はメーカーが公表した改定率を記載しています。
| 品目(商品・サービス名) | 改定率・負担への影響 | 実施時期 |
|---|---|---|
| キリンビバレッジ「ペットボトル・缶・ボトル缶・パウチの一部商品」 | 税抜希望小売価格+5〜18% | 10/1納品分〜 |
| ダイドードリンコ「缶・ボトル缶・ペットボトル商品(一部を除く)」 | 税抜希望小売価格+10〜15% 自販機推奨価格は変更なし | 10/1納品分〜 |
| 明治「辻利お濃い抹茶ラテ・辻利抹茶ラテ・辻利ほうじ茶ラテ」3品 | 出荷価格 約+16〜21% 同時発表のチョコレート・スナック11品は11/1出荷分から | 10/1出荷分〜 |
| 電気・都市ガス料金支援(9月使用分) | 低圧電気 -3.5円/kWh 高圧電気 -1.8円/kWh/都市ガス -14.0円/㎥ | 10月検針分 対象は9月使用分 |
※メーカーの希望小売価格・出荷価格の改定率であり、店頭の販売価格が一律に同じ割合で上がるわけではありません。
ねくこ10月は、日常的に買う飲料でも値上げが続きます。
出荷日・納品日と店頭で価格が変わる日は一致するとは限らないので、購入時の価格を確認しましょう。
「インフレ」の定義と日本に関連する状況を概要解説
そもそも、私たちの生活を直撃している一連の止まらない「値上げラッシュ」の背景には、インフレ(インフレーション)が存在します。
まずはインフレと日本に関連する状況を解説します。
インフレとは貨幣の価値が下がる現象のこと
「インフレ」(インフレーション)とは、物価が継続的に上昇し、貨幣の価値が下がる現象を指します。
ねくこここでは、なぜインフレーション(インフレ)が発生しているのか、私たちの生活を取り巻く主要因について紹介します。
インフレの種類と日本の現状
インフレには大きく分けて、
- 需要超過による「需要インフレ」
- 原材料費や人件費などコスト上昇による「コストプッシュ・インフレ」
の2種類があります。
インフレ自体は単独では良いものとも悪いものとも言えませんが、現在の日本の物価上昇は、需要の強さだけでなく、コスト上昇による要因が大きい点が特徴です。
つまり、原料の輸入価格や物流費、包装資材費などが上昇し、企業がモノを製造・販売する際の生産コストが上がり、その負担増を価格に反映することで生じるインフレです。
原材料費や人件費の高騰、製造国の物価上昇、円安による輸入コスト増が要因として大きく、日本国内の旺盛な需要といったポジティブな裏付けだけが中心ではない点が特徴です。
ねくこ消費者の収入が上がり、収入が上がることで物価も上がるという成長を意識させるインフレだけではないからこそ、「値上げが苦しい」と多くの方が感じる実情につながっています。
日本では物価上昇と実質賃金のバランスが重要になっている

日本銀行は、2026年9月18日の金融政策決定会合で、無担保コールレート翌日物の誘導目標を1.25%程度へ引き上げる方針を決定し、9月24日から適用しています。
10月1日時点で公表済みの全国の消費者物価指数は2026年8月分です。総合が前年同月比1.9%上昇、生鮮食品を除く総合が1.7%上昇、生鮮食品とエネルギーを除く総合が1.9%上昇しました。
物価上昇率は一時期より鈍化していますが、食品やサービス、人件費などの上昇が止まったわけではありません。
家計への影響を見るときは、物価全体の平均だけでなく、食料・光熱費・住居費など実際に支払う品目の動きも重要です。
金利の引き上げには物価上昇を抑える方向の作用がある一方、住宅ローンなどの借入金利や企業の資金調達費を押し上げる面があります。
物価・賃金・景気・家計負担のバランスを見ながら政策判断する局面です。
ねくこ2026年7月確報では、名目賃金にあたる現金給与総額が前年同月比4.3%増、持家の帰属家賃を除く消費者物価指数で実質化した実質賃金が2.0%増となりました。
実質賃金がプラスでも、食品や住居費など自分が多く支払う品目の値上がりが平均を上回れば、生活が楽になったとは感じにくくなります。
※ 消費者物価指数の総合で実質化した2026年7月の実質賃金は2.1%増です。実質賃金は使用する物価指数や賞与の支給状況によって数値が変わるため、単月だけでなく数か月の推移を見ることが重要です。
インフレは本来「実質賃金の伸び」とセットが望ましい
一方でコスト増に起因する物価高は、家計に負担を強いる構造的な問題となっています。
とくに海外輸入に依存している日本では、モノやサービスの物価上昇率が日本に居住する消費者の購入力に直結する国内賃金の伸びを上回る局面があり、実質的な購買力が低下しやすい状況が指摘されています。
ねくこ以下では、なぜ近年、日本でこのような物価高騰(インフレ)が続いているのか、その背景要因を具体的に解説します。
【値上げラッシュ】日本のインフレを起こしている主原因を紹介
そして今、日本で起こっているインフレの主な原因となっている事象を紹介します。
原材料高騰・エネルギー価格上昇の影響
まず大きな要因として、原材料価格の高騰とエネルギー価格の上昇があります。
供給網の混乱は原材料・物流コストに波及する
世界的には2020年頃から新型コロナの流行によって供給の制約や需要の変化が起こり、農場や工場の労働者不足による供給不足や国内優先に回すことで輸出規制が発生したことで、食料や資源の国際価格が上昇基調に入りました。
ロシアのウクライナ侵攻が大きく影響
さらに拍車をかけたのが2022年以降のロシアによるウクライナ侵攻による影響です。
ウクライナとロシアは共にエネルギー資源や穀物の主要供給国であり、両国の紛争は世界的な原油・天然ガス価格の高騰や小麦・トウモロコシなど穀物価格の上昇を招きました。
ロシアから輸入しており価格影響度が高いもの
- LNG・石炭・原油
サハリン2などロシア産LNGは日本にとって重要な調達先。ウクライナ侵攻後、欧米がロシア産エネルギーを制裁対象にしたことで国際市場が逼迫し、日本の電気・ガス料金にも影響。 - パラジウム・ニッケルなど
制裁や物流混乱で調達が難しくなり、自動車・電子部品の原材料価格が国際的に高騰。
ウクライナから輸入しており価格影響度が高いもの
- トウモロコシ・小麦
黒海ルートが戦争で不安定化し、輸送が滞ることで国際相場が急騰。日本は直接の輸入比率は北米や豪州より小さいものの、世界価格の上昇が日本の飼料価格や小麦価格に転嫁されました。結果、パン・麺類、畜産物(肉・乳製品・卵)の価格上昇に波及しています。
ねくこちなみに、日本など西側諸国はロシアへ経済制裁を行っているものの、ロシアからの水産物(カニ、サケ、イクラなど)は制裁対象外となっており輸入を継続しているため、価格への直接影響はエネルギーなどに比べれば限定的です。
一方、直接輸入していなくても、世界の供給バランスが崩れると、まわりまわって日本での価格にも影響します。
円安と日本の輸入依存体質

日本国内の物価高には、円安(円の対ドル価値下落)も大きく影響しています。
一昔前の「アベノミクス」は円安の土台を作った面がありますが、主な政策としては、
金融緩和の長期化
2013年以降、日銀は黒田総裁のもとで大規模な金融緩和(異次元緩和)を実施。
国債やETFを大量に買い入れ、金利をほぼゼロ以下に固定。
その結果、「日本は低金利を長期で続ける国」という市場の前提が定着しました。
円安を政策的に容認
アベノミクス初期の狙いは「円安で輸出企業を支援し、デフレを脱却する」こと。
2012年末ごろ1ドル=80円台だった円相場は、数年で120円近くまで下落(円安方向に)。
円安になったことで日本企業の商品にお買い得感が生まれ、日経平均株価も上昇したことで「円安=悪ではなく経済刺激策」として受け入れられました。
財政・構造改革との関係
上記の金融緩和に依存しすぎ、構造改革や財政健全化が十分に進まなかった面もあります。
そのため「成長力の弱さ+巨額の国債発行=金利を上げにくい国」という構図が固定化した面があります。
といった状況を呼び込んでいます。
ねくこ実際、アベノミクスは功罪両面あると考えられます。
しかし、円安が長期化したことで円の価値が落ち、企業の輸出には追い風になった一方、原料を含めた輸入品を買う消費者にとっては物価高騰の要因になった点は否めません。
円安の輸入品高騰の考え方
先述の通り、日本は食料やエネルギーをはじめ多くの必需品を海外から輸入していますが、為替相場で円安が進行すると、輸入品の調達に必要な支払い額(円建て)が増加するため、その分が国内価格に上乗せされてしまいます。
日米の金利差も円相場に影響する
円安が進んだ背景には、日米の金利差があります。
インフレ抑制のために米国が金融引き締めを行う一方、日本銀行は長く低金利政策を維持してきました。
金利差が開くと投資マネーは利回りの高いドルに流れ、相対的に円が売られるため円安ドル高が進行します。
この構図により、2022〜2024年にかけて1ドル=150円前後の歴史的な円安水準が生じました。その後、日本も利上げ局面に入り、2026年9月18日の会合で誘導目標を1.25%程度へ引き上げ、9月24日から適用しています。ただし、為替は金利差だけでなく景気や市場の見通しなどにも左右されるため、日本の利上げだけで円安が解消するとは限りません。
ねくこただし、日本の物価高は賃金上昇だけで説明できるインフレではなく、原材料費や輸入コストの上昇を伴うため、それを抑制するために安易に利上げを行うことが難しい面もあります。
経済政策の結果として生まれた構造や、紛争・中東情勢といったコントロールしにくい要因が重なり、望まない物価高につながっています。
自給率の低い燃料と小麦が特に影響大

円安により輸入コストが増大した典型例が燃料と小麦です。
原油や穀物はドル建て取引のため、円安だと同じ数量でも支払う円額が増え、そのまま国内のガソリン価格や小麦製品価格の上昇要因となりました。
ねくこ実際にガソリン価格は円安が是正されない限り高値圏が続きやすく、政府は補助金で小売価格抑制に動いているものの、根本解決には至っていません。
日本は「燃料」「小麦」自給率の劇的な改善は難しい
- 短期的には:原発再稼働・省エネ・燃料調達先の多角化などでリスク緩和は可能ですが、即効性は限定的です。為替も日銀と米国の金利差に左右され、政治で完全に制御できるものではありません。
- 中長期的には
- 再エネ拡大や原発活用 → エネルギー自給率を引き上げ可能。
- 食料については、農地や労働力制約から 劇的な自給率改善は難しい。ただし「飼料の国産化」「国産小麦の拡大」など一定の余地はあります。
- 為替リスクに強い経済構造(海外投資収益の活用や輸出競争力強化)を作る方向が現実的です。
ねくこそのため、できることをやりつつ円の価値を一定程度は維持することが、私たち消費者の購入価格の安定化にはつながります。
こういった要因に対しても日本企業の多くは長年にわたり「価格据え置き」で企業努力によるコスト吸収を図る傾向が強く、消費者物価の伸びは抑えられてきました。
しかし近年の原料高・円安によるコスト増は企業努力の限界を超えており、企業が価格転嫁(値上げ)に踏み切るケースが急増した結果、2022年頃からは主要メーカーが相次いで希望小売価格の引き上げを表明して今日に至ります。
ねくこ企業側も原材料費・物流費の高騰分を価格に反映せざるを得ず、結果として消費者がその負担を負う構図です。
人手不足による人件費の高騰も値上げ要因
また、日本経済全体では少子高齢化による労働生産年齢層、中でも特に若年層の人手不足が深刻化しており、企業は人件費の上昇にも直面しています。
高齢化や労働力人口の減少に伴い、特に物流・外食・サービス業を中心に人件費(賃金)が上がっており、そのコストも商品・サービス価格に転嫁される一因となっています。
例えばトラック運賃や工場の人件費上昇や法規制などは食品の物流コスト増となり、商品の値上げ要因となっています。
ねくこ賃金上昇自体は本来歓迎されるべきものの、現在の日本では物価上昇に見合うほど実質賃金が安定して伸びているとは言い切れない状況です。
そのため、企業は利幅確保のためにやむなく価格へ上乗せする動きも出ています。
手取りが増えない原因には税や社会保険料も
さらに、日本の保険制度の維持のために、割合が多くなっている高齢者を中心とする医療費や年金を支えるための社会保険料も年々上昇しています。
そして「見かけの賃金は上がっても手取りが増えない」というのはつまり、額面年収が上がっても手取りは思うように上がらず、さらに生活必需品の価格が上がっていることに起因します。
このように、
- 企業のコスト増(原材料・エネルギー・人件費)→価格転嫁
- 賃金が上がっても税や社会保険料で手取りが増えにくい
という流れが複合的に作用し、インフレと“価格高騰による苦しさ”が持続している状況です。
まとめ|物価高の構造的原因と今後も続く可能性
以上の観点から、日本の物価上昇が収まりにくい背景には構造的な要因があることが分かります。
主な要因を整理すると、
- 原材料・エネルギーの海外価格高騰
- 中東情勢に伴う原油・ナフサ高と包装資材コストの上昇
- 長期的な円安による輸入コスト増大
- 輸入依存が高い日本の経済構造
- 企業のコスト増・賃上げによる価格転嫁
といった複合要因が重なっています。
さらに、額面の賃金が上がっても、上記のような物価高と少子高齢化による社会保障負担などが増大している状況から、私たちの生活に直撃している実情です。
ねくこインフレ自体は単独では良いことでも悪いことでもありません。
問題は「インフレが起こっても賃金からの手取りが十分に増えず、モノの価格だけが先に上昇し、買いにくい生活の苦しさを感じる」という点です。
総じて、現在の物価高騰は「国際的な原料高」と「円安」という日本経済の弱点を突いた構造的インフレです。
私たちがこの問題に対し、変えられる部分に対して根本的に可能な限りの解決に向かおうとするか、それとも、なんとなく受け流して終わらせるか。
一人一人が現状や原因を正しく把握して、私たち自身の行動や政治・経済に対する評価を下すことが求められます。
出典・参考
本記事の内容は、以下の公表資料を参考にしています。
- 帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査―2026年10月」
- キリンビバレッジ「一部商品の価格改定について」
- ダイドードリンコ「一部商品の価格改定に関するお知らせ」
- 明治「価格改定のお知らせ」
- 改定時期はメーカー公表の出荷・納品基準です。明治のチョコレート・スナックは11月対象のため、10月の商品欄には含めていません。
- 資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」
- 経済産業省「電気・ガス料金支援について」
- 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」
- 総務省統計局「消費者物価指数 全国」
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年7月分結果確報」