【どっち?】iDeCo VS NISAの違いや、どんな人がやるべきか日本一詳しく解説

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iDeCoがおすすめな人
NISAがおすすめな人
  • 老後資産を計画的に用意したい人
  • 手元資金に余裕がある人
  • 高所得で高い税率が適用されている人
  • リスクを取って運用することに抵抗を感じる人
  • 退職金や年金の少ない人
  • ライフイベントに向けて資金形成したい人
  • 少額から投資をスタートしたい人
  • 豊富な選択肢の中から自分のリスク許容度に合わせて運用したいと考えている人

iDeCoNISAは、いずれも税制優遇を受けながら資産形成できる制度。

資産形成期にある方は積極的に活用すべき制度ですが、両者は目的や趣旨が異なります。

iDeCoは「年金」なので、老後の資産形成をしたい方に向いています。一方で、NISAは「非課税投資制度」で、柔軟に運用資金を引き出しながらライフイベントに向けた資産形成をしたい方におすすめです。

その他にも、iDeCoとNISAには制度上の違いがあり、あなたがどんな立場や価値観かで、どちらをやれば良いかが異なります。

柴田 充輝

今回は、FP資格保持者の著者が両者に共通する点と大きく異なる点を整理し、資産形成の目的別にどちらが向いているかを見極めるヒントをお伝えします。

スクロールできます
iDeCoNISA(つみたて投資枠)NISA(成長投資枠)
加入年齢20歳以上65歳未満18歳以上
最低掛金月額5,000円100円~(金融機関により異なる)
投資上限額月額1.2万円~6.8万円
(職業や年金制度の有無によって異なる)
120万円240万円
運用商品定期預金/保険(元本確保型)
投資信託(元本変動型)
金融庁が認めた投資信託投資信託/ETF/個別株式など
税制面の優遇掛金が全額所得控除
運用益が非課税
受け取り時も控除適用
運用益が非課税
資金の引き出し原則60歳以降いつでも可能
目次

iDeCoとNISAの違いは、資産形成の目的

まず、iDeCoとNISAの基本的な共通点と相違点を解説します。

共通点

  • どちらも「投資の税負担を軽くする」制度で、資産形成を加速しやすい
  • 長期で運用するほど「非課税メリット」「複利効果」が大きくなる

iDeCoNISAは、投資で発生する利益(配当・売却益など)に対して税制上の優遇があるため、「普通に投資をする場合」と比べて最終的に手元に残る利益が増えやすい点が大きな魅力です。

とりわけ、長期投資をするほど複利効果を享受しやすく、将来にわたって安定的に資産を増やせる可能性が高まります。

最大の相違点

iDeCo:老後資金を目的とした“年金”制度

→ 特徴:60歳まで引き出し不可、掛金が全額所得控除

NISA:投資の運用益が非課税

→ 特徴:いつでも解約し現金化可能、拠出金自体は所得控除対象外

iDeCoは老後資金を確実に準備する“年金制度”という性質が強く、税制優遇も掛金拠出運用益に加え受け取り時にも及ぶほど手厚い反面、60歳まで資金を引き出せないという縛りがあります。

一方、NISAは「非課税枠」の中で自由に投資でき、いつでも資金化(売却)できる柔軟性が魅力です。

ただし、拠出金自体は所得控除の対象にならないため、現役時代の税負担を直接的に下げる効果はありません。

柴田 充輝

つまり、iDeCoは「60歳以降に向けて確実に備えたい老後資金」を優先する人に向き、NISAは「ある程度の自由度を持って中長期で資産を増やしたい」人に向いていると言えます。

もちろん、両制度を上手に併用することで、老後資金とライフイベント資金を同時に準備する戦略も考えられるでしょう。

Tips: まずは「自分がいつ・どのくらいお金を使いたいのか」を考えると、iDeCo向きかNISA向きかイメージしやすくなります。
たとえば、5年以内の教育資金や旅行費用、マイホームの頭金として使いたいお金ならNISAの柔軟性が役立つでしょう。
一方、老後資金や退職後に使うお金は、60歳まで引き出せないiDeCoであえて“ロック”しておくことで、確実に将来のために積み立てられます。

iDeCoとNISAの資産形成の目的はこう考えるべき

上述もふまえ、iDeCoとNISAの資産形成上の目的をまとめました。

柴田 充輝

まずは、どちらがあなたの価値観に近いかによって、どちらを始めるべきかを検討してください。

iDeCoは「老後資金」を用意する制度

  • 正式名称:個人型確定拠出年金
  • 資金ロックの長さ
    • 原則60歳まで引き出せず、老後用に積み立てる仕組み
    • 逆に言えば、資金が崩れにくく長期運用がしやすい
  • 大きな節税メリット
    • 掛金全額が所得控除 → 所得税・住民税が減額
    • 税率が高い方ほど恩恵が大きい
  • 誰が加入できる?
    • 国民年金に加入している20〜60歳未満の人(職業・立場によって拠出上限あり)
  • 注意点
    • 解約・引き出しが原則不可 → 突発的な出費には対応不可
    • 投資商品によってはリスクも伴う

iDeCoは「公的年金の上乗せ」を目的とした制度であるため、何よりも老後の生活を安心させるために設計されています。

掛金が全額所得控除となり、運用益も非課税で受け取れるなど、非常に手厚い税制優遇がある一方、60歳に達するまで資金を引き出せないため「長期的に投資を継続する意思」が求められます。

逆に言えば、強制的に“手をつけられない”仕組みは、計画的に老後資金を貯めたい方にとって非常に有効です。

老後資金を確実に貯めたい人、節税効果を狙いたい人におすすめ。

NISAは「投資の運用益非課税」を狙う制度

  • 正式名称:少額投資非課税制度
  • 柔軟な引き出し
    • いつでも売却・現金化OK → 教育費・マイホーム頭金などライフイベント向け
  • 非課税枠
    • 投資枠・非課税期間は年度によって変動(2024年以降は新NISAが導入予定)
    • つみたてNISAなら長期投資に最適化された投信が中心
  • 投資初心者にもやさしい
    • 100円〜1,000円など、少額からスタート可能
    • 一部証券会社ではスマホアプリで簡単に申し込み・運用
  • 注意点
    • 投資額は所得控除対象外 → 節税メリットは「運用益非課税」に限定
    • 投資リスク(元本割れ)を理解しておく必要あり

NISAは「投資による運用益を非課税で享受する」ことが最大の特徴です。

拠出金自体は所得控除の対象になりませんが、自由に引き出せるため、マイホームの頭金子どもの教育費急な出費にも対応しやすいのがメリットです。

また、つみたてNISAならごく少額からコツコツ投資できるため、投資デビューにも適しています。

中長期的な資金づくりや、柔軟な資金引き出しを考える人におすすめ。

iDeCoは掛金5,000円でも、運用40年で将来の運用資産が450万円以上に

運用期間元本運用益合計
10年60万円10万円70万円
20年120万円44万円164万円
30年180万円111万円291万円
40年240万円223万円463万円

上記シミュレーションの条件

  • 拠出額の最低ライン:月5,000円
  • 長期投資の強み
    • 25歳から65歳までの40年間、3%の利回りで運用 → 463万円程度の老後資金を用意可能
    • 掛金が少ない場合でも、時間を味方につける“複利効果”が期待大
  • 具体例(3%利回り想定)
  • 追加掛金の効果
    • 拠出可能な上限まで増額すれば、さらに運用益が拡大
    • 年に1度、掛金を変更できる制度を活用し、家計状況に合わせて調整

このように、毎月5,000円でも長期で積み立てることで、最終的には数百万円単位の老後資金を作ることが可能です。

さらに、掛金を多く拠出できるほど「元本+運用益」両面が増えるため、家計に余裕がある方は上限いっぱいまでの拠出を検討するのも手です。

柴田 充輝

若いうちから始めれば「少額×長期の複利効果」をフルに享受できるので、早めのスタートが鍵となります。

少額でも「若い内から+長期で続ける」ほど、雪だるま式に資産が増えやすいのがiDeCoの醍醐味です。

iDeCoの場合、年収400万円・掛金5,000円で節税額は年間9,000円

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掛金/年収月額5,000円月額1万円月額1.5万円月額2万円
400万円9,000円1.8万円2.7万円3.6万円
500万円1.2万円2.4万円3.6万円4.8万円
600万円1.2万円2.4万円3.6万円4.8万円
700万円1.8万円3.6万円5.4万円7.2万円
800万円1.8万円3.6万円5.4万円7.2万円
900万円1.8万円3.6万円5.4万円7.2万円
1,000万円1.8万円3.6万円5.4万円7.2万円

上記シミュレーションの条件

  • iDeCoの節税効果の計算式
    (所得税率+住民税率)×年間拠出額
  • 節税例
    • 年収400万円で、掛金月5,000円(年間6万円)を拠出 → 約9,000円/年の税軽減
    • 10年で9万円、40年なら36万円もの節税に
  • 所得税率が高い人ほどメリット拡大
    • 年収700万円〜1,000万円クラスだと、同じ拠出額でも節税額がさらにアップ

このように、拠出する掛金が多いほど、iDeCoによる節税額は格段に大きくなります。

特に年収が高いほど「課税所得の圧縮効果」が大きく、高所得者の場合は1年で数万円単位の節税が可能です。

柴田 充輝

長い目で見ると、“節税+運用益”のダブルメリットが家計を大きくサポートしてくれるでしょう。

掛金は上限内で年1回変更可能。家計に余裕があるほど、節税&老後資産のダブルメリットを享受しやすい。

もし、iDeCoとNISAを併用する場合は・・・

もし、iDeCoとNISAを併用する場合は、

  • 老後資金はiDeCoでしっかり積み立て
  • 中長期の資金(5〜10年後のライフイベントなど)はNISAで運用益非課税
  • 家計状況や投資知識に応じて、両制度をバランスよく使い分ける

といったものを見据え、運用していくと良いでしょう。

そのためにも、まずは、

  • ライフプランをざっくり考える(何年後にいくら必要?)
  • iDeCoの掛金上限をチェック(職業・勤務形態で違う)
  • NISAで投資したい商品(投信・株など)を確認
  • シミュレーションツールや公式サイトで最新情報を入手

といった行動を心掛けると良いですよ。

柴田 充輝

どちらも早く始めるほど複利効果が大きくなる制度なので、「迷う時間がもったいない」というのも事実です。

少額からでも良いのでスタートしてみると、節税恩恵や運用成果を実感しやすく、ライフプラン全体を前向きに考えられるようになるでしょう。

また、「これを機に、ライフプランをまるっと相談したい」という方は、ぜひ上記記事も参考にしてみてください。

基本的なライフプランの立て方から、ソニー生命のプロによる無料相談まで紹介しています。

iDeCoは自営業者や高所得者にもおすすめ

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、国民年金に加入している65歳未満の方であれば、基本的に誰でも利用できる制度です。

老後の生活費を確保するうえで大きな助けとなる「税制優遇」や「長期積立」のメリットが得られるため、老後に対する経済的不安を抱えている人にとっては特に魅力的といえます。

  • 厚生年金に加入していない自営業者
  • 退職金がない会社員
  • 税負担が重い高所得者

なかでも、iDeCoを積極的に活用する価値が高いと考えられる3つの条件・状況は上記のとおり。

上記に当てはまる方は、iDeCoで老後資金を形成するメリットがより大きいため、ぜひ加入を検討してみてください。

厚生年金に加入していない自営業者

  • 公的年金は国民年金(1階部分)のみ
    • 満額受給できても年額約78万円程度と少なく、老後の生活費をまかなうには不安が大きい
  • iDeCoで老後資金を自力で確保
    • 毎月の掛金が全額所得控除になるため、現役時代の節税と老後資金形成を同時に実現
    • 会社員に比べて退職金や厚生年金がない分、iDeCoをフルに活用して将来に備える必要性が高い

自営業者は厚生年金に加入できず、公的年金としては国民年金のみとなります。

しかし、国民年金だけで老後生活を十分にまかなうのは難しく、日々の生活費や医療費、場合によっては施設入所費など、多岐にわたる支出に対応できない可能性が高いでしょう。

そこで活用したいのがiDeCoです。自力で積み立てつつ所得控除による節税効果も得られれば、老後に対する不安を大きく軽減できます。

柴田 充輝

特に自営業者は「将来、退職金や厚生年金に頼れない」という状況を念頭に置く必要があるため、早いうちからコツコツ積み立てる習慣を身に付けることが重要といえます。

退職金がない会社員

  • 公的年金はあるが、退職金がない不安
    • 国民年金+厚生年金は一定の収入保証になるが、まとまった退職金を自力で準備できないデメリットがある
  • iDeCoなら一時金で受け取ることも可能
    • 通常、iDeCoは年金形式での受け取りがメインだが、一時金として受け取れる選択肢もあり
    • 退職金制度がない会社員でも、iDeCoを使って“自前の退職金”を積み立てられる

近年は企業規模や就業形態によっては、退職金制度そのものが存在しないケースや、あっても金額が極めて少ないケースが増えています。

いざ定年退職を迎えた時に、まとまったお金が手元に入らないと、老後のスタートで大きな不安を感じてしまうかもしれません。

そこでiDeCoを活用し、自前で退職金のようにまとまった資金を用意しておくと安心です。

柴田 充輝

受け取り方法として一時金を選択すれば、“第二の退職金”のように一括で資金を得られるため、住宅ローンの完済子どもの教育費など、一度に支出がかさむ局面にも対応しやすくなるでしょう。

また、節税メリットも同時に享受できるので、長期的に見て家計に大きなプラスをもたらしてくれます。

税負担が重い高所得者

  • 累進課税で税率が上がる仕組み
    • 年収が高いほど所得税率や住民税率が上昇 → 税負担が大きい
  • iDeCo掛金が全額所得控除になるメリット
    • 掛金を拠出するほど、課税所得を圧縮し、節税インパクトがさらに高まる
    • 年収900万円を超えると配偶者控除が使えなくなるケースもあるが、iDeCoにより所得を抑えられるため、控除を継続できる場合も
  • 節税分を運用に回せる
    • “手取り額の増加”→“資金余裕が増える”→“さらなる積立拠出”という好循環を作りやすい

年収が上がるほど、課税対象となる所得も増え、結果的に税率の高い層に分類されやすくなります。

特に年収が700万~1,000万円を超えるあたりからは、所得税率・住民税率ともに急激に上昇し、手取りの割合が思った以上に少なくなることも。

そこでiDeCoに加入して掛金を拠出すれば、所得控除による課税所得の圧縮が可能です。

柴田 充輝

こうした節税分をさらに投資や貯蓄に回せば、手取りを増やすだけでなく、将来的な資産形成にも大きく貢献します。

高所得者こそ、iDeCoの強い節税効果を最大限に活かせるといえるでしょう。

つまり、受給できる公的年金が少ない人(自営業者など)や退職金のない会社員、重い税負担を軽減したい高所得者にとって、iDeCoは大いに活用する価値がある制度です。

拠出できる掛金や運用先は自分で選択できるので、まずはシミュレーションして「どれくらい拠出すると老後資金がどれくらい貯まるか」や「どれほど税金が安くなるか」をチェックしてみましょう。

自分のライフステージや将来設計に合わせて、早めに始めるほど複利効果や節税メリットが大きくなる点も押さえておきたいところです。

次のステップとして

  • iDeCoの加入資格をチェック(自営業・会社員・公務員などで拠出上限が変わります)
  • 運営管理機関(証券会社・銀行など)の比較検討(手数料や取扱商品が異なる)
  • シミュレーションツールや専門家相談を利用して「具体的な節税額」や「運用商品選び」をイメージする
柴田 充輝

こうした情報をしっかり押さえておくと、自分にぴったりの老後資金づくりを実現できるだけでなく、「今の税金をどれだけ抑えられるか」もより明確になります。

未来への備えと現在の節税が同時に狙えるiDeCoは、自営業者・高所得者・退職金制度のない会社員ほどその恩恵を受けやすい制度です。

ぜひ、早めに検討してみてください。

iDeCoとNISAの違いを比較しよう

改めて、iDeCoとNISAの全体像を簡単におさらいすると、以下のようになります。

どちらも投資における税制優遇を受けられる点は共通していますが、老後資金特化か、柔軟な資金活用を重視するかなど、それぞれに特徴があります。

自分のライフステージや目標に合わせて、どの制度を使うかを検討してみましょう。

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iDeCoNISA(つみたて投資枠)NISA(成長投資枠)
加入年齢20歳以上65歳未満18歳以上
最低掛金月額5,000円100円~(金融機関により異なる)
投資上限額月額1.2万円~6.8万円
(職業や年金制度の有無によって異なる)
120万円240万円
運用商品定期預金/保険(元本確保型)
投資信託(元本変動型)
金融庁が認めた投資信託投資信託/ETF/個別株式など
税制面の優遇掛金が全額所得控除
運用益が非課税
受け取り時も控除適用
運用益が非課税
資金の引き出し原則60歳以降いつでも可能

もちろん、ご自身にあった制度か、加入できる(すべき)なのかは、各要件があなたに適応しているかにも依ります。

よって、ここからは、上記表におけるiDeCoとNISAの各要件についてもう少し深堀りしていきます。

柴田 充輝

自分に合った制度を選択するうえで、加入できる年齢や掛金の最低ライン、運用商品などを比較しながら検討するのがポイントです。

① 加入年齢

  • NISAは18歳以上が対象
    • 高校を卒業してすぐに始められるので、若いうちから投資の経験が積めるのがメリット
    • 上限年齢がないため、退職後の資金を運用しながら長期的に資産寿命を延ばすことも可能
  • iDeCoは20歳以上65歳未満
    • 公的年金を前提とした老後資産形成制度のため、年金受給開始までの期間が限られる
    • 60歳を超えると加入できるケースが限定的になるが、65歳まで拠出可能となった(2022年の改正)
    • 節税メリットが大きく、「年齢が高いから…」と諦めるには惜しい制度

「18歳~20歳の間はiDeCoをスタートできない」という点で、学生や新社会人の場合はNISAのほうが始めやすいでしょう。

早期から投資経験を積みたい人にとっては、NISAを利用できるメリットは大きいです。

一方、30代・40代以降になって老後資金への意識が高まってきたら、iDeCoによる節税+積立効果の恩恵が大いに活きてきます。

柴田 充輝

自分がどのタイミングで資金を使いたいか、いつから積み立てておきたいかによって、適した制度を選ぶようにしましょう。

② 最低掛金

  • NISA(つみたて投資枠/成長投資枠)
    • 金融機関によって最低投資額は異なるが、100円~1,000円程度の少額からスタートできる
    • 「お試し感覚」で投資を始めたい初心者や、学生・新社会人に向いている
    • 投資信託や株式を細かく積立できるため、無理なく分散投資が可能
  • iDeCo
    • 最低拠出額は月5,000円
    • 拠出額が多いほど節税額が増え、老後資産を大きくできる
    • 「毎月1~2万円拠出できるなら、節税効果もかなり大きい」

投資に不慣れな方、特に若年層や主婦・主夫の方々には、月100円からでも始められるNISAのハードルの低さが魅力です。

一方、iDeCoは最低でも5,000円を拠出できる状況であれば、一気に節税メリットを得つつ老後資金を育成できる制度と言えます。

柴田 充輝

収入や家計余力を見極めながら、少額投資からのステップアップを考えたい人は、最初はNISA、ある程度余裕ができたらiDeCoにも加入といった流れが効果的でしょう。

③ 上限額

  • NISA
    • 新制度(2024年~)では、生涯で1,800万円まで(うち成長投資枠は1,200万円)投資可能
    • 年間の非課税投資上限:つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円
    • たっぷり投資したい方や本格的に株式・投信を買い増ししたい方にも嬉しい拡充
  • iDeCo
    • 職種・年金制度の有無により月額1.2万円~6.8万円(年間14.4万~81.6万円)拠出可能
    • 自営業者は最も拠出上限が高く、厚生年金がない分、老後資金を手厚く積み立てられる
    • 制度全体の拠出上限は設定されていない → 長期的には多額を非課税で育てることも可能

NISAなら最大1,800万円の非課税投資枠があり、大きく資産を増やしたい方にとっては心強い制度です。

さらにNISAの枠を使い切ってしまった後でも、iDeCoとの併用で老後資金を税優遇付きで積み立てられるのがポイント。

一方、自営業者の場合はiDeCoで年81.6万円を非課税で運用できるため、厚生年金の代わりに自分でしっかり老後資金を準備できます。

柴田 充輝

多めに積み立てられる方は、NISAとiDeCo両方を検討して、より効率的な資産形成を目指すと良いでしょう。

④ 運用商品

  • NISA
    • つみたて投資枠:金融庁が認めた投資信託(長期・積立・分散向けの厳選ファンド)
    • 成長投資枠:投資信託、ETF、個別株など選択肢が豊富
    • 元本確保型はなく、市場リスクを負う運用が基本
  • iDeCo
    • 定期預金や保険(元本確保型)、投資信託(元本変動型
    • ローリスク運用したいなら定期預金を選択 → ただし利回りはほぼ期待できない
    • 投資信託は金融機関によってラインナップが違うため、口座開設前に要確認

「積極的に増やしたい」なら、NISA成長投資枠で個別株やETFを大胆に運用したり、iDeCoでも株式型の投信を選べます。

一方、リスクを最小限に抑えたい方は、iDeCoの定期預金を選べば元本割れの可能性は極めて低くなりますが、ほとんど増やせないというデメリットも。

柴田 充輝

投資スタイルをどう設定するかによって、制度の魅力やデメリットが変わるため、自分のリスク許容度をしっかり把握したうえで商品を選ぶのがポイントです。

⑤ 税制面の優遇

  • NISA
    • 投資元本に対する所得控除はなし(課税済みのお金で投資)
    • 運用益・配当・売却益が非課税 →収益を最大化しやすい
    • 新NISAは無期限だが、旧NISAのつみたて投資枠は最長20年、成長投資枠は最長5年(ロールオーバー含む)
  • iDeCo
    • 掛金が全額所得控除 → 所得税・住民税の軽減効果が大
    • 運用益も非課税 → 複利効果を一層高める
    • 受け取り時:退職所得控除or公的年金等控除 →三重の優遇を享受可能

iDeCoは掛金・運用・受取時の“三重優遇”が特徴で、特に年収が高い人ほど所得控除による節税額が大きくなります。

一方、NISAは運用益自体が非課税となり、途中で売却しても税金を取られないため、投資リターンを残しやすい点が強み。

「目先の節税か、運用の自由度か」という観点で選ぶと、自分にフィットした制度が見えてくるでしょう。

⑥ 資金の引き出し

  • NISA
    • 運用中の資産をいつでも売却・現金化できる
    • 「急にお金が必要になった」「投資戦略を変えたい」など柔軟に対応可能
    • ライフイベントに合わせて引き出し、残りは長期保有など自由度が高い
  • iDeCo
    • 原則60歳まで引き出せない → 老後資金を“強制的に”確保する仕組み
    • 計画的にコツコツ積み立てられる反面、突発的な出費には対応不可
    • 受け取り方は年金形式・一時金・併用など選択可(退職所得控除/公的年金等控除を活用可能)

NISAは使いやすく柔軟性が高い一方、iDeCoは資金を引き出せない縛りがあるため、「長期投資による老後資金を崩しにくい」とも言えます。

たとえば短期~中期の目標(留学費用や住宅資金など)があるならNISAを検討し、60歳以降の生活に確実に備えたいならiDeCoを活用する、といった使い分けがおすすめです。

まとめ:どちらが自分に合うか見極めるポイント

  • 1. ライフステージ・年齢
    • 18~20歳はNISAのみ活用可
    • 65歳までならiDeCoで節税+老後資産形成が可能
  • 2. 毎月の予算・家計状況
    • 少額投資ならNISA(最低100円~OK)
    • 毎月5,000円以上拠出できるならiDeCoの節税効果が魅力
  • 3. 投資期間・目的
    • いつでも引き出せるNISA → 教育費や住宅資金など中長期目標に
    • 60歳まで引き出せないiDeCo → 老後資金に特化
  • 4. 税負担の大きさ
    • 高所得者ほどiDeCoの“所得控除”メリットが光る
    • 収入がそこまで高くない方でも、NISAで非課税投資できる意義は大
  • 5. 運用スタイル
    • 個別株やETFを買いたい → NISAの成長投資枠
    • リスクを低く抑えたい → iDeCoの定期預金や安定型投信

併用のすすめ:
老後資金はiDeCoで堅実に積み立て(引き出し制限あり&節税効果大)、
中期・短期資金はNISAで柔軟に運用(必要に応じて売却可能)という方法も有効です。

いずれの制度も「税制優遇」という大きなメリットがある一方で、それぞれ制限や特徴が異なります。

自分のライフプラン・家計余力・リスク許容度を踏まえて、iDeCoとNISAを上手に使い分けることが重要です。

柴田 充輝

まずは少額からでも始め、長期投資のメリットをしっかり享受していきましょう。

特に、資金を引き出す時期どのくらいの節税効果を狙いたいのかを考慮すると、より納得のいく制度選択につながるはずです。

何歳から始めてもメリットはあるの?

iDeCoNISAはいずれも「税負担を軽くしながら資産を増やす」ことを可能にする制度です。

何歳から始めても一定のメリットを享受できますが(iDeCoの場合は64歳まで加入可)、運用期間が長いほど複利の効果を十分に活かしやすいため、早めにスタートすればより大きな恩恵が得られるのも事実です。

ここでは年齢別に簡単なシミュレーションを行い、どのような違いが出るかを見ていきましょう。

なお、複利効果とは「運用で得た利益をさらに再投資することで、より大きな利益を生み出す循環」のことと、ここではお考えください。

若いうちに始める方が、この複利効果を最大限に高めやすいため、ぜひ長期視点で資産形成を考えてみてください。

以下では、同じ掛金や利回りを想定しつつ、年齢別に資産運用・節税効果を試算してみます。

35歳スタートの場合

まずは、35歳で資産運用をスタートし、30年間(~65歳)運用を続けた場合のシミュレーションを見てみましょう。

拠出額や利回り、年収などを仮定し、最終的な運用結果と節税効果を比較します。

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投資金額(月)利回り(年)30年後の運用結果30年間の節税効果(年収600万円の場合)
2万円2%約985万円(運用益は約265万円)168万円

このモデルケースでは、掛金2万円を2%の利回りで30年間運用すると、約985万円の老後資金を用意できます。

さらに、iDeCoなら拠出した掛金が全額所得控除の対象となり、年収600万円の方なら年間4.8万円、30年で合計168万円もの節税効果が期待できる計算です。

柴田 充輝

つまり、「運用益+節税分」のダブルメリットによって、最終的な家計へのプラス効果がより大きくなると言えます。

35歳という比較的余裕のある時期からスタートできれば、老後までの長期間にわたって複利効果が蓄積しやすい点も大きな魅力です。

45歳スタートの場合

続いては、45歳で投資を始め60歳までの20年間運用を行った場合をシミュレーションしてみましょう。

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投資金額(月)利回り(年)20年後の運用結果20年間の節税効果(年収600万円の場合)
2万円2%約590万円(運用益は約110万円)96万円

掛金2万円・利回り2%を想定した場合、20年後には約590万円の資産が形成され、そのうち約110万円が運用益となります。

また、年収600万円のモデルケースでは、年間4.8万円の節税が20年続くため、合計96万円の税金が軽減できる計算です。

35歳スタートと比べると、どうしても運用期間が短い分、複利効果や累積する節税額は小さくなってしまいます。それでも、40代や50代でも十分に恩恵を受けられる制度であることに変わりはありません。

柴田 充輝

特に、「今からでも老後に向けてできることを始めたい」という方にとっては、この20年の積み立てが数百万円単位の資産形成につながるのです。

55歳スタートの場合

さらに年齢を上げ、55歳から65歳までの10年間で運用を行ったケースも見てみます。

収入が高いほど節税効果が拡大する点にも注目しましょう。

スクロールできます
投資金額(月)利回り(年)10年後の運用結果10年間の節税効果(年収1,000万円の場合)
2万円2%約265万円(運用益は約25万円)72万円

10年間という短い期間でも、毎月2万円を2%で運用すれば約25万円の運用益が得られます。

さらに、年収1,000万円の方であれば、10年間で約72万円もの節税効果を手にできる計算になります。

高所得者ほど所得控除の恩恵が大きくなるため、50代以降の方でも十分にメリットを得られるのが特徴です。

柴田 充輝

もちろん、運用期間が短いほど複利効果は限定的ですが、「老後までに少しでも資産を増やしたい」「今の税負担を軽くしたい」と考える方には大きなメリットがあります。

特に収入が高い世代ほど所得控除による課税所得の圧縮メリットが顕著になる点は見逃せません。

このように、何歳から始めてもiDeCoやNISAによる節税・運用効果を得られますが、スタートする時期が早いほど、複利パワーを最大化できることがわかります。

若い頃から積み立てを開始すれば、運用期間中の市場変動にも柔軟に対応しやすく、結果的に大きな成果を目指せる可能性が高まるでしょう。

一方、50代や60代に差し掛かってからでも、「今からでもやらないよりやったほうが確実にメリットがある」制度ですので、諦めずにぜひ検討してみてください。

iDeCoとNISAに関するQ&A!よくある質問と回答は?

iDeCoとNISAはいずれも「税制優遇を活用して資産形成を効率化する」制度ですが、似通った部分も多いため、誤解や混同が起こりやすいのも事実です。

ここでは、両制度に関してよく寄せられる質問をピックアップし、答えていきます。自分のライフスタイルや将来設計に合った制度選びに役立ててください。

柴田 充輝

以下のQ&Aを参考に、iDeCoやNISAをどのように併用し、どちらを優先すべきかを考えてみましょう。

iDeCoとNISAは併用できる?

iDeCoとNISAは併用できます。

両制度にはそれぞれ目的があり、iDeCoは老後資金を形成するための仕組み、NISAは中長期で投資する際に運用益を非課税にする仕組みと位置づけられています。

どちらも優れた税制優遇があるため、必要性を感じる方は積極的に併用して問題ありません。

柴田 充輝

ただし、iDeCoは60歳まで原則引き出しが不可なこと、NISAはリスクを伴う投資商品(株式や投信)を買う必要があることに留意しましょう。

資金ロックと投資リスクという制約を理解したうえで、老後資金をiDeCoで堅実に確保しつつ、NISAで柔軟に資産を増やすといった使い分けが可能です。

併用の場合、金融機関は一緒にすべき?

iDeCoとNISAを併用する際、同じ金融機関を選ぶ必要はありません

しかし、同じところで開設しておくと「資産管理が一元化しやすい」メリットがあります。一つの口座やアプリで両方の残高や取引履歴をチェックできるため、煩雑になりにくいのが利点です。

一方、金融機関ごとに取り扱い商品や手数料が異なる点も重要です。

柴田 充輝

たとえば、NISAでは魅力的な投信ラインナップがある証券会社を選びつつ、iDeCoでは手数料が安い金融機関を選ぶなど、使い分けることでメリットを最大化できる場合もあります。

節税メリットのない人はNISAをやったほうがいい?

iDeCoは拠出した掛金が全額所得控除の対象になるため、課税所得の圧縮によって所得税・住民税の大幅な軽減が期待できます。

ただし、専業主婦(夫)やパート・アルバイトなど、それほど課税所得が大きくない方は、iDeCoによる節税メリットがそれほど顕著にはならないケースもあります。

柴田 充輝

その場合、NISAを利用して運用益を非課税にするほうが効果的なケースもあるでしょう。

とはいえ、節税の有無だけでなく、資金の引き出し自由度や老後資金の確保、貯めておける性格かどうかなど、総合的に判断して制度を活用することが大切です。

iDeCoとNISAどちらを優先すべき?

「どちらを優先すべきか」は人それぞれのライフプランや年齢、収入によって変わります。

基本的には、老後資金の確保が最優先ならiDeCo、柔軟な引き出しを重視するならNISAを優先するのがセオリーです。

また、所得控除による節税メリットを狙いたい40代後半~50代以上の方にはiDeCoが向いている場合が多いです。

反対に、20~30代でマイホームや教育資金などのイベントが控えているならば、いつでも解約・売却できるNISAが便利でしょう。

最終的には、老後のための強制積立=iDeCo中期的な資金ニーズ=NISAという形で両者を併用するのも賢い選択です。

いずれにしても、iDeCoとNISAはどちらも使える余裕があるなら併用が理想です。

老後資金と中長期の資金を同時に非課税で増やせるため、ライフステージの様々な場面で資金の選択肢が広がります。

まとめ:iDeCoもNISAも「早期スタート」が得をする

iDeCoがおすすめな人
NISAがおすすめな人
  • 老後資産を計画的に用意したい人
  • 手元資金に余裕がある人
  • 高所得で高い税率が適用されている人
  • リスクを取って運用することに抵抗を感じる人
  • 退職金や年金の少ない人
  • ライフイベントに向けて資金形成したい人
  • 少額から投資をスタートしたい人
  • 豊富な選択肢の中から自分のリスク許容度に合わせて運用したいと考えている人

今回は以上です。

どちらを優先して始めるべきか、判断はできましたでしょうか。

資産形成は、できるだけ早く始めると有利です。

iDeCoは原則として60歳まで引き出せない制度となっているため、自然と長期的に運用できるでしょう。

運用益が非課税になるメリットがあるため、通常の投資よりも有利に資産形成を進められます。昨今のように物価が上昇している環境では、貯金だけで老後資金を用意するのは簡単ではありません。

NISAにせよ、iDeCoにせよ。

少しでもお得に制度を活用しながら、老後の安心を手に入れるためにも、自分に合った証券会社で口座開設を検討してみてください。

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この記事を書いた人

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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