会社員がiDeCoをする場合の掛金上限額と注意点とは

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iDeCoを検討している会社員の人の中には、掛金上限額について十分に理解できていない人も多いのではないでしょうか。

掛金上限額は勤め先の企業年金の取り扱いの有無によって差が生じるため、現在置かれている状況について把握する必要があります。

そこで、今回の記事では会社員がiDeCoに加入した場合の掛金上限額の詳細をはじめ、払込方法や注意点についてまとめてみました。

目次

iDeCoとは?

iDeCoの概要

iDeCo(個人化型確定拠出年金)とは、自身で拠出・運用を行い、資産運用を形成する私的年金制度のことを指します。

毎月一定の金額を積み立てながら運用をし、60歳から75歳までの間に老齢給付金として受け取る仕組みです。

掛金額は月々5,000円から1,000円単位で設定ができ、原則として資産の引き出しは60歳までできません。

iDeCoで運用できる商品は、以下の2種類があります。

  • 元本確保型:定期預金や保険など積み立てた元本が確保されるもの
  • 価格変動型:投資信託など積み立てた元本が運用によって変動するもの

元本確保型の商品を選べば、元本割れのリスクは回避可能ですが、あまり高いリターンが期待できないのが難点です。

一方、価格変動型の商品は元本割れを起こすリスクが伴いますが、高いリターンが期待できます。

それぞれの特徴を考慮したうえで自分に合ったものを選ぶようにするほか、リスクの高い物と低いものを掛け合わせるなどの分散投資を心がけることが大切です。

iDeCoには3つの節税効果がある

iDeCoには、以下の節税効果があります。

  • 掛金が全額所得控除になる
  • 利息や運用益が非課税の対象になる
  • 受取時に税制優遇がある

iDeCoで支払った毎月の掛金は、全額が所得控除の対象です。

そのため、確定申告や年末調整で申告することによって、所得税・住民税が軽減されます。

また、金融商品の運用益には源泉分離課税として20.315%が課されるのが一般的ですが、iDeCoの運用益については非課税となるため課税されません。

さらに、60歳以降に老齢給付金を受け取る際には、

一時金方式で受け取る場合・・・「退職所得控除」
年金方式で受け取る場合・・・「公的年金等控除」

が適用され、一定額までは非課税となる税制優遇が受けられます。

iDeCoの掛金は人それぞれ上限が異なる

iDeCoの掛け金上限額について

iDeCoの掛金額の上限は、勤め先が企業年金を取り扱っているかどうかによって掛金の上限額は変動します。

掛金は月5,000円以上(1,000円単位)から、拠出限度額の範囲で設定することが可能です。

それぞれの拠出額の上限を以下の表でまとめてみました。

スクロールできます
拠出額の上限
企業型DCがない企業の会社員月額23,000円
企業型DCに加入している企業の会社員月額20,000円
企業型DCと企業型DB(確定給付年金)に加入している企業の会社員月額12,000円
企業型DB(確定給付年金)に加入している企業の会社員月額12,000円

※2024年12月以降は、月額55,000円から企業形DCの事業主掛金と企業型DBなどの他制度掛金額を差し引いた金額(上限月額20,000円)が掛金額の上限となる

表からもわかるように、企業年金の有無で拠出額の上限は異なることから、企業がどのような取り扱いを行っているか事前に確認が必要です。

企業型DCとの違い

そもそもiDeCoと企業型DCとの違いがいまいちわからない人も多いのではないでしょうか。

企業DCとは福利厚生制度の1つであり、会社が運用・手数料の負担を行ってくれるものです。

運用商品の選定も会社が行ってくれるため、一般的にiDeCoよりも企業型DCのほうがお得であるといえるでしょう。

iDeCoと企業型DCの違いは以下のとおりです。

【iDeCoと企業型DCとの違い】

iDeCo企業型DC
加入対象者20~60歳企業型DCを取り扱っている会社に勤めている会社員
運用する人加入者会社
拠出限度額(会社員)12,000~23,000円27,500円~55,000円
積立期間65歳まで65歳まで
掛金に対する税制優遇全額所得控除マッチング拠出の場合、加入者掛金は全額所得控除
運用にかかる手数料加入者会社

企業型DCとiDeCoの併用は基本的に可能ではありますが、企業型DCのマッチング拠出を利用している場合は加入することができません。

また、掛金の上限額について特に気をつけたいポイントとして、転職を行うタイミングが挙げられます。

転職先によっては掛金の上限額が減少してしまう恐れがあるほか、企業型DCに以降する場合は一度売却しなくてはならない点に注意が必要です。

掛金の払込方法

会社員がiDeCoに加入する際、以下の2つの払込方法から選択する必要があります。

事業主払込

事業主払込は、会社が給与天引きをして掛金を支払う方法です。

所得控除の手続きなども会社側で行ってくれるため、年末調整を行う必要はありません。

そのため、手間や負担なく済むのが利点です。

しかし、掛金額の変更を行う場合は、iDeCoへの届け出をする前に会社に申告する必要があります。    

個人払込

個人払込は、個人の金融口座から引き落としをして掛金を支払う方法です。

掛金額の変更を行う際に会社に申告する必要がなくなりますが、年末調整を自身で行わなくてはなりません。

年末調整の際には、申告と同時に以下の書類の提出が求められます。

  • 小規模企業共済等掛金払込証明書
  • 給与所得者に保険料控除申告書

なお、払込方法を変更することは可能ですが、その際は加入している金融機関宛に「加入社掛金納付方法変更届兼 事業主登録申告書」を送付しなくてはなりません。

ただし、事業主払込から個人払込に変更する場合に限り、あわせて「預金口座振替依頼書 兼 自動払込利用申告書」を提出する必要があります。

iDeCoの掛金を設定する際の注意点

iDeCoを始める際には、主に以下の3つのポイントに注意が必要です。

掛金額は1年に1度しか変更できない

iDeCoの掛金額変更は1年に1度となります。

また、iDeCoでは原則として途中解約も認められていません。

毎月の掛金の支払いが厳しくなった場合は、支払い停止あるいは減額の手続きを行う必要があります。

転職を検討している場合や収入が不安定な人は、無理のない程度で掛金額を決めるようにしましょう。

今後のライフプランを考慮しなくてはならない

iDeCoでは原則60歳まで引き出すことができないため、余裕資金がない状態で加入してしまうと、生活に支障を及ぼす恐れがあります。

そのため、今後のライフプランを明確にしたうえで、加入するか否かを決めるほか、加入の際は無理のない範囲で掛金を設定するようにしましょう。

掛金が少ない場合は手数料の負担が大きい

掛金納付時には手数料が生じるため、掛金が少ない場合は手数料の負担割合が大きくなる点に気をつけなくてはなりません。

金融機関によっては口座管理料や運用管理費用(信託報酬)がかかることもあることから、加入前に確認するようにするようにしましょう。

iDeCoで老後の資産形成を行おう

今回の記事では、会社員がiDeCoをする場合の掛金上限額や注意点についてお伝えしました。

iDeCoは年金とは別に老後資金を確保したい人におすすめである一方で、余裕資金がない状況で加入してしまうと生活に支障を及ぼしてしまうケースも見受けられます。

そのため、掛金額を設定する際は、今後のライフプランを考慮したうえで、慎重に行うことが必要です。

iDeCoを加入するか否かは、自身の置かれている状況でメリットが十分に受けられるかを確認したうえで見極めるようにしましょう。

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この記事を書いた人

元信託銀行員。宅建士・ 2級FP技能士をはじめ、複数の金融・不動産資格を所持。それらの知識をもとに、「初心者にもわかりやすい執筆」を心がけている。2児の子育て中でもあり、子育て世帯向けの資産形成、女性向けのライフプラン記事を得意とする。 FP2級、宅建士、証券外務員1種

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