【どっち?】iDeCo VS NISAの違いや、どんな人に向いているかを詳しく解説

本記事は、iDeCoおよび新NISAに関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や、読者一人ひとりの状況に応じた投資助言・税務相談を行うものではありません。実際の加入可否や掛金、商品選び、節税額については、必ず最新の公式情報を確認のうえ、必要に応じて税理士・ファイナンシャル・プランナー等の専門家へご相談ください。
iDeCoとNISAは、いずれも税制優遇を受けながら資産形成できる制度です。
資産形成期にある方にとって有力な選択肢となり得る制度ですが、両者は目的や趣旨が異なります。
iDeCoは「年金」なので、老後の資産形成をしたい方に向いています。
一方で、NISAは「非課税投資制度」で、柔軟に運用資金を引き出しながらライフイベントに向けた資産形成をしたい方に向いている場合があります。
※本記事では、特に断りがない限り2024年から始まった「新NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)」を前提に解説しています。


その他にも、iDeCoとNISAには制度上の違いがあり、あなたがどんな立場や価値観かで、どちらを優先して使うとよいかが変わってきます。
まず結論:迷ったときの「一つの目安」
- 20〜40代で、今後10年以内に住宅・教育など大きなライフイベントが控えている人
➡ 一般的な目安としては新NISAの活用を優先し、余裕があればiDeCoを少額からスタートする選択肢も考えられます - 40〜50代以降で、老後資金の不足が気になり始めている人
➡ 一般論としてはiDeCoを重視しつつ、家計に無理のない範囲で新NISAも併用する考え方もあります - 自営業・厚生年金なし・退職金なし、または年収700万円以上の高所得者
➡ 老後資金を優先したい場合はiDeCoの掛金を厚めに確保しながら、余力で新NISAを活用する方法も考えられます
細かい条件によって最適な組み合わせは変わりますが、まずはこの方針を「一般的な出発点」としつつ、以下の詳細解説やシミュレーションで「自分の場合」を具体的にイメージしてみてください。
ねくこ今回は、FP資格保持者の著者が両者に共通する点と大きく異なる点を整理し、資産形成の目的別にどちらが向いているかを見極めるヒントをお伝えします。
なお、ここでお伝えする内容はあくまで一般的な考え方であり、個々の状況によって最適解は変わる点をご承知おきください。
| iDeCo | NISA(つみたて投資枠) | NISA(成長投資枠) | |
|---|---|---|---|
| 加入年齢 | 20歳以上(国民年金の被保険者区分に応じて上限年齢が異なります。多くの第2号被保険者は65歳未満、第1号・第3号は原則60歳未満など) (2025年に成立した年金制度改正法により、一定の要件を満たす方について、今後70歳未満まで加入可能年齢を引き上げる予定が示されています) | 18歳以上 | |
| 最低掛金 | 月額5,000円 | 100円~(金融機関により異なる) | |
| 投資上限額 | 月額2万円~6.8万円 (職業や年金制度の有無によって異なる) (令和7年度税制改正・年金制度改正の方針に基づき、第2号被保険者等は企業年金等との合計で月額6.2万円、第1号被保険者等は月額7.5万円への引き上げが予定されています) | 120万円 | 240万円 |
| 運用商品 | 定期預金/保険(元本確保型) 投資信託(元本変動型) | 金融庁が認めた投資信託 (対象外例:整理・監理銘柄、信託期間20年未満、毎月分配型、デリバティブ取引を用いた一定の投信等。) | 投資信託/ETF/個別株式など |
| 税制面の優遇 | 掛金が全額所得控除 運用益が非課税 受け取り時も控除適用 | 運用益が非課税 | |
| 資金の引き出し | 原則60歳以降 | いつでも可能 | |



※本表は、iDeCo公式サイトおよび金融庁等の公表資料に基づき、2025年12月時点の制度概要を簡略化してまとめたものです。現行の拠出限度額や加入可能年齢は、国民年金の被保険者区分や他制度(企業型DC・国民年金基金等)との合算により異なります。令和7年度税制改正および年金制度改正により、個人型確定拠出年金(iDeCo)の拠出限度額の引き上げや加入可能年齢の70歳未満への拡大が予定されていますが、施行時期や詳細は今後の政省令・ガイドライン等により変更となる可能性があります。最新情報はiDeCo公式サイトや厚生労働省・金融庁等の資料をご確認ください。
【結論】iDeCoと新NISAの違いは、資産形成の目的

まず、iDeCoとNISAの基本的な共通点と相違点を解説します。
iDeCoとNISAの共通点
どちらも「投資の税負担を軽くする」制度で、条件によっては資産形成を効率化しやすい可能性がある点。
長期で運用するほど「非課税メリット」や「複利効果」を享受しやすくなる一方、市場環境によっては元本割れとなる可能性もあります。
iDeCoとNISAは、投資で発生する利益(配当・売却益など)に対して税制上の優遇があるため、「普通に投資をする場合」と比べて最終的に手元に残る利益が増えやすい可能性がある点が大きな魅力です。
とりわけ、長期投資をするほど複利効果を享受しやすく、将来にわたって資産を増やせる期待が高まります。
※ もちろん、市場環境によっては元本割れとなる可能性もあります。
iDeCoとNISAの相違点
iDeCo:老後資金を目的とした“年金”制度
→ 特徴:60歳まで引き出し不可、掛金が全額所得控除
NISA:投資の運用益が非課税になる枠
→ 特徴:いつでも売却・引き出しが柔軟、拠出金自体は所得控除対象外
iDeCoは老後資金の準備に特化した“年金制度”という性質が強く、税制優遇も掛金拠出や運用益に加え受け取り時にも及ぶほど手厚い反面、60歳まで資金を引き出せないという縛りがあります。
一方、NISAは「非課税枠」の中で自由に投資でき、いつでも資金化(売却)できる柔軟性が魅力ですが、拠出金自体は所得控除の対象にならないため現役時代の税負担を直接的に下げる効果はありません。
またNISA口座の損失は他口座と損益通算・繰越控除不可という重要な制約があります。
※ NISA口座内で生じた損失は税務上「なかったもの」とみなされるため、特定口座・一般口座など他口座との損益通算や損失の繰越控除はできません。詳細は国税庁「NISA制度」の解説や金融庁のNISA特設サイト等をご確認ください。
ねくこつまり、iDeCoは「60歳以降に向けて計画的に備えたい老後資金」を優先する人に向き、NISAは「ある程度の自由度を持って中長期で資産を増やしたい」人に向いていると言えます。
iDeCoとNISAの「資産形成の目的」はこう考えるべき

上述もふまえ、iDeCoとNISAの資産形成上の目的をまとめました。
ねくこまずは、どちらがあなたの価値観に近いかによって、どちらを始めるべきかを検討してみてください。
必ずしもどちらか一方だけが正解というわけではなく、ライフプランや家計状況によって最適な組み合わせは変わります。
iDeCoは「老後資金」を用意する制度
正式名称:個人型確定拠出年金
資金ロックの長さ:
- 原則60歳まで引き出せず、老後用に積み立てる仕組み
- 逆に言えば、資金が崩れにくく長期運用がしやすい
大きな節税メリット:
- 掛金全額が所得控除 → 所得税・住民税が減額(小規模企業共済等掛金控除の対象)
- 税率が高い方ほど恩恵が大きい傾向
誰が加入できる?
- 国民年金の被保険者(第1号・第2号・第3号等)で、20歳以上の人
- (被保険者区分ごとに加入可能年齢の上限が異なり、多くの第2号被保険者は65歳未満、第1号・第3号は原則60歳未満など。今後、制度改正により条件付きで70歳未満まで加入可能年齢が拡大される方向で検討・整備が進められています)
注意点:
- 解約・引き出しが原則不可 → 突発的な出費には対応不可
- 投資商品によってはリスクも伴う(元本割れの可能性あり)
iDeCoの主なコスト
- 加入時2,829円
- 月171円(国民年金基金連合会105円+信託銀行66円)+運営管理機関手数料(0円の会社もあり)+各商品の信託報酬。
※60歳以上の方の加入可否は、国民年金の種別や老齢年金・iDeCo給付の受給状況などによって異なります。詳細はiDeCo公式サイトの「加入資格」ページや運営管理機関の案内をご確認ください。
iDeCoは「公的年金の上乗せ」を目的とした制度であるため、老後の生活資金に備えるために設計されています。
掛金が全額所得控除となり、運用益も非課税で受け取れるなど、非常に手厚い税制優遇がある一方、60歳に達するまで資金を引き出せないため「長期的に投資を継続する意思」が求められます。
逆に言えば“手をつけにくい”仕組みは、計画的に老後資金を貯めたい方にとって有効な面もあります。
NISAは「投資の運用益非課税」を狙う制度
正式名称:少額投資非課税制度
柔軟な引き出し:
- いつでも売却・現金化OK → 教育費・マイホーム頭金などライフイベント向け
非課税枠:
- 非課税保有期間は無期限
- 年間投資枠は最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)
- 生涯非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)
- つみたて投資枠なら長期投資に最適化された投信が中心
投資初心者にもやさしい:
- 100円〜1,000円など、少額からスタート可能
- 一部証券会社ではスマホアプリで簡単に申し込み・運用
注意点:
- 投資額は所得控除対象外 → 節税メリットは「運用益非課税」に限定
- 投資リスク(元本割れ)を理解しておく必要あり
NISAは「投資による運用益を非課税で享受する」ことが最大の特徴です。
拠出金自体は所得控除の対象になりませんが、自由に引き出せるため、マイホームの頭金や子どもの教育費、急な出費にも対応しやすいのがメリットです。
また、つみたて投資枠ならごく少額からコツコツ投資できるため、投資デビューにも適しています。
ねくこ中長期的な資金づくりや、柔軟な資金引き出しを考える人にとって、有力な選択肢になりやすい制度です。
もし、iDeCoとNISAを併用する場合は・・・

もし、iDeCoとNISAを併用する場合は、
- 老後資金はiDeCoでしっかり積み立て
- 中長期の資金(5〜10年後のライフイベントなど)はNISAで運用益非課税
- 家計状況や投資知識に応じて、両制度をバランスよく使い分ける
といったものを見据え、運用していくと良いでしょう。
そのためにも、まずは、
- ライフプランをざっくり考える・・・何年後にいくら必要?
- iDeCoの掛金上限をチェック・・・職業・勤務形態で違う
- NISAで投資したい商品(投信・株など)を確認
- シミュレーションツールや公式サイトで最新情報を入手(金融庁のNISA特設サイトやiDeCo公式サイトのシミュレーションが参考になります)
といった行動を心掛けると良いですよ。
ねくこどちらも早く始めるほど複利効果を享受しやすくなる制度ですが、制度内容やリスクを十分に理解せずに急いで始めることはおすすめできません。
まずは少額からでも良いので、仕組みを理解しつつスタートしてみると、節税恩恵や運用成果を実感しやすく、ライフプラン全体を前向きに考えられるようになるでしょう。
iDeCoが向いている人5タイプ【自営業・高所得・退職金なし会社員など】

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、国民年金の被保険者である20歳以上の方(第1号・第2号・第3号等)であれば、被保険者区分ごとに定められた年齢条件の範囲内で基本的に利用できる制度です。
※60歳以上の方は、国民年金の加入状況や老齢年金・iDeCo給付の受給状況によって加入可否が変わります。詳細はiDeCo公式サイトや運営管理機関にて最新情報をご確認ください。
老後の生活費を確保するうえで大きな助けとなる「税制優遇」や「長期積立」のメリットが得られるため、老後に対する経済的不安を抱えている人にとっては特に魅力的といえます。
- 厚生年金に加入していない自営業者
- 退職金がない会社員
- 税負担が重い高所得者
ねくこなかでも、iDeCoを積極的に活用する価値が高いと考えられる3つの条件・状況は上記のとおりです。
上記に当てはまる方は、iDeCoで老後資金を形成するメリットがより大きくなりやすいため、選択肢の一つとして加入を検討する価値があります。
厚生年金に加入していない自営業者
公的年金は国民年金(1階部分)が中心
満額受給できても、2025年度(令和7年度)の老齢基礎年金は年額約83万円程度とされており、老後の生活費をまかなうには不安が大きいと感じる人も多い
iDeCoで老後資金を自力で確保
- 毎月の掛金が全額所得控除になるため、現役時代の節税と老後資金形成を同時に実現しやすい
- 会社員に比べて退職金や厚生年金がない(少ない)分、iDeCoを活用して将来に備える必要性が高い
※2025年度(令和7年度)の老齢基礎年金(新規裁定者)の満額は年額83万1,700円と公表されています。実際の受給額は、保険料の納付状況や免除期間などによって異なります。最新の年金額は日本年金機構や厚生労働省等の公表資料をご確認ください。
自営業者(第1号被保険者)は一般に厚生年金に加入できず、公的年金としては国民年金(老齢基礎年金)が中心となります。
しかし、国民年金だけで老後生活を十分にまかなうのは難しく、日々の生活費や医療費、場合によっては施設入所費など、多岐にわたる支出に対応できない可能性が高いでしょう。
そこでiDeCoを活用し、自力で積み立てつつ所得控除による節税効果も得られれば、老後に対する不安を大きく軽減できます。
ねくこ特に多くの自営業者は「将来、会社員のような退職金や厚生年金に頼りにくい」という状況を念頭に置く必要があるため、早いうちからコツコツ積み立てる習慣を身に付けることが重要といえます。
退職金がない会社員
公的年金はあるが、退職金がない不安
国民年金+厚生年金は一定の収入保証になるが、まとまった退職金を自力で準備できないデメリットがある
iDeCoなら一時金で受け取ることも可能
- 通常、iDeCoは年金形式での受け取りがメインだが、一時金として受け取れる選択肢もあり
- 退職金制度がない会社員でも、iDeCoを使って“自前の退職金”を積み立てられる
近年は企業規模や就業形態によって、退職金制度そのものが存在しないケースやあっても金額が極めて少ないケースが増えています。
いざ定年退職を迎えた時に、まとまったお金が手元に入らないと、老後のスタートで大きな不安を感じてしまうかもしれません。
そこでiDeCoを活用し、自前で退職金のようにまとまった資金を用意しておくと安心です。
ねくこ受け取り方法として一時金を選択すれば、“第二の退職金”のように一括で資金を得られるため、住宅ローンの完済や子どもの教育費など、一度に支出がかさむ局面にも対応しやすくなるでしょう。
また、節税メリットも同時に享受できるので、長期的に見て家計に大きなプラスをもたらしてくれます。

税負担が重い高所得者
累進課税で税率が上がる仕組み
年収が高いほど所得税率や住民税率が上昇 → 税負担が大きい
iDeCo掛金が全額所得控除になるメリット
- 掛金を拠出するほど、課税所得を圧縮し、節税インパクトがさらに高まりやすい
- 所得水準によっては、配偶者控除や配偶者特別控除の適用可否にも影響しうるため、iDeCo掛金が結果として所得ラインに影響するケースもあります(詳細は最新の税制と個々の状況で異なります)。
節税分を運用に回せる
“手取り額の増加”→“資金余裕が増える”→“さらなる積立拠出”という好循環を作りやすくなります。
年収が上がるほど課税対象となる所得も増え、結果的に税率の高い層に分類されやすくなります。
特に年収が700万~1,000万円を超えるあたりからは所得税率・住民税率ともに急激に上昇し、手取りの割合が思った以上に少なくなることも。
そこでiDeCoに加入して掛金を拠出すれば、所得控除による課税所得の圧縮が可能です。
ねくここうした節税分をさらに投資や貯蓄に回せば、手取りを増やすだけでなく、将来的な資産形成にも大きく貢献します。
高所得者ほど、iDeCoの節税効果が相対的に大きくなりやすいと考えられます。
つまり、受給できる公的年金が少ない人(自営業者など)や退職金のない会社員、重い税負担を軽減したい高所得者にとって、iDeCoは大いに活用する価値がある制度です。
拠出できる掛金や運用先は自分で選択できるので、まずはシミュレーションして「どれくらい拠出すると老後資金がどれくらい貯まるか」や「どれほど税金が安くなるか」をチェックしてみましょう。
自分のライフステージや将来設計に合わせて、早めに始めるほど複利効果や節税メリットが大きくなる可能性がある点も押さえておきたいところです。
【Q&A】iDeCoと新NISAの違い・選び方の疑問に答える
そして、ここまでの内容をQ&A形式にまとめました。
iDeCoと新NISAはどちらを優先して始めるべき?
一般的には、10年以内に住宅・教育などの支出がある20〜40代は新NISA優先、老後資金不足が気になり始める40〜50代以降や自営業・高所得者はiDeCo重視が一つの目安です。
そのうえで、公的年金・退職金の有無や家計の余力を踏まえ、まず柔軟性の高い新NISAで資金づくりを行い、余裕が出てきたらiDeCoで老後資金と節税を厚くする組み合わせも検討します。
iDeCoと新NISAの「資産形成の目的」はどう考えるべき?
iDeCoは「老後資金を準備する年金制度」、新NISAは「運用益非課税で中長期の資金を柔軟にふやす制度」と整理すると考えやすくなります。
iDeCoは60歳まで原則引き出せない代わりに、掛金全額所得控除など税優遇が非常に手厚く“公的年金の上乗せ”向きです。
一方、新NISAはいつでも売却できる自由度が高く、住宅・教育・急な出費などライフイベントに備えつつ、長期投資の複利と非課税メリットを狙うのに適しています。
iDeCoはどんな人・ケースに向いている?
厚生年金がない自営業者、退職金がない(少ない)会社員、高所得で税負担が重い人など、老後資金不足と税負担の両方が気になる人に向きやすい制度です。
自営業者は国民年金だけでは老後資金が不足しやすく、退職金のない会社員もまとまった老後資金を自前で準備する必要があります。
高所得者は累進課税で税率が高いため、掛金全額所得控除による節税メリットが相対的に大きくなりやすい点もポイントです。
新NISAはどんな人・ケースに向いている?
少額から投資を始めたい人、住宅・教育などライフイベントに備えながら資産形成したい人、柔軟に引き出せる非課税投資枠で運用したい人に向いている場合があります。
つみたて投資枠では長期投資向けの投信が中心で、100〜1,000円程度の少額からコツコツ積立しやすく、初心者の投資デビューにも適しています。
必要に応じていつでも売却・現金化できるため、老後に固定するというより「5〜10年スパンの資金づくり」に活用しやすい制度です。
iDeCoの主なメリットと注意点は?
最大のメリットは掛金全額所得控除と運用益非課税で、老後資金形成と節税を同時に狙える一方、60歳まで原則引き出せない資金ロックが大きな注意点です。
国民年金の被保険者で一定年齢まで加入でき、税率が高いほど節税インパクトが大きくなりますが、途中解約・引き出しは原則不可で、突発的な出費には使えません。
加入・運用には手数料や信託報酬もかかるため、老後資金用と割り切れるか、家計を圧迫しない掛金かを事前に確認することが重要です。
新NISAの主なメリットと注意点は?
運用益が非課税で、非課税保有期間が無期限・引き出し自由という使いやすさがメリットですが、投資額は所得控除の対象外で元本割れリスクもある点に注意が必要です。
年間360万円、生涯1,800万円まで非課税枠で投資でき、ライフイベント資金にも使いやすい半面、現役時代の税金を直接減らす効果はありません。
また、NISA口座内の損失は他口座との損益通算や繰越控除ができず、「損失はなかったもの」と扱われるため、リスクと制度の制約を理解して活用することが大切です。
iDeCoと新NISAを併用する場合はどう組み合わせればいい?
老後用の“崩さないお金”はiDeCoで積み立て、中長期のライフイベント資金は新NISAで運用する、と目的ごとに役割分担する考え方が一つの基本線です。
具体的には、まずライフプランをざっくり決めて「何年後にいくら必要か」を想定し、老後部分をiDeCo、それまでに使う可能性のある資金を新NISAと分けます。
家計の余裕や投資経験に応じて、iDeCoの掛金と新NISAの投資額のバランスを調整し、無理なく続けられる水準からスタートすることが重要です。
まとめ:迷ったら新NISA優先+余裕が出たらiDeCo併用が基本線の一つ
iDeCoとNISAのどちらを優先して始めるべきか、イメージは掴めましたでしょうか。
資産形成は、できるだけ早く始めると有利になりやすい一方で、無理のない範囲で・仕組みを理解してから取り組むことも同じくらい重要です。
一つの考え方としては「新NISAで柔軟な資金づくりを先に検討し、家計に無理のない範囲で余裕が出てきたらiDeCoで老後資金と節税を厚くする」という組み合わせも考えられます。
ただし、最適な順番や配分は、年齢・収入・家計状況・公的年金や退職金の有無などによって大きく異なります。


ねくこ昨今のように物価が上昇している環境では、貯金だけで老後資金を用意するのは簡単ではありません。
NISAにせよ、iDeCoにせよ、少しでもお得に制度を活用しながら老後の安心を手に入れるためにも、自分に合った証券会社や金融機関で口座開設を検討してみてください。
本記事は2025年12月時点の法令・公表資料に基づく一般的な情報提供であり、特定商品の推奨・投資助言ではありません。制度・税制は今後改正される可能性があり、ここで紹介したシミュレーションや節税額はあくまで参考例です。最新の公式情報(国民年金基金連合会・厚生労働省・財務省/国税庁・金融庁など)をご確認のうえ、具体的な投資判断や税務判断については税理士・ファイナンシャル・プランナー等の専門家へご相談ください。
引用・参考文献
[1]iDeCo公式サイト「iDeCoの概要」
https://www.ideco-koushiki.jp/guide/
更新日:2025年頃(ページ記載の最終更新日を要確認)
[2]厚生労働省「iDeCoの加入年齢の引上げについて」資料
https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/001198619.pdf
更新日:2024年1月29日
[3]金融庁「新しいNISA(少額投資非課税制度)の概要」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
更新日:2023〜2024年(改正時点)
[4]日本年金機構「老齢基礎年金の受給額(令和7年度)」
https://www.nenkin.go.jp/
更新日:2025年4月1日付公表(予定額)
[5]投資信託協会「NISAとiDeCoの違い」
https://www.toushin.or.jp/newnisa_contents/nisa_ideco/index.html
更新日:2025年6月2日など(ページ表記による)
[6]国税庁「配偶者控除・配偶者特別控除」関連資料
https://www.nta.go.jp/
更新日:2025年分年末調整用資料公開日