【2025年7月7日】の経済・時事ニュースまとめ

きょう7月7日(月)は、米国の追加関税期限をめぐる混乱が世界市場を揺らし、東京市場も朝方から方向感に乏しい展開となっています。
加えて、国内では実質賃金の伸び悩みが続き、消費回復への懸念が再燃しています。

海外ではOPEC+の増産決定、米政府の“ラストスパート”交渉、さらにはトランプ大統領とイーロン・マスク氏の応酬など、金融・ビジネス両面で話題豊富な一日となっています。
主要株価指数・為替レート(7月7日 午前10時時点)
指数・通貨 | 値 | 前日比 |
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日経平均株価 | 39,656.39円 | −154.49 (0.39%)円 |
NYダウ | 44,828.53ドル | +344.11 (0.77%)ドル |
S&P500 | 6,279.35ポイント | +51.93 (0.83%)ポイント |
ドル円 | 144.51 円 | -0.17円 |
日経平均の小幅安、その背景
日経平均の朝方は前週末比で売り先行、10時時点でも39,700円を切る展開で反落しています。
米独立記念日前で米市場に指針が乏しいうえ、日米関税協議の行方を見極めたい投資家が様子見姿勢を強めています。

米主要指数は高値圏を維持
前週の強い雇用統計を受け、NYダウは+0.77%、S&P500は+0.83%と引き続き上昇しています。
半導体株を中心とするリスク選好が続き、一部では「楽観過剰」の指摘も出ています。
ドル円は144円台前半へ
米関税政策の不透明感からドル指数が4年ぶり低水準に沈み、円相場は144円台へ小幅円高。
前営業日(144.68円)比で-0.17円ながら、実需勢の買い戻しは限定的です。
資産運用で心掛けること
関税カウントダウンによるボラティリティ管理
トランプ政権の7月9日期限を前に為替・株式とも短期乱高下が増えています。
現物株中心の長期投資家は“必要資金を除く運用資金=余裕資金”を再確認し、ロスカット設定を過度にタイトにしないことが急変時の狼狽売り防止になります。
セクター分散の見直し
- 防衛・宇宙:日本の装備品輸出緩和や比への艦供与で関連株が物色されやすい半面、国際情勢次第で政策リスクも大きい分野です。
- クリーンテック:英国CCS投資に象徴される大型インフラ案件は中長期で国策ドリブンの追い風が続く可能性があります。ESGファンドの組入候補として検討余地があります。
- EV/バッテリー:LGエナジーのように税制支援の有無で収益が大きく振れるため、単一銘柄より部品・素材・再利用まで含めたバリューチェーンETFでの分散が安全策です。

インカムとキャピタルのバランス
実質賃金マイナス局面では配当・分配金が生活防衛に寄与します。
高配当株やJ-REIT、米国配当貴族ETFなどで年間配当利回りを可視化し、値上がり益狙いとの比率を整理しましょう。

為替ヘッジ付き投信の活用
ドル円が144円前後で推移するなか、急激な円高に備えて為替ヘッジ比率を部分的に高めるか、内外債券ミックス型で自然ヘッジを図る方法があります。
外貨建てMMFを一時駐車場として使うのも選択肢です。

国内ニュース
日産と鴻海、EV生産で提携交渉
日産自動車は台湾鴻海と電気自動車の共同生産を協議しています。
遊休気味の追浜工場を活用し雇用維持を狙います。完成すれば国内EV供給網強化の起爆剤となる見通しです。
実質賃金が5か月連続マイナス
5月実質賃金は前年比-2.9%と2年ぶりの大幅減。
インフレ率が賃上げペースを上回り、可処分所得が圧迫されています。
家計の節約志向が長期化すれば、内需の下振れリスクが高まります。
“大災害予言”のデマ拡散で訪日観光に陰り
99年発刊の漫画が「7月5日に巨大地震」とする噂がSNSで拡散。
結果は杞憂でしたが香港などからの訪日予約が急減し、一部航空会社は便を減らしました。
日本、フィリピンへ護衛艦輸出を検討
日本政府は海自のあぶくま型護衛艦06隻をフィリピン海軍へ譲渡する方向で最終調整に入りました。
中国が南シナ海で示威行動を強めるなか、防衛装備品移転三原則の枠内で“中古艦+共同改修”というスキームを採用し、輸出制限をクリアする方針です。
実現すれば、比艦隊の対潜・対艦能力が底上げされ、日本製レーダー供与や自衛隊との共同訓練とも相まって地域の抑止力強化につながる見通しです。
海外ニュース
米財務長官「数日以内に複数の貿易合意」
トランプ政権は7月9日の関税再開期限を前に、欧州・インドなどと駆け込み交渉。
妥結できない国には最大50%の“報復関税”を警告しています。
OPEC+が予想超の月産54.8万バレル増産
OPEC+は8月からの増産決定し、その影響でブレント原油は-1%と下落しています。
市場では「シェール潰し」との見方も出ており、エネルギー株には下押し圧力がかかりました。
トランプ大統領、マスク氏の新党構想を一蹴
イーロン・マスク氏が掲げた「America Party」結成に対し、トランプ大統領は「ばかげている」と痛烈批判。
共和党内の亀裂拡大が懸念され、関連銘柄のボラティリティも高まっています。
英国が炭素回収プロジェクトへ初投資
レイチェル・リーブス英財務相は国富ファンドから約£28.6百万(約¥50億)を拠出し、セメント産業の排出を回収してアイリッシュ海下へ貯留するパイプライン建設を支援すると発表しました。
政府は今後25年間で最大£21.7十億をCCS分野へ投じ、12,500人の雇用創出を見込んでいます。
脱炭素インフラに国家資金を呼び水として投入するモデルが注目されます。
中国、ブラジル産鶏肉の輸入再開を検討
鳥インフル流行を受けて五月に導入した禁輸措置について、中国当局は「安全確認が取れ次第、解除を前向きに協議する」と明言しました。
6月の輸出量が前年同月比23%減となったブラジルの食肉業界には朗報であり、世界最大の家禽市場の正常化が飼料穀物市況にも波及すると期待されています。
LGエナジーソリューション、Q2営業益が前年+152%見通し
米国IRA税額控除を含めたLGエナジーソリューションの営業利益は₩4920億(約$3.6億)と市場予想を大きく上回る計算です。
自動車メーカーが米関税リスクを見越して電池在庫を積み増したことが主因ですが、税額控除を除くと₩14億とギリギリの黒字にとどまり、EV需要の本格回復待ちという構図も浮き彫りになりました。
私たちの生活に起こること
- 物価と賃金ギャップの長期化
- 実質賃金マイナスが続けば、家計は節約志向を強め、外食・旅行などサービス消費が鈍化する恐れがあります。
- エネルギー価格の再下落メリット
- 原油安が続けばガソリン・電気料金に緩やかに反映され、秋以降の家計負担はやや軽減される可能性があります。
- 関税リスクへの備え
- 米国向け輸出比率が高い自動車や機械産業はコスト圧迫が避けられません。個人投資家は企業のサプライチェーン多様化策を注視する必要があります。