【2025年7月29日】の経済・時事ニュースまとめ

7月29日は、日経平均株価が午前の取引で調整局面に入る一方、米国株はS&P500が6日連続で最高値を更新し、主要企業の決算と米FRB会合を前に神経質な動きとなっています。
国内では経済財政白書の公表や買収報道など企業動向が相次ぎ、台風9号の接近が生活面での警戒を促しています。
海外では独政府の大規模電力コスト削減策、米政権の対ロシア制裁方針、エネルギー市況の上昇が注目を集めています。
主要株価指数・為替レート(7月29日 午前10時時点)
指数 | 値 | 前日比 |
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日経平均株価 | 40,718.10円 | −280.17 (0.68%)円 |
NYダウ | 44,837.56ドル | −64.36 (0.14%)ドル |
S&P500 | 6,389.77ポイント | +1.13 (0.018%)ポイント |
ドル円為替 | 148.57円 | +0.04円 |
日経平均株価は利益確定売りで反落
日経平均株価は米株高の追い風はあったものの、半導体株を中心に前週末までの急伸を受けた利益確定売りが優勢となり、午前10時時点で前日比−280.17 (0.68%)円の40,718.10円前後まで下落しています。
米中通商協議やFOMCを控えた様子見姿勢も重石です。
NYダウは小幅安、S&P500は続伸で最高値更新
28日の米株市場は、EUとの関税合意を材料にハイテク株が買われ、S&P500が1.13ポイント高で6日連続の史上最高値。
一方、ディフェンシブ株中心のダウ工業株30種平均は64ドル下落しました。
ドル円は148円後半、円安基調が継続
東京市場のドル円は10時時点で148.57円と前日NY終値比+0.04円のドル高・円安。
月末仲値を意識した実需買いに加え、日経平均の軟調が円売りに拍車を掛けました。
資産運用をしている人がこの局面で心掛けるべきこと
① 市場環境の全体像を把握する
米国株は高値圏、日本株は調整入り、為替は円安基調という「ねじれ」が生じています。

まずは主要指数とドル円の水準を時系列で点検し、ポートフォリオ全体のリスク量(株価変動+為替変動)が許容範囲か確認しましょう。
② 短期ニュースと長期トレンドを分けて考える
FOMCや地政学リスクのヘッドラインで相場が乱高下しやすい半面、世界的な賃上げ・省力化投資・エネルギー転換といった構造要因は数年以上続きます。
短期で動揺しないよう、長期テーマごとに投資目的と保有期間を整理することが肝要です。
③ リバランスは“値下がり資産に資金を振る”が原則
調整している日本株を買い増し、上昇している米国株を利確するなど、機械的なリバランスで「高値掴み・安値売り」を防ぎます。
リバランス頻度は四半期~半年に一度で十分です。
④ ドルコスト平均法と分散投資を続ける
積立投資は価格変動が大きいほど平均取得コストを引き下げる効果があります。
下落局面こそ積立継続のメリットが大きいと心得てください。
⑤ 長期分散投資制度の活用を再確認する
長期・非課税枠のNISAを利用している場合、目先の値動きで積立を止めるのは得策ではありません。
むしろ相場調整期は非課税メリットを生かしやすいタイミングです。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を組み合わせる場合、それぞれのリスク水準と想定保有期間を整理し、枠の使い分けを明確にしておくとブレにくくなります。

老後資金の自助努力に適した iDeCo は、相場状況よりも“長期拠出で運用益非課税”という制度設計が肝です。
掛金が所得控除になる点を踏まえ、拠出停止より掛金減額でキャッシュフローを調整する方法も検討しましょう。

⑥ 為替リスクとの付き合い方を決める
円安が続くと海外資産の円換算評価益は増えますが、逆回転リスクも孕みます。
短期トレードで為替差益を狙う FX は、レバレッジと想定外の急変動に備え、取引量を抑えたうえでストップ注文を徹底してください。

⑦ 生活防衛資金と固定費の見直しで“守り”を固める
投資に回す余裕資金は「生活費6か月分+緊急予備費」が目安です。
円安・物価高が続く局面では、電気代や通信費といった 固定費 を削減し、キャッシュフローに余力を持たせることが投資継続の土台になります。


⑧ 情報ソースを限定し“ノイズ”を減らす
SNSや速報系アプリはスピードの反面、誤情報も混在します。
一次情報(企業IR・政府統計)と信頼できる経済メディアに絞り、「数字と根拠」を確認してから行動する習慣を付けましょう。

市場はいつも不確実ですが、基本原則(分散・長期・コスト管理)を守れば、短期の変動に振り回されるリスクを大幅に下げられます。
ご自身の目的と時間軸に合った運用方針を再確認し、焦らず粛々と資産形成を進めてください。
上記は一般的な情報であり、投資判断はご自身のリスク許容度と目的に合わせて行ってください。
国内ニュース
アドバンテッジパートナーズ、日本調剤を買収へ
調剤薬局大手の日本調剤は、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズによるTOBを「概ね事実」と認めました。
取得額は2000億円規模との観測もあり、調剤再編と薬価改定への対応力強化が狙いとみられます。
令和7年度経済財政白書を公表―賃上げ主導の成長型経済を提言
内閣府は年次経済財政報告を公表し、持続的賃上げを成長の起点に、企業の省力化投資や人への投資を後押しする改革パッケージを提示しました。
物価上昇下でも実質所得を底上げするには生産性向上が不可欠と強調しています。
台風9号が小笠原近海で停滞、長期影響に警戒
台風9号は父島北東約130kmを時速10kmで西北西へ進行し、31日頃までほぼ停滞する見込みです。
気象庁は暴風・高波・大雨による土砂災害に厳重な警戒を呼び掛けています。
ホギメディカル、非公開化を含め戦略オプションを検討
医療資材メーカーのホギメディカルは、同社が非公開化を検討しているとの「Mergermarket」の報道を受けて「企業価値向上に向けた様々な可能性を検討しているが決定事項はない」とコメントしました。
市場ではMBOや外部資本の受け入れ観測が浮上し、株価は発表前後で乱高下しています。
HAKKI AFRICA、初のインパクトレポートを公表
ケニアでタクシードライバー向けに中古車購入融資を行うフィンテックのHAKKI AFRICAが事業の社会的効果をまとめた初のインパクトレポートを発行しました。
融資利用者の95%が月収を平均40%増やしたとし、SDGs目標の「貧困撲滅」と「働きがい」への貢献を数値化しています。
学童保育の待機児童が1万7,013人に減少
こども家庭庁は、放課後児童クラブの待機児童が前年より673人減の17,013人だったと公表しました。
一方、利用児童は156万8,588人と過去最多を更新し、都市部を中心に依然ニーズの逼迫が続いています。
自治体への補助拡充で受け皿整備を急ぐ方針です。
「若手が働きがいのある会社」ランキング2025を発表
Great Place To Work Institute Japanは、20代社員の満足度を測る「若手ランキング」最新版を公表し、中規模部門でフロンティアホールディングスが3年連続1位を獲得しました。
リーダーへの直訴制度と専門資格取得補助が離職率低下に寄与したと分析されています。
海外ニュース
独政府、電力コストを2026~2029年に420億ユーロ削減へ
独連邦政府の草案によれば、送電網費用補助や産業向け減税により電力価格を引き下げ、企業の国際競争力を維持する方針です。
EUの新しい国家補助ルールを活用し、重工業の雇用維持も狙います。
米政権、ロシア制裁期限を大幅短縮
トランプ大統領はロシアーウクライナ間の和平合意が進展しなければ、10~12日以内にロシアに対して追加制裁を科すと表明。
市場では地政学リスク再燃への警戒が高まり、安全資産への逃避買いが一時強まりました。
原油先物は3日続伸、米EU関税合意と米中休戦延長期待
ブレント油は70.28ドル台まで上昇。
米EU貿易合意による景気押上げ観測と、米中貿易戦争停戦延長の思惑が需要見通しを支えています。
KKRが医療機器メーカーのトプコンにTOBを開始
米投資ファンドKKRは、運用ファンド傘下のTK株式会社を通じてトプコン株の公開買付けを本日7月29日から9月9日まで実施すると発表しました。
買付価格は1株あたり3,300円で、経営陣と主要株主が賛同を表明しています。
これによりトプコンはMBOに向けて非公開化を進め、光学・精密計測分野での成長投資を加速させる方針です。
Baker HughesがChart Industriesを約136億USDで買収へ
米エネルギーサービス大手Baker Hughesは、低温ガス設備に強いChart Industriesを約136億USDで現金買収する方向で最終調整に入っています。
6月に合意していたFlowserveとの全株式交換による190億USD規模の統合案は破談となり、Chart株は時間外取引で17%超上昇しました。
買収が成立すれば、Baker HughesはLNGやデータセンター向け冷却技術を取り込み、脱・油田依存を加速させる見通しです。
私たちの生活に起こること
急速に進む円安は輸入品やエネルギー価格を押し上げ、家計の負担増を招きます。
光熱費が高止まりする局面では、固定費の見直しと節電投資(LED照明や高効率家電など)が効果的です。


一方、長期分散投資を志向するNISA利用者は、目先の値動きに過度に反応せず、積立設定の継続とアセットアロケーションの定期点検でブレない運用を心掛けたいところです。
