自分で将来の老後資金を積み立てていくiDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金に応じて、所得税や住民税の控除を受けることができます。
年末調整や確定申告で手続きすることで、支払う税金を抑える事ができるため、忘れずに申告しましょう。
ここでは、年末調整でiDeCoを申告する方法や、確定申告が必要なケースについて解説します。
iDeCoは年末調整か確定申告が必要?
iDeCoの所得控除を受けるためには、年末調整か確定申告が必要です。
iDeCoの掛金は、小規模企業共済等掛金控除という所得控除の対象です。
年末調整や確定申告で手続きを行うことで、その年に支払った掛金を全額、所得から差し引く事ができます。
節税できる所得税額は「1年間の掛金×所得税の税率」で算出します。
例えば、所得税率が20%の人が毎月1万円の掛金を支払った場合の節税額は、12万円×20%=2万4,000円です。
iDeCoで運用している商品の利益は非課税のため、申告する必要はありません。
【iDeCo】年末調整か確定申告どっちで申告すればいい?
基本的に、1カ所の勤め先で給与所得がある会社員・契約社員・アルバイトの方は、年末調整でiDeCoの掛金を申告できます。
しかし、個人事業主の場合は、年末調整がないため確定申告でiDeCoの掛金を申告する必要があります。
また、会社に所属している場合や、年末調整でiDeCoの申告をした場合でも、確定申告が必要なケースがあるため注意が必要です。
ここからは、iDeCoの掛金を年末調整で申告できるケースや、確定申告が必要なケースについて詳しく解説します。
会社員や公務員は年末調整で申請
iDeCoの掛金を支払う方法は、加入者本人が納付する「個人払込」と、事業主が給与から天引きして納付する「事業主払込」の2つがあります。
会社員や公務員で「個人払込」を選択している場合は、年末調整でiDeCoの所得控除を申告する必要があります。
必要書類を勤め先に提出し、その年に支払ったiDeCoの掛金を申告しなければなりません。
ただし、iDeCoで「事業主払込」を選択している会社員や公務員の方は、年末調整で手続きをする必要はありません。
■会社員でも確定申告が必要なケース
基本的に、会社員や公務員の方は年末調整でiDeCoを申告できます。
しかし、年末調整でiDeCoを申告した場合でも、以下の特徴に当てはまる方は別途確定申告が必要なので注意しましょう。
・医療費控除や住宅ローン控除(初年度のみ)を受けたい人
・ふるさと納税で6カ所以上の自治体に寄付をしていたり、ワンストップ特例を活用しなかった人
・2カ所以上から給与をもらっている人
・副業の所得が20万円を超える人
初年度の住宅ローン控除については下記にて詳しく紹介しているので、合わせて確認ください。
■年末調整で申請できなかった場合は確定申告すればOK
年末調整でiDeCoの申告を忘れた場合や、必要な書類が間に合わなかった場合は、確定申告で手続きすれば所得税や住民税の控除を受けることができます。
iDeCoの初回積立日が10月以降だった人は、申告時に提出が必要な「iDeCo控除証明書(小規模企業共済等掛金払込証明書)」が11月末〜翌年1月に手元に届くため、初年のみ年末調整に間に合わない場合があります。
その場合は確定申告で忘れずに手続きしましょう。
個人事業主は確定申告が必要
給与所得のない個人事業主(自営業、フリーランス)は、確定申告で小規模企業共済等掛金控除の申告が必要です。
申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に、支払った掛金を記入し、必要書類と合わせて提出します。
iDeCoの年末調整の必要書類や書き方
iDeCoの掛金を年末調整で申告する際の手続きはこちらです。
① iDeCoの年末調整に必要な書類や証明書を揃える
② 申告書に記載する
③ 書類と証明書を勤務先に提出する
毎年必要な手続きなので、流れを確認し事前に必要書類を準備しておけば、余裕を持って申告する事ができます。
手続きを順番に見ていきましょう。
年末調整の必要書類
年末調整でiDeCoの掛金を申告するには、国民年金基金連合から送られる「小規模企業共済等掛金払込証明書」の原本が必要です。送られてくる時期は、積立開始時期によって異なります。
積立開始時期 | 到着時期 |
---|---|
1月から9月 | 10月下旬 |
10月以降 | 11月から翌年1月 |
勤め先から年末調整の書類が配られる11月ごろまでに、必要書類を手元に準備しましょう。
「小規模企業共済等掛金払込証明書」は再発行に時間がかかるため、手元に届いたら無くさずに保管してくださいね。
年末調整の書き方
年末調整が近づくと勤務先から「給与所得者の保険料控除申告書」が配付されます。
下記の画像の赤枠に、1年間で支払った掛金の総額を記入してください。
引用:国税庁「給与所得者の保険料控除申告書」
記入できたら、「小規模企業共済等掛金払込証明書」と一緒に会社に提出しましょう。
iDeCoの確定申告の必要書類や書き方
iDeCoの掛金を確定申告で手続きする際の手続きはこちらです。
① 必要書類や証明書を準備する
② 確定申告書を記載する
③ 期限内に管轄の税務署に確定申告書と必要書類・証明書を提出する
確定申告は毎年2月16日〜3月15日です。必要書類がそろったら確定申告書を記載し、窓口か郵送、e-Taxで提出しましょう。
確定申告の必要書類
iDeCoを確定申告で申告する際に必要な書類は、給与所得がある会社員や公務員の方と、個人事業主で異なります。
給与所得がある会社員や公務員の方は、下記の書類が必要です。
・給与所得の源泉徴収票
・小規模企業共済等掛金払込証明書
個人事業主(自営業やフリーランス)の方は、下記の書類が必要です。
・事業所得における収支内訳書または青色申告決算書
・小規模企業共済等掛金払込証明書
源泉徴収票の代わりに「事業所得における収支内訳書または青色申告決算書」が必要な点に注意が必要です。
確定申告の書き方
iDeCoを確定申告で申告する際は、「確定申告書 第一表」と「確定申告書 第二表」にそれぞれ掛金の総額を記載する必要があります。
確定申告書第一表は、下の画像の赤枠「小規模企業共済等掛金控除」に1年間で支払った掛金の総額を記入してください。
参考:国税庁「確定申告の記載手順」
確定申告書第二表は、下の画像の赤枠「小規模企業共済等掛金控除」に記入します。
参考:国税庁「確定申告の記載手順」
「保険料等の種類」欄に「個人型確定拠出年金」と書き、「支払保険料等の計」には1年間で支払った掛金の総額を記入してください。
「うち年末調整等以外」の欄には、年末調整をしていない人は掛金の全額を記載し、保険料や掛金をすべて年末調整で申告した人は記載不要です。
終わりに|正しく申告して節税しよう
iDeCoは自分で積み立てる老後資金として人気がありますが、最大のメリットは、掛金を全額所得控除にできる点です。
ただし利用しているだけではその恩恵が受けられません。
万が一、手続きを忘れた場合も5年分さかのぼって申告できます。
年末調整や確定申告で忘れずに申告し、節税の恩恵を受けましょう。