国の社会保障制度があることや節約したい気持ちから、「生命保険に入らない方がいい」という意見が存在します。
特に大きな病気や事故をしたことがない人であれば、「生命保険は不要だ」と考える人もいらっしゃいます。
しかし、結婚や子どもが生まれたことにより、生命保険に入らなければと思っているけど、自分に合った保険がわからないと悩んでいる人もいるでしょう。
そこでこの記事では、生命保険に加入すべき人と急いで加入する必要がない人を紹介します。
年代やライフステージごとのおすすめの保険もわかるので、賢くライフプランを設計できるようになるでしょう。
生命保険に加入していない理由
日本では多くの人が生命保険に加入しており、特に社会人の中核世代である30歳代・40歳代・50歳代は8割以上が保険に加入しています。
しかし、「生命保険は不要」という意見があるのも事実です。はじめにその理由を解説します。
国民皆保険制度に加入しているから
日本では国民全員が公的医療保険に加入する「国民皆保険制度」を採用しているため、民間の生命保険は不要だと考える意見があります。
公的医療保険があることで、病院や薬局でかかる医療費は原則3割で済みます。
例えば医療費の総額が1万円の場合、患者の自己負担分は3,000円となるイメージです。
会社員であれば、傷病手当金や出産手当金の給付などもあります。
加えて日本には、公的年金制度のひとつとして遺族年金があります。
遺族年金とは公的年金の加入者が亡くなったときに、その配偶者や子どもなどに年金が支給される制度です。
医療費から死亡後の生活費の一部を公的保障でカバーできることから、生命保険は必要ないと考える人もいます。
高額療養費制度によって医療費の負担が軽減されるから
公的医療保険のひとつに高額療養費制度もあるため、民間の保険はいらないとの意見も存在します。
高額療養費制度とは同一月(1日から末日)にかかった医療費が高額になった際に、所定の自己負担限度額を超えた部分が後から払い戻されるものです。
70歳未満の自己負担限度額は以下のとおりです。
所得区分 | 自己負担限度額 |
---|---|
区分ア(標準報酬月額83万円以上) | 25万2,600円+(総医療費-84万2,000円)×1% |
区分イ(標準報酬月額53万円〜79万円) | 16万7,400円+(総医療費-55万8,000円)×1% |
区分ウ(標準報酬月額28万円〜50万円) | 8万0,100円+(総医療費-26万7,000円)×1% |
区分エ(標準報酬月額26万円以下) | 5万7,600円 |
区分オ(住民税非課税者) | 3万5,400円 |
具体的に年収450万円の人は区分ウに当てはまり、総医療費が100万円であれば、自己負担限度額は8万7,430円となります。
窓口で30万円を支払った場合には、後から21万2,570円が戻ります。
医療費を大幅に削減できるケースもあるため、貯金でまかなえると考えているのかもしれません。
これまで保険を使う機会がなかったから
入院や手術の経験がない人は、生命保険の必要性をあまり感じないかもしれません。
配偶者も同じく保険の利用経験がなければ、保険は不要だとより感じるでしょう。
実際に厚生労働省の調査によると、人口10万人に対する入院総数は960人で1%に満たない結果だとわかりました。年齢別の結果は以下のとおりです。
年齢 | 総数 |
---|---|
30歳〜34歳 | 246人 |
35歳〜39歳 | 257人 |
40歳〜44歳 | 273人 |
45歳〜49歳 | 345人 |
出典:令和2年(2020)患者調査(確定数)の概況(9ページ目)|厚生労働省
年齢が上がるにつれて入院者数は増加しますが、自分事として捉えられることがなければ、保険の加入に踏み切れないでしょう。
保険に加入する余裕がないから
日々の生活で手一杯のため、生命保険に入れないと考える人もいます。
生命保険に加入すると保険料を毎月(もしくは年1回など)払う必要があります。
商品によりますが、安くても月数千円程度の支出となるため、加入を控える人もいるのかもしれません。
実際に生命保険文化センターの調査では、生命保険の非加入理由として「経済的余裕がないから」と答えている人の割合は37.6%と、すべての非加入理由の中で一番多いとわかりました。
同じ調査では「保険料が高いから」が16.7%と3番目に多く、保険料の負担が大きいと感じている人がたくさんいることがうかがえます。
出典:2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(248ページ目)|生命保険文化センター
保険に加入しないデメリット
生命保険に加入しないと、医療費が高額になり、生活が成り立たないこともあります。
次に保険に加入しないデメリットを解説します。
怪我や病気の入院で医療費を払えない可能性がある
入院や手術費が高額になると、公的医療保険だけではカバーできない可能性があります。
生命保険文化センターの調査では、直近の入院時の自己負担費用は平均19万8,000円、1日あたりの自己負担費用は平均2万700円であることがわかりました(高額療養費制度を利用した人と利用しなかった人の合計)。
生命保険に加入していなければ、貯金を切り崩して払わなければなりません。
差額ベッド代や食事代などは高額療養費制度の対象外です。
入院日数が長くなるほど、自己負担分も増えるため、保険があれば安心でしょう。
出典:2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(58、59ページ目)|生命保険文化センター
収入が減少・なくなると生活ができなくなる
生命保険未加入のまま自分が亡くなったり、入院したりすると、世帯収入が少なくなり生活できなくなる恐れがあります。
そのため生活水準を下げる、勤務時間を増やすなど対策を考えなければなりません。
生命保険文化センターの調査では、直近の入院で失われた収入の平均は30万2,000円で、1日あたりでは平均21,000円とわかりました。
出典:2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(61ページ目)|生命保険文化センター
さらに子どもがいれば学費も考える必要があります。幼稚園から高校までの学費は表のとおりです。
公立 | 私立 | |
---|---|---|
幼稚園 | 47万2,746円 | 92万4,636円 |
小学校 | 211万2,022円 | 999万9,660円 |
中学校 | 161万6,317円 | 430万3,805円 |
高校(全日制) | 154万3,116円 | 315万6,401円 |
合計 | 574万4,201円 | 1,838万4,502円 |
幼稚園から高校まですべて公立でも500万円以上かかり、他に塾代などが必要です。
加えて大学では学費の他に、ひとり暮らしの生活費がかかるケースもあります。
国立 | 公立 | 私立 | |
---|---|---|---|
入学金 | 28万2,000円 | 39万1,305円 | 24万5,951円 |
授業料(4年間) | 214万3,200円 | 214万5,452円 | 372万3,772円 |
合計 | 242万5,200円 | 253万6,757円 | 396万9,723円 |
生命保険に加入しなければ、「私立に進学したかったけど公立しかいけない」など、希望する学校に進めなくなるかもしれません。
生命保険に加入しておくと安心できる人の特徴
万が一の死亡や病気、怪我を考えると、生命保険は自分や大切な家族の生活を守るために必要です。
加入することで心配が減り、仕事に専念できるでしょう。以下で加入すべき人の特徴を紹介します。
扶養する家族がいる人
配偶者や自立していない子どもがいれば、生命保険に加入しておくと安心です。
万が一自分が死亡した場合でも、残された家族は条件に当てはまれば遺族年金を受け取れます。
しかし、遺族年金だけでは生活できない可能性もあるため、生命保険で生活費を準備するのは得策です。
また入院で働けなくなると世帯収入は大きく減少します。
生命保険に加入することで食費や家賃、教育費などをカバーでき、習い事や外食を減らすといったことをせず、生活水準を維持できるでしょう。
家族がいる方の保険に加入するタイミングなどは、下記記事で詳しく紹介しています。
貯蓄がない・少ない人
貯蓄がない人や少ない人も生命保険に入っておくことで、万が一に備えられます。
高額療養費制度や傷病手当金などの公的保障は充実していますが、すべての費用をまかなえるわけではありません。
「貯蓄がないから節約のために生命保険には入らない」という人もいますが、誰にでも病気や怪我のリスクはあります。
貯蓄が少ないからこそ無理のない範囲で加入できる商品を見つけることが大切です。
フリーランスなど公的保障が不十分な人
基本的にフリーランスや個人事業主は国民健康保険や国民年金保険に加入します。
国民健康保険では傷病手当金や出産手当金がなく、働けなくなるリスクに備えるものが少ない状況です。
また老後に受け取れる老齢基礎年金や遺族基礎年金は、会社員よりも保障が手薄になる可能性があります。
公的保障が足りなければ、自助努力で準備しなければならないため、生命保険の活用が効果的です。
急いで生命保険に加入する必要がない人の特徴
扶養する家族がいない人や十分な貯金がある人であれば、生命保険に加入する必要性は低くなります。
以下で、自分に当てはまるか確認してみてください。
独身の人や、扶養する家族がいない人
扶養している配偶者がや子どもがいない人は、今すぐ保険に入る必要性は低くなります。
最近はDINKSのカップルもいますが、理由は、自分が亡くなることで生活ができなくなる人がいないためです。
自分が病気や怪我をした際の医療費や生活費が最低限あれば、加入のタイミングを遅らせてもいいでしょう。
貯金から医療費などを支払える人
入院や手術費などを支払えるだけの余力があれば、生命保険に加入しなくてもいいかもしれません。
自分が病気や怪我、死亡した際に、どの程度お金が必要か計算し、足りるか把握しましょう。
万が一足りなければ、貯金が少ないといえます。
【年代別】生命保険の加入率/どんな保険に入るべき?
年代・性別ごとの生命保険の加入率は以下のとおりです。
年代 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20歳代 | 46.4% | 57.1% |
30歳代 | 81.5% | 82.8% |
40歳代 | 86.1% | 86.3% |
50歳代 | 86.9% | 87.8% |
出典:2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(198ページ目)|生命保険文化センター
冒頭でも述べた通り、30歳代・40歳代・50歳代は8割以上と、多くの人が生命保険に加入していることがわかります。
加入すべき保険は年代やライフステージごとに異なります。
最後にどのような保険に入るべきか確認しましょう。
年代別の保険加入については、下記記事でも詳しく紹介しています。
【20代・30代(独身者)】病気・ケガに備える保険
20代・30代の独身者には医療保険と就業不能保険がおすすめです。
医療保険では入院や手術などのお金を準備できます。
入院時には一般的に日額で入院給付金が受け取れ、手術では日帰り手術も対象になるなど、保障内容はさまざまです。
他に通院や三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)、先進医療(厚生労働省が認める高度な医療技術で保険適用外のもの)などにも備えられます。
就業不能保険は比較的新しい保険で、病気や怪我で働けなくなったときの生活費をカバーできます。
保険会社が定めた「就業不能状態」になれば、保険金を受け取れます。
会社員であれば傷病手当金を使えるため、傷病手当金での給付分も踏まえて保険金を決めましょう。
【20代・30代(既婚者)】万が一に備えるための保険
扶養する家族がいる20代・30代は、定期保険や終身保険、収入保障保険で、万が一の事態に備えましょう。
特に子どもが自立するまでの保障を手厚くすることが重要です。
定期保険や収入保障保険では、保険期間内に死亡すると死亡保険金を受け取れ、生活費や教育費に充てられます。
保険料は終身保険よりも割安です。
終身保険は死亡保障が一生涯続くものです。
解約返戻金が多いことから、子どもが自立したときに解約し、子どもの結婚・住宅費用にも活用できます。
加えて女性であれば子宮がんや乳がん、子宮筋腫、子宮内膜症など女性特有の病気に備えることも欠かせません。
女性は20代・30代で妊娠・出産を迎えるため、より充実した保障だと安心です。
【40代以上】病気へのリスクに備えることができる保険
40代になると病気のリスクが上がることから、より保障が手厚い医療保険に加入しましょう。
40代以上は生活習慣病のリスクのみならず、大学の学費や住宅ローンの支払いが重なります。
自分の老後資金も準備しなければならないため、それ以外の大きな出費は避けたいところです。
昔に加入した医療保険は最新のプランにし、がん保険も見直すと安心です。
40代を過ぎると、子どもの進路や必要な老後資金も明確になってきます。死亡保障の金額を見直し、入りすぎであれば減額し、保険料を抑えることも可能です。
最後に|加入後もライフステージの変化に応じて賢く保険と付き合おう
生命保険は結婚や出産、子どもの自立、退職などライフステージが変わるごとに定期的に見直すことが重要です。
見直すことで保険料を節約できたり、最新の医療事情に合った保障にできたりします。
保険の加入に悩んだら複数の商品を比較し、自分のあった保険を見つけてみてください。
家族と必要な保障やライフプランについて話し合うきっかけにもなるため、保険と上手に付き合いましょう。
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