【2025年版】家賃上昇に負けない賃貸選び!普通借家 vs 定期借家 – あなたの最適解は?契約・更新・値上げ交渉のポイント

2025年5月現在、都心部を中心に家賃の上昇が続き、賃貸住宅にお住まいの多くの方が、こんな不安や疑問を抱えているのではないでしょうか。
特に契約更新や新しい部屋探しを控えていると、「どんな契約を選べば、この状況下で損せず、安心して暮らせるのか?」は切実な問題ですよね。
不動産の情報は複雑で、貸主(大家さん)と借主(私たち)の間には、残念ながら利益相反する部分もあります。「知らなかった」では済まされないことも多いのが現実です。
この記事は、そんなあなたの「味方」として、家賃上昇時代の賃貸契約に関する疑問や不安を解消するために書きました。
「普通借家」と「定期借家」の根本的な違いから、契約時・更新時の注意点、そして気になる家賃値上げへの対処法まで、あなた自身の状況に合わせて最適な選択をするための知識と具体的なアクションを、分かりやすく解説します。

この記事を読めば、きっと自信を持って、納得のいく部屋選びができるはずです。
なぜ今、賃貸契約の「種類」が重要なのか?「定期借家」契約の罠

賃貸契約には主に「普通借家契約」か「定期借家契約」という2種類がありますが、なぜ、今この賃貸契約の種類が重要になっているのでしょうか?
私から申し上げる結論としては、
他が同じ条件なら人気エリアは普通借家契約を優先しろ!
です。
こういう背景には、現在の都心部の不動産市場の状況と、貸主側の事情があります。
ご存知の通り、特に東京の都心部、特に都心五区(港区、千代田区、中央区、渋谷区、新宿区)と言われる地域を中心に、需要の高さや建築コストの上昇などから家賃が上昇傾向にあります。

このような状況下で、貸主側としては、できるだけ有利な条件で物件を貸したいと考えるのは自然なことです。
自分たちのエリアは人気で、家賃を上げても上げても入居応募者が絶えないからです。
そこで、注目されているのが「定期借家契約」です。
なぜなら、定期借家契約は貸主にとって以下のようなメリットがあるからです。
家賃を上げやすい

普通借家の場合、家賃を上げるには法律上の制限や交渉が必要ですが、定期借家なら契約期間満了時に、その時点の市場価格に合わせて家賃を見直し(多くは値上げ)、再契約を提案しやすくなります。
将来の計画に対応しやすい
都心部の物件は、将来的に建て替えや売却、大家さん自身が使うといった可能性も低くありません。
人気エリアだからこそ、自分が住んでも良し、人に貸したり売って収益を得るも良しと、ポートフォリオが多様なのです。
そこで定期借家なら、契約期間が終われば確実に契約が終了するため、面倒な「正当事由」を準備しなくても、物件の明け渡しを求めやすくなります。貸主にとっては、計画の自由度が高まるのです。
つまり、都心部で定期借家が増えている背景には、「収益を最大化したい」「将来のために物件のコントロールをしやすくしたい」という貸主側の明確な意図がある、ということをまず理解しておく必要があります。

これを踏まえることで、私たちがどう立ち回るべきかが見えてきます。
「普通借家」と「定期借家」根本的な違いを理解する

では、私たち借り手にとって最も重要な、2つの契約形態の根本的な違いと、それぞれのメリット・デメリット(注意点)を、あなたの視点から見ていきましょう。
普通借家契約:安定性は高いが、知っておくべきこと
特徴
普通借家契約は、従来から一般的な契約です。
最大の特徴は「原則として更新される」こと。あなたが住み続けたいと希望し、家賃をきちんと払っている限り、大家さんが更新を拒絶するには「正当な事由」が必要です。
つまり、居住の安定性が法律で強く守られています。
メリット
- 長く安定して住める可能性が高い。
デメリット
- 契約更新時に「更新料」が必要な場合がある(契約による)。
- 経済状況の変化などを理由に、更新時などに家賃の値上げを要求される可能性がある(対応策については次の章で詳しく解説します)。
定期借家契約:期間の明確さと注意点
特徴
契約時に定めた期間(例:2年、3年など)が満了すると、更新されることなく、契約が確定的に終了します。
これが最大のポイントで、そもそも「更新」という概念がありません。
大家さんは契約前に「この契約は更新がなく、期間満了で終了しますよ」と書面で説明する義務があります。
メリット
- 住む期間が決まっている場合には、計画が立てやすい。
- (場合によっては)周辺の普通借家より、募集時の家賃が少し安いことがある。
デメリット
- 最も注意すべきは「住み続けられる保証がない」こと。 期間満了後も住みたいと思っても、大家さんが再契約に合意しなければ、引っ越さなければなりません。再契約できるかどうかは、完全に大家さんの意向次第です。
- 再契約時に家賃が大幅に上がる可能性がある。 もし再契約できる場合でも、その時の市場価格に合わせて家賃が設定されるため、大幅な値上げになるケースも少なくありません。
- 原則として中途解約ができない。 契約書に特約がない限り、期間の途中で引っ越したくても、残りの家賃を請求される可能性があります(転勤など、やむを得ない事情を除く)。
【比較表】あなたならどっち?生活スタイルに合わせた選択軸
項目 | 普通借家契約 | 定期借家契約 |
---|---|---|
契約期間 | 1年以上が一般的(多くは2年) | 契約時に決定(様々) |
更新 | 原則あり(貸主拒絶には正当事由が必要) | なし(期間満了で終了) |
住み続けられるか | 可能性が高い(法律で保護) | 保証なし(再契約次第) |
居住の安定性 | 高い | 低い(期間満了まで) |
家賃改定 | 契約中・更新時に可能性あり | 期間中は原則なし。再契約時に見直される可能性大 |
中途解約(借主) | 予告期間で可能(契約書確認) | 原則不可(特約・やむを得ない事情を除く。契約書確認必須) |
向いているのは? | 安定重視の人。長く住みたい人。 | 期間重視の人。特定の期間だけ住みたい人。(コストは要吟味) |
注意点は? | 更新料、家賃値上げの可能性。 | 再契約の不確実性、再契約時の値上げリスク、中途解約の制約。 |
※あくまで一般的な比較です。個別の契約内容を必ずご確認ください。
普通借家の「家賃値上げ」通知、どう対応する?拒否はできる?

このように、「普通借家契約」と「定期借家契約」はそもそもの考え方から異なり、家賃相場の上昇に対する対応やできる範囲も異なります。
しかし、普通借家契約には更新があり、一般的に家賃上昇フェーズにある時期や地域では、更新時などに「家賃値上げ」を打診されます。
と不安になる方も多いでしょう。
結論から言うと、あなたは提示された値上げ額に、すぐ同意する必要はありません。交渉する権利がありますし、値上げを拒否したことだけを理由に、一方的に追い出されることもありません。

そこで、もし更新前に家賃上昇を提案された際、あなたがどうすべきかを下記に記しました。
値上げを打診された時の具体的な対処ステップ
もし、大家さんや管理会社から家賃値上げの話が出たら、以下のステップで冷静に対応しましょう。
まずは状況確認(情報収集)
- 「なぜ値上げが必要なのか?」「具体的な根拠は?」「いつから、いくら上がるのか?」を書面などで明確に示してもらいましょう。口頭だけでなく記録に残すことが重要です。
- 同時に、現在の周辺の家賃相場を調べます(ポータルサイト等で同等物件をチェック、HOMESさんなどが調べやすいです)。提示額が妥当か判断する材料になります。
- 現在の賃貸契約書も確認し、家賃改定に関する条項を読んでおきましょう。
交渉する(あなたの意思を伝える)
- 提示額に納得できない場合は、「提示された金額では承諾が難しい」とはっきり伝えましょう。
- その際、調べた相場や、「値上げの根拠が不明確だ」といった具体的な理由を添えて伝えると効果的です。
- 可能であれば「〇〇円までなら…」といった対案を示すのも良いでしょう。あくまで冷静に、話し合いでの解決を目指す姿勢で。
- 交渉の経緯は、日時、相手、内容をメモし、メールなども活用して記録に残します。
【最重要】現在の家賃を支払い続ける
- 交渉中であっても、値上げに合意していない限り、あなたは従来の(値上げ前の)家賃を支払い続けてください。 これを怠ると、家賃滞納となり、あなたに不利になります。
- もし大家さん側が従来の家賃の受け取りを拒否した場合は、法務局に「供託(きょうたく)」する手続きがあります。これにより、支払う意思があることを公的に証明できます。
合意できない場合
- 交渉がまとまらなければ、貸主側は「調停」や「訴訟」といった法的手続きを取る可能性があります。しかし、家賃値上げの正当性を証明する責任は、基本的に貸主側にあります。裁判所が必ずしも貸主の要求を認めるとは限りません。
- また、ここまでくると貸主側の工数も相当なものになります。合意ができなければ収入が得られないのは貸主側なですし、多くの場合は「ひと月ふた月空室になって家賃収入が途絶える」方が、「多少の家賃上昇」よりもデメリットが大きいのが現実です。
- 不安な場合は、地域の消費生活センターや弁護士など専門家に相談しましょう。
後悔しない!契約・更新時のチェックポイントと交渉術

新しい部屋を借りる時も、今の部屋の契約を更新する時も、契約内容の確認は非常に重要です。
ここでしっかりチェックし、場合によっては交渉することが、将来のトラブルを防ぎます。
契約書・重要事項説明書で「絶対」見るべき点
流し読みは絶対にNGです。
特に以下の点は、あなたの目でしっかり確認してください。
- 【最重要】契約の種類:「普通借家契約」か「定期借家契約」か、明確な記載を確認!
- 契約期間: 開始日と終了日。定期借家の場合は特に重要。
- お金に関すること: 家賃、共益費(管理費)、敷金、礼金、更新料(普通の場合)、保証料など、全ての金額と支払い時期。
- 仲介手数料にも注意:双方の合意がない限り、不動産仲介が貰う「仲介手数料」は、貸主と借主の2人から合わせて1.1カ月までしか徴収してはならない。業界では「両手」と言いますが、のらりくらりと契約させて、オーナーと借主(つまりあなた)の双方から1.1か月分ずつを徴収されないように要注意です。
- (定期借家の場合)更新がない旨の説明: 「更新がなく期間満了により終了する」という説明が書面であり、理解したか。
- (定期借家の場合)再契約に関する記述: 再契約の可能性に触れていても、それが保証ではないことを理解する。期待させるだけの曖昧な表現に注意。
- 中途解約の条件: 予告期間、違約金の有無と金額。特に定期借家は厳しくないか要チェック。
- 原状回復の範囲: 退去時にどこまで修繕費用を負担する必要があるか。通常の使用による損耗(経年劣化)は含まれないのが原則。不当に広い範囲が指定されていないか。
- 特約: ペット、楽器、禁止事項など、特別なルール。あなたにとって不利な内容が含まれていないか。
不動産会社・大家さんとの賢いコミュニケーション術
担当者と良好な関係を築くことも大切ですが、あくまであなたの利益を守る視点を忘れずに。
希望は明確に、最初に伝える
「普通借家を希望」「〇年以上の定期借家を探している」「家賃上限は〇〇円」など、譲れない条件は最初にしっかり伝えましょう。
疑問点は「具体的に」質問する
「この特約はどういう意味ですか?」「再契約できなかった場合、いつまでに退去通知がありますか?」など、曖昧な点を残さないように。
記録を残す意識
重要な説明や約束事は、可能であればメールで送ってもらうか、メモに残しましょう。
定期借家は特に深掘り
なぜ定期なのか?再契約の実績は? 大家さんの意向は? 探りを入れる質問も時には有効です(回答が得られなくても、反応は見ましょう)。
繰り返しますが、とくに、家賃の上昇が激しい人気エリアの定期借家は要注意です。
定期借家を選ぶ場合の心構えと戦略
もし、あなたの状況や希望エリアで定期借家を選ばざるを得ない、あるいはメリットを感じて選ぶ場合、以下の点を覚悟し、対策を立てましょう。
「住み続けられない可能性」を常に意識する
期間満了が近づいたら、再契約の意思確認を早めに行い、もし再契約できない場合に備えて、次の住まい探しの準備も並行して進める必要があります。
できるだけ「長い期間」の契約を狙う
同じ定期借家でも、2年契約よりは3年、5年契約の方が、引っ越しの手間やコストを考えると有利です。
中途解約条項を有利にする交渉
もし途中解約の可能性があるなら、違約金が少しでも軽くなるように交渉できないか試みましょう。
家賃だけでなく「トータルコスト」で判断
定期借家は更新料がないことが多いですが、再契約できずに引っ越すことになれば、敷金・礼金・仲介手数料・引っ越し代などが余計にかかります。
目先の家賃だけでなく、数年間のトータルコストも考慮しましょう。
まとめ:状況を理解し、自分軸で最適な選択を
2025年現在の東京、特に都心部での賃貸選びは、家賃上昇や定期借家の増加など、借り手にとって厳しい側面があるのは事実です。貸主側と借主側は利益相反関係にあるため、事情も複雑に絡み合っています。
しかし、状況を正しく理解し、「普通借家」と「定期借家」それぞれのメリット・デメリットを、あなた自身のライフプランや価値観(何を一番大切にするか?)という「自分軸」で判断すること。
そして、契約時には細部までしっかりチェックし、言うべきことはきちんと主張すること。
これらを実践すれば、あなたは決して不利な状況に流されることなく、納得のいく、そして安心できる住まい選びをすることができるはずです。

この記事が、あなたの賢い賃貸契約の一助となれば幸いです。
あなたの新しい生活が、より良いものになることを心から願っています。
※本記事は、一般的な情報提供を目的としており、個別の契約や法律問題に関する助言や保証を行うものではありません。実際の契約にあたっては、必ずご自身の責任において内容を精査し、必要に応じて不動産取引の専門家や弁護士にご相談ください。 ※不動産に関する法令や市場の状況は変化する可能性があります。常に最新の情報をご確認ください。