転職を成功へ導く志望動機の書き方|未経験・経験者の例文とNG例【履歴書・面接OK】

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※本記事は、主に20〜30代で転職を検討している社会人の方を想定し、一般的な中途採用の選考(書類選考・面接)で使える志望動機の考え方をまとめたものです。

転職活動を始めるとき、多くの人が最初につまずくのが「志望動機(志望理由)」です。

転職したい気持ちはあるけれど、いざ文章にしようとすると一文字も書けない

未経験職種に挑戦したいけれど、どこまで正直に書いていいのか分からない

辞めたい理由はハッキリしているのに、そのまま書いたら落ちる気しかしない

ーーそんなモヤモヤを抱えたまま、履歴書の前で手が止まってしまう人は少なくありません。

本記事では、転職支援や書類添削の現場でよく使われる考え方をベースに、「志望動機の書き方」を分解しながら丁寧に解説します。単なる“きれいごと”ではなく、企業が実際に見ているポイントを踏まえたうえで、自分の言葉で語れる志望動機を作ることを目指します。

この記事を読めば、

志望動機を「目的→経験→未来」の3ステップで組み立てる基本の型
・未経験・経験者それぞれの例文と、履歴書に書くときのテンプレート
・志望動機が思いつかないときの対処法と、プロに添削してもらう方法

など、一通りの流れを把握し、より自分に合った準備の進め方を考えやすくなります。

「とにかく例文を先に見たい!」という方は、「【例文付き】転職の志望動機テンプレート(未経験・経験者)」のから読み始めても大丈夫です。

ねくこ

書き方をしっかり身につけたいという方は、まずは志望動機の“土台”となる考え方から、一緒に見ていきましょう。

目次

転職の志望動機は3ステップで作れる

履歴書の上に、「志」「望」「動」「機」と印字された正方形の木片が置かれている。

採用担当者は、志望動機を通して一体なにを知ろうとしていると思いますか?

もちろん応募先や職種によって違いはありますが、主なポイントは3つ、

  1. 入社意欲
  2. 仕事内容や職場環境との相性
  3. これまでの経験がどれくらい再現できそうか(再現性)

です。

このポイントを「目的 → 経験 → 未来」の3ステップで整理すると、志望動機を組み立てやすくなります。志望動機を作る上での「設計図」となる型なので、この機会に覚えておきましょう。

志望動機を「目的 → 経験 → 未来」の3要素で考える

まずは「目的」「経験」「未来」という3つの箱に分けて書き出すところから始めてみてください。

目的:なぜこの会社・この職種を選んだのか(応募理由)

経験:これまでの仕事や活動の中で、どんな経験・強みがあるのか

未来:入社後にどのように貢献し、どう成長していきたいのか

志望動機を一気に1文で仕上げようとすると手が止まりやすくなりますが、この3つの箱がメモで埋まっていれば、順番に並べて整えるだけで志望動機のたたき台を作れます。

志望動機の3ステップを整理するシートの一例は、次のようなイメージです。

STEP整理すること書き出すときのポイント
STEP1 :目的なぜこの会社・この職種を選んだのか事業内容・サービス、ビジョン、求人票を見て「どこに共感したか」「なぜ今その仕事なのか」を1〜2文で書く
STEP2 :経験これまでの仕事や活動を通じて、どんな経験・強みを身につけたか「いつ・どこで・何をして・どんな結果で・何が身についたか」を具体的なエピソードとして書き出す
STEP3 :未来入社後にどのように貢献し、どう成長していきたいのか入社後3ヶ月〜1年をイメージして、「どのように役に立ちたいか」「どう成長していたいか」を具体的な行動や状態で書く

たたき台に取りかかる前に、次のチェックリストを確認しておきましょう。

  • 「なぜこの会社・この職種なのか(目的)」が、自分の言葉で1〜2文書けている
  • 「これまでの経験・スキル(経験)」が、具体的な業務やエピソードとセットで書けている
  • 「入社後にしたいこと・どう貢献したいか(未来)」が、3ヶ月〜1年後くらいのイメージで書けている
  • ネガティブな退職理由だけで終わっておらず、「応募先で実現したいこと」が入っている

この記事で紹介するテンプレートや例文は、すべてこの「目的 → 経験 → 未来」の3要素にもとづいて作っています。以降は、自分の目的」「自分の経験」「自分の未来」をこの3つの箱に当てはめていくつもりで読み進めてみてください。


STEP
応募企業・職種を選んだ「目的」を言語化する

最初のステップは、なぜこの会社・この職種を選んだのか、応募の目的を自分の言葉でハッキリさせることです。ここがぼんやりしていると、次以降のステップで「経験」や「未来」を足しても、全体の軸がブレてしまいます。

自分の「目的」にクッキリとした輪郭をつくるために、まずは応募先のことを事前に調べる企業研究から始めましょう。ここでは、とくに次の3つのポイントを押さえてください。

企業研究で必ずチェックしたい3つのポイント

  • 事業内容・サービス
    どんな商品・サービスを扱っていて、どんなお客さまに価値を提供している会社なのか。「自分が興味をもてる分野か」「これまでの経験とつながりがありそうか」を意識しながらチェックしてください。
  • ビジョン・ミッション・価値観
    企業のホームページや採用ページに書かれている「目指している姿」「大切にしている価値観」が自分の考え方や仕事観と合うか、確認します。共感できるフレーズがあればメモしましょう。
  • 求人票(仕事内容・求める人物像)
    実際にどんな業務を担当し、どんなスキルやスタンスが求められているのか。「この仕事なら、自分のどんな経験が活かせそうか」「求める人物像のどの部分に自分が当てはまりそうか」、書き出しておきます。
ねくこ

求人票や企業ページを見ながら、この3つについて「気になった点・共感した点・自分とつながりそうな点」をメモしておくと、そのまま志望動機の「目的」部分の材料になりますよ。

補足:主な志望動機が待遇の良さや安定性の場合

「給与」や「残業の少なさ」「安定性」といった待遇面が志望動機となる場合もあるでしょう。

  • 給与を上げたい
  • 残業が少ない会社がいい
  • 家から近い職場がいい

こうした本音を出発点に転職先を考えること自体はごく自然です。

ただ、そのまま志望動機として書いてしまうと「自分の都合だけで選んでいる」と受け取られやすいため、一段深掘りして前向きな理由に言い換えるのがおすすめです。

たとえば、次のように考えてみてください。

給与アップ →
専門性や成果に見合った評価を受けながら、長期的にキャリアを築いていきたい」という価値観に言い換える

残業が多くてつらい →
無理のない働き方で、仕事の質やお客さまへの価値提供に集中したい」という前向きな働き方の希望に変える

家が近い・通勤がラク →
生活とのバランスを取りながら、腰を据えて長く貢献したい」「地域に根ざして働きたい」といった将来像につなげる

大事なのは、嘘の理由をつくることではなく、「なぜそう思うのか」を一段深く言語化することです。

このステップで「応募の目的」が自分の中でハッキリしていると、STEP2(経験の棚卸し)やSTEP3(未来のイメージ)もスムーズに書けるようになります。

STEP
「経験」から強みを抽出する

STEP1で「なぜこの会社・この職種なのか」という目的が見えたら、次はその目的に対して、どんな経験・強みをもっているかを言葉にしていきます。

ここで大事なのは、「立派な実績」だけを探そうとしないこと。正社員の仕事だけでなく、アルバイト、インターン、サークル、副業、ボランティアなども含めて、

  • いつ
  • どこで
  • 何をして
  • どんな結果になり
  • そこで何が身についたか

を洗い出してみてください。

経験を「エピソード → 行動 → 結果 → 強み」に分けてみる

志望動機に書かれた経験が「頑張りました」「いろいろ学びました」だけでは、その経験からあなたがどのような力や強みを得たか、採用担当者に伝わりにくくなってしまいます。

そこで、1つ1つの経験を、次の4つに分けて整理してみましょう。

  1. 経験・エピソード:どんな場面の話か(例:コールセンターでのクレーム対応)
  2. やったこと(行動):そのとき自分が具体的に何をしたか
  3. 得られた結果:その行動の結果どうなったか(数字・変化・周囲の反応など)
  4. 強みとして言い換えると…:その経験からどんな強み・スタンスが見えるか

それぞれ、一気に文章にしようとせず、まずはメモレベルで表に書き出してみてください。

経験棚卸しシート(書き出し用フォーマット)

スクロールできます
時期・期間経験・エピソードやったこと(行動)得られた結果強みとして言い換えると…
例:2022年4月〜2023年3月コールセンターでの問い合わせ対応多い日で1日50件以上の電話に対応し、内容を整理して共有した対応件数がチーム内トップ、感謝の声も多くもらえた丁寧な顧客対応と情報整理ができる

※表内の記載は一例。

このフォーマットを参考に、自分の経歴をまとめてみてください。

ねくこ

手始めに4〜5行分を書いてみて、ほかに書けることはないか考えてみましょう。

未経験・第二新卒でも書きやすい強みのヒント

職種未経験での転職や、社会人経験がまだ浅い場合は、次のような経験から強みを探してみるのも良いでしょう。

  • アルバイトやインターンでの接客・事務作業
  • サークル・部活での役割(幹事・リーダー・会計など)
  • 学生時代のコンテスト・ゼミ・研究プロジェクト
  • ボランティアやイベント運営の経験

たとえば、次のように言い換えることができます。

「飲食店アルバイトで注文ミスを減らした」
丁寧な確認とミスを減らす工夫ができる

「サークルの新歓イベントを企画・運営した」
人を巻き込みながら物事を進める調整力がある

「レジ・在庫管理を任されていた」
お金や商品を扱う基本的な正確さと責任感がある

このSTEP2は、あとで出てくる「未経験向け」「職種別」の例文にそのままつながる部分です。まずは深く考えすぎず、経験をシートにどんどん書き出ことから始めてみてください。

STEP
入社後に実現したい「未来」を具体的に描く

STEP1で「なぜこの会社・この職種なのか」という目的が決まり、STEP2で「どんな経験・強みがあるか」を書き出したら、最後は入社後の未来像を言葉にしていきます。

ここが「成長したいです」「頑張ります」といった抽象的な文章だけになってしまうと、せっかくの目的や経験とのつながりが弱くなってしまいます。

ねくこ

応募先の仕事や、自分の強みとリンクさせながら、「具体的にどんな状態を目指したいのか」をイメージしてみましょう。

入社後3ヶ月〜1年の行動・成長をイメージする

未来の話といっても、いきなり「10年後のキャリア」を語る必要はありません。まずは、入社後3ヶ月〜1年くらいのイメージから言葉にしてみると具体化しやすくなります。

たとえば、次のような切り口で考えてみてください。

【最初の3ヶ月】
どんな業務をどのくらいのレベルまでできるようになっていたいか
例:担当する○○業務を一通り自走できるようになり、先輩に確認をもらいながらもミスなく進められている など

【半年〜1年】
どんな役割を担えるようになりたいか、どんな成果を出したいか
例:自分から改善提案ができるようになり、売上・工数削減・満足度アップなど、数字や変化として貢献できている など

【目的・経験とのつながり】
STEP1で言語化した「目的」と、STEP2で整理した「経験・強み」が、入社後のどんな場面で活きそうかを考えてみましょう。

ここで書いた内容は、そのまま「未来」パートの材料になります。


これまで○○の経験を通じて身につけた□□を活かしながら、入社後はまず○○の業務を正確に担えるようになることを目指しています。そのうえで、半年〜1年後には△△のような改善提案にも取り組み、御社の□□に貢献したいと考えています。

このように、「やりたいこと」だけでなく「そのためにどんな行動をするか」「どのくらいの期間でどこまで到達したいか」まで書けると、採用側に「採用したらどの場面でどう活躍してくれそうか」を具体的にイメージしてもらいやすくなります。

面接で履歴書と「同じ軸」で話すためのポイント

男性と女性が並んで面接を受けている

志望動機の「未来」パートは、履歴書だけで完結するものではありません。履歴書に書いた志望動機と、面接で聞かれる「志望動機」「入社後にやりたいこと」を、同じ軸で話せるようにしておくことが大切です。

  • 履歴書では、200〜300字くらいの中で「目的→経験→未来」をコンパクトにまとめる
  • 面接では、その軸は変えずに、具体例やエピソードを足しながら1〜2分で話せるボリュームにする
  • 書類と面接で、まったく別のことを言わず、「方向性は同じ・説明の厚みが違う」状態を目指す

こうしておくと、「この人は一貫した考えを持っている」という安心感につながります。

詳しい「面接での志望動機の話し方」については、後半のQ&Aパート(面接で話す志望動機は履歴書と同じ文面でも大丈夫?)で解説します。

【例文付き】転職の志望動機テンプレート(未経験・経験者)

PCで文章を作る様子(イメージ)

ここからは、3ステップで整理した「目的・経験・未来」を文章にしていきます。

まずは、「自分は未経験から挑戦するのか」「同じ職種での転職なのか」を意識しながら、当てはまりそうなテンプレートと例文をチェックしてみましょう。

未経験からの転職志望動機(5職種の例文)

未経験職種への転職では、「経験がないから書くことがない」と感じてしまいがちですが、志望動機の基本の型は先述した「目的 → 経験 → 未来」と同じです。

ここでは、未経験からの転職でも使いやすい共通テンプレートと、5つの職種別の例文を紹介します。

テンプレートの構成

1文目:目的(なぜその会社・職種か)
2文目:経験(未経験でも活かせる経験・強み)
3文目:未来(入社後にどう貢献したいか)
4文目:姿勢(そのためにどんな努力をするか)

未経験向け 共通テンプレ(3〜4文構成)

まずは、どの職種にも応用しやすい未経験向けの共通テンプレです。
【 】の部分をご自身の内容に置き換えて使ってください。

私は【これまでの経験/学び】を通じて【興味を持った分野】に強い関心を抱くようになり、【理由】から【会社名】の【職種名】に未経験から挑戦したいと考え、応募いたしました。これまでの【アルバイト/現職/学生時代】では【具体的な業務や活動内容】に取り組む中で、【身につけたスキルや強み】を培ってまいりました。

入社後は、まず【担当したい業務】を一つひとつ正確に身につけ、【目指したい状態・数字など】の達成を通じて貢献していきたいと考えております。そのために現在は、【資格の勉強/関連分野のインプット/必要なスキル習得のために取り組んでいること】にも継続して取り組んでおります。

この型をベースに、次の職種別の例文を参考にしながら、自分用の志望動機にアレンジしていきましょう。

事務・バックオフィス職の例文(未経験)

私は飲食店でのアルバイトを通じて、予約管理や売上集計などの事務作業を担当し、数字を扱いながら裏方として店舗運営を支える仕事にやりがいを感じてまいりました。とくに、売上データの集計や予約状況の整理によって業務の抜け漏れが減った経験から、バックオフィスの役割をより専門的に担いたいと考え、各部署の業務を幅広く支える貴社の事務職を志望いたしました。

事務職は未経験ですが、日々の業務で培った数字に対する正確さと、締め切りを守って業務を完了させる姿勢を活かし、まずは担当するデータ入力や書類作成を確実かつ期限内に遂行できるよう努めてまいります。そのうえで、業務手順の見直しや簡単な集計フォーマットの作成などにも主体的に取り組み、よりスムーズなバックオフィス体制づくりに貢献したいと考えております。

こんな人向けの例文です:
アルバイトや別職種での事務作業・数字管理・裏方業務の経験があり、「正確さ」や「サポート役」を強みにしたい未経験者

営業職の例文(未経験)

私はアパレルショップでの販売アルバイトを通じて、お客さまのお話を丁寧にうかがい、一人ひとりに合った商品をご提案することに大きなやりがいを感じてきました。とくに、私の接客をきっかけに再来店してくださるお客さまが増えていった経験から、「お客さまと継続的な関係を築きながら価値を提案する営業職」に本格的に挑戦したいと考え、法人向けの提案営業に注力されている貴社を志望いたしました。

入社後は、まず貴社の商品・サービスへの理解を深めるとともに、先輩方の商談の進め方や提案の工夫を積極的に学び、一日も早く一人前の営業としてお客さまから信頼される存在になることを目指します。そのうえで、中長期的には担当企業の課題を丁寧に把握し、継続的な取引や売上拡大につながる提案を行うことで、貴社の事業成長に貢献していきたいと考えております。

こんな人向けの例文です:
接客・販売経験があり、「対人対応」「提案するのが好き」という強みから営業職に転職したい未経験者

ITエンジニア/Web系の例文(未経験)

前職では事務職として、業務マニュアルの作成や Excel の関数を用いた業務効率化に取り組む中で、『仕組みで仕事を楽にする』ことに興味を持つようになりました。独学でプログラミングを学び、小規模な Web サイトを制作した経験から、今後は IT エンジニアとして本格的に開発に携わりたいと考えております。中でも、未経験者の育成実績があり、自社サービスの開発に携われる環境が整っている貴社を志望いたしました。

入社後は、まず基礎的な言語やフレームワークの習得に力を入れるとともに、先輩エンジニアのコードレビューを積極的に受けながら、着実に開発スキルを高めてまいります。将来的には、ユーザーにとって使いやすい機能を自ら提案・実装できるエンジニアとして、貴社のサービス向上に貢献していきたいと考えております。

こんな人向けの例文です:
事務・営業など別職種から、独学やスクールでプログラミングを学び、未経験からIT・Webエンジニアを目指したい人

企画・マーケティング職の例文(未経験)

私は小売店でのアルバイトを通じて、POP の内容や店内レイアウトを工夫し、担当売り場の売上を前年より伸ばした経験があります。このとき、商品そのものだけでなく、『見せ方や伝え方』によってお客さまの反応が大きく変わることにおもしろさを感じ、マーケティングの仕事に関心を持つようになりました。

貴社の ○○ 事業が、データにもとづいて施策を検証・改善し続けている点に魅力を感じております。入社後は、まずリサーチや数値集計などの基礎業務から経験を積み、先輩方の企画にも積極的に関わりながら、将来的にはユーザーの行動データをもとに施策を立案できるマーケターとして貴社に貢献したいと考えております。

こんな人向けの例文です:
販売・広報・事務などの経験から「見せ方・伝え方」に興味を持ち、企画・マーケ職に未経験転職したい人

販売・サービス職の例文(未経験)

前職では事務職として電話やメールでのお客さま対応を担当する中で、直接お顔を見ながらコミュニケーションを取り、その反応を感じられる仕事に挑戦したいと考えるようになりました。中でも貴社の○○ブランドは、接客品質を大切にしつつ、スタッフ一人ひとりの提案も重視されている点に魅力を感じ、販売職として応募いたしました。

これまで事務職で培ってきた丁寧な言葉遣いや正確な事務処理の経験を活かし、入社後はまず商品知識と接客スキルを身につけ、お客さまに安心してご相談いただける販売スタッフを目指してまいります。ゆくゆくは、売場づくりや新人育成にも積極的に関わりながら、店舗全体のサービス向上に貢献していきたいと考えております。

こんな人向けの例文です:
事務・コールセンター・別業界から、対面での接客・販売の仕事にチャレンジしたい未経験者

例文の使い方&チェックリスト

ここまでのテンプレートや例文は、あくまで「流れ」や「言い回し」のサンプルです。そのままコピペしてしまうと、内容と合っていなかったり、他の応募者と似た志望動機になってしまったりするリスクがあります。

使うときは、必ず次のチェックリストを確認してください。

  • 【コピペ禁止】
    文章の構成や言い回しだけを参考にし、自分の「目的・経験・未来」に必ず置き換える
  • 【事実との一致】
    実際に経験していないことや、盛りすぎた数字・役割は書かない
  • 【応募先との一致】
    会社名・事業内容・職種名・やりたいことを、応募先企業に合わせて書き換える
  • 【一貫性】
    履歴書・職務経歴書・面接で話す内容が、同じ方向性になるように整える

経験者の転職志望動機(転職理由タイプ別の例文)

経験者の転職では、本当の退職理由をそのまま書くとネガティブに受け取られないか、心配になることが多いと思います。とはいえ、理由を隠したり、まったく違う話を作る必要はありません

ここでは、よくある4つの転職理由ごとに、NG例・問題点・前向きな書き方の例を紹介します。

① キャリアアップ・年収アップが主な理由の場合

【NG例】
現職の給与水準が低く、今後も大きな昇給が見込めないため、より高い年収を得られる御社を志望しました。

【問題点】
「年収さえ上がればどこでもよい」という印象になりやすい
現職でどんな経験を積んできて、なぜその経験を次の環境で活かしたいのかが伝わらない
応募先の事業内容や仕事内容への理解・関心が見えない

【改善例】
現職では法人営業として中小企業のお客さまを中心に担当し、新規開拓と既存顧客の深耕に取り組んでまいりました。その結果、昨年度は担当売上を前年度比120%まで伸ばすことができました。今後は、より高い目標と責任を担える環境でこれまでの経験を活かし、提案の幅をさらに広げていきたいと考えております。

貴社は○○業界をリードする企業として幅広いソリューションを提供しており、その中で高い専門性を求められる提案営業に挑戦できる点に大きな魅力を感じております。これまで培ってきた提案力を一層磨き、中長期的には成果にふさわしい評価と報酬をいただけるレベルまで成長することで、貴社の事業拡大に貢献していきたいと考え、志望いたしました。

【ポイント】
「お金が理由です」ではなく、「実力に見合う環境・役割を求めている」軸に言い換える
そのうえで、「成果に見合った評価・報酬を得られる環境で成長したい」と、年収アップは結果として触れる
嘘の実績を作るのではなく、実際に努力してきたこと・結果を具体的に示す

② 働き方・人間関係の不満を前向きに伝えたい場合

【NG例】
現職は残業が非常に多く、上司との人間関係も悪いため、働きやすい環境を求めて御社への転職を希望しています。

【問題点】
前職や上司への不満が前面に出てしまい、愚痴のように聞こえる
「働きやすさ」以外に、応募先で何を実現したいのかが分からない
自分自身が環境に依存しやすい人、責任転嫁しやすい人に見えてしまうリスクがある

【改善例】
現職では、繁忙期に深夜残業や休日対応が続くことも多く、その経験を通じて、無理のない働き方の中で長く力を発揮し続けられることの重要性を強く意識するようになりました。その一方で、限られた時間の中でも業務の優先順位を整理し、チームで協力しながら成果を上げる働き方を大切にしてまいりました。

貴社が○○への取り組みを通じて、生産性向上と働きやすさの両立を図っておられる点に大きな共感を抱いております。これまで培ってきた業務の段取り力や周囲との連携力を活かし、メリハリをつけて働ける環境のもとで質の高いアウトプットを継続的に生み出すことで、貴社に貢献していきたいと考え、志望いたしました。

【ポイント】
「何が嫌か」ではなく、「どんな働き方・価値観を大事にしたいか」に焦点を移す
前職の不満は、あくまで「自分の大切にしたい働き方に気づくきっかけ」として触れる
他人や環境の悪口にならないように注意する

③ 会社の将来性・事業方針への不安が理由の場合

【NG例】
現職では業績悪化が続いており、事業の将来性に不安を感じたため、安定している御社を志望しました。

【問題点】
「安定していればどこでもよい」という印象になりやすい
自分がどんな事業・方向性で力を発揮したいのかが見えない
現職の状況批判だけに聞こえ、応募先の事業理解や共感が伝わらない

【改善例】
現職では新規事業が縮小され、既存事業に経営資源を集中する方針となりました。その中で、自分が今後挑戦していきたい領域とのギャップを感じるようになりました。これまで○○分野の営業を担当する中で、特に△△の課題解決に携わる仕事に大きなやりがいを感じてまいりました。

貴社は○○事業を通じて中長期的なビジョンを明確に掲げており、□□の分野にも積極的に投資されている点に強い魅力を感じております。これまで培ってきた業界知識と提案力を活かしながら、貴社の事業成長に継続的に貢献していきたいと考え、志望いたしました。

【ポイント】
「会社が不安だから辞める」ではなく、「自分が向かいたい方向と会社の方針がズレてきた」ことを軸にする
応募先企業のビジョンや事業戦略に触れ、「その方向性に共感している」ことを具体的に示す
安定性そのものよりも、「その事業でどんな価値を出していきたいか」を語る

④ 仕事内容・やりたいことのミスマッチが理由の場合

【NG例】
現職では希望していた企画職に就けず、単純作業が中心の業務内容だったため、自分のやりたい仕事ができる御社への転職を希望しています。

【問題点】
「やりたいことができないから辞める」という、わがままな印象になりやすい
現職でどんなことに取り組み、その中で何を学んだのかが伝わらない
応募先で「何をしたいのか」が具体化されていない

【改善例】
現職では事務職としてデータ入力や資料作成を中心に担当してまいりましたが、その中で数字の推移を分析したり、資料の構成を工夫したりすることに特におもしろさを感じてきました。一方で、業務の特性上、自分から企画や改善提案に踏み込める場面は限られており、今後はより能動的に施策の立案に関われるポジションに挑戦したいと考えるようになりました。

貴社の○○職は、データ分析にもとづいて施策を企画し、その実行まで一貫して携われる点に大きな魅力を感じております。これまでの事務経験で培ってきた正確さや情報整理力を土台に、企画・改善の業務にも積極的に取り組み、ゆくゆくは売上や業務効率の向上にまでつながる提案ができる人材を目指したいと考え、志望いたしました。

【ポイント】
「やりたいことができなかった不満」だけで終わらせず、「現職の経験を通じて、自分はこういう仕事にやりがいを感じると気づいた」と説明する
応募先では、その「やりがいを感じる仕事」がどのようにできるのかを具体的に示す
現職で取り組んできたことも肯定しつつ、「次の一歩」としての転職であることを伝える

ねくこ

事実をねじ曲げて前向きな理由を作る必要はありません。

どのパターンでも、事実のどこに焦点を当てるかと、「目的 → 経験 → 未来」の流れを意識することが大切です。

履歴書に書く志望動機テンプレ(文字数・フォーマット)

履歴書の志望動機欄

「目的・経験・未来」を一通り文章にしてきましたが、履歴書の志望動機欄の限られたスペースでは要点だけをまとめる必要があります。

この章では、履歴書に書くときの文字数の目安と、ここまでで作った志望動機をコンパクトにまとめる手順を紹介します。

履歴書の志望動機欄|構成と文字数の目安

履歴書の志望動機欄は、次のようなイメージで書くとバランスを取りやすくなります。

・文字数の目安:200〜300字程度
・文数の目安:3〜4文(目的→経験→未来の順)
・1文の長さ:40〜60字前後を目安に、読点ばかりにならないよう区切る

構成としては、次の3つが入っていれば十分です。

  1. 【目的】なぜこの会社・この職種を選んだのか
  2. 【経験】これまでのどんな経験・強みを活かしたいのか
  3. 【未来】入社後にどう貢献したいのか

「エピソードの詳細」や「細かい背景説明」は職務経歴書や面接に回し、履歴書の志望動機欄ではなるべくシンプルに”が分かるようにまとめる意識を持つと、読みやすくなります。

イメージとしては、次のような枠に200〜300字を書くイメージです。

履歴書 志望動機欄に記載する内容のイメージ

1行目に「目的(なぜこの会社・職種か)」、2〜3行目に「経験(活かせる経験・強み)」、最後に「未来(入社後の目標・貢献イメージ)」が入っていれば十分です。

作った志望動機を履歴書サイズにまとめる手順

ここまでのテンプレートや例文を使い、すでに志望動機の文章がある程度まとまっている場合は、次の手順で履歴書用に圧縮します。

  • 今の志望動機文をそのままコピーペーストする
  • 「目的」「経験」「未来」にあたる文に線を引く、もしくは【目的】【経験】【未来】とメモする
  • 同じ内容を繰り返している部分や、細かい背景説明(部署の仕組み・細かな経緯など)を削る
  • 主語や会社名が続くところは、「その後」「この経験」などに言い換えて文字数を節約する
  • 目安の200〜300字に収まっているかを確認し、足りない場合は「未来」の部分にもう一文だけ付け足す

履歴書用の志望動機テンプレ(例)

私は【これまでの経験分野】で【担当業務】に携わる中で、【感じてきた課題ややりがい】を通じて【応募先の事業や職種】に興味を持ちました。とくに、貴社の【事業内容・特徴】は、【共感したポイント】という点で魅力を感じています。
前職では【具体的な業務内容】を担当し、【成果や学び】を得てまいりました。これらの経験を活かし、入社後は【担当したい業務】に主体的に取り組むことで、【貢献したい内容(数字・改善など)】に寄与したいと考え、志望いたしました。

最後に、声に出して読んだときに「1分もかからず読み切れるか」を目安にすると、採用担当者にとっても負担の少ない分量になります。細部のエピソードは職務経歴書や面接で補足する前提で、「目的 → 経験 → 未来」がコンパクトに伝わるかを意識して整えてみてください。

ここまでのテンプレと例文をもとに書き直しても、「本当にこれでいいのか不安」「企業ごとに合わせて調整できない」という人もいると思います。その場合は、転職エージェントに志望動機を見てもらうのも一つの方法です(詳しくは後述します)。

志望動機で落ちやすいNG例と改善パターン

NGのイメージ。女性が腕で×を作っている

ここまで、志望動機の「基本の型」と、未経験職種への応募と経験職種への応募の例文を見てきました。次に、よくある「落ちやすい志望動機」のパターンと、その直し方を押さえておくと安心です。

この章では、ありがちなNG例を3パターン取り上げ、「なぜ評価されにくいのか」「どこをどう直せばよいのか」を具体的に解説します。

自分の志望動機が当てはまっていないかを確認しながら読み進めてみてください。

NGパターン①:退職理由だけを並べたネガティブな志望動機

まず代表的なNGパターンが、

「辞めたい理由」ばかりが詳しく書かれ、「応募先でどうしたいか」が抜けている

です。

【NG例】
現職では成果を出しても評価や昇給につながらないことが多く、不公平さを感じて退職を決意しました。正当な評価制度が整っている御社であれば安心して働けると考え、志望いたしました。

【問題点】
現職への不満が中心で、愚痴のように聞こえてしまう
「なぜその会社なのか」「そこでどんな成長や貢献をしたいのか」が分からない
評価されることだけが目的の人に見え、仕事の中身への関心が伝わらない

【改善例】
現職では法人営業として中小企業のお客さまを担当し、新規・既存いずれの案件においても目標達成に向けて取り組んでまいりました。一方で、評価やフィードバックの仕組みが十分でないことから、自分の強みや課題を客観的に把握しづらいと感じる場面がありました。

こうした経験を通じて、成果に対する適切なフィードバックを受けながら、成長と貢献の両方を実感できる環境で働きたいと考えるようになりました。貴社は目標設定や評価の基準を明確にし、面談などを通じて社員の成長を支援されている点に大きな魅力を感じております。これまで培ってきた提案力と粘り強い営業スタイルを活かし、より高い目標に挑戦するとともに、売上拡大や顧客満足度の向上を通じて貴社の事業成長に貢献していきたいと考え、志望いたしました。

【ポイント】
「評価されない不満」だけで終わらせず、「どんな環境でどう成長・貢献したいのか」に焦点を移している
前職の課題を「自分の価値観や大事にしたい働き方に気づくきっかけ」として簡潔に触れる
応募先の評価・育成の仕組みに触れ、「そこでどう力を発揮したいのか」を具体的に書いている

このように、「何が嫌か」を並べるのではなく、「その経験を通じてどんな価値観に気づき、応募先で何を実現したいのか」に焦点を移すことで、同じ事実でも前向きな志望動機として伝えやすくなります。

NG例 → 改善例の比較表

自分の志望動機が「退職理由だけで終わっていないか」を確認するために、NG例と改善例を並べて見てみましょう。

スクロールできます
パターンNG例問題点改善例
退職理由だけを並べた志望動機現職では残業が多く、休日出勤も頻繁なため、体力的に厳しいと感じるようになりました。そのため、ワークライフバランスを重視し、残業が少ない御社を志望しました。・現職への不満だけが強調されており、愚痴のように見えてしまう
・応募先で何を実現したいのかが伝わらない
・「働きやすさだけが目的」のように見える
現職での過度な残業や休日対応を経験する中で、「長期的に力を発揮できる働き方」の重要性を感じるようになりました。そのうえで、限られた時間の中でも業務の優先順位を整理し、チームで協力しながら成果を出してきました。
貴社の○○といった取り組みにより、生産性向上と働きやすさの両立を図っている点に共感しています。これまでの経験で培った段取り力や周囲との連携力を活かし、メリハリをつけて働ける環境のもとで貢献したいと考え、志望いたしました。

※ここで紹介している事例は一例であり、企業や職種・ポジションによって評価ポイントは異なります。

ねくこ

このように並べると、「退職理由だけで終わっているか」「応募先で実現したいことまで書けているか」の違いが分かりやすくなりますね。

事実と違う志望動機を書くのはNG

退職理由を前向きに言い換えようとするときに、やってはいけないのが「事実と違う理由を新しく作ってしまうこと」です。

たとえば、本当は「残業が多く、家族との時間がほとんど取れないこと」が転職理由なのに、「御社の業界に昔から憧れていた」といった事実と異なる理由を書いてしまうと、

  • 面接で話が噛み合わなくなる
  • 職務経歴書やこれまでのキャリアと一貫性がなくなる
  • 採用側に「話を盛る人」と受け取られてしまう

といったリスクがあります。

大切なのは、事実の「どこに光を当てるか」を工夫することです。

  • 不満を感じた経験 → 「自分が大事にしたい価値観や働き方」に気づくきっかけとして説明する
  • そのうえで、応募先では「その価値観をどのように実現したいか」を具体的に書く

このように、「事実はそのまま」「焦点の当て方を変える」という意識で言い換えると、無理なく前向きな志望動機に近づけていけます。

NGパターン②:どの企業にも当てはまる“浅い志望動機”

次によくあるのが、

「頑張りたい」「成長したい」といった抽象的な言葉ばかりが並び、具体的なイメージが伝わらない

というパターンです。

文章量が多いわりに、「結局この人は何ができて、何をしたいのか」が伝わらないと、評価されにくくなってしまいます。

【NG例】
貴社の成長性に魅力を感じ、これまでの経験を活かして貢献したいと考え志望いたしました。

【問題点】
「成長性に魅力を感じた」だけでは、他社との違いが見えない
自分のどの経験を、どの業務にどう活かしたいのかが分からない
会社研究や求人内容をきちんと読んでいない印象を与えやすい

【改善例】
○○業界の中でも、貴社は○○事業を通じて中小企業のDX支援に注力されており、特に△△のサービスで顧客基盤を拡大している点に魅力を感じています。

現職では法人営業として、中小企業のお客さまに業務効率化ツールを提案し、導入後の運用フォローまで一貫して担当してきました。その経験を通じて、単なるツールの導入だけでなく、現場の業務プロセスに踏み込んで課題を整理することの重要性を学びました。

貴社でも、こうしたヒアリング力と提案力を活かしながら、○○事業の提案営業としてお客さまの業務改善に伴走し、サービスの継続利用・アップセルに貢献したいと考え、志望いたしました。

このように、「御社の成長性に魅力を感じました」だけで終わらせず、

その会社の「どの事業・どのサービス」の「どんな取り組みや特徴」に共感しているのか

まで具体的に書くことで、「この会社だから志望している」ことが伝わりやすくなります。

コピペ志望動機の典型例

一見それっぽく見えて、実はどの企業にも当てはまってしまう“コピペ志望動機”には、次のような特徴があります。

  • 「御社の成長性に魅力を感じました。」
  • 「貴社の企業理念に共感し、応募いたしました。」
  • 「これまでの経験を活かして御社に貢献したいと考えています。」

これらの文そのものが悪いわけではありませんが、「何の成長性なのか」「理念のどこに共感したのか」「どんな経験をどう活かすのか」が書かれていないと、コピペでどの企業にも使いまわせる浅い志望動機に見えてしまいます

自分の志望動機が上のような一文で終わっていないか、一度チェックしてみてください。

求人票からキーワードを拾って盛り込む方法

どの企業にも当てはまる“浅い志望動機”になってしまうのを避けるには、企業のホームページだけでなく、求人票に書かれている言葉をきちんと拾っておくことが大切です。

ねくこ

求人票には、その会社が「どんな仕事を任せたいのか」「どんな人に来てほしいのか」が端的に表れています。

たとえば、求人票を読むときは次のポイントに印をつけてみてください。

【仕事内容】
 例:「既存顧客へのルート営業」「新規顧客への提案」「導入後のフォロー」など

【扱う商材・サービス】
 例:「クラウド型の○○サービス」「自社開発の△△システム」など

【求める人物像】
 例:「課題を自ら発見し、改善提案できる方」「チームで協力しながら業務を進められる方」など

【歓迎される経験・スキル】
 例:「法人営業経験」「IT業界での勤務経験」「数値管理が得意な方」など

これらのキーワードに近いものや活かせそうなものを、自分の経験から書き出して線で結びながら、

・「求人票にある『○○』という業務内容に、現職での○○の経験が活かせると考えています。」
・「『□□な方を歓迎』と記載されていた点に、自分の△△という強みが合致すると感じました。」

といった形で、志望動機の文章に具体的に盛り込んでいくと、「この求人をきちんと読んだうえで応募している」と相手に伝わりやすくなります。

志望動機の文章として落とし込むときは、次のようなまとめ方が一つの目安になります。

志望動機のまとめ方(例
御社が募集されている【求人票の職種名】では、『【求人票に書かれている主な業務内容】』に取り組める点に大きな魅力を感じております。現職では【自分の具体的な業務内容】を担当し、その中で【身につけたスキルや強み】を培ってまいりました。

求人票に記載されている『【求める人物像や歓迎経験】』が自分の志向やこれまでの経験と重なると感じており、これまで培ってきたスキルや強みを活かして【応募先で実現したいこと】の実現に貢献したいと考え、志望いたしました。

ねくこ

このように、求人票の言葉と自分の経験を「一対一で結びつける」イメージで書いていくと、どの企業にも当てはまる志望動機から一歩抜け出しやすくなります。

NGパターン③:抽象的・長すぎ・数字のない志望動機

もうひとつよくあるのが、

「頑張りたい」「成長したい」といった抽象的な言葉ばかりが並び、具体的なイメージが伝わらない

パターン。

文章量が多いわりに、「結局この人は何ができて、何をしたいのか」が伝わらないという場合、評価されにくくなってしまいます。

【NG例】
これまでの経験を活かして、御社でさまざまなことにチャレンジしながら成長していきたいと考えています。前職で学んだことを活かしつつ、新しいことにもどんどん挑戦し、御社に貢献できるよう頑張ります。

【問題点】
「さまざまなこと」「新しいこと」など、中身が分からない抽象的な表現が多い
「成長したい」「頑張ります」といった姿勢だけで、具体的な経験やスキルが見えない
どの企業にもそのまま当てはまり、志望先との結びつきが弱い

【改善例】
現職では店舗スタッフとしてレジ対応や在庫管理に加え、週1回の売場レイアウト変更も担当してまいりました。特に季節商品の陳列を工夫したことで、担当売場の売上を前年同月比110%まで伸ばした経験があります。

貴社の○○ブランドでも、こうした現場での工夫と数字を意識した売場づくりの経験を活かし、まずは一店舗の売上拡大に貢献したいと考えております。ゆくゆくは複数店舗の販売計画やスタッフ育成にも関わりながら、売上と接客品質の両面で成果を上げられる人材として成長していきたいと考え、そのようなキャリアを実現できる環境である貴社を志望いたしました。

このように、同じ「成長したい」「貢献したい」という気持ちでも、

  • どんな業務を
  • どのくらいの規模・数字で
  • どのように工夫してきたのか

まで書けているかどうかで、伝わり方が大きく変わります。

抽象表現を具体化するチェックリスト

自分の志望動機が「ふわっとしているな」と感じたら、次のチェックリストに当てはめてみてください。

  • 「頑張りたい」「成長したい」「貢献したい」だけで終わっていないか
  • 「さまざまなこと」「いろいろな経験」「新しいこと」など、ぼんやりした名詞が多くないか
  • 数字(件数・割合・期間・規模など)や固有名詞(商品名・サービス名・部署名など)が1つも入っていない文章になっていないか
  • 自分が実際にやってきた「行動」(〜を担当した/〜を工夫した/〜を提案した など)が書かれているか

当てはまる項目が多いほど、抽象的で読み手に伝わりづらい志望動機になっている可能性が高くなります。

長い一文を短く切るテクニック

志望動機を具体的に書こうとすると、一文の中に「やったこと」「結果」「気づき」「志望理由」を全部詰め込んでしまい、読みづらくなってしまうことがあります。

そんなときは、次のようなステップで一文を分割してみてください。

  • まずは伝えたいことを一気に書く
  • 書いた文の「経験」「結果」「気づき」「志望理由」にあたる部分に線を引く
  • 「経験」と「結果」で1文、「気づき」と「志望理由」で1〜2文、といった形で区切る
  • 「そして」「また」「この経験から」などのつなぎ言葉を足し、読みやすく整える

たとえば、こんな長い一文があったとします。

現職では店舗スタッフとして接客やレジ対応を行う中でお客さまからの問い合わせをきっかけに売場づくりの工夫にも取り組み季節商品の陳列を変えることで売上アップにつなげる経験をして御社でもこうした経験を活かして貢献したいと考え志望いたしました。

これを分けると、次のようになります。

現職では、店舗スタッフとして接客やレジ対応を行う中で、お客さまからの問い合わせをきっかけに売場づくりの工夫にも取り組んできました。

季節商品の陳列を変えることで売上アップにつなげられた経験もあります。

御社でも、こうした現場での工夫の経験を活かして貢献したいと考え、志望いたしました。

同じ内容でも、一文を適度に区切るだけで、読み手の負担は大きく変わります。書き終えたら、一度声に出して読んでみて、「息継ぎせずに読めない一文」がないかをチェックしてみてください。

さまざまなNG例と改善パターンを読んで、「自分の志望動機もNGのどれかに当てはまるのでは…」と不安に感じた方もいるかもしれません。志望動機は自分のことを自分で書くぶん、どうしても主観に偏りがちで、一人では「本当にこれで伝わるのか」という視点を持ちづらくなります。

そんなときは、友人や同僚など第三者に一度読んでもらうのもひとつの方法です。

なかでも転職エージェントは、企業ごとに「どんな志望動機が評価されやすいか」といった傾向を踏まえたうえで、具体的なアドバイスをもらえることが多いです。詳しくは後述の「志望動機に不安があるなら転職エージェントを活用しよう」で紹介します。

志望動機に関するよくある疑問(FAQ)

ペンを持った手と、FAQと書かれたノート。

「志望動機 思いつかない」「志望動機 お金」「履歴書 志望動機 文字数」などのキーワードで実際に検索されがちな疑問を、Q&A形式でまとめました。

これまでの内容を振り返りつつ、「自分のケースだとどう考えればいいか」を整理するつもりで読んでみてください。

志望動機が思いつかない/書けないときの対処法は?

最初から「完璧な一文」をひねり出そうとすると、ほとんどの人は手が止まってしまいます。いきなり文章ではなく、まずはメモレベルで要素を出していくのがおすすめです。

たとえば、次の3つを箇条書きしてみてください。

  • 転職理由(なぜ今の会社を変えようと思ったのか)
  • 応募理由(なぜこの会社・この職種なのか)
  • 将来像(ここで働くことで、どんな働き方・キャリアを実現したいのか)

出てきたメモを「目的 → 経験 → 未来」の順に並べ替え、2〜4文にまとめると、志望動機のたたき台になります。文章にするのはそのあとで大丈夫。「一文を磨く」のではなく、「何を書きたいか」の材料をそろえることから始めてください。

面接で話す志望動機は履歴書と同じ文面でも大丈夫?

結論から言うと、内容(軸)は同じで問題ありません。変えるのは「言い回し」と「ボリューム」です。

  • 履歴書:200〜300字程度で、「目的→経験→未来」を3〜4文にまとめる
  • 面接:同じ骨組みをもとに、具体的なエピソードや数字を足して、1〜2分程度で話せる分量にする

このとき、履歴書の文章を丸暗記して一言一句そのまま話そうとすると、不自然になりがちです。

「目的」「経験」「未来」の3つをメモにしておき、面接ではそのメモをもとに自然な言葉で説明するイメージで準備すると、内容の一貫性も保ちやすくなります。

志望動機が「お金・年収・安定」しかない…正直に書いてもいい?

「年収を上げたい」「安定した環境で働きたい」と思うこと自体はごく自然です。ただ、そのまま書いてしまうと、

  • 「条件だけ見て会社を選んでいる人」に見えやすい
  • 「中長期的に活躍してくれるか」という観点で不安を持たれやすい

といったリスクがあります。

おすすめは、『なぜお金・安定を重視するのか』を一段深掘りしたうえで、自分なりの価値観として言語化し、できる範囲で前向きな理由に言い換えることです。

  • 「年収を上げたい」
     → 「成果に見合った評価を受けながら、専門性を高めていきたい」
  • 「残業が少ない会社がいい」
     → 「無理のない働き方の中で、安定して高いパフォーマンスを発揮したい」
  • 「安定した会社で長く働きたい」
     → 「腰を据えて経験を積み、長期的に事業に貢献したい」

嘘の理由を作るのではなく、「なぜそう思うのか」を深掘りし、そのうえで「その価値観を、その会社でどう実現したいか」を書くイメージを持つと伝わりやすくなります。

履歴書の志望動機はどれくらいの長さ(文字数)がベスト?

一般的には、200〜300字程度を目安にすると読みやすくなります。
構成はこれまでと同じく、「目的→経験→未来」の3〜4文で十分です。

  • 1文目:なぜその会社・職種を選んだのか(目的)
  • 2文目:どんな経験・強みを活かしたいのか(経験)
  • 3〜4文目:入社後にどう貢献したいのか(未来)

詳しいテンプレートや文例は「履歴書に書く志望動機テンプレ(文字数・フォーマット)」で紹介しています。そちらを見ながら、自分の志望動機を200〜300字の枠に収める練習をしてみましょう。

※200〜300字という文字数は、複数の転職サービスが紹介している「履歴書の志望動機欄の一般的な目安」にもとづいています。応募先企業や履歴書フォーマットによって指定がある場合は、そちらを優先してください。

志望動機はいつまでに用意しておくべき?

理想を言えば、応募前の段階で「1社分のたたき台」を用意しておくのがおすすめです。とはいえ、現実的には応募したあと、書類提出までのあいだに求人票や企業情報を見ながらブラッシュアップする人も多いでしょう。

おすすめの進め方は次のイメージです。

  • STEP1:まずは「自分のキャリアの軸」に沿った汎用的な志望動機を1パターン作る
  • STEP2:応募する企業ごとに、「目的」「経験」「未来」のそれぞれを求人内容に合わせて微調整する
  • STEP3:書類提出後、面接日までのあいだに、面接で話す用のメモ(要点3つ)を整える

志望動機を考えるプロセスは、「本当にこの会社に行きたいか」を自分で確かめる機会にもなります。応募先が多いときほど、「とりあえず出す」ではなく、優先度の高い企業から順に志望動機を丁寧に整えていく意識を持っておくと、後悔の少ない選択につながりやすくなります。

不安があるなら転職エージェントを活用しよう

志望動機は、「自分では当たり前だと思っている経験」や「本人には普通に感じる強み」をどう切り取るかで伝わり方が変わります。そのため、一人で作っていると次のような壁にぶつかりがちです。

  • 自分の強みやアピールポイントを、客観的に整理しづらい
  • 企業ごとに「どの経験をどこまで書けばいいか」の優先順位が分からない
  • 志望動機だけ整えても、職務経歴書や面接で話す内容との一貫性を取りづらい

こうした点は、自分だけではどうしても見えにくい部分ですが、第三者、とくに転職支援の経験豊富な転職エージェントに見てもらうことで、「この経験はもっと前に出したほうがいい」「ここは削っても伝わる」といった具体的なアドバイスをもらいやすくなります。

志望動機の添削までサポートしてくれる選択肢

転職エージェントの中には、求人の紹介だけでなく、志望動機や職務経歴書の内容まで一緒に考えてくれるところもあります。その一つが、転職サービス『dodaです。

dodaのような転職エージェントを活用すると、たとえば次のようなサポートが受けられることが多いです。

  • 応募先企業の志望動機として、どんなポイントが評価されやすいかのアドバイス
  • 職務経歴書や履歴書の志望動機欄の添削・ブラッシュアップ
  • 選考状況や過去の事例にもとづいた面接対策 など

自分だけでは気づきにくい「強みの言語化」や「企業ごとに刺さりやすい伝え方」を教えてもらえると、志望動機づくりの負担が減り、書類や面接で伝わりやすい内容に整えやすくなります。

dodaの詳しいサービス内容や評判、登録〜利用の流れについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

ねくこ

志望動機を一人で整えるのが難しいと感じたときは、こうした転職エージェントをうまく活用すれば、「自分らしさ」と「企業に伝わりやすい形」の両方を意識しながら準備を進めやすくなるはずです。

まとめ/終わりに

ここまで、転職の志望動機を「目的」「経験」「未来」の流れで考える方法と、未経験・経験者それぞれの例文、よくあるNGパターンとその直し方を見てきました。志望動機はセンスだけで決まるものではなく、流れに沿って材料をそろえていけば、多くの人が自分なりの形に近づけていけるパートです。

未経験職種への転職を考えている方は、「経験棚卸しシート」を使って、自分の経験を4〜5行分書き出してみてください。そのうえで、未経験向けの共通テンプレートや、職種別の例文を参考にしながら、「自分の言葉」に置き換えた志望動機を1社分作ってみるところから始めるのがおすすめです。

現職と同じ、もしくは近い職種への転職を考えている方は、今の転職理由が「キャリアアップ」「働き方」「会社の将来性」「仕事内容のミスマッチ」など、どのタイプに近いのかを整理し、各章のNG例/改善例を見ながら、自分の志望動機を書き直してみてください。「退職理由だけで終わっていないか」「どの企業にも当てはまる浅い表現になっていないか」をチェックするだけでも、伝わり方は大きく変わります

それでも「これで本当に伝わるのか不安」「企業ごとにどう調整すればよいか分からない」と感じる場合は、転職エージェントに相談するのも一つの方法です。前章で紹介したように、志望動機の添削や企業ごとの傾向を教えてもらうことで、一人では気づきにくい改善ポイントが見えてくることもあります。

志望動機がある程度整ってくると、履歴書や職務経歴書を書くときだけでなく、面接で話す内容にも一貫性が出てきます。「なぜこの会社なのか」「ここで何をしたいのか」が自分の中で整理されているほど、応募や面接の場でも自信を持って話しやすくなります。

この記事の内容を参考にしながら、まずは一つ、自分なりの志望動機の形を作ってみてください。

免責事項・参考情報

本記事は、一般的な転職活動の傾向や事例にもとづいて作成したものであり、特定の企業・求人・サービスの利用や選考通過を保証するものではありません。記載内容は執筆時点の情報にもとづいており、法制度や雇用・転職市場の状況は変更される可能性があります。最新の情報や応募条件は、必ず各企業・公的機関・サービス提供元の公式ページ等でご確認ください。

参考文献

厚生労働省「令和5年 雇用動向調査 結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-2.html
最終確認日:2025年12月1日

doda関連記事「doda(デューダ)転職の評判|20代&30代が気になる流れやサービス、エージェントについても解説!」
https://at-next.jp/minaosu/12165/
最終確認日:2025年12月1日

マイナビエージェント「志望動機に最適な文字数は?文字数の調整方法や見やすく記入するコツ・注意点」
https://mynavi-agent.jp/knowledge/prepare/1348.html
最終確認日:2025年12月1日

CREX Group「転職の志望動機の最適な文字数は?書き方を例文5選とともに解説」
https://crexgroup.com/ja/tenshoku/career-preparation/jjob-change-motivation-how-to-write-examples/
最終確認日:2025年12月1日じっくり思考

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この記事を書いた人

編集部の資産形成担当。
20代後半ながら金融に関する相談実績多数で、投資信託から株式まで幅広い知識を持ち、今のあなたに必要なことを洗い出し、寄り添った提案を心掛けています。
たけのこ派&猫派です!

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