親の葬儀費用は兄弟の誰が払う?長男・喪主・相続人の負担と分け方

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この記事で分かること

  • 長男・喪主・相続人のうち、葬儀社への支払いと兄弟間の最終負担をどう分けるか
  • 一人が立て替える前に決める項目と、兄弟3人で精算する場合の計算例
  • 故人の預金を払い戻す制度、相続税で差し引ける費用、話し合いがまとまらない場合の対応

親の葬儀を兄弟で進めると、「長男が全額を払うのか」「喪主が立て替えた分を後から請求できるのか」「相続分どおりに負担するのか」が問題になりやすいです。

結論、長男であるという理由だけで、兄弟全員分の葬儀費用を負担する決まりはありません

葬儀社への支払いでは申込書・契約書上の契約者を確認し、兄弟間の最終負担は予算や費用範囲を含めて合意する必要があります。

香典と故人の預金は、兄弟間の負担とは別に、受取人や相続人全員との関係を整理しましょう。

合意がないまま一人で葬儀の規模や追加費用を決めると、後から他の兄弟へ負担を求めても、認められないことがあります

葬儀社への支払い、兄弟間の精算、支払原資、相続税上の扱いを分け、立て替える前に記録を残しましょう。

ねくこ

亡くなった親の子ども同士である兄弟姉妹を前提に、支払者、負担割合、精算方法を確認しましょう。

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この記事の結論

  • 長男・喪主・相続人という肩書だけで、兄弟間の最終負担は決まりません。
    葬儀社への支払いでは、申込書・契約書上の契約者を確認しましょう。
  • 兄弟間の分担は、均等、法定相続分を参考にする方法、取得財産額、収入・介護負担などから全員が合意できる方法を選び、立替前に費用範囲と精算期限を記録しましょう。
  • 合意のない高額な追加費用、請求拒否、故人の預金や遺産分割をめぐる対立がある場合は追加発注を止め、兄弟間の費用負担は弁護士に、相続税は税理士または税務署へ相談しましょう。
目次

親の葬儀費用は兄弟の誰が払う?|支払い・最終負担・原資・税務を分ける

葬儀費用を誰が払うかは、一つの肩書だけでは決まりません。

最初に、葬儀社への支払い、兄弟間の最終負担、香典・故人の預金などの支払原資、相続税上の葬式費用控除を分けましょう

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確認する関係主な確認対象判断するときに見るもの最初にすること
葬儀社への支払い申込書・契約書上の契約者申込書・契約書の契約者、請求書の宛名、支払期限契約者と支払期限を確認する
兄弟間の最終負担兄弟間で費用負担に合意した人予算、共通費用、追加費用、負担割合、精算期限立替前に負担方法を書面で決める
支払原資の扱い香典、故人の預金、立替金など誰が受け取り、何にいくら充て、遺産分割へどう反映するか使用額と使途を記録する
相続税上の葬式費用控除対象費用を実際に負担した一定の相続人・包括受遺者費目、最終負担額、領収書、精算記録対象費用と対象外費用を分ける
ねくこ

たとえば、兄弟3人が分担に合意していれば、長男が葬儀社との契約者となって全額を立て替えた後に精算できます。
ただし、契約者であることと、兄弟間で最終的に全額を負担することは別の問題です。

葬儀社への支払いでは申込書・契約書上の契約者を確認する

葬儀社に対する支払いでは、誰が喪主を務めるかだけでなく、誰が葬儀社と契約したかを確認しましょう

喪主と契約者が同じとは限らず、故人の配偶者が喪主を務め、子どもが申込みと支払いを担当する場合もあります。

申込書・契約書で葬儀社との契約者になっている人は、原則として葬儀社への支払い義務を負います。

一方、葬儀社への支払い義務と、兄弟間で最終的に誰がいくら負担するかは別の問題です。

ねくこ

兄弟間の話し合いが終わっていなくても支払期限が来ることがあるため、契約前に支払期限と支払方法を確認し、立替者を決めておきましょう。

長男・喪主・相続人という肩書だけでは最終負担は決まらない

長男・喪主・相続人という肩書だけでは、兄弟間の最終負担は一律に決まりません

故人の生前契約、親族間の合意、誰が葬儀内容を決めたかによって扱いが変わります。

兄弟間で合意できる場合は、その合意に沿って費用を分けられます。

名古屋高裁平成24年3月29日判決では、故人が生前に葬儀契約を結んでおらず、関係者間にも費用負担の合意がない事案について、追悼儀式の費用は実際に葬儀を主宰した人、埋葬等の費用は祭祀承継者が負担するとの考え方が示されました。
葬儀費用の負担については複数の見解があり、裁判例や個別事情によって扱いが変わるため、すべての葬儀へ一律に適用されるルールではありません。

ねくこ

兄弟で分担する予定なら、葬儀が終わってから請求するのではなく、見積もりを受け取った段階で費用範囲と負担割合を決めましょう。

兄弟で葬儀費用を分ける4つの方法

兄弟間の負担方法は、全員が合意できる案を選びましょう

均等負担や法定相続分は選択肢になりますが、法律上、自動的に適用される割合ではありません

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分け方選びやすいケース決めやすさ注意点
兄弟で均等に分ける兄弟の立場や取得財産に大きな差がない人数で割るため計算しやすい収入差や葬儀対応の負担差が大きいと不満が残りやすい
法定相続分を参考に分ける相続割合を共通の基準として使いたい相続関係が明確なら割合を出しやすい法定相続分が葬儀費用へ自動適用されるわけではない
取得する遺産額に応じて分ける一人が多くの遺産を取得する予定である遺産分割の内容と合わせて調整できる遺産分割が確定するまで最終額を決めにくい
収入・介護・手続き負担も含めて調整する兄弟ごとの収入や介護、現地対応に大きな差がある家族の事情を反映できる何をどこまで評価するかを具体的に決める必要がある
ねくこ

単純な均等負担で納得できない場合は、複数の方法を組み合わせられます。
基本費用は均等に分け、特定の人だけが希望した追加費用は希望者が負担するなど、費用の性質ごとに分けると合意しやすくなります。

法定相続分は葬儀費用の自動的な負担割合ではない

法定相続分は、遺産を取得する割合の基準です。

兄弟全員が「相続割合に合わせて葬儀費用も分ける」と合意すれば利用できますが、合意がない状態で当然に請求できる割合ではありません

ねくこ

法定相続分を使う場合も、何を葬儀費用として分けるのか、香典や故人の預金を先に差し引くのか、追加費用を含めるのかまで決めましょう。

基本費用と一部の人が希望した追加費用を分ける

火葬、搬送、式場など兄弟全員が必要と認めた費用と、会場の拡張、参列者の追加、返礼品の増額など一部の人だけが希望した費用分けて考えましょう

ねくこ

他の兄弟が反対している高額な追加費用を一人で発注すると、後から負担を求めにくくなります。
追加費用は、発注前に金額と負担者の承認を残してください。

一人が立て替える前に兄弟で決める6つのこと

一人が葬儀費用を立て替える場合は、支払い後ではなく、見積もりを受け取った段階で精算条件を決めましょう

  • 葬儀費用の予算上限
  • 兄弟全員で分ける基本費用の範囲
  • 一部の人が希望した追加費用の負担者
  • 香典や故人の預金を費用へ充てる範囲
  • 兄弟それぞれの最終負担割合
  • 立替者へ返す金額と精算期限
ねくこ

葬儀社の請求書には、葬儀本体だけでなく、飲食、返礼品、搬送、火葬、寺院への支払い、追加備品などが含まれることがあります。
請求書を費目別に分け、兄弟で負担する範囲をそろえましょう。

精算対象額は香典や故人の資金を差し引いて考える

兄弟間で精算するときは、葬儀社からの請求総額をそのまま人数で割らず、費用へ充てると合意した原資を差し引きましょう

兄弟間で分ける対象額 = 合意した葬儀関連支出 - 費用へ充てると合意した香典 - 費用へ充てると合意した故人の資金

ねくこ

この式は兄弟間で話し合う金額を整理するものであり、香典の帰属、故人の預金を払い戻す権利、他の兄弟へ請求できる法的範囲を決めるものではありません。
費用へ充てる金額と負担割合を兄弟間で合意した場合に使いましょう。

兄弟3人で均等負担する場合の試算例

以下は、兄弟3人が均等負担に合意した仮定例です。

法律上の負担割合や一般的な相場を示すものではありません。

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項目金額計算
兄弟で負担すると合意した葬儀関連支出150万円精算の起点
費用へ充てると合意した香典30万円150万円から差し引く
費用へ充てると合意した故人の資金30万円残額から差し引く
兄弟間で分ける対象額90万円150万円-30万円-30万円
兄弟1人あたりの最終負担30万円90万円÷3人

一人が90万円を立て替えた場合、他の2人が30万円ずつ精算すれば、立替者の最終負担も30万円になります。

実際には、兄弟の人数、原資、合意した割合へ置き換えて計算しましょう。

合意内容は家族間のメッセージでも残す

正式な契約書を作らない場合でも、家族間のメッセージやメールで、予算、共通費用、追加費用、原資、負担割合、精算期限を残しましょう

口頭だけでは、支払い後に「その費用は聞いていない」「均等負担には合意していない」と認識が食い違うことがあります

合意メモの例

葬儀費用は見積額○円を上限とし、追加費用は兄弟全員の承認後に発注する。
香典と故人の預金から葬儀費用へ充てると合意した金額を差し引き、残額を兄○%、弟○%、妹○%で負担する。
立替者への精算期限は○月○日とする。

見積書、請求書、領収書、振込記録も一緒に保管してください。

故人の預金から葬儀費用を払える?|遺産分割前の払戻し制度

遺産分割が終わる前でも、共同相続人一定範囲の預貯金を単独で払い戻せます

ただし、故人の預金を自由に全額引き出せる制度ではありません

家庭裁判所の判断を経ずに単独で払い戻せる金額

各口座から単独で払い戻せる金額 = 各口座の相続開始時残高 × 3分の1 × 払戻しを求める共同相続人の法定相続分

払戻しを求める共同相続人1人につき、各口座で計算した金額の合計について、同一の金融機関から払い戻せる上限は150万円です。

たとえば、親の預金が一つの銀行に900万円あり、配偶者はおらず、相続人が子ども2人で法定相続分が各2分の1なら、計算結果は150万円です

ねくこ

900万円×3分の1×2分の1=150万円となり、同一金融機関の上限にも収まります。
計算結果が150万円を超える場合も、この相続人がその金融機関から単独で払い戻せる金額は150万円までです。

払い戻した金額は兄弟全員の共通資金になるとは限らない

この制度で払い戻した預貯金債権は、払戻しを受けた相続人が遺産の一部分割により取得したものとみなされます。

葬儀費用へ使った場合も、誰がいくら払い戻し、何へ使い、遺産分割や兄弟間の精算へどう反映するかを記録しましょう

相続人全員が故人の預金を葬儀費用へ充てることに合意している場合も、金融機関の払戻し手続きは別に必要です

必要書類は金融機関によって異なるため、口座のある金融機関へ確認してください。

ねくこ

150万円を超える資金が必要な場合は、遺産分割の調停・審判を申し立てたうえで、家庭裁判所へ預貯金の仮分割を求める方法も検討できます。
相続財産に属する債務の弁済や生活費などのために必要で、他の共同相続人の利益を害しないことなどの条件があるため、弁護士へ確認しましょう。

相続税で差し引ける葬式費用と対象外費用

相続税上、一定の相続人や包括受遺者が負担した葬式費用は、遺産総額から差し引けます

ただし、相続税で差し引けることと、兄弟間で誰が支払う義務を負うかは別の問題です。

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区分主な費用確認ポイント
差し引ける費用葬式・葬送、火葬、埋葬、納骨、遺体・遺骨の回送、通常葬式に欠かせないお通夜、読経料、遺体の捜索・運搬など実際に負担した費目と金額を領収書等で分ける
差し引けない費用香典返し、墓石・墓地の購入、墓地を借りる費用、初七日などの法事費用葬儀社の請求書に含まれていても費目ごとに除外する

葬儀社の請求書に葬儀本体と香典返しがまとめて記載されている場合、請求総額をそのまま葬式費用として扱えるとは限りません

費目別の領収書、兄弟間の精算記録、最終的に誰がいくら負担したかを整理しましょう。

ねくこ

申告時点で負担額が確定していない場合や、複数の兄弟で立て替え・精算した場合、領収書がない寺院への支払いがある場合は、費目別の支払記録と精算記録をそろえ、税理士または税務署へ確認してください。

兄弟が葬儀費用を払わない場合|5つの順番で対応する

兄弟が費用負担を拒否している場合は、請求を繰り返す前に、契約、費用、合意の有無を順番に整理しましょう

STEP
契約者と葬儀社への支払期限を確認する

申込書、契約書、見積書、請求書を確認し、葬儀社から誰が請求を受けているかを整理しましょう。
兄弟間の争いが解決するまで、葬儀社への支払いを止められるとは限りません。

STEP
精算対象額と支払原資を一覧にする

兄弟全員が必要と認めた費用、一部の人だけが希望した追加費用、香典、故人の預金、すでに支払った金額、残額を分けましょう。

STEP
負担案と根拠を兄弟へ書面で示す

均等負担、法定相続分を参考にする案、基本費用と追加費用を分ける案などを示し、見積書や領収書を添えましょう。

STEP
合意のない追加費用を止める

他の兄弟が反対している追加発注は続けず、基本費用と希望者負担の費用を分けましょう。
高額な追加費用を単独で決めると、後から請求しにくくなります。

STEP
請求拒否や相続争いが続く場合は弁護士へ相談する

契約者、事前合意、費用の必要性、証拠の有無で請求の見通しは変わります。
契約書、やり取り、領収書、精算表をそろえて相談しましょう。

ねくこ

兄弟間で解決を続けるか、専門家へ切り替えるかは、金額だけでなく、合意と証拠の有無、故人の預金使用、遺産分割との関係で判断しましょう。

弁護士へ相談する段階の目安

次に当てはまる場合は、追加費用を増やさず、家族間だけでの解決から弁護士相談へ切り替えましょう

  • 立替額が高額で、兄弟が支払いを明確に拒否している
  • 事前合意の有無について認識が食い違っている
  • 葬儀の規模や追加費用をめぐって対立している
  • 故人の預金を無断で使ったと主張されている
  • 葬儀費用の争いと遺産分割の争いが一体になっている
  • 相続放棄を予定する兄弟の負担まで問題になっている
ねくこ

兄弟間の費用負担や請求の可否は弁護士に、相続税の控除対象や申告方法は税理士または税務署へ相談しましょう。
両方の問題がある場合は、それぞれの論点を分けて確認してください。

【Q&A】親の葬儀費用を兄弟で負担するときの疑問に答える

親の葬儀費用を兄弟で分けるときに迷いやすい点を、Q&Aで確認しましょう。

親の葬儀費用は長男が全額払う必要がありますか?

長男という理由だけで、兄弟全員分を負担する決まりはありません。

葬儀社への支払いでは、申込書・契約書上の契約者を確認し、兄弟間の最終負担は予算や費用範囲を踏まえて合意しましょう。

葬儀費用は兄弟で均等に分ける必要がありますか?

兄弟で均等に分ける必要はありません。

均等負担、法定相続分を参考にする方法、取得する遺産額や収入・介護負担を考慮する方法などから、全員が合意できる分け方を選びましょう。

喪主が立て替えた葬儀費用は兄弟に請求できますか?

立て替えた費用を他の兄弟へ必ず請求できるわけではありません。

事前合意、費用の必要性、追加費用への承認、契約書・領収書などの証拠で扱いが変わります。
請求拒否や相続争いがある場合は、資料をそろえて弁護士へ相談しましょう。

故人の預金から葬儀費用を払えますか?

遺産分割前でも、一定範囲の預貯金を単独で払い戻せます。

各口座の相続開始時残高×3分の1×払戻しを求める共同相続人の法定相続分で計算し、共同相続人1人につき、同一金融機関の合計上限は150万円です。
払戻額と使途を記録し、兄弟間の精算や遺産分割へ反映しましょう。

葬儀費用は相続税の計算で差し引けますか?

一定の相続人や包括受遺者が実際に負担した対象費用は、遺産総額から差し引けます。

葬式・火葬・埋葬・納骨などは対象ですが、香典返し、墓地・墓石、初七日などの法事費用は対象外です。
費目別の支払記録と兄弟間の精算記録を残してください。

兄弟が葬儀費用を払わない場合はどうすればよいですか?

契約者、精算対象額、事前合意、支払記録を整理してから負担案を示しましょう。

合意のない追加費用は止め、支払い拒否や遺産分割の争いが続く場合は弁護士へ相談してください。
相続税の扱いは税理士または税務署へ確認しましょう。

終わりに|契約者・負担者・支払原資を分けて決める

親の葬儀費用は、長男、喪主、相続人という肩書だけでは決まりません。

まず申込書・契約書上の契約者と支払期限を確認し、兄弟間では共通費用、追加費用、香典・故人の預金、負担割合、精算期限を分けて決めましょう

ねくこ

一人が立て替える場合は、支払い前に合意内容を記録し、見積書、請求書、領収書、振込記録を残してください。
合意がない高額な追加費用や、故人の預金の扱いをめぐる対立がある場合は、追加発注を止めて弁護士へ相談しましょう。

兄弟間の負担割合を決めても、葬儀社への支払期限までに費用を用意できない場合は、葬祭費等の給付、支払方法、後払いなどを別に確認する必要があります。

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引用・参考出典

本記事で参照した主な公式・公的情報は、次のとおりです。

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