会社にバレない副業は本当に存在する？税金の仕組みと副業の現実を解説

「もう少し収入を増やしたい」
「でも会社にバレるのは絶対に避けたい」

副業への注目度が高まり、働き方として、そして金銭的自由を得るために副業に興味を持つ人も多いと思います。

安心して副業にチャレンジできるのは本業の安定あってこそではありますが、「会社にバレないように」にとらわれたままでは副業ワーカーとして、ひいては人生全体で見たときのあなたの可能性を狭めてしまうかもしれません。

この記事では、現役副業ブロガーとFP3級の視点から「税金の仕組み上、会社バレ対策ができる副業」を紹介したうえで、本当にあなたが選ぶべき現状の打開策は「副業」なのかどうかを考えます。

最初に言っておくと、「バレずに楽して高収入」がすべて揃う副業はありません。

ガチで副業をしてきた目線で解説するので、副業以外も含めた現実的な選択肢を選び取る参考にしていただけると嬉しいです。

副業バレ対策の基本！給与所得・事業所得・雑所得の違い

まずは税金の手続きによる会社バレ対策について確認しましょう。

会社バレ対策の鍵は「住民税の普通徴収」

副業をしていることが会社にバレないための税金手続きとして重要なのは、副業で得た収入を確定申告し、住民税の納付方法を普通徴収にすることです。

↓詳しくは以下の記事で解説しています。

しかし、「住民税の普通徴収」を選択するためには、副業収入が事業所得または雑所得に分類されるものである必要があります。

副業収入が給与所得の場合、多くの自治体では住民税の「普通徴収」を選べず、会社の給与と一緒に「特別徴収」されることになります。その結果、副業分の住民税が本業の給与分に加算され、会社にバレるリスクが高くなります。

ここからは「所得」という考え方と、給与所得・事業所得・雑所得の違いを解説します。

「所得」は税額の計算に使う金額

所得とは所得税や住民税を計算するために使う金額で、1年間の収入から必要経費や控除を差し引いて算出します。

会社員であれば「手取り」「額面」などの言い方が身近かもしれませんが、所得はどちらともイコールではありません。

一般に収入や手取りは多い方が嬉しいものですが、税金の世界では事情が異なります。税額は「所得」に応じて決まるため、所得の金額が小さいほど、支払う税金も少なくなります。

例として「年収500万円」の人の場合、額面・手取り・所得はおおよそ以下のようになります。

本業収入だけなら、所得の計算は覚えなくていい

特定の状況の人の税負担を減らすために、条件に合う人の所得を決まった額減らす制度を「所得控除」と呼びます。

給与所得のある人は「給与所得控除」を受けられるため、額面から給与所得控除（と社会保険料など）を差し引いた額が所得になります。

ただし会社員であれば給与所得控除は自動で適用され、源泉徴収・年末調整で結果的に手取りに反映されるため、計算方法を覚える必要はありません。

所得の種類と種類別の算出方法

払う税金の額はすべての所得を合計した「総所得金額」で決まりますが、所得は元になる収入の性質によって10種類に分けられます。

すべて覚える必要はないですが、副業をする会社員が知っておくべきなのは「給与所得」「事業所得」「雑所得」の3種類です。

給与所得…雇用契約に基づく収入

給与所得とは、正社員や契約社員、派遣、アルバイトなど、雇用契約に基づいて給料が支払われた場合の収入から、給与所得控除を差し引いた額です。

給与所得 ＝ 給与収入 ー 給与所得控除

給与所得は多くの人に当てはまる所得であるため、所得税なら源泉徴収と年末調整、住民税なら特別徴収など、会社経由で納税する仕組みが確立されています。

1つの会社で働くだけなら税金の手続きが要らないというメリットがある一方で、本業以外の収入として給与所得が発生した時に、納税方法を自分でコントロールするのが難しいというデメリットもあります。

雑所得…給与でもない、事業でもない収入

雑所得とは、副業などで得た収入のうち、「会社からの給料でもなければ、本格的な事業でもないもの」にあてはまる所得区分です。

雑所得 ＝ 給与ではない副業収入 － 必要経費

たとえば「副業でちょっとだけ稼いだ」「まだ継続できるか分からない」といった状況で得た収入は、基本的に雑所得として計上するのが無難です。

事業としての継続性や組織性が弱く、税務上も事業所得に該当するほどの体制が整っていない場合、この雑所得に分類されます。

雑所得としての申告に特別な手続きは必要ありません。

副業が順調に育ち、継続的な収入や体制が整ってきたら、開業届を出して事業所得として申告することも検討できます。ただし、事業所得として扱われるかどうかは実態に基づいて判断されます。

事業所得…「事業」として得た収入

事業所得とは、継続して利益を得る目的で行っている事業活動から得た収入から、必要経費を差し引いた金額です。

事業所得 ＝ 事業としての副業収入 － 必要経費

雑所得と事業所得に明確な違いはないですが、税務上「独立した事業」として認められるには、継続性・営利性・自主性などが必要です。

帳簿をつけている、開業届を出しているなど、ある程度の事業性を示せる場合は、雑所得ではなく事業所得として扱われる可能性があります。

事業所得として認められれば、経費計上の自由度が高くなり、青色申告の特典や赤字の繰越といった節税上のメリットも得られます。

税務上会社にバレない副業は「雑所得・事業所得」になるものだけ

副業収入にかかる住民税を通じて会社にバレるのを防ぐには、「住民税の普通徴収（自分で納付）」を選択する必要があります。

ただし、この普通徴収が選べるのは、雑所得または事業所得に分類される副業収入だけです。副業がアルバイトなどの給与所得に該当する場合、住民税は自動的に特別徴収（会社経由）となり、普通徴収は選択できません。

その結果、副業で得た所得分の住民税が本業の会社に通知され、「本業だけでは説明のつかない住民税額」として不審に思われる可能性が高くなります。

副業アルバイトでは給与を受け取った時点で勤務先が源泉徴収を行っているため、税務署はその所得を正確に把握します。税務署から住民税を所管する自治体に情報が連携され、住民税額の通知が本業の会社に届くという流れでほぼバレます。

1日だけの単発バイトなどは手軽で副業感も薄く見えますが、給与所得が発生するため「会社にバレたくない」という場合には避けるべきです。

「会社に知られずに副業したい」という目的があるなら、雑所得または事業所得として扱える収入を得られる副業を選ぶことが前提になります。

事業収入・雑収入になる代表的な副業を紹介

所得には分類があり、収入のもらい方によって税金の払い方・会社バレ対策が異なることを解説しましたが、「事業」と言っても想像がつきにくいと思います。

ここでは事業収入や雑収入と認められやすい副業を具体的に紹介します。

なお、どちらの扱いになるかは仕事の継続性や独立性などの実態によって決まるため、「自分の場合はどうか」など個別の判断が必要な場合や不安がある場合は、税理士など専門家に相談するのが確実です。

クラウドソーシング系の副業

スキルを活かして成果物（ライターなら原稿、イラストレーターならイラストデータ）を製作し納品することで報酬が支払われる副業の収入は、業務量の実態に応じて雑所得・事業所得扱いになります。

多くの案件では業務委託契約が前提となり、クラウドソーシングサイト（クラウドワークス・ランサーズなど）やスキルマーケット（ココナラなど）などの案件探しプラットフォームで案件を探せます。

収入を増やすには、案件に多く取り組み、実績を積んで継続的な依頼を受けることが必要です。

業務委託契約で働く副業

「在宅でスキルを活かして働く」タイプの仕事以外でも、会社と「雇用契約」ではなく「業務委託契約」を結んで働いた場合の収入は実態に応じて雑所得・事業所得として扱われます。

例えばフードデリバリー（Uber Eatsなど）の配達員は運営会社と雇用契約ではなく業務委託契約を結ぶため、アルバイトの給与所得ではなく事業所得という扱いになります。

一般的な求人サイトでも案件が探せて（「業務委託」で検索してみましょう）、スキルがなくてもバイト感覚で働ける仕事もあります。

しかし雇用契約ではないため労働者としての権利が保障されない場合があり、自己責任での就業が求められます。

自分で発信して広告収入を得る副業

自分でブログやSNSアカウントを立ち上げて発信・集客し、インプレッション型広告やアフィリエイトなどの広告システムを活用する副業の収入も、実態に応じて雑所得・事業所得扱いになります。

インプレッション型広告はGoogleアドセンスやX・YouTubeなどの収益化システムなどを利用します。アフィリエイト案件はASPと呼ばれる企業と発信者の仲介サービス（もしも・A8.netなど）に登録して探します。

作業量と収益が比例しにくい（始めてすぐは収益が出ないが、大きく成功すれば作業量以上の収益が出ることも）ので、地道な努力で読者・視聴者からの信頼を勝ち取り、収益を増やす工夫を重ねていく必要があります。

商品やコンテンツを販売する副業

電子コンテンツや自作のハンドメイド作品、営利目的の商品などを販売サイトで売る副業もあり、こちらの収入も実態に応じて雑所得・事業所得扱いです。

自分に合った販売サイト（電子コンテンツならnoteやBrain、ハンドメイドならminneやcreemaなど）を選び、魅力的な商品を用意したり、見せ方・売り方を工夫したりして売り上げを増やします。

単発・スキマ時間にできるタイプの副業

ポイ活サイトやアプリ、アンケートモニターサイトなどで決まった作業を行ってポイントをもらうことも副業に含まれます。

もらったポイント自体は非課税ですが、ポイントを年間5万円以上換金・電子マネーに交換すると雑所得として申告が必要と一般的に言われています（明文化された基準ではなく、過去の対応事例などをもとに目安とされることがある金額です）。

ただし、そこまでの金額をポイ活で稼ぐには時間がかかりすぎて、非効率です。

「バレない副業」にこだわる必要、ありますか？現実を見せます

本業と副業の所得分類の違いと、会社バレしないための対策が可能な副業を紹介してきました。

でも、ちょっと待ってください。

「バレずに副業する」は、あなたの生活における問題を解決する手段としては効果が薄い可能性があります。

副業をしている目線で、現実をお話しします。

「会社バレ対策ができる副業」は、めっちゃしんどい

最初にも言いましたが、「バレずに楽して高収入」な副業はありません。

先ほど紹介した副業では、バレないための対策はできても絶対バレない保証はなく、また「楽して高収入」を確実に得るのは無理です。

私の独断ではありますが、紹介した副業の傾向を下の表にまとめました。どの副業にも、致命的な欠点があることがわかります。

副業タイプ	楽して	スキルがなくても	高収入
クラウドソーシング系	高単価案件取るまで めっちゃしんどい	スキルないと 案件取れない	報酬＝作業量の傾向があり、 片手間の副業では難しい
業務委託型労働	結局は労働	指導を受ける機会が少ない	体力勝負
ブログ・SNS	収益化できるまで時間かかりすぎて脱落者多数	様々なスキル必要	売上が出るまで1年もザラ
商品・コンテンツ販売	売り物の用意に工数がかかる	売るスキル必要	物販は売れないと赤字 電子コンテンツも売れるまで時間かかる
ポイ活	〇	〇	時間効率が悪く、 継続しても収入は増えない

稼げる副業は楽じゃないし、楽な副業は稼げない

会社員が副業をする場合、本業の安定感を保ったまま新しいことにチャレンジできることが最大の強みです。給与で生活ができるだけでなく、社会保険もあります。

しかしその強みが活きるのは、本業に支障がない範囲でありながらも、スキル習得のための時間と学習を惜しまず、自分の空き時間をすべて副業に費やす覚悟で取り組んだ時だけ。

副業は「自分一人でやるビジネス」です。「副業」だから簡単・適当・努力なしで儲けられるなんてことはありません。

自分で収益源を探すところから始まるという意味では、副業は本業より大変とも言えるでしょう。「月5万円でいいから…」という軽い気持ちでは、5万円を稼ぐことも難しいです。

スキルなしでできる「誰でもいい」副業は、あなた自身を評価しない

大きく稼げる可能性がある副業ほど身に着けるべきスキルがたくさんあり、スキル不要の副業は成長につながらないため将来的な収入アップは期待できません。

「スキル不要で誰でもできる」副業は今すぐ始められるかもしれませんが、副業ワーカーそれぞれの付加価値を考慮しない、つまり「誰でもいい」仕事です。あなたの仕事は作業量でしか評価されません。

副業の評価は収益に直結するので、本業よりも圧倒的にシビアです。特に「本業で正当に評価してもらえない」と思って副業を考えているなら、スキルのないまま副業に挑むのは正直言って無謀です。

副業を「場所を変えるだけ」で終わらせないために、スキルを身に着けるところから始めるのが逆に近道なのです。

副業にこだわらない選択で、問題を現実的に解決

「どの副業ならバレないか」より先に考えるべきは、「自分の解決したい問題は何か」です。

副業に興味を持った理由は「お金がほしい」「評価されたい」のような漠然とした動機だったかもしれませんが、選択に失敗したくないのであれば、さらに不満・問題を細分化して「本当に解決したいことはなにか」を言葉にしてみてください。一例を図にしてみました。

副業はすべてを解決するわけではありません。しかし、副業以外にも現状を変えるより良い選択肢は存在します。

家計改善・投資で長期的にお金を増やす

「今や将来の生活を豊かにするためにお金を増やしたい」が本当の目的である場合、副業は以下のポイントであなたの想像と異なる可能性が高いです。

今生活に困らない程度の収入があるなら、まずは家計を見直して無駄な出費を減らし、余剰分を投資に回すことで収入源を増やせます。あなたが働くのではなく、お金を働かせるのです。

投資は難しそうなイメージがあるかもしれませんが、副業ではなく「資産運用」であり、就業規則で禁止されていることは稀です。

また、近年はNISAやiDeCoなど、低リスクで節税メリットのある投資方法が人気です。

当サイトでは投資についても詳しく解説しています。興味を持った方はぜひチェックしてみてください。

転職で環境を改善する

本業の環境が原因で副業にあこがれを感じている人もいると思いますが、気持ちがわかるからこそ正直に言います。転職したほうが早いです。

本業で負担がかかっている状態で、それでも安定のために本業は続けながら副業をやっても、メンタル的に悪影響かつ効率が悪く、どちらも長続きしません。

副業にこだわる必要はありません。環境を変える方が先です。

スキルアップから始め、ステップアップのために副業または転職

「現状に満足できない」「自分はもっとできるはず」という意欲から副業を検討しているなら、まずは特定のスキルを身に着け、副業や転職の準備を始めるのがおすすめです。

自己評価に対する不満は、スキル不要の副業では解消できません。

残念ながら、副業は本業よりも「ありのままの自分」でいるだけでは評価されにくいです。あなただけが提供できる価値があってこそ、報酬として副業収入が得られます。

例えば私は、ライティング・WordPress操作・SEO・Webサイトの管理方法・数値分析の方法・デザイン・発信内容の知識などを勉強して実践し、副業ブログで得たスキルを活かしてステップアップ的に転職することができました。

スキルが増えれば選択肢が増えます。稼げる副業に挑戦できるだけでなく、転職でも強みとしてアピールできます。

転職か副業か（独立してフリーランスになる道もあります）はスキルをつけてから決めて構いません。

業務委託型労働で短期的な収入を得る

「バレないことは大事だけど、スキル習得は面倒だし興味ない。体力や時間ならある」という人には、「業務委託型労働」として紹介した、業務委託契約に基づいて働く副業が選択肢としてあり得ます。

フードデリバリー配達員などの仕事は、特別なスキルや初期投資はあまり必要ありません。時間と体力さえあれば自分の頑張り次第で稼ぐことも可能です。

もちろん収入は事業所得扱いとなるため自分での確定申告が必須ですが、1年に1度の申告期間以外に難しいことは考えずに済みます。

この稼ぎ方を選ぶのであれば、とにかく行動の速さと体力が勝負です。配達パートナーの登録方法を確認するところから始めましょう。

「副業しかない」と思うなら、今すぐにでも行動できるはず

ここまで読んで「いや、やっぱり自分には副業しかない」と感じている方もいるかもしれません。

その場合、副業で何をするか・どんなスキルを活かすか・どう収益化するかが具体的にイメージできているかどうかが、成功の分かれ道になります。明確なビジョンがあるなら、迷わず行動を起こしましょう。

時間は有限です。「副業をするか、しないか」と悩んでいる時間ほどもったいない時間の使い方はありません。

「バレないかどうか」でやるかやらないかを決められるような副業のプランでは、必ずどこかでつまづきます。

賢く副業と向き合い、豊かな未来を手に入れよう｜まとめ

会社バレ対策の税務知識から副業の現実、そして副業以外の選択肢まで解説してきました。

雑所得・事業所得として申告し住民税を普通徴収にすることで会社バレリスクは下げられますが、絶対の保証はありません。

また、「バレずに楽して高収入」を得られる副業も存在しません。 稼げる副業ほどスキルと努力が必要で、スキル不要の副業では将来的な収入アップも期待できません。

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だからこそ重要なのは、「どの副業ならバレないか」ではなく「自分の解決したい問題は何か」を明確にすることです。

• お金を増やしたいなら投資
• 職場環境に不満があるなら転職
• 自分の評価を上げたいならスキルアップ

このように、副業以外にも現状を改善する選択肢は数多く存在します。

時間は有限です。 「バレないかどうか」で悩む時間があるなら、自分の本当の目的を見つめ直し、最適な解決策を選んで行動を起こしましょう。

あなたの豊かな未来は、今この瞬間の選択から始まります。