【2025年6月19日】の経済・時事ニュースまとめ

6月19日、東京市場は前日の米FOMC(連邦公開市場委員会)が利下げ見通しを据え置いたことを受け、金融株中心に売りが先行しましたが、原油高を追い風に資源・商社株が下支えしました。
為替は中東情勢の緊迫化と米金利上昇を背景にドルと円が同時に買われる「双安全資産」相場となり、ドル/円は145円台前半へ突入しています。
国内では日本製鉄が米国スチール買収計画の進捗を説明し、政府の“ゴールデンシェア”介入でも計画に支障は出ないと強気の構えを示すなど、さまざまな動向が発表されています。
主要株価指数・為替レート(6月19日 17時時点)
指標名 | 値 | 前日比 |
---|---|---|
日経平均株価 | 38,488.34円 | −396.81 (1.02%)円 |
NYダウ | 42,171.66ドル | −44.14 (0.10%)ドル |
S&P500 | 5,980.87ポイント | −1.85 (0.031%)ポイント |
ドル/円 | 145.12円 | +0.39円 |
日経平均・為替の動き
日経平均は三菱商事など資源関連や日本製鉄株が買われた一方、ハイテク株が売られました。
ドル/円は中東リスクとFOMC後の米長期金利上昇でドル買いが続き、145円台前半を推移しています。
米国株価指数の動き
米国の主要株価指数は、ダウ、S&P500共に重い動きに。
ダウに関しては一時200ドル以上の値上がりで推移していましたが、FRBのパウエル議長が記者会見で利下げを急がない姿勢を強調したことで、下落に転じて取り引きを終えました。
NISA・iDeCoを運用している人が意識すべきこと
NISAやiDeCoを運用している方は、この局面に対して一般的にどのようなスタンスが望ましいでしょうか。
制度としては銘柄の切り替えは自由度が高いものの、時間が限られる中で、日ごとの株価指数や為替レートを見て NISA/iDeCo 内で“ぐるぐる銘柄を入れ替える”人はごく少数です。

基本的には長期・分散投資を徹底して、静観していくことが重要です。
新NISAの銘柄変更について
まだ買っていない “これからの買付” を切り替えるだけなら、年内に何度でも自由に変更可。
既に買った分を売って別銘柄に充て直すのは、その年中は不可。
iDeCoの銘柄変更について
iDeCoも同様に、毎月設定した掛金で買う商品の配分変更は自由(主要なネット証券の場合)。
すでに保有している資産のスイッチング(入替)も毎日可能(松井・SBI・楽天など)。ただし、毎月の掛け金そのものは年1回しか変更できない。



1. 為替ヘッジ比率は“半々”を基準に
ドル/円は145円前後でこう着しています。
FOMCは年内0.5%の利下げ見通しを維持しましたが、インフレ警戒も強めています。
米国株や全世界株ETFを買う際はヘッジ無しと有りを50:50で保有し、為替ブレを平準化しましょう。
2. エネルギー高インフレを“味方”にする分散
ブレントは76ドル台、EUはロシア産ガス禁輸を提案し、光熱費上振れリスクが高まっています。
新NISAの成長投資枠で、米エネルギーセクターETFや豪州REITを合計10〜15%組み込み、生活コスト増を配当や値上がり益でヘッジすると実質負担を抑えやすいです。
3. 国内債券はデュレーション短縮で金利ショックを回避
日銀は国債買い入れ減額幅を縮小し長期金利急騰リスクを抑えましたが、年内再利上げの余地は残ります。
iDeCoで長期国債ファンドの比率が高い場合、3年未満の短期債ファンドやMMFへ段階的に振り替え、価格下落を限定的にすると安心です。
4. “待機キャッシュ”を資産の5〜10%確保
普通預金や定期預金で5〜10%の流動性を確保しておけば、急落時のスポット買い・生活防衛費・繰上げ返済に柔軟に対応できます。
FXトレーダーが心掛けるべきこと
FXの場合は長期投資と異なり、短期的な為替の変動が利益や損失に直接影響します。
ただし、以下のポイントを抑えることでリスク管理を図ることが望ましいです。


1. 145円を中心に“ゆるいレンジ”を想定
FOMCが利下げ示唆を維持した一方、米長期金利は底堅く、ドルと円が同時に買われやすい状況です。
しばらくは144.20〜145.80円のバンドを意識し、ブレイク待ちの小ロット取引が安全です。
2. ストップロスは浅め、利確は分割
円買い狙い:144.20円割れで売り、ストップ144.70円、利確143.50円を目安に。
円売り狙い:145.80円上抜けで買い、ストップ145.20円、利確146.80円へ分割利確すると損小利大の比率が保てます。
3. 資源国通貨で分散ポジション
カナダドル/円、ノルウェークローネ/円が底堅く推移しやすいです。
ドル/円一本ではなく、オイル連動通貨を20〜30%混ぜた分散ポジションでヘッドラインリスクを緩和しましょう。
4. 自動売買は“イベントモード”で値幅拡大
リピート系システムを稼働中の人は、利幅を通常の2倍(0.30円→0.60円など)に広げ、最大ポジション数を50%まで抑制すると、急変時の建玉膨張を防げます。
免責事項
本稿は一般的な市場情報に基づく参考情報であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
取引・投資判断はご自身のリスク許容度と責任において行ってください。
国内ニュース
日本製鉄CEO「米スチール買収に影響なし」
日本製鉄の橋本英二社長は、米政府が保有するU.S.スチールのゴールデンシェアについて「経営方針を妨げるものではない」と述べ、買収を年内に完了させる方針を強調しました。
5月輸出、8か月ぶり減少 自動車関税響く
財務省発表によると5月輸出は前年同月比▲1.7%となりました。
米向け自動車輸出が▲24.7%と急減した一方、半導体製造装置は堅調で、貿易赤字は縮小しました。
日銀、2026年度の国債買い入れ減額幅を縮小
日銀は前日の会合で資産縮小ペースを鈍化し、市場の金利急騰リスクを抑制すると同時に追加利上げには慎重姿勢を示しました。日本の長期LNG回帰とAIブーム
日本政府の新エネルギー計画とAI関連電力需要の拡大を背景に、JERAや三菱商事が10〜20年規模のLNG長期契約を相次ぎ締結する方針を示しました。
シンガポールのトレーダーは「短期スポット中心から長期固定へ戻れば、世界のLNG市況は安定しやすい」と分析しています。
東証プライムで記録的な「上場廃止ラッシュ」
今年上期だけで43社がM&Aや経営再編を理由に自主的な上場廃止を決定し、年換算では過去10年で最多ペースとなっています。
統治コストと低PBRの払拭が進まず、非公開化による機動的な資本政策を選ぶ企業が増えているためです。
海外ニュース
FOMC、政策金利据え置き 年内0.5%の利下げ示唆
米FRBは政策金利を据え置きつつ、年内0.5%の利下げを見込むドットチャートを維持しました。
パウエル議長は「新関税がインフレを押し上げる恐れがある」と警戒感を示しています。
ドル高と原油高が同時進行
FOMCを受けドル指数が0.1%上昇した一方、ブレント原油は76.70ドルまで続伸。
OPECプラスは非加盟国の増産鈍化を予測し、需給逼迫懸念が強まっています。
EU、27年末までにロシア産ガス全面禁輸を提案
欧州委員会は新制裁案で短期契約のロシア産ガス輸入を段階的に禁止すると提示しました。
エネルギー価格の上振れ懸念から欧州ガス先物は3%高となっています。
気候科学者が「警告ランプは真っ赤」と共同声明
欧米・アジアの研究機関100名超が発表した最新レビューで、海面上昇・CO₂濃度・平均気温の3指標は「いずれも史上最速の悪化ペース」にあると指摘しました。
IPCC第7次評価報告書に向けて、一段の排出削減策強化を各国政府に求めています。
WHO、新型COVID‒19変異株NB.1.8.1を監視対象に指定
WHOはNB.1.8.1(通称Nimbus)が世界感染者の10%超を占めたと発表し、ワクチン有効性などの早期評価を進めています。
現時点で重症化リスク増大のデータは無いものの、各国は空港検疫のサーベイランスを強化する流れです。
私たちの生活に起こること
- 光熱費と家計防衛
原油と天然ガスの上昇が続けば電気・ガス料金が夏以降に再値上げされるリスクがあります。
省エネ家電への買い替えやポイント還元の高い支払い手段を活用し、固定費を抑える工夫が必要です。 - 投資ポートフォリオの見直し
為替ヘッジ無しの米国株ETFを追加購入する際は、ドル/円が一四四~一四六円で推移する間に段階的に買い、ヘッジ付き商品と半々で保有すると値動きを均せます。
エネルギー高対策として新NISA成長投資枠の1割程度をエネルギーETFや資源国REITに振り向けると生活コスト上昇分を補い易くなります。 - 住宅ローンの金利リスク管理
日銀の資産縮小鈍化で長期金利急騰リスクは後退しましたが、年内追加利上げの余地は残ります。
変動型利用者は繰上げ返済資金の確保や固定型への借換えシミュレーションを行い、金利上昇に備えると安心です。