【2025年7月28日】の経済・時事ニュースまとめ

7月28日、世界では米欧貿易協定の電撃合意やトルコでの森林火災など、経済と社会を揺さぶる出来事が続出しました。
国内でも日米関税交渉が妥結し、日銀とFRBの政策決定会合を控える「中銀ウィーク」を前に市場の警戒感が高まっています。

本稿では午前10時時点の主要市場データと、24時間以内に報じられた注目ニュースを整理します。
主要株価指数・為替レート(7月28日 午前10時時点)
指数・通貨 | 値 | 前日比 |
---|---|---|
日経平均株価 | 41,160.07円 | −296.16 (0.71%)円 |
NYダウ | 44,901.92ドル | +208.01 (0.47%)ドル |
S&P500 | 6,388.64ポイント | +25.29 (0.40%)ポイント |
ドル/円 | 147.85 円 | +0.13円 |
日経平均:4万1000円台を保ちつつ調整
日経平均は午前10時時点で前週末比−296.16 (0.71%)円の41,160.07円。
日米中央銀行会合を控えた警戒感と半導体株の軟調が重なり利益確定が優勢となりました。
米国株:好決算と関税合意で連日の史上最高値
前週末のNYダウとS&P500は、米欧15%関税枠組みへの期待とハイテク決算が追い風となり揃って最高値を更新。
今週はFRB会合、雇用統計、メガテック決算が集中し「材料過多」の一週間です。
為替:ドル高・円安が進行
ドル/円は147円台後半へ上昇。
米長期金利高止まりと関税不透明感の後退がドル買いを誘い、円は年初来高値圏で推移しています。
資産運用をしている人がこの局面で心掛けるべきこと
本節では、
- 関税合意後の市場変動
- 中央銀行イベント
- 個別ニュース(Samsung・Roche・港湾売却)
が投資環境に与える影響を整理したうえで、資産クラス別の対応指針を示します。
FRB会合・アップル決算…市場を揺らす「イベント密集週」
8月1日の関税発動期限、FRB会合、米雇用統計、GAFAM決算が一週間に集中。
市場関係者は「高バリュエーションゆえ失望売りに注意」と警戒を強めています。
株式
決算シーズンの注目点
ハイテク・医薬を中心に「ガイダンス下振れリスク」が再び意識されます。
好材料が出ても「織り込み済み」で売られるケースがあるため、決算資料で営業CFや受注残の変化を確認することが重要です。
バリュエーションと通貨選択
ドル建て資産での評価益が円ベースでは拡大しやすい局面です。
PERの水準だけで判断せず、為替ヘッジコストと企業のドル建て収益比率を合わせて評価しましょう。
債券
米ドル建てIG社債
金利高止まり局面ではクーポン収入が魅力的です。
期間3~5年のインベストメントグレード社債なら、金利上昇リスクと価格変動を比較的抑えられます。
円建て国債・地方債
日銀が金融緩和を維持する限り金利変動は限定的です。
リスク資産比率が高い投資家は、調整弁として5~10年ゾーンの国債を組み入れ、ポートフォリオのボラティリティを下げるとよいでしょう。
外貨・コモディティ
為替ポジション管理
147円台後半のドル高・円安は過去のピーク圏に近づいています。
海外ETFなど外貨建て資産を保有する際は、ストップロス設定やヘッジファンドのポジション動向にも注意しましょう。

金・原油
米EU貿易合意でリスクオンが進み原油価格は反発基調です。
一方、金は実質金利の上昇が上値を抑制しています。インフレヘッジとしては金30%・原油70%程度の組み合わせがバランス良いと言えます。


長期投資制度(NISA・iDeCo)
積立の継続とリバランス
制度の目的は長期分散です。
短期的な相場変動で積立設定を止めず、半年~1年に一度、株式と債券の比率を見直す程度にとどめるのが無難です。
新NISA成長投資枠の活用
個別株や高配当ETFを成長投資枠で保有する場合、配当・分配金を再投資して複利効果を高めましょう。
高ボラティリティ銘柄は枠を使い切らず、上限の7~8割で運用余地を残す選択もあり得ます。


まとめ
- イベント密集週はポジションを軽くし、リアルタイム情報とセットで判断する。
- コスト転嫁が予想される業界(自動車・機械)は個別決算を確認してからエントリーする。
- ドル高が続く間は外貨資産の比率を高く、為替が反転すれば円建て債券で受け皿を作る。
- 長期投資枠は毎月の積立を維持し、余剰資金でイベントドリブンの短期売買を行う場合でも総資産の10%以内に抑える。

複数のシナリオを想定しつつ、自分のリスク許容度と時間軸に合ったポートフォリオ運営を心掛けることが、今週の相場を乗り切るカギとなります。
上記は一般的な情報であり、投資判断はご自身のリスク許容度と目的に合わせて行ってください。
国内ニュース
日米関税交渉が妥結、企業は値上げと現地生産を検討
日米が相互関税15%で合意し、当初案より低いものの企業負担は残存。
キヤノンや伊藤園は価格転嫁策を検討し、半導体装置メーカーは値上げで対応すると表明しました。
石破内閣「辞任賛否46%対42%」 支持率31.6%に低下
ANN世論調査で石破首相の辞任賛否が拮抗。
不支持は50.2%に達し、与党内の政権運営に影を落としています。
「中銀ウィーク」入り、市場は政策据え置き観測
今週後半にFRBと日銀が連日政策決定。
専門家は「日経平均は4万1000円台での値固めが先」と指摘し、金融株への物色が強まる可能性を挙げています。
福島県沖で最大震度3の地震
7月28日2時4分ごろ、福島県沖を震源とするM4.6の地震が発生しました。
津波の心配はないものの、深さ約90kmとプレート境界付近の地震で、政府は「念のため1週間程度は同程度の揺れに注意」と呼び掛けています。
海外ニュース
米欧が15%関税で枠組み合意、航空機部品などはゼロ関税
トランプ大統領とEUが発表した新協定で、航空機や半導体設備などの関税が撤廃され、市場はリスク後退を好感しました。
トルコで猛暑による森林火災、3,600人超が避難
地中海の熱波でトルコ各地に火災が拡大。
避難住民は3,600人を超え、環境省はヘリなどを投入して消火を急いでいます。
Samsungが165億ドルの半導体受託生産契約を締結
Samsung Electronicsは、2033年までの長期契約で世界的な大手企業向けにチップを供給すると発表しました。
契約額は165億ドルで、自社株は発表直後に3.5%上昇しました。AI向け先端プロセスでTSMCに遅れを取るSamsungにとって、量産実績を示す絶好の材料となり、テキサス新工場の稼働計画にも追い風となります。
Rocheがアルツハイマー予防薬の臨床試験を開始へ
スイスのRocheは、血液脳関門を通過しやすい設計の新薬「Trontinemab」で、発症前段階から症状進行を遅らせる臨床試験を実施すると明らかにしました。
既存薬より脳内投与効率を高め、副作用を抑える狙いで、治療コストの低減にも期待が集まっています。
CK Hutchison、228億ドルの港湾事業売却で中国企業を招き入れ調整
香港の複合企業CK Hutchisonは、BlackRock主導の買収コンソーシアムに中国国有のCOSCOを加える方向で協議を継続すると表明しました。
規制対応と地政学リスクをにらんだ構図で、世界23か国43港の帰趨が注目されています。
私たちの生活に起こること
関税合意で一部輸入品の値上がり幅は縮小する見通しですが、企業のコスト転嫁が続けば家計負担は完全には解消されません。
一方、ドル高・円安が続けば海外旅行や輸入食品の価格は上昇しやすく、反対に輸出企業や外貨建て資産を保有する人には追い風となります。
家計としては
- 固定費の見直し
- 円資産と外貨資産のバランス管理
- 異常気象に備えた保険の点検
といった実践的対策が有効です。



日米欧の関税協定や中央銀行の政策は、株価と為替を通じて私たちの給与や物価に直結します。
特に15%という数字は「思ったより低いが無視できない」水準であり、企業の値上げ姿勢次第で実体経済への影響が変わるため、今週の政策会合での発言には要注目です。