【2025年8月21日】の経済・時事ニュースまとめ

きょう2025年8月21日、国内外の市場は前日の米株安の流れを引きずりつつも、注目のジャクソンホール会議を前に様子見機運が強まっています。
日本では8月の民間PMI速報が発表され、製造業の回復余地とサービスの底堅さが示唆されました。
為替はドル円が147円台前半で推移し、米金利動向と日銀・植田総裁の出張予定が材料視されています。

政策・社会面では教育データの公表など生活に近いトピックも相次いでいます。
主要株価指数・為替レート(8月21日 午前10時時点)
指標 | 値 | 前日比(円/pt) |
---|---|---|
日経平均株価 | 42,632.39円 | −256.16 (0.60%)円 |
NYダウ | 44,938.31ドル | +16.04 (0.036%)ドル |
S&P500 | 6,395.78ポイント | −15.59 (0.24%)ポイント |
ドル円為替 | 147.37円 | +0.13円 |
日経平均の動きと背景
日経平均は寄り付き後に一進一退を続け、午前10時時点では前日比マイナス圏で推移しています。
前日に売られたハイテクの一角には買い戻しが入る一方、医薬品や陸運などは弱含みで、個別では指数寄与度の大きい銘柄が方向感を分けています。
前夜の米株で高バリュエーションのテック株から他セクターへ資金がローテーションした流れが東京市場の序盤心理を冷やし、外部手掛かり待ちの中で短期の戻りと戻り売りが交錯していると考えます。
NY市場の前日動向と波及
米国では8月20日、S&P500とナスダックが続落し、投資家は割高感のあるテックからエネルギー・ヘルスケア・生活必需品など「価格感のある」セクターへと資金を移しました。
パウエル議長の講演を控える中で金利観測が定まらず、個別決算も強弱が入り交じっています。

米国の「期待成長」から「収益の確度」への物色シフトは、足元の金利・関税・需要不確実性を織り込む自然な反応で、日本の半導体関連にもボラティリティをもたらしやすい地合いです。
為替の見通しと注意点
ドル円は午前10時時点で147.37円と、前日夕から小幅にドル高・円安方向。
米金利や週末のパウエル講演待ちのなか、きょうは147円近辺を中心としたレンジ観測が多く、イベント前の持ち高調整が続く見通しです。
資産運用をしている人がこの局面で心掛けるべきこと
現金比率と流動性の確保(目安の再点検)
イベント前後の値動きが荒くなりやすい時期は、無理のない現金比率を確保し、生活防衛資金を先に分離します。
短期資金と長期資金の「財布」を分けることで、相場の波に飲み込まれにくくなります。
コア・サテライトの分離と分散の徹底
コアは広く世界の収益源に分散し、サテライトでテーマや個別を絞る発想が有効です。
決算や政策のサプライズに備え、相関の低い資産や通貨の組み合わせを心掛けます。

NISAの基本は長期・分散・低コスト。焦って配分を変えない
相場変動を理由に毎回の配分を大きく動かすと、かえって成果が不安定になりやすいです。
積立は自動で継続し、相場が落ち着いたところで年数回のリバランスを検討します。

つみたて投資枠・成長投資枠の役割分担を明確に
つみたて投資枠は「長期コア」、成長投資枠は「サテライト」で位置づけると、値動きに応じたリスク管理がしやすくなります。
目標時期や許容変動幅を先に決め、枠内のファンドや個別の分散を意識します。

iDeCoは節税メリットと引き出し制約の両面を確認
拠出時の所得控除や運用益非課税は強力ですが、原則60歳まで引き出せない点を踏まえ、家計の流動性と両立させます。
資産配分は年1〜2回の見直しで十分です。

為替・金利イベント前のレバレッジ管理。FXは想定外に備える
指標や要人発言の前後はスプレッド拡大やスリッページが起きやすいです。
逆指値やポジション縮小で「生き残る設計」を優先します。

固定費の見直しは「相場に依らないリターン」
通信・保険・電気・住居費などの固定費を点検し、重複や過剰補償を削ると可処分所得が安定的に増えます。
積立余力や緊急資金の厚みが増し、相場変動の心理的負担を軽減できます。



国内ニュース
8月PMI速報:製造業は49.9、サービスは52.7、複合は51.9へ小幅改善
8月のS&Pグローバル日本PMI速報では、製造業が49.9と節目の50に迫りつつも2カ月連続の縮小、サービスは52.7で拡大継続、複合は51.9と6カ月ぶりの伸びに加速しました。
輸出向け新規受注は弱く、関税情勢が企業マインドの重しとなる一方、内需寄与のサービスは底堅さを保っています。

国内需要の粘りで景気は「横ばい~緩やか拡大」基調を維持する一方、輸出セクターは関税・世界需要の不透明感が回復テンポを鈍らせている、と考察しています。
日銀・植田総裁がきょうから米国出張(ジャクソンホール会議に出席)
日銀は、植田和男総裁が8月21~25日に米国出張し、ジャクソンホール会議に参加すると発表しました。
市場は講演の有無やメッセージよりも、米金利・為替との相互作用を注視しており、週内の円相場はヘッドラインに敏感な展開が続きそうです。

日銀のスタンス自体に急転換は想定しにくいものの、海外当局者の発言が対外金利観測を揺らせば円相場へ波及するリスクがあるため、金利と為替の連動度合いを見ます。
教育データ:高校生の英検挑戦者が133万人に増加
日本英語検定協会の統合報告書をもとにした報道によると、高校生の英検受験者は過去10年で約1.8倍、2024年度は133万人超に達しました。
準1級の挑戦者も増えています。
賃上げ・人手不足の時代に、言語・ITなど汎用スキルへの投資は家計の長期収益力を高め、国内需要の質的強化にもつながる可能性があります。
日本PMIフラッシュ:製造業は49.9で縮小続く。輸出弱含み、サービスは拡大
8月の日本製造業PMI速報は49.9と、7月から改善も節目の50未満で縮小域でした。
輸出関連の受注が弱く、関税や世界需要の不透明感が重しです。複合PMIは51.9と拡大を維持しました。

内需サービスの底堅さが全体を支える一方、輸出ドライバーの回復は遅れがちです。
為替や関税のヘッドラインに敏感な製造業の見通しは、当面は横ばい圏を想定します。
沖縄沖の米海軍艦火災は鎮火。安全確保と海上交通への影響は限定的
沖縄県沖で火災が発生した米海軍艦「ニューオーリンズ」の火は消し止められ、沈没や広域避難を伴う事態には至っていません。
現時点の報告では、周辺の海上交通への影響は限定的とみられます。
航行安全情報の更新を確認しつつ、観光・物流への波及は小さく、海難保険や運賃への即時の影響は限定的と評価します。
海外ニュース
米国:ビザ申請者の「反米感情」審査へ。留学・採用・研究の受入れに波及の可能性
米政権は就労・留学・移民ビザの申請プロセスで「反米感情」を評価項目に加える方針を示しました。
言論の自由とのバランスや、大学・企業の受入れ体制への影響が注目されています。
審査基準の具体化と運用次第で、米国での学位取得や研修のハードルが上がる可能性があります。

採用や研究プロジェクトに米国滞在を含む計画がある場合、代替拠点やオンライン活用を並行検討する合理性が高まると考えます。
中国:人民元連動ステーブルコインの承認を検討
中国政府が人民元に連動するステーブルコインの発行承認を検討。
デジタル人民元の周辺エコシステム整備や越境決済の効率化をにらんだ一手として、市場は金融インフラ・規制の動向を注視しています。
承認スキーム次第で国外プラットフォームとの相互運用や資本移動管理の実効性が焦点となり、新興国通貨・コモディティ決済への影響も読み解く必要があります。
ニュージーランド:利下げ効果の浸透は関税不透明で遅れ気味
RBNZのホークスビー総裁は、対米関税などの不確実性が企業・消費者心理を冷やし、利下げの景気押し上げ効果が表れにくいと指摘しました。
追加緩和の余地を残しつつ、外部ショックに左右される回復ペースが課題です。
関税は「価格」を通じて世界的に需要を冷やしやすく、貿易立国の成長弾力性をそぐため、金融緩和だけでは補い切れない局面が見えます。
私たちの生活に起こること
物価・関税・賃金・金利がせめぎ合う今は、短期の値動きに振らされず、家計と投資の「軸足」を整える時期です。
生活防衛としては、まず家計の見える化と保険・サブスクなどの見直し、次に有事に備える生活防衛資金の確保、そのうえで長期・分散・低コストを軸にした運用で積み上げるのが王道です。