給料から引かれる所得税、なぜ増えた?|1年で17%増、カギは定額減税の終わり

国税庁が2026年9月に公表した「民間給与実態統計調査」によると、2025年の1年間を通じて働いた会社員やパートなどの給料から引かれた所得税は、合計で12兆9,141億円に達しました。
なんと、前年と比べて17.0%も増えています。
これには、2024年限定で実施された「定額減税」がなくなったことが、大きく関係していると思われます。
12月の年末調整では、引かれすぎた税金が給料と一緒に戻ってくることがあります。
会社から配られる紙に、保険や家族のことを書き忘れないようにしましょう。


所得税は、1年でどのくらい増えた?
2025年に1年を通して働いた人は5,163万人で、そのうち給料から所得税が引かれていた人は4,175万人(80.9%)でした。
前年の73.1%から7.8ポイント増えています。
引かれた所得税の合計も、11兆363億円から12兆9,141億円へと増えました。
1年を通して働いた人1人あたりにならすと、約21.5万円から約25.0万円へ、約3.5万円増えた計算です。
| 1年を通して働いた人 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|---|
| 所得税が引かれた人の割合 | 86.3% | 73.1% | 80.9% |
| 引かれた所得税の合計 | 11兆8,907億円 | 11兆363億円 | 12兆9,141億円 |
なぜ増えた?カギは2024年の定額減税

表を見ると、2024年だけ割合・税額ともに一時的に落ち込んでいることが分かります。
2024年には定額減税(1年分の所得税から本人分3万円と、扶養している家族1人につき3万円を差し引く制度)が実施されたため、6月以降の給料から引かれる所得税が少なくなっていました。
しかし、この定額減税は2024年限りの措置であり、2025年には行われていません。
定額減税が始まる前の2023年と比較してみると、2025年の所得税の合計は8.6%の増加ですが、値上げラッシュが続く中、取られる税金まで上がると家計へのダメージも大きなものとなります。
「給料が少し上がったはずなのに、手取りが増えた気がしない」と感じていた方は、気のせいではなかったのですね。
平均年収487万円、でも周りにそんな人いる?
同じ調査では、1年を通して働いた人の平均の給料は487万円となり、5年連続の増加で過去最高を更新しました。
ただし、もっとも人数が多い層は「300万円超400万円以下」の799万人(全体の15.5%)です。年収400万円以下の人をすべて合わせると約47%に達し、全体のほぼ半分を占めています。
給料の「平均値」は、一部の高い給料の人(800万円を超える人は全体の12.6%)に引っぱられて、高めに出やすい傾向があります。
そのため、平均の487万円と比べて、自分だけ少ないと思わなくて大丈夫です。
「年末調整」って何?お金は戻ってくるの?
年末調整は、会社が1年分の税金を計算し直す手続きです。
毎月の給料から引かれる税金は、だいたいの金額で引かれています。
そこで12月に会社が正しい金額を計算し直して、引きすぎていた人には12月の給料などでお金を戻します(足りない人は、少し多めに引かれます)。
会社員やパートなら、ほとんどの人が受けている手続きです(2025年は91.9%)。
今年は、基礎控除の引き上げがあったことで、税金がかからない分が少し増えます。
ただ、この分は11月までの給料には入っておらず、12月の年末調整でまとめて計算されることになっているので、12月の給料で戻ってくるお金が増える人もいます。
結局、今年は何をすればいい?
以上のことをふまえると、次のように整理できます。
- 2025年に所得税が増えたのは、2024年の定額減税がなくなったことが大きい
- 年収400万円以下の人が全体の約47%を占めており、平均値の487万円と単純比較する必要はない
- 年末調整は、会社が税金を計算し直す手続き。引かれすぎた分は12月の給料などで戻ってくる人もいる
手取りが増えない理由が分かると、少しすっきりするものです。
※この記事は情報提供を目的としたもので、内容は2026年10月8日時点のものです。1人ひとりの税額は、勤め先や税務署にご確認ください。

引用・参考出典
引用・参考出典は、次のとおりです。
- 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」(2026年9月公表)「https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2025/minkan.htm」確認日:2026年10月8日
- 国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」「https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2024/minkan.htm」確認日:2026年10月8日
- 国税庁「令和6年分所得税の定額減税について(給与所得者の方へ)」「https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0024004-072_03.pdf」確認日:2026年10月8日
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」「https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2026/01.htm」確認日:2026年10月8日