「公務員試験の一般枠と社会人枠ってどう違うのかな」
「公務員へ転職することは現実的に可能なんだろうか」
民間企業から公務員へ転職するにあたり、さまざまな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。今回の記事では公務員試験の内容や流れ、また公務員へ転職するメリット・デメリットについてお伝えするほか、公務員から民間への転職についても解説します。
・公務員試験の内容や流れ
・公務員へ転職するメリット・デメリット
・公務員から民間企業への転職
上記内容について解説します。
公務員に転職するには試験を受ける必要がある
民間から公務員に転職しようと思った場合、公務員試験に合格する必要があります。
社会人の場合は「一般枠」か「社会人経験枠」のいずれか選んで受験をする必要があります。
一般枠
一般枠とは、従来の公務員試験のことを指します。その試験の多くは30代前後の年齢制限が設けられていますが、年齢条件さえクリアすれば誰でも受験可能です(学歴不問)。
一般枠は、採用人数が多いため倍率が低いのが特徴です。しかし、一般試験では教養試験、専門試験、論文が課されることが多く、試験対策のために予備校に通うほか、参考書で勉強する人がほとんどです。
勉強時間がある程度確保できる方であれば、一般枠を狙うとよいでしょう。
社会人枠(社会人経験者採用枠)
社会人枠は第二新卒を主な対象とした一般枠と比べ、民間企業などで勤務経験のある社会人が対象です。多くの試験は年齢制限が59歳までと広く設定されており、受験資格として民間企業での一定経験年数などが求められます(契約社員や非常勤であっても一定の勤務時間または勤務年数をクリアすれば受験可能)。
試験科目として「教養試験」のみを実施する自治体がほとんどであり、一般枠に比べて勉強の負担が少なく済むのが特徴です。
ただし、採用人数も少ないことから、倍率が高く狭き門である点に注意する必要があります。
公務員への転職は努力次第で十分狙える
公務員試験は学歴や職歴、転職回数などは問われません。年齢制限さえクリアすれば誰でも受験できることから、努力次第で十分目指せる職業だと言えるでしょう。また、民間企業で一定の経験を積んでいる場合、「一般枠」ではなく「社会人枠」を受験することをおすすめします。
筆記試験対策の負担が少なく済むほか、一般枠よりも受験者数が多いこと、そして民間企業で積み重ねたキャリアやスキルをアピールできる点が挙げられます。
公務員試験への出願から合格までの流れ
- 出願
- 一次試験
- 二次試験
まず、試験要項の受験資格を確認した上で出願手続きを行います。日程が別々であれば併願も可能です。(※一般枠と社会人枠の併願は禁じられているケースもある)
次に一次試験を受験します。一次試験では主に教養択一試験と論文試験が課されます。公務員試験に向けてある程度の対策は必要ですが、学生時代に得意な科目があれば活かすことができるでしょう。いずれにせよ過去問を何年かにわたって解き、傾向を把握しておくことが大切です。
一次試験のあと、二次試験が行われます。個別面接または集団討論が行われるケースがほとんどですが、いずれもスクール等で対策を講じておくことをおすすめします。
民間から公務員へ転職するメリット
民間から公務員へ転職する主なメリットを3つ、紹介します。
解雇されるリスクがない
公務員は民間企業と異なり、業績や市場の状況に左右されることがありません。そのため、給与水準が突然下がることはなく、解雇されるリスクもないでしょう。
安定した収入を得られる
公務員の給与体系は基本的に年功序列となっています。勤続年数が増えるにつれ、平等に昇格し、収入も少しずつ増加するでしょう。また、ボーナスも必ず支給されるため、目先の資金計画が狂うリスクもなく、ライフイベントに合わせた人生設計がしやすいといえます。
国や地域に対して貢献できる
自治体の規模によっても異なりますが、民間企業では経験できないような大きな規模のプロジェクトに関われるのも公務員のメリットです。また、地方公務員であれば地域に暮らす人々への貢献を実感しやすいでしょう。
民間から公務員へ転職するデメリット
民間から公務員へ転職する場合、次のような点に注意が必要です。
仕事内容を単調に感じる恐れがある
公務員の仕事はあまり変化がなく、単調になりやすい傾向にあります。仕事の成果にやりがいを求めている人にとってはモチベーションが上がりづらく、途中でつらくなってしまうかもしれません。
また、社内での出世競争や出来不出来によって昇級が決まるわけでもないため、それらの点で退屈だと感じてしまう人もいるでしょう。
公務員は安定している一方で、そのような側面があることを今一度理解しておくことが大切です。
思っている以上に業務は大変である
公務員を目指す人の中には、公務員は残業が少なく定時で帰れるケースが多いと考えている方もいるかもしれません。部署によってはほとんど残業がなく、ワークライフバランスを充実させられるケースもあるでしょう。
しかし、基本的に年度末や予算作成時期といった繁忙期は多忙であるほか、部署によっては国会や議会が開催されている間は忙しいでしょう。
そのため、公務員が楽だからといった理由で転職を検討することはあまりおすすめしません。
副業が禁止されている
公務員は収入が安定している一方で、昇給幅が民間企業よりも小さく、年収が大幅に増えることがありません。
中には副業で収入を増やそうと考える方もいるかもしれませんが、公務員は職務に専念することが前提であり、原則として副業は禁止されている点に注意が必要です。
そのため、本業で培ったスキルを活かして副業に取り組みたいと考えている方にとって、公務員への転職はすこし窮屈に感じてしまう恐れがあります。
公務員から民間への転職は難しい
一般的に、公務員から民間への転職は難しいといわれます。公務員は業務を通して利益を追求するような働き方ではないため、民間企業の風土に馴染めないだろうと思われてしまうことが理由として挙げられます。そのため、公務員から転職を検討する場合、他の公務員へ転職する(国家公務員→地方公務員など)ことを検討してもよいでしょう。
公務員から公務員への転職は有利に働く傾向にあり、基本的な風潮はそのまま、取り組む業務内容を変えることができます。
また、そうした性質から一度民間から公務員へ転職してしまうと、民間に再び戻ることが非常に難しくなります。
民間から公務員へ転職する場合には、そうしたことまで考えた上で決断を下すようにしましょう。
おわりに|公務員への転職は計画的に準備を進めよう
公務員への転職によって得られるメリットは以下の通りでした。
- 解雇されるリスクがない
- 安定した収入が得られる
- 国や地域に対して貢献できる
ただし、一方で公務員へ転職するには公務員試験に合格しなければならないほか、それ相応の試験対策が必要となります。
また、公務員は時期によって残業等で忙しいほか、仕事がルーティン化しやすい点に注意が必要です。
今一度自分が望む働き方が公務員で叶えられるのかどうか検討した上で、目指すことをおすすめします。