転職後の住民税はどうなる?離職時期に応じた手続きや納付のポイントを解説

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「転職することが決まっているものの、どうやって住民税を納付するのかがわからない」と悩んでいる人も多いかもしれません。納税方法は退職時期によって異なるほか、それぞれ所定の方法で納付する必要があります。

そこで、今回の記事では、住民税の仕組みをはじめ、退職時期に応じた納付方法についてまとめてみました。

目次

住民税の仕組みと納付方法とは

住民税とは、「道府県民税」「都民税」「市町村民税」の総称であり、行政サービス(警察、医療、福祉、教育)に充てられる税金のことです。個人だけではなく、法人にも課税がされ、1月1日時点で住所がある自治体に納付する決まりがあります。

住民税額は前年の所得に応じて決まる

住民税は前年1月から12月までの所得に応じて決まります。また、住民税には所得をもとに算出される「所得割」と所得に関係なく一律で課税される「均等割」があり、この2つを合わせたものが住民税となります。

住民税の税率は所得割が10%(市町村税6%、道府県民税4%)となっており、基本的にはどの自治体であっても変わりありません。ただし、地方自治体によっては規定によって課税される所得割が異なるほか、独自の税金が上乗せされるケースも見受けられます。そのため、所得が同じであっても、住んでいる地域によって課される住民税は異なります。

住民税の納付方法は2つに分けられる

住民税の納付方法は以下の2つに大別されます。

・普通徴収:確定申告をして納税義務者が自身で納税する方法
・特別徴収:給与から天引きされて納税する方法

普通徴収の場合、市区町村から毎年5月から6月にかけて納付書が届くため、その案内にしたがって税金を納めます。税金の納付方法として6月末に一括支払いするか、年4回(6月末、8月末、10月末、翌年の一月末)に分けて支払うか自分で選ぶことが可能です。また、納付書ではなく口座振替にて納付することもできます。

一方で、特別徴収の場合は前年の収入に応じた住民税額が6月支給の給与から天引きされます。会社から給与をもらっていれば基本的に特別徴収となるものの、退職や転職のタイミングで普通徴収に切り替わってしまうケースもあるため注意が必要です。

転職後の住民税の決まり方

先にも述べたように、住民税は前年の所得に応じて決まります。そのため、仮に転職をしたことで年収が大幅に下がったとしても、前職の年収が多かった場合には住民税の支払額が高額となる点に注意しなければなりません。また、年金や健康保険の場合には、諸事情により支払いが困難な場合に減免措置が認められるケースもありますが、住民税には原則として減免措置がありません。(※震災や風水害、火災など一部の例外を除く)

よって、転職に伴って収入減が見込まれる場合には、高額の住民税が請求されることを考慮したうえできちんとお金を貯めておく必要があります。万が一、どうしても住民税が支払えないといった場合は、支払いが難しいとわかった時点で早めに市区町村の担当者に一度相談してみるとよいでしょう。

転職に伴う住民税の納付方法

転職に伴う住民税の納付方法は、以下のタイミングによって異なります。

1月1日~4月30日に退職した場合

退職が1月1日~4月30日の場合、5月分までの住民税を退職月の給与から一括徴収されます。最大5ヶ月分がまとめて徴収されることから、給与に対してマイナスになるケースも見受けられます。

この場合は給与から支払いができないため、普通徴収に変更された後に後日届く納付書で不足分を支払うことが必要です。

5月中に退職した場合

住民税は5月分のみであるため、給与から通常通り天引きとなります。

6月1日~12月31日に退職した場合

退職が6月1日〜12月31日の場合、翌年5月までの住民税を会社からの一括徴収か、普通徴収にするか自身で選ぶことができます。

一括徴収では納付の手間がかからないといったメリットがある一方で、普通徴収は退職のタイミング次第で住民税を分割で支払うことが可能です。それぞれのメリットを加味し、今後の収入なども考慮して判断するようにしましょう。

退職前に転職先が決まっている場合

転職が決まっている場合、所定の手続きをすることで特別徴収を継続可能です。転職前の会社から「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を発行してもらい、転職先の会社を通じて市区町村に提出することで手続きは完了します。

ただし、「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」の提出が遅れたり、記載内容に不備があったりすると普通徴収に切り替わる恐れがあるので気をつけましょう。

転職時における住民税納付の注意点

転職時における住民税納付の注意点は、以下の3つです。

退職するタイミングによって経済的な負担がある

退職する時期が1月~2月などの場合、一括徴収される金額がどうしても大きくなってしまいます。そのため、経済的な負担を強いられてしまうため、経済的に余裕がない場合は、退職時期を後ろ倒しにするなどの対策を講じるとよいでしょう。

引っ越しを伴う転職の場合は速やかに手続きを行う

引っ越しが終わったら、なるべく早い段階で住民票を移しておくようにしましょう。

旧住所と新住所の自治体から住民税の二重払いが発生することはないものの、引っ越しの際に住民票を移していなかった場合、最高5万円の過料が科される恐れがあるため注意が必要です。

住民税の納付期限に気をつける

住民税の支払いが遅れてしまった場合、納付期限の翌日から納付日までの日数に応じた延滞金が加算されます。

納付期限から20日前後で催促状が発行され、その日から10日以上経過した場合、財産を差し押さえられる恐れがあるケースもあるため、しっかりと期限を守るようにしましょう。

納付書が届かない場合は市民税課に問い合わせる

転職に伴い、住民税を普通徴収で支払おうと思っている場合には、市区町村から届く納付書を元に支払うことになります。

万が一、一定期間が経過しても納付書が送られてこない場合、各市区町村の市民税課に問い合わせましょう。納付期限内に住民税を納付するためにも、届いていないと気づいた時点ですぐに相談することをおすすめします。

終わりに|転職時期に応じた対応を心がけよう

転職に伴う住民税の納付方法は、以下のように退職時期によって異なります。

・1月1日~4月30日に退職した場合:1~5月分までを退職月の給与から一括で天引きされる
・5月に退職した場合:退職月の給与から天引きされる
・6月1日~12月31日に退職した場合:翌年5月までの住民税を会社からの一括徴収か、普通徴収にするか選べる

上記から分かるように、タイミングによっては経済的な負担が大きくなる恐れがあります。そのため、可能であれば支払いを後ろ倒しにするなどの工夫をするとよいでしょう。

また、住民税の納付期限を過ぎてしまうと、延滞金が加算されるなどのペナルティが科されてしまいます。ペナルティを回避するためにも、退職時は自身の納付方法についてきちんと把握しておくことが大切です。

今回の記事を参考に、転職をするタイミングに応じた適切な納付方法で住民税を納税するようにしましょう。

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この記事を書いた人

元信託銀行員。宅建士・ 2級FP技能士をはじめ、複数の金融・不動産資格を所持。それらの知識をもとに、「初心者にもわかりやすい執筆」を心がけている。2児の子育て中でもあり、子育て世帯向けの資産形成、女性向けのライフプラン記事を得意とする。 FP2級、宅建士、証券外務員1種

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