転職面接では、ビジネスの場にふさわしい服装ができているかが社会人としての評価に大きな影響を与えます。
就職活動時にはリクルートスーツが定番ですが、転職活動においては「定番ファッション」が明確ではありません。そのため、具体的にどのような服装で面接にのぞめば印象をアップできるのかに悩む方は多いでしょう。
本記事では、就職面接にふさわしい服装を男女別にまとめました。面接に私服着用を求められた場合や、清潔感を与えるための髪型やメイク、仕草までを解説します。
転職面接において、面接官に「一緒に働きたい」と思わせるような好印象を与えたい方は、ぜひ参考にしてください。
転職面接の服装で意識するべきポイント
面接時の服装は、応募者の第一印象を左右する重要な役割を担っています。
ビジネスの場で求められるのは、責任感があり信頼できる人物です。乱れた服装や、マナーやTPOに合っていない服装の人よりも、ビジネスの場にふさわしい整った身なりの人のほうが好印象となるのは自然なことでしょう。
また身だしなみが整っている人は、自分が周りからどう見られているかを認知できているとみなされ、仕事がデキる印象につながります。限られた時間で自分をアピールしなければならない面接においては、服装を含めた身だしなみは重要視するべきでしょう。
まずは、転職の面接を受けるときの服装で意識するべきポイントを3つにわけて解説します。
清潔感
面接時の服装でもっとも重要なのは清潔感です。
シワや汚れの目立つ服を着用していたら、それだけでルーズな印象を与えてしまいます。アイロンやクリーニングをして準備しておくのはもちろん、着用後も汗染みやフケが付かないように注意を払いましょう。
また服装で清潔感を出すには、色や柄選びも大切です。カッターシャツであれば、濃い色や柄が入ったものよりも、白や薄い青系で無地のほうが清潔な印象を与えます。
体型に合ったサイズ
いくら清潔な服を着用していても、体型に合ったサイズでなければ、見た目がだらしのないものになってしまいます。
体型に合っていない服装は、自分自身を客観的に見られない人と判断され、「視野が狭く余裕のない働きぶりなのでは?」とネガティブな想像につながってしまいます。
面接を受ける機会に、スーツを新調したり、以前購入したスーツを久しぶりに着用したりする方も多いかもしれません。裾や袖、肩幅などが自分の体型に合っているか、スーツショップの店員さんや家族、友人などにチェックしてもらうと安心できるでしょう。
面接先企業とのマッチ度
面接時の服装を選ぶ際は、「面接先企業にふさわしい服装か?」という視点も大切です。
企業が面接を行う目的は、応募者が入社したときに自社に適した働きぶりをしてくれるかを判断するためです。カチッとした服装でお客様と対面することが多い職場の面接に、カジュアルな服装で行ってしまうと、「自社の業務を任せて大丈夫かな」と不安を抱かせてしまうでしょう。
その会社の業務内容や社風をリサーチし、大きなミスマッチがない服装を選びましょう。
【基本】転職面接における服装マナー
ここからは、転職時の面接でどのような服装をするのが好ましいのか、一般的な服装マナーをご紹介します。
面接にあたって企業側からとくに服装の指定がない限り、男女ともに上下セットのスーツを着ていくのが基本です。男性と女性にわけて、スーツやインナー、小物まで、面接時にふさわしい服装を具体的に解説します。
※可能な範囲で画像は参考サイトのようにイメージつきやすいものがよいと思います。
https://doda.jp/guide/mensetsu/wear/001.html
男性編
まずは、男性の場合における転職面接に適した服装を見ていきましょう。どのようなスーツや小物がふさわしいのか、具体的な色や形をまとめてご紹介します。
スーツ
スーツは濃いネイビーやグレーといった暗めの色で無地のものが基本です。
暗めの色であっても、ブラックのスーツは冠婚葬祭の印象を抱く人も多いため避けたほうが無難です。業種によっては、うっすらとわかる程度のストライプ柄でも問題ないでしょう。
形はテーラードスーツで、シングルボタンのシンプルなものを選びます。ダブルスーツや奇抜なデザインのものは派手なイメージを抱かれるかもしれません。
ジャケットの一番下のボタンは「アンボタンマナー」といって、シルエット崩れをふせぐために外しておくのがマナーです。
シャツ
スーツのインナーに着るワイシャツは、白無地で光沢や織柄のないものが基本です。白以外であれば、淡いサックスブルーなど清潔感のある色であれば問題ありません。
襟の先にボタンが付いたボタンダウンシャツは、カジュアルな印象を与えるため面接の場には不適切です。ボタンの色が目立つものも悪目立ちしてしまう恐れがあるため、社風や業種によっては控えたほうが無難です。
ネクタイ
スーツの色に合わせて、紺やグレー、ボルドーなど落ち着いたカラーのものを選びましょう。無地のほかにも、小紋やストライプなどのシンプルな柄のものがおすすめです。
ネクタイは個性を出しやすいアイテムですが、派手な色やキャラクター柄などユニークなものは軽率な印象を与える恐れがあるため注意しましょう。
靴下・靴
靴下は、ふくらはぎの中央あたりまでの丈で、紺か濃紺の無地のものが適しています。座ったときに肌が見えてしまうくるぶし丈のソックスは、面接時には避けましょう。
靴は、黒かこげ茶の紐付きの革靴が一般的です。ベルトと素材や色を合わせると、全体の統一感が出ます。
足元は、スーツやネクタイなどにくらべるとおろそかになりがちな部分です。しかし、そのような細部にまで気を配れている人からは、真面目で信頼できる印象を受けます。面接前には靴磨きで艶出しや汚れ防止をしておき、面接時にも直前についた汚れを落とせるようにシュークロスを持参しておきましょう。
小物
ベルトは黒かこげ茶の革製のもので、バックルはオーソドックスな形のシルバーのものを選びましょう。靴と同系色で揃えるのが基本のため、靴もベルトも黒を選んでおくと茶系のものにくらべて色が合わせやすくなります。
カバンは、A4サイズが入る大きさで、床に置いたときに自立できるビジネスバッグを用意しましょう。一般的にはビジネスバッグであってもリュックは避けるほうが無難ですが、持ち手のあるタイプを手にもって入退室すればカジュアルな印象になりにくいでしょう。カバンを持たない手ぶらや、紙袋などはNGです。
腕時計の着用は「社会人としての身だしなみの一部」という考え方があります。面接時にも付けておくほうがベターですが、デジタル時計や高級すぎるものは悪目立ちするため避けましょう。
女性編
続いて、女性の場合の転職面接における基本的な服装マナーをご紹介します。
男性よりも女性のほうが比較的服装の自由度が高いため、迷う部分も多いかもしれません。具体的な基本の服装を見ていきましょう。
スーツ
男性と同様に上下セットのスーツを着用するのが基本です。
色は黒、紺、グレーなど落ち着いた色を選び、子どもの入学式に出席するときのようなツイードカラーや華やかな色合いのものは避けましょう。ジャケットのボタンはすべて閉めます。
ボトムスがスカートの場合は、椅子に座ったときに足が露出しすぎないように膝が隠れる程度の丈にします。パンツの場合は、パンプスのヒールが少し隠れる程度の長さに合わせましょう。
シャツ(ブラウス、カットソー)
スーツのインナーは、シャツに限らずブラウスやカットソーでも問題ありません。白が基本ですが、顔色がキレイに見える淡いパステルカラーもおすすめです。
第一ボタンを開けて着るシャツやカットソーは胸元の開きに注意し、鎖骨が見えるか見えないか程度を目安にしましょう。
フリルや柄が華やかすぎるものや透け感が強いものは、面接には不適切です。カットソーの場合、生地が薄いとヨレっとした普段着のような印象になりやすいため、ある程度生地に厚みや張りがあるものを選びましょう。
ストッキング・靴
ビジネスの場において女性の素足はNGです。スカートの場合はもちろん、パンツスーツであっても必ず肌色のストッキングを着用しましょう。
靴は、ヒールが太めで余計な装飾がない黒のパンプスが定番です。ヒールの高さは5cm程度が目安で、歩くときにコツコツと音が響きにくいものがスマートです。エナメルなどの光沢が強いものは避けましょう。
小物
女性のパンツスーツの場合、ベルトは必須ではありません。ただし、ベルトループがあるボトムスでトップスをインするときは、パンツと同系色の細身のベルトを着用しましょう。
カバンは、床に置いたときに自立するビジネスバッグが基本です。大きさはA4サイズが入るもので、バッグの口が閉まるもののほうが中身が見えずにきちんと感が出ます。
女性の場合でも、腕時計を着用しておくほうがしっかりした印象をもたれやすいです。アナログ式のシンプルなもので、シルバーの金属製やベーシックな色味の革製を選びましょう。
【応用】「私服でお越しください」の場合の服装マナー
社員が普段からカジュアルな服装で勤務している会社や、アパレル系やクリエイティブな職種での面接の場合、服装に私服を指定されるケースもあります。
企業が私服を指定する理由は、社風に合った人材かを見極めたい、その人らしさを見たいといった意図があります。ただし、面接はあくまでもビジネスの場です。私服で面接に行く場合でも、相手に失礼を与えない「オフィスカジュアル」な装いを心がけましょう。
面接時にふさわしいオフィスカジュアルの服装を、男女別にご紹介します。
男性編
トップスは、夏場であってもジャケットがあるほうが好ましいです。形はテーラードジャケットやブレザーで、ネイビーやグレー、ベージュなどの落ち着いた色味のほうがほかのアイテムと合わせやすくなります。
インナーは襟付きのシャツが基本です。ネクタイはなくても構いませんが、シャツの裾はパンツインしてきちんとした着こなしをしましょう。派手な色柄物よりも、ボタンダウンの白シャツや、明るいブルーやグレーなどのほうが清潔感が出ます。
ボトムスは、ジャケットと同様に落ち着いた色味のスラックスやチノパンを選びましょう。
身幅が太すぎたりタイトすぎたりするものはラフな印象が強まるため、センタープレスの入ったジャストサイズなものが適しています。
全体の色合いや統一感を考えて、靴やベルトなどもコーディネートしましょう。
女性編
女性もジャケットを着用したほうが、きちんと感が出ます。ジャケットもボトムスも、暗めのカラーだけでなく、落ち着いた色味であれば明るめのグレーやベージュなどでも問題ありません。
インナーには、白やパステルカラー、ネイビー、黒などの派手すぎない色味のブラウスやカットソーを選び、ジャケットやボトムスに合わせてコーディネートしましょう。
足元は肌色のストッキングを着用します。靴は、黒やネイビー、ベージュなどの落ち着いたカラーでヒールが5cm程度のパンプスを選びましょう。つま先がでるサンダルやミュールなどはマナー違反です。ローファーやブーツなども面接の場にはふさわしくありません。
【シーン別】転職面接で注意したい服装のマナー
転職の面接を受ける際には、そのときの状況によって服装で注意するべきマナーやポイントが異なります。
・夏の場合
・冬の場合
・WEB面接の場合
これら3つのシーン別に、押さえておきたい服装マナーを解説します。
夏の場合
実際の職場ではクールビズを推奨している会社であっても、「面接時のクールビズOK」といった案内がない限りはネクタイ・ジャケットの着用がマナーです。
とはいえ、大汗をかきながら面接を受けるのは印象をダウンさせる恐れがあります。早めに到着して汗の処理をしたり、生地の薄いサマースーツを着用したりと対策を取りましょう。
「クールビズでお越しください」と案内された場合であれば、ノーネクタイでジャケットも不要と考えるのが一般的です。もし「本当にクールビズで行って大丈夫?」と不安があれば、ネクタイやジャケットを持参しておくのも手です。
ほかにも、夏に注意したいマナーとしては以下のようなものがあります。
・汗を拭くためのハンカチが必須
・暑さをしのごうと扇子や手で扇ぐのはNG
暑さのせいでネガティブな印象を与えてしまわないように、事前に服装や対策を考えておきましょう。
冬の場合
寒さが厳しい冬の時期に注意したいのが、スーツの上から着用するコートです。
コートを脱ぐタイミングは、「建物に入る前」がマナーとして正解です。脱いだコートは軽く畳んで片腕にかけて持ち歩き、面接時にはカバンの上に置きましょう。
面接時にコートは脱いでいるものの、ダウンジャケットやPコートといったカジュアルなものはビジネスシーンにふさわしくありません。コートも面接官の目につく機会があるため、膝上程度の長さのトレンチコートやチェスターコートを選びましょう。
また、スーツの下にニットなどを重ね着するのはフォーマルな着こなしではありません。寒さ対策をする場合は、保温性に優れたインナーや貼るカイロなどを活用しましょう。
WEB面接の場合
WEB面接であっても、対面での面接と同じくスーツが基本です。
画面上しか見えないWEB面接は、直接顔を合わせる対面の面接よりも服装に気を使わずに臨むことが多いかもしれません。しかし、画面に映っている部分だけに注目が集まるため、顔周りや上半身に乱れた点があると悪目立ちする恐れがあります。ネクタイのズレや襟周りのシワ、顔にかかる髪の毛などがないように注意しましょう。
また、トラブル時などに立ち上がって全身が映ってしまう可能性もあるため、ボトムスまでしっかり服装を整えておくことも大切です。
転職の面接時にリクルートスーツはあり?
転職時の面接においては、リクルートスーツは避けたほうがベターです。
就活生が着るリクルートスーツは若々しくフレッシュな印象を与えるため、転職時に着用していると「経験が浅くて頼りなさそうな人」と思われてしまう可能性が高いからです。
第二新卒のような20代前半の転職では、リクルートスーツのほうが好印象になるとも考えられます。しかし20代後半以降になると、年齢にふさわしい質感のビジネススーツで面接に挑むほうが、「即戦力になりそう」とポジティブな印象を与えられるでしょう。
また、ブラック無地のビジネススーツは、リクルートスーツに見えてしまう可能性もあります。経験豊富な社会人を演出するには、ブラック以外のビジネススーツを選ぶのも1つの手です。
転職面接における身だしなみのマナー
面接を受けるときには、服装が整っていたとしても、髪型やメイクがビジネスの場に不適切なものであれば印象を損ねてしまいます。「一緒に仕事をしたい」と感じてもらうには、髪型やメイクも清潔感が大切です。それぞれにおける身だしなみのマナーを解説します。
髪型編
清潔感のある印象を与えるには、髪型にも気を配りましょう。男性ならショートヘア、髪の短い女性は顔にかからないようにセットし、髪の長い女性は後ろで1つに束ねるのがベターです。
男女ともに控えたいのは以下のような髪型です。
・前髪が目にかかっている
・頭を動かすと顔に髪がかかる
・整髪料をつけすぎてテカテカしている・匂いがきつい
・カラーリングしてから時間がたち、プリンヘアになっている
面接やビジネスの場は、おしゃれな自分を見てもらう場所ではありません。相手が不快にならないよう、スッキリとした髪型を目指して適切にスタイリングしましょう。
メイク編
面接時のメイクは、明るく健康的な印象を与えるためのものと理解しておきましょう。
社会人の女性がメイクをするのは身だしなみの一環とも考えられています。顔色をトーンアップし、表情を印象深くするためのナチュラルなメイクを心がけましょう。
清潔感が求められる医療・介護業界や、異物混入などに配慮が必要な食品・化学業界などは、濃いメイクが歓迎されない場合もあるため注意が必要です。
男性の場合でも、最近はスキンケアやメイクを取り入れる方が増えています。日頃のスキンケアや眉毛の手入れ、顔色を整えるベースメイクなどは見た目の清潔感が上がります。
普段お手入れをしていない男性の方こそ、少し意識してケアするだけで印象がアップするため、積極的に取り入れていきましょう。
清潔感を出すためには仕草も重要
清潔感を出すには身だしなみを整えることが必須です。しかし、いくら身だしなみが整っていても、以下のような仕草をしてしまうと「清潔感がない」と思われてしまう可能性があります。
・髪の毛を頻繁に触る
・頭をかく
・目や鼻を手で触る
・手で口を隠す
・貧乏ゆすり
緊張している面接時には、無意識のうちに落ち着きのない仕草をしてしまいがちです。普段から癖になっている仕草であればなおさら、気を付けていてもつい癖が出てしまうでしょう。自分の仕草を確認するには、面接の練習を撮影する方法がおすすめです。面接本番をシミュレーションして受け答えした動画を見返して、気になる仕草が出ていないかチェックしましょう。
転職面接を成功させるには服装で印象アップさせよう
第一印象が重要となる転職時の面接では、清潔感があり、体型や面接先企業にマッチした服装を選ぶことが大切です。基本的には、男女とも上下セットのスーツを着用し、面接にふさわしいきちんとした印象を与えるコーディネートを選びます。
私服での面接を指定されている場合は、上下セットのスーツではなく、「ジャケットとスラックス」といった少しカジュアルダウンしたビジネスファッションを選びましょう。リクルートスーツは、転職面接においては頼りない印象につながりやすいため避けたほうが無難です。また服装だけでなく、髪型・メイクなどの身だしなみや仕草も、面接時に与える印象を大きく左右します。服装と顔周りの身だしなみ、振る舞いのトータルで清潔感を演出して、転職面接を成功させましょう。