【2025年3月14日】米国が鉄鋼・アルミ関税を25%に引き上げ【お金の時事ニュース】

2025年3月12日、米国政府は鉄鋼およびアルミニウム製品に対する関税を25%に引き上げる関税措置を発動しました。
関税が上がると、海外から輸入する商品の値段が高くなります。
今回の場合、アメリカが海外から輸入する鋼鉄やアルミニウムが高くなるため、アメリカ国内で作ってる鋼鉄やアルミニウムが海外の商品より安く感じるようになり、国内の産業を保護しやすいという目的です。
これは米国内の産業保護を目的とした措置ですが、欧州連合(EU)とカナダが報復措置を発表すると、トランプ氏はさらに関税をかける考えを表明するなど、貿易摩擦の激化が懸念されています。

本記事では、この関税引き上げの背景と意図、私たちの暮らしへの具体的影響を中心に、わかりやすく解説します。
今、何が起こっているのか? – 背景と米国政府の意図

米国政府は輸入される全ての鉄鋼・アルミ製品に25%の関税を課す措置を発動しました。
この背景には、「安価な外国製の鉄鋼やアルミが国内産業を圧迫し、雇用を脅かしている」という米国側の主張があります。
アメリカ国外から輸入される鋼鉄・アルミに対して関税(輸入品に課す税金)を25%引き上げによって輸入品価格を上げて米国内の産業従事者にハンデを与えることで、自国製品を有利にしようというわけです。
しかし専門家は、今回の関税措置には貿易摩擦の激化という大きなリスクが伴うと指摘します。
実際、欧州連合(EU)はこの米国の措置を「不当」と非難し、約260億ユーロ(約4兆2千億円)相当の米国製品に対し対抗関税を課すと即座に表明しました。
カナダも同様に、約298億カナダドル(約3兆円)相当の米国製品に25%の報復関税を課すと発表しています。
これらの動きは、米国の関税引き上げが自国産業保護をねらう反面、同盟国との摩擦を深刻化させていることを物語っています。
米国政府の表向きの理由は「国家安全保障上の必要性」としていますが、実際には国内産業ロビーの影響が強いと言われます。
この件に関しては、日本政府も安全保障上の同盟関係や日本製高品質鋼材への米産業の需要を訴え、日本製品を関税適用除外とするよう求めてきました。
しかし、残念ながら効果はなく、米国の本音は安全保障ではなく国内産業の保護であり、そのためには同盟国を含む幅広い国からの輸入に例外なく関税を課す必要があるというのが彼らの本日時点での主張および実情です。

つまり、米国政府は「自国産業を守るためなら多少の摩擦も辞さない」という強硬な姿勢を示しているのです。
私たちの暮らしにどんな影響があるのか?日本企業や消費者への具体的影響
日本は鋼鉄などの金属加工が得意だからこそ、今回の関税措置でダメージを受ける

今回の関税引き上げによって、日本の鉄鋼・アルミ関連企業やそれらを材料として使う産業への影響が懸念されます。
日本は(金属資源こそ乏しいものの)金属加工が非常に得意な国で、昔からアメリカへ輸出をしてきました。
高品質の特殊鋼やアルミ製品を米国に輸出しており、2024年の日本から米国への鉄鋼輸出額は約3,027億円、アルミニウムは約246億円にのぼりました。
ちなみに、日本のアメリカへの輸出品の中、アルミ輸出額は対米輸出全体の0.12%と小規模ですが、鉄鋼は1.4%を占めます。
関税25%が上乗せされれば、アメリカの販売額がその分だけ値上がりしてしまい売れにくくなるため、日本企業の輸出価格競争力は低下します。
2018年の第一期トランプ政権においても、米国が同様の関税措置を講じた際には、米国が自国で十分生産できない自動車向け特殊鋼材など約7割の日本製鉄鋼製品が適用除外措置を受けていました。
さらにバイデン政権下では日本・EU・英国に対し関税割当(一定量までは無税で輸出可能な枠)が設定され、日本に対しては年125万トンまでは関税ゼロとする措置が取られていました。

実際、日本の2024年対米鉄鋼輸出量(112万トン)はこの枠内に収まっていたため、事実上関税の影響を受けずに済んでいたのです。
自動車・建設・家電・日用品メーカーまで影響が及ぶ

しかし今回の発表ではこうした例外・除外措置を撤廃し、全ての輸入鉄鋼・アルミに一律25%課す方針と受け止められており、日本の鉄鋼メーカーはこれまで恩恵を受けていた“抜け道”を失うことがほぼ決定しています。
さらに、最近ニュースに上がっている日本製鉄のような鉄鋼だけでなく、自動車や自動車部品、建設機械、家電など製造業全般にも影響が波及し得ます。
例えば自動車を1台を製造するには大量の鉄鋼やアルミが使われますが、日本の自動車メーカー(トヨタやホンダなど)は米国にも生産拠点を持っています。
そのため、アメリカを拠点に販売をしているメーカーは、日本から輸入時の原材料のコスト上昇が避けられません。
その結果、米国内の消費者が支払う価格の上昇も考えられますし、自動車メーカーなどの販売台数の減少による業績悪化・雇用への影響も懸念されます。

その他にも、建設業界やアルミ缶飲料などの消費財メーカーなども、アメリカへ輸出していた日本企業はもちろん、日本からの輸入に頼るアメリカ企業へのダメージも想定されます。
日本に住む消費者の私たちへの影響は?
この関税引き上げは、実は日本に住む私たち一般消費者の生活にも間接的な影響が考えられます。
まず、企業のコスト増は製品価格に転嫁されうるため、自動車や電化製品などの値上がり要因になります。
🔸なぜ、日本の消費者にも影響する?
- 関税が上がると、日本からアメリカに輸出する企業が売りづらくなる。
- 企業の売り上げが下がり、日本国内での製品価格やサービス価格を上げることで利益を確保しようとする。
- その結果、日本に住む私たちも間接的に値上げの影響を受けることがあるよ。
例えば、上述した米国でも人気メーカーとなっている「自動車・バイク」や「家電製品」「缶ジュース」「日用品や家具」などは、米国への輸出だけでなく日本国内での販売価格にも影響する可能性があります。

もちろん、それらの企業に勤める人にとっては、業績が悪化すれば賃金やボーナスの抑制につながる恐れもあります。
製造時に輸入する鋼鉄やアルミを使っている米メーカーの製品も・・・

さらに、アメリカ企業の多くは、製品づくりに必要な鋼鉄やアルミを海外からの輸入にかなり頼っています。
現状、アメリカ自国で作る鋼鉄やアルミの量だけでは足りず、日本、中国、カナダ、ヨーロッパなどから大量に輸入しています。
これらの原材料が関税によって値上がりすれば、輸入する日本での販売価格はもちろん、結局は米国民自体の生活をひっ迫するリスクがあります。

例えば、アメリカ企業の製品でもiPhoneやandroidのスマホ、WindowsのPCなどは製造・組み立て自体は中国や東南アジアなどで行われているため、直接影響は受けにくいです。
しかし、部品の一部がアメリカ産の場合や、アメリカ国内で値上がりした商品(IT製品、PC部品など)を日本に輸入する場合は、その値段が上がる可能性もあります。
米国株などの資産運用を行っている人への影響

こういった状況下においては、とくに米国の株式相場やドル円などの為替相場が大きく変動します。
さらに、日本企業の株式市場も貿易摩擦の激化を嫌気して乱高下する可能性があります。
もちろん、上記記事でも書いた通り長期分散投資であれば大きなリスクがあるとは考えにくいですが、私たちの年金や投資への影響が0とは言えません。

ガソリン代や公共料金といった直接関係なさそうな分野でも、世界経済全体の不確実性が高まれば景気減速による収入減や雇用不安という形で生活に影を落としかねないのです。
結局、私たちはどうすれば良いのか – 日本政府や企業、消費者の対応策

今回のような状況においては、実際にいち日本国民である私たちができる選択肢は限られています。
日本として取るべき対応策を整理した上で、「結局、どうすればいいの?どうするしかないの?」といった視点や行動をお伝えします。
① ニュースや情報をよく理解する
今回の関税問題のような経済ニュースは、自分には関係ないと思われがちですが、最終的には私たちの生活にも影響が出てきます。
ニュースの内容をよく理解することで、自分に起こりうる影響をあらかじめ予測し、対策が取れるようになります。

たとえば、鉄鋼やアルミを多く使う自動車や家電などの価格上昇が予測されるため、大きな買い物をする際にはタイミングを考える必要があります。
② 日常の支出や家計を見直すこと

関税の影響が長期化すると、企業の収益が減少し、ボーナスや給与が伸び悩む可能性があります。
そのため、家計のムダを減らし、収入減少にも備えられるよう、節約や貯蓄を心がけましょう。
家計簿アプリなどを使って固定費を見直したり、貯蓄を増やしたりと、万が一の経済状況の悪化に備えることが大切です。


さらに、子どもの教育資金や大きなお金が動くライフイベントなどが控えている方は、ライフプランナーへの相談なども有効です!
③ 日本企業の動向に注目し、自分の働き方を見直すこと
今回の関税問題は、鉄鋼業界だけでなく、自動車や建設、機械などの幅広い業界に影響を及ぼす可能性があります。
もし自分の勤めている企業や関連業界が影響を受ける可能性が高い場合は、スキルアップや副業など、収入源を分散することを検討するのも一つの対策です。
④ 商品やサービスを選ぶ目を養うこと
関税引き上げに伴う原材料費の上昇は、製品価格の上昇に直結します。
今後は「コストパフォーマンス」のよい商品を選ぶ必要が増えるでしょう。
どの商品がなぜ値上がりしているのかを意識し、不要な支出を避け、生活の質を維持する工夫が求められます。
⑤ 政府や企業の対応に関心を持つこと
関税引き上げのような問題には、政府や企業が対応策を検討します。
どのような政策や支援策が実施されるのかを注視し、選挙で適切な政策を打ち出す政治家を選ぶなど、自分たちの未来を左右する意思決定に参加することも必要です。
⑥ 国際経済や国際関係を学び、視野を広げること

日本にとって良い話ではない、今回の関税措置のような世界規模の経済摩擦は、今後も繰り返される可能性があります。
過去の例から学び、経済的に混乱が生じた時の心構えや対応を考えることで、冷静な判断ができるようになります。
おわりに – 包括的な視点で備えて、少しでもできることを
今回の米国による鉄鋼・アルミ関税の引き上げは、一見すると遠い国の政策に見えますが、実は私たちの生活に深く関わる重要な出来事です。
この問題の本質は「世界経済のあり方そのもの」に関わるものであり、私たちはこの出来事を表面的に理解するだけでなく、もう一歩深く考える必要があります。
そして、日本にとってこの問題がなぜ重要なのか。
それは日本が貿易で成り立つ国であり、アメリカという関係・依存度の高い国の出来事だからです。
だからこそ、アメリカへの依存度が高い企業の業績が落ちれば、私たち消費者が購入する製品の価格上昇だけでなく、給与や雇用にも影響が及び、私たちの暮らしの質そのものを左右します。
そして、私たちにとって重要なのが、この問題の「本質的な理解」です。
関税問題は単なる貿易の争いではなく、世界経済が直面している「グローバル化の限界」とも言えます。
これまで安価な製品を世界中から自由に調達し、豊かな生活を享受してきた私たちですが、その裏には他国や他の産業の犠牲があります。

世界中が再び保護主義に傾き始めている背景には、そうした「経済成長の限界」や「格差拡大」への不満が根底にあります。
つまり、今回の関税措置は、一国だけでなく世界全体の経済の仕組みや価値観を問い直す契機でもあるのです。
米国の関税引き上げをきっかけに私たちが目を向けるべきなのは、短期的な損得も重要ですが、経済や社会のあり方そのものでもあります。
グローバル経済が行き詰まり、世界が保護主義に流れ始める中で、私たち一人ひとりがどのような社会を望むのかを問い直すことが求められています。
難しい課題ではありますが、日々のニュースを自分事として捉え、深く考え続けることが、私たちにとっての最善の行動になるはずです。