【2025年7月3日】の経済・時事ニュースまとめ

7月3日、東京市場は米ハイテク株高を追い風に小幅高で始まりましたが、日米関税交渉の行方をにらみ伸び悩む展開となっています。
米国ではS&P500とナスダックがベトナムとの貿易合意を材料に連日の史上高値更新、エネルギー市場では中東情勢とOPEC+増産観測をにらみ原油相場が持ち直しました。
国内では自動車各社が関税コスト転嫁の是非を迫られ、政府系金融機関も米ドル建て債を発行するなど、為替と金利の変動が企業行動に色濃く反映されています。

以下、主要指標と国内外の注目ニュースを整理します。
主要株価指数・為替レート(7月3日 午前10時時点)
指標 | 値 | 前日比 |
---|---|---|
日経平均株価 | 39,819.44円 | +56.96 (0.14%)円 |
NYダウ | 44,484.42ドル | −10.52 (0.024%)ドル |
S&P500 | 6,227.42ポイント | +29.41 (0.47%)ポイント |
ドル円為替 | 143.55円 | -0.11円 |
日経平均:米半導体株高を受け一時プラス圏も関税懸念で上値重い
米ナスダックとSOX指数の上昇を受け、東京市場でもハイテク株に買いが入りました。
しかし日米関税交渉の不透明感が根強く、寄り後は小幅安に転じるなど方向感を欠いています。

米国株:S&P500とナスダックが再び最高値、ダウは小反落
トランプ政権がベトナムからの輸入品への20%関税で合意したことがハイテク・消費関連に追い風となり、S&P500は3営業日で2度目の最高値を更新しました。
一方、景気減速を警戒したディフェンシブ売りでダウはわずかに下落しています。
ドル円:143円台半ばで小動き、米雇用統計と日銀要人発言待ち
東京時間9時台のドル円は143円台半ばでこう着。
今晩の米雇用統計と今月後半に予定される日銀審議委員講演を控え、積極的な売買は手控えられています。
前日NY終値(143.66円)比わずかに円高です。
この局面で心掛けるべき資産運用のポイント
マクロ環境を俯瞰する
米国の利下げ時期を巡る不透明感とトランプ政権の関税交渉が交錯し、ドルは年初来で10%超下落、ドル円は143円台半ばで一進一退となっています。
株式市場はAI関連買いが指数を押し上げる一方、物価と金利の綱引きが続くため、資産配分は「為替と金利の両にらみ」が前提です。
投資信託とETF
長期のインデックス型投資信託は、評価益が拡大しても拙速なリバランスは禁物です。
AI・半導体が牽引する米国株は高値警戒感が意識されやすく、買い増しは分割して時期を分ける「ドルコスト平均法」を維持するのが無難です。
為替ヘッジの有無でリスクが大きく変わるため、円安・円高どちらに振れても耐えられるよう、ヘッジ付きとなしを組み合わせる手法が有効です。
国内株式
円安が進みにくい局面では輸出主力株の上値が抑えられやすい半面、電力・運輸など円安コスト負担が重い業種には追い風が吹きます。
日銀の追加利上げ観測が後退している今、配当利回りが相対的に魅力を増しているため、高配当銘柄や自社株買いを実施する企業をポートフォリオの「安定収益源」として位置づける戦略が考えられます。
NISA・iDeCo
新NISAは非課税枠が恒久化され、つみたて投資枠と成長投資枠を組み合わせる柔軟性が高まりました。
とはいえ本制度は「長期・積立・分散」が大前提です。利上げ・円高局面で評価額が調整しても、焦って乗り換えるより、毎月の拠出額を淡々と積み上げる方が複利効果を享受しやすいです。
iDeCoは加入上限年齢が引き上げられたばかりで、老後資金づくりの選択肢が広がりましたが、掛金拠出の停止・再開には時間差がある点に留意してください。


FX
為替は材料出尽くしでボラティリティが高止まりしやすく、短期売買ではスプレッドと資金効率が損益を大きく左右します。
レバレッジ取引では「強制ロスカット水準」を常に把握し、証拠金維持率が急低下した場合に備えた追加入金や取引量調整をルール化しておくことが欠かせません。
ファンダメンタルズを重視するなら、米雇用統計や日銀会合など日程が確定しているイベント直前のポジション圧縮が鉄則です。

債券と現金
金利高止まり局面では外貨建て社債やハイブリッド債の利回りが相対的に高く見えますが、信用リスクと為替リスクの二重構造を理解する必要があります。
円建て個人向け国債(変動10年)は金利が上向くとクーポンが増える特性があり、現金ポジションの保守性を高めながらインフレヘッジ機能を持たせる選択肢になります。
リスク管理と心構え
- 「利益確定ルール」を数値で決める
- 「想定外の含み損」を許容する金額を事前に試算する
- 「分散」だけでなく「時間分散」「通貨分散」を意識する
の、3点が基本です。
ポートフォリオ全体を家計のキャッシュフローと照合し、突発的な資金需要があっても売却を急がない体制を作ることで、心理的にも価格変動に耐えやすくなります。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買や運用方針を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
国内ニュース
自動車各社、関税交渉停滞で値上げ検討 「転嫁が突破口になる」
日米交渉が難航する中、トヨタなど日系メーカーは関税コストを価格へ転嫁するか判断を迫られています。
識者は「戦略的値上げが交渉前進の糸口になり得る」と指摘しています。
JBIC、10億ドル保証債を発行、3年物3.875%で資金調達
政府保証のもと、国際協力銀行(JBIC)が米ドル建て債を起債しました。
高水準のドル金利環境下でも海外投資家の需要は強く、日本企業の外貨調達コスト指標となりそうです。
日銀、地方経済ヒアリングを強化、武田審議委員が三重で講演へ
日銀は7月下旬までに地方講演を相次ぎ実施し、春以降の物価賃金動向を吸い上げる方針です。
早期の追加利上げ観測は後退していますが、講演内容が為替の手がかりになるとの見方があります。

TOYOTA ARENA TOKYO開業記念、Official髭男dismがこけら落とし公演
10月開業の新多目的アリーナ“TOYOTA ARENA TOKYO”で人気バンドの単独ライブが決定し、チケットは本日から販売開始。
観光需要の拡大や沿線不動産の価値向上が期待されています。
ソフトバンクGが6000億円超を社債調達、AIプロジェクト「スターゲート」を本格加速
ソフトバンクグループはドル建てとユーロ建てで合計42億ドル(約6000億円)の社債を発行しました。
4本のドル債と3本のユーロ債には170億ドル超の投資家需要が集まり、孫正義社長が掲げるAI超知能(ASI)プラットフォーム構想の資金源となります。
起債コストが依然高い中で調達を成功させたことは、市場がソフトバンクのAI戦略を評価している証左といえます。
今後4年間で5000億ドル規模の投資を行う計画も示されており、日本企業としては前例のないリスクテイクが続きます。
電気・ガス料金支援が7月使用分から再開、3か月で家庭負担を約3000円軽減
資源エネルギー庁は、7月〜9月使用分の電気料金を低圧で2.0〜2.4円/kWh、都市ガスを8.0〜10.0円/㎥値引きする夏季支援策を公表しました。
手続き不要で請求時に自動控除されるため、熱中症対策でエアコン使用が増える家庭には朗報です。
ただし10月以降の延長は未定で、節電や断熱リフォームなど中長期の省エネ投資が引き続き重要となります。
海外ニュース
TOYOTA北米バッテリー工場が本格稼働 700万人都市を支える雇用創出へ
米ノースカロライナ州リバティに建設した総床面積700万平方フィート、総投資額139億ドルのトヨタ電池工場が試験出荷を開始しました。
まずはハイブリッド車向けモジュールを2,000人の従業員で量産し、年内に5,000人規模へ拡大する計画です。
9月からはケンタッキー工場へカムリ向け電池を供給予定で、北米の電動化戦略に弾みがつきます。
ECB、デジタルユーロ2025年10月発行へ 分散台帳技術を採用
欧州中央銀行(ECB)は本日、デジタルユーロを2025年10月に正式ローンチすると発表しました。
金融包摂と決済効率化を目的とし、民間銀行との二層構造を維持します。
原油相場、OPEC+増産観測と中東リスクで続伸
トランプ大統領のベトナム合意発言でリスクオンが広がる一方、週末のOPEC+会合での追加増産観測が意識され、WTIは1バレル=83ドル台を回復しました。
メルコスールとEFTAが自由貿易協定で合意 約4.3兆ドル市場が誕生
アルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれたサミットで、メルコスール4か国とEFTA4か国が包括的FTA交渉の妥結を共同発表しました。
今後数カ月内の署名を目指し、域内総人口約3億人、GDP4.3兆ドル規模の巨大市場が誕生します。
物品・サービス貿易に加え、知的財産やサステナビリティ条項も盛り込まれ、97%超の品目で関税撤廃が見込まれます。
DHLとドバイ・メイダン自由区が物流提携、UAE発EC事業者をグローバル支援
DHLエクスプレスUAEは、メイダン自由区と包括的物流パートナーシップを締結しました。
220超の国・地域を結ぶ配送網と優遇レートを提供し、ECや医療機器など高成長分野のスタートアップを後押しします。
ドバイ政府が掲げる「世界トップクラスの貿易ハブ」戦略の一環で、日本企業の中東ビジネス拠点としての魅力も高まりそうです。
私たちの生活に起こること
金融市場が方向感を欠く時期は、旅行や家電など円安メリット享受型商品の価格変動が読みにくくなります。
具体的には、
- 近々海外旅行を計画している場合は、為替が143円台で落ち着いている今のうちに外貨を一部確保する。
- ガソリン価格は原油上昇分が1~2週間遅れて反映されるため、給油は早めに。
- 株式投資ではハイテク主導の相場が続く可能性が高い一方、関税関連のヘッドラインで変動が激しくなるため、指値と逆指値をセットで管理する。
といった方向性が戦略として考えられます。
長期的には、デジタルユーロや円の利上げ有無がキャッシュレス決済手数料や住宅ローン金利に影響し得る点に注意が必要です。
