【2025年7月16日】の経済・時事ニュースまとめ

7月16日の夏休み前マーケットは、米国のインフレ再加速と関税動向を巡る警戒感が交錯し、株価や為替が神経質に振れています。
国内では日産の老舗工場閉鎖や企業マインドの回復など、実体経済に直結するニュースも相次ぎました。

本稿では株価・為替の水準を確認したうえで、国内外の重要トピックを解説します。
主要株価指数・為替レート(7月16日 午後11時30分時点)
指数/通貨 | 現在値 | 前日比 |
---|---|---|
日経平均株価 | 39,642.40円 | −35.62 (0.090%)円 |
NYダウ | 44,023.29ドル | −436.36 (0.98%)ドル |
S&P500 | 6,243.76ポイント | −24.80 (0.40%)ポイント |
ドル円為替 | 148.90 円 | +0.80円 |
日経平均:小幅安も39,600円台を維持
日経平均は半導体関連の買いが支えている一方、ドル円が149円目前まで触れたことで円高修正を阻むとの見方から、上値は限定的でした。
午前の終値としては前日終値比で微減となっています。
NYダウ/S&P500:CPI高止まりと銀行決算が重し
米6月CPIが0.3%上昇し、追加関税の物価押し上げが意識されました。
銀行決算もまちまちで、景気敏感株が売られたことなどにより指数としてはマイナス方向に。
ドル円:148円後半へ急伸
米長期金利上昇でドルが全面高となっており、相対的に円安方向へ振れています。
円は4か月ぶり安値となり、当局の口先介入観測が再燃しています。
資産運用で心掛けるべきこと
米国の追加関税によるインフレ再加速観測と、円安進行が同時に進んでいます。
物価上昇率は米国で前年同月比+3.4%、日本でも輸入物価の押し上げが顕著になりつつあります。
加えてドル円は149円目前まで下落し、為替当局の介入警戒感がくすぶります。

金利・物価・為替という三要素がいずれもボラティリティを高める局面では、投資対象ごとの役割を再確認することが重要です。
NISA・iDeCoの長期枠
長期分散投資を前提とするNISAやiDeCoは、資産配分を大きく動かすより「定期積立を止めない」ことが基本となります。
高値圏での買い付けが不安な場合、積立額を一時的に3~5割減らす「緩める」選択肢はありますが、完全に停止するとドルコスト平均法の効果が失われます。
新NISAの成長投資枠では、海外株式インデックスと国内高配当ETFを組み合わせると、為替と配当のバランスが取りやすくなります。


株式投資
- 関税直撃を受けにくい内需サービス株
- 世界需要が底堅い半導体・生成AI関連
- 資源高メリットを享受する商社やエネルギー
の、3バケットに大別し、比率を市場環境で微調整すると分散効果が得られます。
円安メリット銘柄は為替反転時の調整が大きいため、ヘッジとして円建て債券ETFやインバース型ETFを少量組み込む方法も検討できます。

債券・預金
国内金利が0%台後半まで上昇し、2年物個人向け国債(変動10年)の最低金利が0.66%に引き上げられました。
インフレ率が2%を超えれば実質利回りはまだマイナスですが、値動きリスクが小さい資産としてポートフォリオの緩衝材になります。
米ドル建てMMFは年利4%台と高水準を維持していますが、為替ヘッジコストにも注意が必要です。
為替・FX
短期トレーダーは終値ベースで150円を明確に超えるか、日足で5営業日連続149円台が維持されるかを分水嶺として注視すると良いでしょう。
中長期では実質金利差と貿易収支が円安要因になる見通しのため、「ドル円=155円」シナリオを前提に証拠金やロットを設定し、逆指値を必ず置くことがリスク管理の鍵です。

コモディティ・代替資産
原油はOPECの供給抑制姿勢と夏場需要で底堅く、インフレヘッジとして少量組み入れる価値があります。
一方、金価格は過去最高圏でボラティリティが高いため、ETFで総資産の5%以内にとどめ、ドローダウンが5%を超えたら段階的に利確するルールを決めておくとメンタルが保ちやすくなります。

リスク管理とキャッシュポジション
相場上昇期に「含み益が出ているから」とリスク資産比率を放置すると、急落局面で想定以上の損失が発生します。
四半期ごとに資産評価額をチェックし、目標比率(例:株60%・債券30%・現金10%)から乖離が±5%を超えたらリバランスする仕組みを定着させましょう。
生活防衛資金として「生活費の半年分」を普通預金で確保しておくと、市場急変でも投げ売りを避けられます。
知識・メンタル面
SNSや動画で「次は◯◯が10倍になる」という刺激的な情報が流れやすい時期ですが、ソース不明の情報は一次資料(決算短信や政府統計)で裏取りする習慣を付けることが、長期的なリターンを大きく左右します。
また、急騰局面で買い増し、急落局面で売却する「高値掴み・安値売り」の逆行動は、感情的な判断が原因です。
あらかじめ投資方針書を作成し、「どの資産をいつ、何の理由で売買するか」を文章化することで、マーケットノイズに左右されにくくなります。
免責事項
本稿は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の商品や銘柄への投資を推奨するものではありません。
最終的な投資判断はご自身のリスク許容度と目的に照らして行ってください。
国内ニュース
日産、追浜工場を2028年までに生産終了
日産は1961年稼働の追浜工場を閉じ、九州へ集約すると発表しました。
約3,900人の雇用移転が焦点となります。
米中販売低迷を踏まえ、生産能力を年350万台→250万台へ削減する再建策の一環です。
7月Reuters短観:製造業景況感が2か月連続で改善
製造業景況感指数は+7へ上昇しています。
半導体需要回復が追い風で、10月には+8と予測。
ただ、自動車は米25%関税の逆風で指数が低下し、業種間格差が鮮明です。
参政党・神谷代表「景気回復まで利上げ凍結を」
上院選を前に、参政党・神谷代表はBOJの追加利上げに慎重姿勢。
実質賃金マイナスや企業倒産の増加を理由に挙げ、金融正常化のペースダウンを訴えました。
海外ニュース
米6月CPI:関税転嫁で5か月ぶり高い0.3%上昇
米国では輸入家電やコーヒーが値上がり。
エコノミストは「7~8月はさらに加速」と警戒し、FRBは9月利下げ見送りの公算が大きくなりました。
Nvidia好材料でナスダック最高値、他指数は軟調
AI半導体「H20」を中国向けに再開すると伝わり株価が4%高。
半導体指数も上昇しましたが、銀行株安でS&P500とダウは下落しました。
原油が小幅反発、米中需要回復期待
WTI原油先物の価格は66.92ドル。
夏場のガソリン需要増とOPECの「下期成長加速」の見通しが買い材料となっています。
トランプ大統領のロシア産原油への追加関税案は当面影響軽微との見方です。
IATA:関税不透明で航空機受領に慎重姿勢
国際航空運送協会のウィリー・ウォルシュ事務総長は、米国が検討中の輸入関税が機体コストを押し上げる恐れがあるとして、世界の航空会社が今後の新造機受領を先送りする可能性に言及しました。
対象はボーイングやエアバスのみならず、部品サプライヤーや運航会社にも及ぶと指摘し、ブラジルのエンブラエルは「実質的な禁輸になり得る」と警戒しています。
GAIL:LNG長期調達でエネルギー安全保障を強化
インド国営ガス大手GAILは、2027年から最長10年間の液化天然ガス長期契約を模索していることが分かりました。
初年度は6カーゴ、2年目は8カーゴ、その後は毎月1カーゴへ拡大する案で、価格指標はBrent原油連動を希望しています。
ダブホール受入基地の設備増強に合わせ、2031年度までに年間1250万トン体制を目指す計画です。
Hims&Hers:Wegovy提携解消で投資家訴訟続出
米遠隔医療のHims&Hers Healthは、ノボノルディスクが肥満治療薬Wegovyの販売提携を打ち切ったことを受け、株価が急落しました。
これに伴い、サンフランシスコ連邦地裁で株主による派生訴訟が提起され、経営陣が虚偽または誤解を招く説明を行ったと主張しています。
Wegovy代替品の販売を巡る規制リスクが改めて浮き彫りとなりました。
米国・ベトナム:トランプ大統領「貿易合意はほぼ固まった」
トランプ米大統領は、関税引き下げを柱とする対ベトナム貿易協定が「ほぼまとまった」と述べました。
発表済みの「関税20%案」の詳細や、不正輸出品に適用する40%追加税の基準は依然不透明ですが、対中回避先として輸出を拡大してきたベトナムにとって大きな転機となりそうです。
私たちの生活に起こること
物価は関税転嫁でじわり上昇します。生活家電や必需品を買い替える予定がある家庭は、値上げ前の在庫処分セールを活用すると良いでしょう。
円安が続くと海外旅行は割高になりますが、訪日客増によるサービス業の求人は増える可能性があります。
投資では、関税影響を受けにくい内需株や配当株をコアに、半導体など成長分野をサテライトで持つ「分散+長期」姿勢が無難です。