【2025年7月23日】の経済・時事ニュースまとめ

7月23日朝のマーケットは、日経平均株価が節目の40,000円台を回復するなど、トランプ米大統領が前夜に発表した日米貿易合意を好感したリスク選好ムードが先行しています。
国内では最低賃金の引き上げ目安をめぐる議論が本格化し、エネルギー分野では関西電力が原発新設に向けた動きを再開するなど、将来の産業構造を左右し得るニュースが相次ぎました。
海外では米中が追加関税の延長を協議へ進むなど、貿易を巡る駆け引きが続いています。
主要株価指数・為替レート(7月23日 午前10時時点)
項目 | 値 | 前日比 |
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日経平均株価 | 40,782.55円 | +1,007.63 (2.53%)円 |
NYダウ | 44,502.44ドル | +179.37 (0.40%)ドル |
S&P500 | 6,309.62ポイント | +4.02 (0.064%)ポイント |
ドル/円 | 146.68円 | -0.12円 |
日経平均急反発の背景
日経平均は前日比およそ1,000円高で取引を開始し、自動車株を中心に買いが先行しました。
背景には、日米貿易合意で輸入車に課される関税率が25%から15%へ低減されたことが挙げられます。
投資家は「最悪シナリオ回避」と受け止め、輸送用機器や銀行など幅広い業種が値上がりしました。
S&P500はわずかに最高値更新
米国市場では、S&P500が0.06%高と小幅ながら新高値を更新しました。
一方、関税の打撃を公表したGM株が8%超急落し、指数全体の重しとなった点が目立ちます。
ドル/円は146円台半ばで一進一退
日米合意直後は円高方向へ振れたものの、その後は146円台半ばで落ち着きました。
市場は関税不透明感の一時後退よりも米金利見通しに注目し、方向感を欠く展開です。
資産運用で心掛けること
為替リスクの点検
ドル/円は146円台で一進一退ですが、日米貿易交渉の行方次第で急反転する可能性があります。
外貨建て債券やFXを持つ場合は、損益分岐レートや証拠金維持率を再確認し、想定外の円高・円安どちらにも耐えられる余力を確保してください。

株高局面での利確ルール設定
日経平均が40,000円台を回復した今は評価益が膨らみやすい反面、材料出尽くしで反落するリスクもあります。
目標リターンに達した銘柄は一部売却して原資を回収する、またはトレーリングストップ注文を使うなど、利益を守る仕組みづくりが重要です。
物価上昇への備え
最低賃金引き上げとエネルギーコスト増が物価転嫁を促す見通しです。
インフレ連動債や生活必需品セクターの投信をポートフォリオに組み込み、実質購買力を守る対策を検討しましょう。
長期・分散・低コストを徹底
NISAやiDeCoといった非課税制度は、急激な相場変動を理由に拙速な資産移動を行うよりも、長期分散投資を継続することが効果的です。
手数料の高いアクティブファンドを選ぶ場合は、ベンチマーク超過リターンの持続性を改めて確認してください。


流動性の確保
金利上昇局面では社債ファンドやハイイールド債が価格変動に弱くなります。
生活防衛資金として生活費の6か月分程度を普通預金やMMFで温存し、突発的な出費に備えることがリスク管理の基本です。
エネルギー関連の長期テーマを検証
原発建て替えやAIデータセンター拡張に伴い、再エネ・蓄電池分野への投資機会が拡大しています。
ただし補助金や規制変更の影響を受けやすい点に注意し、テーマ型投信は組入比率を控えめにして分散効果を損なわないようにしましょう。
情報過多に注意
24時間マーケットが動く今、短期的なニュースに過剰反応して売買を繰り返すと手数料と税負担だけが増える恐れがあります。
ウィークリーやマンスリーでポートフォリオを点検し、必要な修正を計画的に行う姿勢が成果につながります。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や投資助言を行うものではありません。最終的な投資判断は、ご自身のリスク許容度と投資目的に照らして行ってください。
国内ニュース
石破首相、米国との関税交渉決着次第で進退判断へ
参院選敗北で党内批判が強まる石破茂首相は、トランプ政権との関税協議の帰趨を見極めたうえで自身の去就を表明する意向です。
首相周辺によると「政治空白は避けたいが、結果次第で責任を取る」と語ったとされ、国内政局は再び流動化しています。
最低賃金改定の指標に「食料+6.4%」―厚労省
中央最低賃金審議会で厚生労働省は、全国平均時給を決める参考として「食料品のCPIが前年同期比+6.4%」との指標を提示しました。
昨年の引き上げ率5.0%を上回る議論となる可能性が高く、中小企業支援策の充実が焦点になります。
関西電力が美浜原発で地質調査再開を表明
関西電力は22日、美浜原発敷地内で中断していた地質調査を再開すると発表しました。
森望社長は「データセンター需要など電力逼迫に備える」と説明し、原発新設の選択肢を明言。国の制度設計を見極めながら複数年かけた調査を行う方針です。
中国・台湾産ステンレス鋼に反ダンピング調査開始
財務省と経産省は、中国・台湾産ニッケル系ステンレス冷延鋼帯などに対し、不当廉売関税を課すべきか調査を開始しました。
日本企業からの申請を受けた措置で、調査結果は最大1年程度で示される見通しです。
海外ニュース
日米が「15%相互関税」含む貿易合意で基本合意
トランプ米大統領は、日本が5,500億ドル規模の対米投資を行うことなどを条件に、輸入車関税率を15%に設定する合意に達したと発表しました。
自動車株を中心に日本株は急伸し、円は一時買われる場面も見られました。
米中、ストックホルムで関税期限延長を協議へ
米財務長官スコット・ベセント氏は、8月12日が期限となる対中追加関税を巡り、中国側と延長協議を行うと明かしました。
市場は「全面関税回避」の糸口として注視しています。
GMの1,000億ドル減益で米企業決算に黄信号
四半期決算でGMは関税コストが10億ドルに達したと公表し、株価は8%急落しました。
関税コストの企業収益圧迫が顕在化し、今後の企業決算シーズンに警戒感が広がっています。
OpenAI・Oracle、AIデータセンターを4.5GW規模に拡張
生成AI需要の急拡大を受け、OpenAIとOracleは共同プロジェクト「Stargate」で合計4.5ギガワットの電力供給を可能にする米国内データセンター網を建設すると発表しました。
年間数十万台規模のAIサーバー稼働が想定され、再エネ調達や送電網の整備が急務となります。
EnerSys、非製造部門を11%削減 世界で575人レイオフ
産業用バッテリー大手EnerSysは、管理部門など非製造職を中心に全従業員の11%に当たる約575人を削減すると明らかにしました。
人件費と固定費を圧縮し、成長分野のエネルギー貯蔵・EV向け投資へ振り向ける狙いです。
アイルランド、Apple巨額追徴税を財源にインフラ投資30%増
Appleとの税務和解で得た約140億ユーロを原資に、アイルランド政府は向こう5年間でインフラ支出を30%拡大します。
電力・上下水道・公共交通に重点を置き、住宅供給や再エネ導入を後押しする方針です。
インド・英国、自由貿易協定を24日に正式署名へ
インドと英国は、工業製品の関税を段階的に90%以上削減し、サービス人材のビザ手続きを簡素化するFTAに大筋合意しました。
英議会とインド連邦内閣の承認を経て発効すれば、両国GDPを合計で約130億ドル押し上げる試算もあります。
私たちの生活に起こること
短期的には円相場の安定と株高が家計金融資産の評価益を押し上げる一方、最低賃金のさらなる引き上げは中小企業の価格転嫁を通じて物価上昇圧力となり得ます。
原発新設の是非は電力料金と脱炭素目標のバランスをどう取るかに直結します。
家計としては、
- 物価上昇に備えた日常の固定費見直し
- 投資資産の為替感応度チェック
- 電力・ガスなどエネルギー契約の見直しで長期的コストを抑える
といった防衛策が有効でしょう。