【2025年8月4日】の経済・時事ニュースまとめ

8月4日午前のマーケットは、米雇用統計ショックを受けた世界的リスクオフが色濃く反映されました。
日経平均は節目の4万円を一時割り込み、為替は円高方向へ急伸。国内では日銀がマネタリーベースの縮小傾向を示し、金融犯罪を巡る補償問題も浮上しています。
海外でもトランプ政権の追加関税決定やOPEC+の増産合意など、政策主導の材料が相次ぎました。

以下、主要指標とニュースを整理しながら解説します。
主要株価指数・為替レート(8月4日 午前10時時点)
項目 | 値 | 前日比 |
---|---|---|
日経平均株価 | 40,016.00円 | −783.60 (1.92%)円 |
NYダウ | 43,588.58ドル | −542.40 (1.23%)ドル |
S&P500 | 6,238.01ポイント | −101.38 (1.60%)ポイント |
ドル/円 | 147.89 円 | -0.20円 |
日経平均の急落要因
米景気鈍化→世界同時株安の流れが東京市場にも波及しました。米雇用統計の弱さから米景気減速懸念が拡大し、半導体など主力株を中心に売りが先行しました。
午前10時時点で下げ幅は一時900円超となり、やや振り戻しているものの大幅下落です。
テクニカル面では25日線4万0190円が上値抵抗に転換。ボラティリティが高止まりするなか、3万9500円(ボリンジャー-1σ)辺りが短期的な攻防ラインとみられます。
円高の背景
米早期利下げ観測の再燃と米労働統計局長解任を巡る政治的不透明感がドル売り・円買いを誘発しています。
米主要指数の調整
前週末のNY市場では、トランプ大統領が発動を決めた追加関税と弱い雇用統計が重なり、主要3指数がそろって1%超下落しました。
S&P500は6,238ポイントと2ヵ月ぶり安値圏です。
資産運用で心掛けたいポイント
①長期・分散投資の原則を再確認する
市場が不安定なときほど、売却タイミングを焦りがちです。
ですが、価格変動は長期視点の投資家にとっては“通過点”にすぎません。
NISAの非課税メリットを生かし、時間分散とアセット分散を組み合わせることで一時的な下落リスクを平準化できます。

新しいNISA制度では「つみたて投資枠」「成長投資枠」を併用できるため、投資信託でコアを形成しつつ、個別株・ETFでサテライトを補う方法が有効です。

②税制優遇口座をフル活用する
毎月の積立余力が限られていても、企業型確定拠出年金やiDeCoで掛金控除を受けながら老後資金を蓄えると、手取りベースの実質利回りが向上します。
余裕資金が生まれるたびに口座を埋める“先取り投資”が賢明です。

③為替ヘッジとレバレッジ管理に注意する
円高は輸入コスト低下を通じて家計にはプラスですが、外貨建て資産の円換算額は目減りします。
外貨ETFや外債投信はヘッジ付きとヘッジなしを組み合わせ、ポートフォリオ全体の為替感応度を調整しましょう。
短期売買でFXを利用する場合は、ロスカット水準を具体的に設定し、証拠金維持率を100%超に保つ“ゆとりロット”が基本です。

④キャッシュフローとリスク許容度を見直す
積立額を増やす前に、通信費やサブスクなどの固定費を削減し、投資に充てられるフリーキャッシュを確保することが大切です。
生活防衛資金(生活費の6ヵ月分)を別口座で管理し、暴落局面でも投資を継続できる精神的余裕を保ちましょう。


⑤相場観に縛られすぎない
米利下げ期待や関税政策など、マクロ要因は短期間で景色が変わることがあります。
予想が外れる前提で分散を広げ、定期的なリバランスで資産配分を微調整すると、相場の揺れを“仕組み”で吸収できます。
⑥情報の質とタイミングを見極める
発表直後のニュースは“初動”こそ大きいものの、真に長期的な影響は各企業の決算や政策実行のフェーズで判明します。
一次ソース(当局発表、決算資料、信頼性の高いメディア)を確認し、出典と更新日時を必ずチェックする習慣を付けましょう。
⑦無理のない資産形成計画を継続する
積立比率を急に上下させると、生活費不足や精神的ストレスの原因になります。
家計簿アプリで月次の収支を可視化し、余剰金の一部を増額する“加速投資”は賞与や臨時収入が出たタイミングだけに限定するなど、ルールを設けると継続しやすくなります。
上記は一般的な情報提供であり、特定商品の推奨ではありません。最終的な投資判断は、ご自身の資産状況とリスク許容度を確認のうえで行ってください。
国内ニュース
日銀、7月マネタリーベース3.9%減
日銀が4日に発表した7月のマネタリーベース平均残高平均残高は3.9%減と11ヵ月連続のマイナス。
銀行券の発行減と準備預金の縮小が主因です。
流動性の絞り込みは長期金利低下を通じて金融株の上値を抑制する可能性がありますが、円高要因との複合効果で物価見通しにも不透明感を与えます。
証券口座乗っ取り被害、補償対応が二分
フィッシングメール経由で証券口座が乗っ取られ、被害総額は数億円規模に拡大しています。
対面証券は全額補償、ネット証券は半額補償にとどまるケースが目立っています。
多要素認証の徹底とログイン履歴の定期確認が不可欠です。
海外ニュース
トランプ政権、8月7日発動の追加関税を最終決定
トランプ政権はEU品に15%、カナダ品に35%など差別化関税を課す方針です。
米国内インフレ抑制より国内産業保護を優先する姿勢が鮮明です。
主要国の報復措置懸念が強まり、サプライチェーンの再編コストが企業収益を圧迫する見通しです。
OPEC+、9月から日量548,000バレル増産で原則合意
サウジアラビアなどの産油国はオンライン会合で、9月の日量を約54万8000バレル増産することで合意しました。
ロシアの供給不安を補うと同時に、原油価格70ドル近辺の安定を狙う戦略的判断とみられます。
ブレント先物は一時▲1%下落後、供給増ペースの鈍化観測から下げ渋り。エネルギー株も利食い売りが優勢です。
米労働統計局長の電撃解任、政権内の温度差浮き彫り
バンス副大統領と労働長官は労働市場の健全性を強調した一方、トランプ大統領は統計の信頼性を問題視し解任を断行。
指標発表の信頼度低下はボラティリティ上昇要因となり、米利下げ織り込みは9割近くに達し、ドル安トレンドが続く公算です。
メタ、データセンター資産20億ドル売却へ
米メタ・プラットフォームズは四半期報告書で、20億4,000万ドル相当のデータセンター用地と未完成施設を「売却目的保有」に再分類しました。
AIインフラへの投資負担を外部と分かち合い、共同開発パートナーを募る戦略です。
メタは外部資本の活用でバランスシートを軽くしつつ、来年の大規模GPUクラスター計画を加速させる見込みです。
豪ブルースコープ連合、ワイヤラ製鉄所買収に向け関心表明
オーストラリアのブルースコープは、日本製鉄・インドJSW・韓国ポスコと企業連合を組み、破綻中の南オーストラリア州ワイヤラ製鉄所買収へ拘束力のない関心表明を提出しました。
同製鉄所は排出削減投資が課題の老朽施設ですが、再生すれば低炭素「グリーンスチール」の重要拠点になります。
各社は高炉の水素還元転換と再生エネ活用で2030年代前半までにCO2を大幅削減する計画を模索しています。
私たちの生活に起こること
物価高と円高が同時進行すると、輸入食料品は値下げ余地が生まれるものの、国内賃金の伸びが追いつかない可能性があります。
手取りを増やすには、まず家計の固定費を圧縮し、余剰資金をNISAやiDeCoを通じて長期・分散で運用する姿勢が重要です。