2025年8月20日の経済・時事ニュースまとめ

きょう8月20日は、前日の米株下落を受けて東京市場は反落気味にスタートし、為替は1ドル=147円台中~後半でもみ合う展開に。
米国ではダウが小幅高で終えた一方、S&P500とナスダックは下落し、週後半のジャクソンホール会議を前に神経質な展開です。

国内では7月の貿易収支が赤字に転落、6月の機械受注は予想外の増加となり、強弱入り混じる材料が並びました。
海外ではソフトバンクGの米インテルへの20億ドル出資や、英国の統計発表延期などが注目されています。
主要株価指数・為替レート(8月20日 午前11時時点)
指標 | 値 | 前日比 |
---|---|---|
日経平均株価 | 42,808.56円 | −737.73 (1.69%)円 |
NYダウ | 44922.27ドル | +10.45 (0.023%)ドル |
S&P500 | 6411.37ポイント | −37.78 (0.59%)ポイント |
ドル/円 | 147.56円前後 | −0.18円 |
日経平均の変動と背景
寄り付きは前日比-145円で始まり、一時700円超安まで下げる局面があり、午前11時を過ぎても弱含みの展開が続きました。
米ハイテク株の下落に加え、前週の最高値更新後の過熱感の解消が続いているとの見方が出ています。
半導体関連が総じて軟調で、個別ではアドバンテストやソシオネクストが下げを主導しました。
短期的な「ガス抜き」を意識した利益確定売りが中心で、日本株の長期上昇トレンド自体は崩れていないとの指摘もあります。
米AI関連や関税動向、週後半のパウエルFRB議長の講演が当面の焦点です。
米株の変動と背景
19日(現地)の米株はダウが小幅高、S&P500とナスダックが下落。
ホームデポが通期見通しを維持した一方、テックは利食い売りが先行しました。
小売り決算が相次ぐなか、米消費の強弱と金利見通しの交錯が続きます。
為替(ドル/円)の変動と背景
東京時間は147円台中~後半でもみ合い。
ジャクソンホール会議や米連銀要人発言を前に様子見姿勢が強く、147.5~148円近辺のレンジ観が意識されています。
資産運用をしている人がこの局面で心掛けるべきこと
世界の半導体・安全保障・通商をめぐる政策不確実性が同時に動く局面です。
短期はイベント次第で振れやすい一方、長期は家計と資産配分の「土台」を整えるほど強くなります。
以下の順で点検すると実務に落とし込みやすいです。
まず、生活防衛資金と運用資金を分け、想定外の出費に備える現金の月数をあらためて決めます。
円安・米金利次第で海外資産や為替がぶれやすいため、外貨建てや為替ヘッジの比率は「一度に」ではなく段階的に見直します。
株式は一極集中を避け、国内外の大型・中型、セクターの分散を意識し、決算や政策イベントの前後は売買単位を小さくしてリスクを刻みます。
家計はまず固定費の削減余地から着手します(通信・保険・サブスク・電力など)。
価格改定やポイント還元の見直しが続くため、毎月の引き落としを棚卸しし、重複・過剰を外します。


長期のコア資産はNISAなど「時間分散」を前提とした制度を軸に、拠出を機械化するのが有効です(相場変動に合わせて感情で止めない運用ルールづくりが重要です)。

枠の使い分けではつみたて投資枠をコアに、値動きの大きい資産は成長投資枠でサテライトとして扱うとリスク管理しやすくなります。
いずれも年度途中の急な配分変更は避け、半年に1回など定期点検で配分調整を検討します。

老後資金づくりではiDeCoの節税メリット(拠出時の所得控除、運用益の非課税、受取時の控除枠)を再確認します。
受け取り方は「一時金」「年金」「併用」で税効果が変わるため、退職時期や他の退職金との重なりを試算しておきます。

短期で為替差を狙うFXはレバレッジにより損益の振れが大きくなります。
イベント前後はロットを抑える、逆指値を必ず入れる、持ち越しは原則しないなど、自己ルールの徹底が欠かせません。

国内ニュース
ロシアの戦略爆撃機が日本海の国際空域を飛行
ロシア国防省は、核搭載可能なTu-95MS爆撃機が日本海の国際空域を約6時間飛行したと発表しました。
日本周辺の安全保障環境の緊張は高止まりで、防衛装備や同盟協力の議論が加速しています。
下のニュースのように、無人機領域の連携模索も文脈上の動きです。
日本の防衛相がトルコ訪問、無人機協力を協議
中谷防衛相がトルコを訪問し、防衛産業や無人機分野での協力を協議します。
地域情勢や装備協力の意見交換が目的で、合意締結は現時点で想定されていません。 無人機の運用・調達・共同開発は、人的負担とコストを抑えつつ抑止力を高める選択肢です。
技術・輸出管理の整合性を取りつつ、実装までのロードマップが焦点になります。
地銀×フィンテックの再編観測:東北銀行がSBIとの資本業務提携を含む戦略を検討
東北銀行は、SBIホールディングスとの資本業務提携観測報道に対し「検討はしているが決定事実はない」とコメントしました。
今後、開示すべき事実があれば公表するとしています。
地方銀行の収益力強化では、決済・投信・証券仲介などのデジタル連携が鍵となり、地域金融の役割維持と経営効率化の両立が問われます。
7月の貿易収支が1175億円の赤字に転落
財務省の貿易統計速報で、7月の貿易収支は1175億円の赤字(市場予想は1962億円の黒字)となりました。
対米輸出は台数・金額とも弱く、自動車の減速が目立ちました。関税環境や外需の鈍化が日本の輸出に与える影響を映し、企業収益や設備投資の先行きに波及し得ます。
為替の円安効果が数量面の弱さを補い切れていない点にも留意が必要です。
6月機械受注が前月比+3.0%、予想を上回る
設備投資の先行指標である機械受注(船舶・電力除く民需)は前月比+3.0%と、事前予想(-1.0%)に反して増加。前年比でも+7.6%でした。
内需の底堅さを示す材料で、外需不透明感の中でも設備投資が持ち直している可能性があります。
ただし先行きは為替・関税・海外景気の三つ巴の影響を受けるため、単月の数字で楽観は禁物です。
ゼンショーHDが一時3%安、はま寿司で洗剤混入
傘下チェーンでの洗剤混入事案を嫌気し、ゼンショーHD株が一時3.3%低下。
企業は再発防止策の徹底を表明しています。フードサービスの品質管理が改めて問われ、レピュテーション・リスクが株価に直結する事例です。
生活者目線でも、店舗の衛生・安全基準への信頼が焦点になります。
海外ニュース
ソフトバンクG、米インテルに20億ドル出資
ソフトバンクGはインテルに20億ドルの出資で普通株を取得し、主要株主の一角に。経営再建下のインテルにとっては資本面の後押しとなります。
AI・半導体の地政学と産業政策が絡む大型マターで、日米の半導体エコシステム再構築に向けた布石とも受け止められます。
米政府の関与観測も相まって、今後の業界再編の引き金になり得ます。
米住宅着工が7月に持ち直し、集合住宅がけん引
7月の住宅着工は前月比+5.2%の年率142.8万戸と5カ月ぶり高水準。高金利環境ながら集合住宅が全体を押し上げました。
米家計の耐久消費や住宅関連投資の回復度合いは、インフレ・金利・株式の三者に波及します。
住宅指標はFRBの判断材料でもあり、今週の政策メッセージ解釈にも影響しそうです。
英統計局、7月小売売上の公表を2週間延期
英国ONSはデータ品質精査のため、小売売上の公表を8月22日から9月5日に延期しました。
統計の信頼性は金融政策や市場価格形成の大前提です。
延期が続けばポンドや英金利、欧州株にも断続的な波及があり得ます。
私たちの生活に起こること
日本の貿易赤字転落は、輸入価格の上昇や輸出数量減のしわ寄せが家計や企業コストに波及するサインです。
節約一辺倒では景気循環の波に振り回されやすく、次の3点を心がけるとよいでしょう。
- 家計は固定費の見直しや値上げの予告が出やすいカテゴリー(住宅・保険・通信)を優先的に点検し、価格改定の有無を確認します。
- 為替や金利イベントの多い週は、海外通販・旅行・外貨建て支払いのタイミングを前倒し/後ろ倒しで平準化します。
- 企業はサプライチェーンでの関税・為替の感応度を点検し、在庫・価格転嫁・調達先の分散を同時並行で進めます。
そのうえで、長期の資産形成は「急な変更を避け、分散を維持する」原則が有効です。

短期の値動きに過度に反応せず、手元の生活防衛資金を確保したうえで、積立などのルール運用を崩さないことが、結果的にブレない選択になります。