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マイナス金利が解除!住宅ローンへの影響は?住宅購入予定の方向けに解説します

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2024年3月19日、日銀はマイナス金利政策を解除しました。利上げと聞いて多くの方がイメージするのは「銀行の預入金利が上がる」ことかもしれません。さらに住宅購入予定の方にとっては、住宅ローン金利の上昇も気になる要素でしょう。
ここでは、マイナス金利とはそもそも何であるかに触れたうえで、なぜこのタイミングでマイナス金利が解除されたのかと、今後の住宅ローンへの影響について解説します。

※2024年4月3日の情報を基に記載しています。

目次

そもそもマイナス金利とは

マイナス金利とは中央銀行(日本銀行)が政策金利をゼロ%よりも低い水準にする政策のことです。本来は銀行にお金を預けたら金利が発生して金利を受け取れるはずですが、マイナス金利においては金利を支払うことになります。

ただしマイナス金利は個人や企業が預け入れを行う民間銀行の預金が対象ではありません。実は民間銀行は日本銀行にお金を預け入れています。その「民間銀行が日本銀行に預け入れる預金の金利」がマイナスになるのがマイナス金利政策です。

民間銀行が日銀に資金を預けると本来なら金利が受け取れるはずですが、マイナス金利では逆に金利を「支払う」必要が出てきます。それを嫌って民間企業が、日銀への預け入れではなく融資等に資金を振り分けるようになることが目的です。つまり、民間銀行の資金供給による経済の活性化とデフレーション(物価下落)脱却が狙いだったといえます。

マイナス金利政策について、通常の預金に慣れ親しんだ方から見れば、違和感があるかもしれません。しかし経済活性化のカンフル剤として、他国でも導入実績があります。例えば 欧州ではスイスやデンマーク、スウェーデンなどの中央銀行において導入されたことがあります。

なぜマイナス金利が解除されたのか

なぜ2016年から続いたマイナス金利が2024年になって解除されたのでしょう。それを知るには、マイナス金利導入時と2024年の経済状況の違いを理解することが重要です。

2016年当時は長引くデフレーションで、デフレスパイラル(※1)が生じていました。デフレーション脱却のための量的緩和策(※2)はすでに実行していました。しかし原油価格の下落等で世界経済の不透明感が強まったため、さらなる施策を実行したのです。

量的緩和政策とあわせてマイナス金利を実施することで、より一層、銀行経由で市場に資金を共有されることとなりました。しかし、民間銀行も景気の先行きが不透明ななかで、融資は慎重にならざるを得ませんでした。また、例え経営が順調でも、不必要な借金を嫌う企業も少なくなかったようです。
これらの理由で、マイナス金利を実行しても資金が供給されない「カネ余り」 の状態に陥ったとされます。

※1デフレスパイラルとは
モノやサービスの値段が下がる→企業の業績が悪化→賃金現象→需要の低下→さらなる物価下落……という負の連鎖のこと

※2量的緩和策とは
日本銀行が民間銀行から国債や手形を買い取ることで、市場の資金量を増やそうとする政策のこと

解除に至った背景

しかし2024年、マイナス金利は解除されました。この理由について日銀は「物価上昇と賃金上昇の両立が見えてきた」からとしています。

物価上昇の実現

国際情勢の不安や地球規模の天候不順などにより、国際的に食料・エネルギー価格が上昇しています。さらに円安による輸入物価が上昇しています。内需の景気回復ではなく外的要因ではありますが、物価上昇は起こっています。

賃金上昇

株式会社帝国データバンクの「2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査」によると、2024年は企業の6割で賃上げの見込みだそうです。また、2024年春闘では、想定以上の賃金上昇の回答が得られました(春闘の第2回回答集計値)。

参考:株式会社帝国データバンク「2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査」

これにより物価上昇と賃金上昇、経済好循環の2つの柱がそろったといえます。ただし、物価上昇は外的要因ですし、物価上昇と比較して賃金上昇の度合いは低いと考える向きもあります。経済好循環の材料はそろったものの、このまま景気回復に進むかは分からない状況だといえそうです。

マイナス金利解除による住宅ローンへの影響は

マイナス金利が解除されたことで、大手銀行はすでに預入金利の上昇を発表しています。金利上昇に伴い、住宅ローン金利も上昇するのではないかと不安に感じている方もいることでしょう。

しかし、直近で住宅ローンが大きく上昇するとは考えにくいです。理由としてマイナス金利が解除されても政策金利は依然として低水準だからです。マイナス金利解除に際しても、日銀総裁は2024年2月に「どんどん利上げしていくというパスは考えにくい」と発言しています。

2024年3月現在の政策金利は「0~0.1%」と低水準です。つまり「マイナス金利」が「ゼロ金利」になったとイメージするといいでしょう。ただし、住宅ローン金利が若干上昇することは考えられます。

住宅ローンの金利上昇サインは?

これから住宅購入(住宅ローンを組む)を考えている方は、住宅ローンの金利の種類と、種類ごとの金利が決まる基準を覚えておくといいです。

固定金利と変動金利

・固定金利
金利が市場に左右されず、一定。金利変動リスクはないが、金利水準は変動金利より高め。ここでは全期間金利が変わらない「全期間固定金利」とする(※)

・変動金利
金利が市場に左右される。金利変動リスクはあるが、金利水準固定金利よりも低め
※実際には、所定の期間だけ金利が固定される「期間固定型」もある

金利の決まり方

大まかですが各金利は次の金利に連動すると言われています。

・固定金利
「新発10年国債利回り」に代表される長期金利を参考に決定。長期金利も日銀は操作していたものの、操作の度合いは緩やかであったため、すでに2022年頃から微上昇

・変動金利
「短期プライムレート(いわゆる短プラ)」を参考に決定される。なお、短プラは政策金利に連動するとされるので、マイナス金利解除によって上昇が見込まれる

上記から、マイナス金利解除の影響が特に大きいのは変動金利であるといえます。しかし、政策金利の引き上げが起こりましたが、現状はマイナスから「ゼロへ」の変更です。短期プラの最頻値はマイナス金利導入前後で変化がなく、マイナス金利が解除されたからと言ってすぐに金利が上昇するケースは少ないと考えられます。日銀の誘導水準がゼロから0.1%前後のプラスへ転じた時に短プラが上昇し、合わせて変動金利が上昇するケースが多いと考えられます。

ただし、長引くマイナス金利は銀行の利益も圧迫しています。特に住宅ローンの金利引き下げ競争は激化しているため、ギリギリまで引き下けられていたともいえます。

そのため、経営改善を図りたい銀行は、比較的早期に住宅ローンの金利上昇に踏み切るかもしれません。大きく上がることはないにせよ、これから住宅ローンを組む方は、金利動向に注意しなければなりません。

今後の住宅購入への影響は?

今後は住宅ローン金利が上昇すると見込まれるなか、これから住宅を購入していく際は、次の点に留意するといいでしょう。

金利動向を注視する

住宅購入では、物件探し・決定・住宅ローン契約の締結(購入)といったステップを踏みます。そして通常、住宅ローン金利が決定するのは「融資決定時」です。
今すぐ住宅購入へ動いたとしても、融資決定時には(変動金利・固定金利に関わらず)金利が微上昇している可能性があります。そのため、物件探しの段階から金利動向を注視し、少し先の金利負担を意識します。

変動金利の選択はよりシビアに

超低金利が続いたため、近年は変動金利が人気でした。しかし、今後は金利が上昇する可能性がでてきました。上昇ペースは緩やかだとしても、金利変動リスクが大きくなるのは事実です。

変動金利で住宅ローンを組むならば、「金利が上昇した場合の返済額」をしっかりとシミュレーションしていくことが求められます。微上昇でも家計が苦しくなってしまう場合は、頭金を入れることや物件価格を押さえるなどして、堅実性を高めます。もしくは、固定金利での購入を視野にいれます。

住宅ローンの価格の上昇にも注意

マイナス金利が解除された背景には「物価上昇」もあります。住宅も例外ではなく、原材料価格の高騰や物価上昇で住宅価格は高騰を続けています。

また、2024年4月からは働き方改革の一環で、運送業・建設業・医師の時間外労働の上限規制が適用されるようになりました。これを受けて人件費や建材の輸送コスト上昇し、住宅価格に転嫁されると考えられます。

購入イメージを見直す

おそらく多くの方が「〇〇エリアで〇〇万円くらいの家が欲しい」といったイメージを持っていることと思います。また「年収〇〇万円ならば〇〇万円の家が買える」といった情報を持っている方も少なくないでしょう。しかし物価や金利が上昇するのであれば、実情に合わせて購入イメージも見直すべきです。最新情報に応じて購入妥当額、返済可能額を調整していきましょう。

なお、物価や金利が上がるなら「少しでも早く住宅購入に動くのがよい」と考える方もいると推測します。しかし、焦りは判断を鈍らせる可能性があります。すでに住宅選びを済ませているならともかく、それ以外の方が「物価や金利が上昇する前に」と慌てて購入するのはおすすめしません。

まとめ マイナス材料があるからこそ、納得のいく住宅購入を!

固定金利は上昇の兆しがありますし、変動金利も今後上昇すると考えられます。しかし固定金利も変動金利も、急激な上昇は考えにくいです。慌てて購入に踏み切り、物件選びや住宅ローン選びを間違っては損失の方が大きくなってしまうかもしれません。しっかりと返済計画を立てて慎重に住宅選択と住宅ローン選びを行いましょう。

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この記事を書いた人

マネー系・ITに強いライターとして2013年からWEB記事の執筆・編集に携わる。「分かりやすく」「誰のための記事なのか」を見極めることで、精度の高い記事を作成。需要に応じた記事を短期間で書く技術で、年間100本以上の記事に関わる。 AFP/ライフプラン応援事務所

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