【2026年1月時点】年収の壁の最新動向(予定含む)!103万・130万・106万の変更点とパートの働き方整理ガイド

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2025年〜2026年にかけて、パート・アルバイトで働く多くの方が意識してきた「年収の壁」に、大きな見直しが続けて行われました。

これまで、年収が一定額を超えると税金や社会保険料の負担が増え、手取りが減ってしまう「働き損」を避けるため、多くの方が収入を調整する「働き控え」をしてきた現状があります。

しかし、2025年の税制改正2026年分から始まる新しい税制(予定)によって、「税金の壁」と「社会保険の壁」の位置、そして働き方に対する考え方が大きく変わるタイミングに来ています。

特に注目されるのは、

  • 所得税に関する「103万円の壁」➡「178万円の壁へ」
    (➡給与収入のみなど一定の条件を満たす場合、2025年分は「年収160万円程度」、2026年分・2027年分は税制改正大綱ベースで「年収178万円程度」まで、所得税の課税最低限の目安が引き上げられる方向です)※3
  • 社会保険の扶養※2に関わる「130万円の壁」
    (基準額は維持しつつ、2026年4月から判定方法が「労働条件ベース」に変更)
  • 大企業等で働くパート・アルバイトの社会保険加入基準である「106万円の壁」
    (月8.8万円(年約106万円)の賃金要件は、将来撤廃することが法律に定められています。今後は週20時間など時間要件中心へ移っていく見込み)

といった「3つの壁」とその要件の変化です。

この中の「103万円の壁」は、2025年分で「160万円の壁」、さらに2026年分・2027年分からは「178万円の壁」へと“動く方向にある”ことが、2025年の税制改正および2026年度税制改正大綱によって示されています。

※「160万円 → 178万円」という数字は、「本人の所得税が原則かからない年収の目安」だと思ってください(給与収入のみ・他の所得がないなど一定条件の場合)。実際の税額は、社会保険料や住民税、家族構成、各種控除の有無によって変わります。

ねくこ

本記事ではこの改正ポイントの詳細から、さらに、2025年〜数年先にかけて予定されている「年収の壁」まわりの改正内容と最新制度を、パート・アルバイト目線で分かりやすく整理します。

それぞれのメリット・デメリット、今後の見通しを押さえつつ、「自分はいくらまで・どんな働き方を選ぶべきか?」が分かるように、具体的なシミュレーションの考え方や、会社に確認すべきポイントも交えて紹介します。

※2 税法上の扶養(配偶者控除・扶養控除)と、健康保険の被扶養者は制度が別です。
※3 「160万円」「178万円」は、いずれも給与収入のみなど一定の条件を置いた場合の「所得税の課税最低限(本人の所得税がかからない年収の目安)」です。令和7年分(2025年分)は基礎控除・給与所得控除の見直しにより年収160万円程度が目安となり、令和8年分・令和9年分(2026年分・2027年分)は令和8年度税制改正大綱で年収178万円程度まで引き上げる方針が示されています。社会保険や住民税の基準(いわゆる130万円の壁など)とは別の話なので注意しましょう。

※本記事は2026年1月時点の法令・公表資料に基づいています。特に「178万円の壁」は、2026年度税制改正大綱にもとづく内容であり、最終的な法律・政省令・通達等で細部が変わる可能性があります。

※本記事は、パート・アルバイトで働く方が全体像をつかむための一般的な情報提供を目的としています。個別の税金・社会保険の加入可否や「どの働き方が絶対に得か」を保証するものではありません。実際の年末調整・確定申告・扶養認定・社会保険加入の判断は、必ず勤務先や加入している健康保険組合、税務署・税理士、社会保険労務士などの専門家に確認してください。

目次

押さえておくべき!主な年収の壁と2025〜2026年からの変更点

まずは、このページで出てくる「ことば」の整理です。

  • 年収:特に断りがない限り、ここでは1年間にもらう「給与収入の合計(税金や社会保険が引かれる前の「額面」)」を指します。
  • 所得税の「課税最低限」:基礎控除や給与所得控除などを差し引いた結果、所得税がかからなくなるラインのことです。
  • 130万円の壁:健康保険の「被扶養者」の判定で使われる、年間収入の見込みが130万円未満かどうかという目安です(実際の認定は加入している健康保険ごとに行われます)。
  • 106万円の壁:大企業等でパート・アルバイトの方が社会保険に入るかどうかの基準で、所定内賃金(月8.8万円=年約106万円)などをもとに判定します(残業代や賞与は含めないのが原則です)。
ねくこ

同じ「年収」でも、税金・社会保険・会社の手当でそれぞれ見方が少しずつ違う点が、年収の壁を分かりにくくしているポイントです。

この記事では、できるだけ「どの制度の話なのか」を書き分けていきますね。

適用開始・範囲の早見

  • 所得税(本人の税金の壁):
    2025年分から、給与収入のみなど一定の条件を満たす人について課税最低限が年収160万円程度へ引き上げ。
    2026年分・2027年分は、物価高対応の特例として年収178万円程度まで課税最低限を引き上げる方針が令和8年度税制改正大綱で示されています。
    源泉徴収(毎月の天引き)に反映される税額表は令和8年分以後に改正され、令和7年分(2025年分)の改正内容は主に令和7年分以後の年末調整で精算されます。
  • 配偶者控除
    配偶者の給与収入が123万円以下(合計所得金額58万円以下)までが対象の目安です。ここは2025年分から引き上げ済みで、現時点では大きな追加変更はありません。
  • 配偶者特別控除(満額):
    配偶者の給与収入が160万円以下のときに満額38万円。
    控除は段階的に縮小し、201.6万円以上でゼロ(いわゆる「201.6万円の壁」)。
  • 社保・扶養(130万円の壁)
    健康保険・厚生年金の被扶養者は、原則年間収入130万円未満が目安(60歳以上・一定の障害がある方などは180万円未満等)。
    人手不足などによる一時的な収入増については、事業主が「一時的な事情」であることを証明する書類を提出することで、被扶養者認定の判断を円滑に行う仕組みが設けられています。
    一方で、2026年4月1日からは「労働条件通知書など契約書ベース」で年間収入を判定する新ルールがスタートします。
  • 106万円要件(短時間労働者の社会保険加入):
    月8.8万円(年約106万円)の賃金要件は、撤廃することが法律で定められています。
    撤廃の実施時期は、法律の公布から3年以内とされており、全国の最低賃金の水準などを見て具体的な開始時期が決まります。
    この記事を読んでいる時点でまだ施行前であれば、当面は現在の賃金要件(月8.8万円以上)を使って加入判定が行われます。今後は「週20時間以上」「雇用期間2か月超」「学生でない」などの時間要件が主な判断基準となる方向です。

※ここでの「160万円」「178万円」はあくまで所得税の課税最低限の目安です。給与収入のみのケースなど、一定の前提条件を置いたときに当てはまりやすいラインであり、住民税・社会保険料・会社独自の手当などは別基準で決まります。

まずは、今回の改正のポイントをざっくり整理しておきましょう。

2026年1月時点で大きいのは、次の3つです。

「103万円の壁」(所得税)➡「160万円」→「178万円」の時代へ

2024年まで「所得税がかかり始める年収ライン」はおおむね103万円とされていましたが、2025年分からは、給与収入のみで他の所得がないなど一定の条件を満たす人について、基礎控除・給与所得控除の見直しにより、課税最低限が「年収160万円程度」まで引き上げられました。

さらに2026年分・2027年分については、物価高への対応として、課税最低限(所得税がかからないイメージの年収)が「178万円程度」まで引き上げられる特例が2026年度税制改正大綱で示されています(最終的な内容は法案の成立・施行後に確定します)。

ねくこ

『給与のみ』の場合、条件に当てはまる人は年収178万円程度まで所得税がかからないケースも増えます。

ただし、住民税や各種手当の判定、社会保険料の負担は別の話なので混同しないようにしましょう。

130万円の壁(社会保険の扶養)➡「金額はそのまま」だが、2026年から判定方法が変わる

健康保険の被扶養者になれる年収上限(原則・年間収入130万円未満)は当面維持されています。

一方で、2026年4月1日以降は、「労働条件通知書(時給・週の時間・日数など)」などに記載された賃金から計算した見込み年収が130万円未満であれば扶養に認定するという新しいルールが始まる方向です(残業などの突発的な増収は、原則としてこの見込みには含めない取扱い)。

ねくこ

人手不足などによる一時的な収入増については、これまで通り事業主の証明を用いて被扶養者認定の判断を円滑化する仕組みも用意されています(雇用契約等から恒常的に130万円以上が見込まれる場合は対象外です)。

106万円の壁(短時間労働者の社会保険加入)➡「年収条件」は法律上廃止の方針。これからは「労働時間」がカギ

短時間労働者(パートなど)が社会保険に入る条件にあった『賃金要件(月8.8万円≒年106万円以上)』については、2025年の年金制度改正法で今後撤廃することが法律で定められました。

施行時期は法律の公布から3年以内とされており、全国の最低賃金の水準などを踏まえて具体的な開始時期が決まります。

ねくこ

今後は、「週20時間以上勤務」「雇用見込み2か月超」「学生でない」などの時間・雇用条件が、社会保険加入の主要な基準となっていく予定です。

【一応朗報】年収103万円の壁は「160万円」→「178万円」へ|所得税の心配は軽減

まずは、多くの方が長年意識してきた「103万円の壁」から整理しておきましょう。

こちらは、

  • 2024年まで:
    給与収入のみの場合、年収103万円を超えると所得税がかかるのが基本でした。
  • 2025年分から:
    基礎控除や給与所得控除が見直され、給与収入のみ・他の所得がないなど一定の条件を満たす人では、課税最低限が「年収160万円程度」まで引き上げられ、その結果として年収160万円程度まで所得税がかからない人が大きく増えました。(年収200万円以下の人に対する特例加算込み)
  • 2026年分・2027年分:
    物価上昇をふまえた特例として、2026年度税制改正大綱でさらに「年収178万円程度」まで課税最低限が引き上げられる方針が示されています。
    給与だけのパート・アルバイトの方は、条件を満たせば年収178万円程度まで所得税がゼロ、というケースも珍しくなくなるイメージです(最終的な内容は法案成立・施行後に確定します)。
ねくこ

2026年分・2027年分については、150万円台後半〜170万円前後の年収帯でも、条件を満たせば所得税がかからない人が出てくるイメージです。

所得税の「税金の壁」だけで見れば、かなり働きやすくなったといえます。

※ここでいう「所得税がゼロ」「非課税」はあくまで所得税の話です。住民税・社会保険料・各種手当の判定は別基準のため、「所得税はゼロなのに手取りは思ったほど増えない」というケースもあります。

また、この改正は世帯全体の税負担にも影響します。

配偶者特別控除の満額(38万円)となる配偶者の年収(給与収入のみの場合)の目安は、2025年分から160万円以下に広がっています。

配偶者控除の対象となる年収の目安は、給与収入のみの場合で「123万円以下」(合計所得金額58万円以下)で、こちらも従来の103万円より広がっています。

ねくこ

パートで働く方が年収160万円まで収入を得ても、配偶者側の税負担が大きく悪化しないようになったので、世帯として「働き控え」をせずに収入を増やしやすい制度に近づいてきました。

2026年分からの「178万円の壁」が実際に動き出せば、さらに税金面のストレスは減っていきます。

年収130万円の壁(社会保険扶養の壁)は金額そのまま|ただし2026年から「判断の仕方」が変わる

所得税の壁が大きく緩和された一方で、社会保険の扶養に関わる「130万円の壁」は、依然として手取りに大きく影響するポイントのままです。

税金(所得税・住民税)の担当は財務省、年金や健康保険など社会保険の担当は厚生労働省と、役所の縦割り構造になっています。

特に厚労省側は、少子高齢化の中で既存の年金制度や医療を維持するために、できるだけ多くの人に社会保険料を払ってもらう必要があると考えています。

ねくこ

そのため、せっかく「103万円の壁はなくなったし、160万円・178万円まで働ける!」と思っても、年収130万円を超えると別の壁にぶつかる点は変わりません。

「税=財務省の壁」は変わっても、「社会保険=厚労省の壁」はまた別の話だからです。

つまり、配偶者などが会社員で健康保険に加入しており、その被扶養者は原則として年収130万円未満(60歳以上・一定の障害がある方などは180万円未満等)が目安です。

これを超えると配偶者等の扶養から外れ、自分で社会保険料(厚生年金・健康保険、または国民年金・国民健康保険料)を負担する必要が出てきます。

人手不足などによる一時的な収入増については、事業主が「一時的な事情」であることを証明する書類を添付することで、被扶養者認定の判断を円滑に行う運用もあります(雇用契約などから恒常的に130万円以上が見込まれる場合は対象外です)。

※具体的な取り扱いは、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)ごとに異なる場合があります。細かい条件は、勤務先や加入している健康保険の窓口で必ず確認しましょう。

ねくこ

年収130万円~178万円未満で働くと、所得税は軽く(またはゼロ)でも、130万円を超えた時点で社会保険料が発生し、その分手取りはガクッと減る可能性があります。

ややこしいですが、「税金の壁」と「社会保険の壁」は別ものだと切り分けて考えることが大切です。

【2026年4月から】「130万円の壁」の判定は「労働条件通知書ベース」へ

もう一つ大きなポイントが、2026年4月1日からの「扶養判定のルール変更」です。

これまでは「今後1年間の収入見込み(残業などを含む)」で年収130万円未満かどうかを判断していましたが、2026年4月1日以降は、労働条件通知書などの契約内容に書かれた賃金(時給・各種手当・賞与など)から計算した年間収入が基準額未満かどうかをもとに、被扶養者の認定を行う考え方が示されています。

残業代などの突発的な増収は、原則としてこの年間収入の見込みには含めない取扱いとされています。

※この新ルールでも、60歳以上・一定の障害のある方・19〜22歳の子どもなど、一部は別の金額(180万円・150万円)で判定されます。また、給与以外の収入(年金・事業収入など)がある場合は、従来どおり別途資料で確認されることがあります。必要な添付書類の詳細などは、今後公表される案内をご確認ください。

この変更により、

契約では年収120万円くらいなのに、繁忙期の残業で一時的に130万円を超えてしまう

扶養から外れないケースが増える

そもそもの契約上、年収見込みが130万円を超えている

早い段階で扶養から外れることがはっきりする

という、結果的に同じ130万円超でも加入の可否が変わる可能性があります。

よって、扶養内で働きたい人ほど、「自分の労働条件通知書に書かれている時給・週の時間・日数」をきちんと確認しておくことが大切になります。

ねくこ

さらに、第3号被保険者(いわゆる「パート扶養」)制度そのものの見直しも、年金制度改革の議論の中で引き続き検討候補に挙がっています。

「今は130万円の壁があるけれど、将来もずっと同じとは限らない」という前提で、少し長い目でライフプランを考えておくことが重要です。

年収106万円の壁:収入要件は「廃止決定(施行前)」|これからは「労働時間」がカギ

企業で働くパート・アルバイトの方にとって、社会保険加入のもう一つの基準となるのが「106万円の壁」です。

「106万円の壁」とは、以下の条件をすべて満たした場合、たとえ年収130万円未満でも勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務になるラインのことです。

  • 従業員数:51人以上(2024年10月以降の基準)
  • 勤務時間:週の所定労働時間が20時間以上(契約書上は20時間未満でも、実際の勤務が2か月連続で週20時間以上となり、その状態が続く見込みの場合は、3か月目から加入対象となるケースがあります。)
  • 雇用期間:2ヶ月以上の見込み
  • 月収:所定内賃金で月8.8万円程度(年収換算で約106万円)以上
    ※所定内賃金には、基本給と各種手当が含まれますが、残業代・賞与・通勤手当・臨時的な賃金などは含めません。
  • 学生ではない(夜間学生を除く)
ねくこ

130万円の壁が「すべての扶養内パート・アルバイト」に関わるのに対し、106万円の壁は、上の条件を満たす事業所で働く人だけにかかる壁というイメージです。

この「月8.8万円」「年106万円」という収入条件のせいで、「106万円を超えないようにシフト調整をしている」という方も多いはずです。

「106万円の壁」と「130万円の壁」の違い

スクロールできます
項目106万円の壁130万円の壁
対象の人一定条件を満たす大きめの会社で働くパート・アルバイトすべての「扶養内」で働くパート・アルバイト
勤務時間週の所定労働時間が20時間以上(実際の労働時間が2か月連続で20時間以上となり、その状態が続く見込みの場合は加入対象となることがあります)勤務時間の条件なし
会社の規模原則 従業員数51人以上(今後さらに拡大予定)規模の条件なし
収入条件所定内賃金が年収106万円(月8.8万円)以上
→この「収入条件」は将来撤廃されることが法律で定められています
年収130万円(月10.8万円)以上
社会保険加入勤務先の健康保険・厚生年金に加入(保険料を給与から天引き)扶養から外れた場合、自分で国保・国民年金などに加入

「年収106万円の壁」は法律上「収入要件の撤廃」が決定済み、今後は「週20時間以上」が軸に

2025年の年金制度改正法により、この「年収106万円(月収8.8万円)」という賃金要件を、将来撤廃することが法律で定められました

施行時期は「法律の公布から3年以内」とされていて、全国の最低賃金の水準などを見ながら、具体的な開始時期が決まります。

ねくこ

この記事を読んでいるタイミングでは、まだ賃金要件が残っている場合もあるため、自分が加入対象かどうかは、必ず最新のルールを勤務先や年金事務所などで確認してください。

収入要件がなくなったあとは、

週の所定労働時間が20時間以上かどうか

といった「時間ベースの条件」が社会保険加入の判断基準の中心になっていくと見込まれています。

(その他、雇用期間の見込みが2ヶ月を超える、学生ではない等もあわせて判定)

つまり、これまでは

  • 年収が106万円を超えないようにシフトを調整する
  • 130万円を超えないように、残業や勤務日数を抑える

といった「お金ベースの調整」が中心でしたが、今後は

「週20時間未満で働き続けるのか」「20時間以上でしっかり社保に入って働くのか」

という「時間ベースの働き方選び」にシフトしていくことになります。

【結局】パート主婦(夫)はどう働くべき?メリット・デメリットと「今やるべきToDo」

ここからは、2026年1月時点のルールを前提に、パートタイマーが「賢く働くためのポイント」を整理します。

ねくこ

どの働き方が「本当に正解だったか」は、正直なところ老後にならないと完全には分かりません。

ただ、「今の家計」と「将来の年金・安心感」のバランスを見ながら、2026年時点でベターな選択肢は絞り込めますので、ここでは「130万円を超えるかどうか?」を軸に考えていきます。

まず、「130万円の壁」を突破することのメリット・デメリットを見てみましょう。

130万円の壁を突破するメリット

  • 所得税の心配が小さい(〜178万円)
    2025年分は160万円、2026年分・2027年分は178万円まで所得税がかからない人が多くなるため、所得税については、金額をあまり気にせず収入を増やしやすい。
  • 働き控え解消で収入UPのチャンス
    「壁」を理由に断っていたシフトや仕事に挑戦しやすくなり、年収そのものを引き上げやすくなる。
  • 社会保険加入による将来の安心
    厚生年金に加入すれば、将来もらえる年金額が国民年金だけの場合より増えます。健康保険も、傷病手当金や出産手当金など、「いざという時の保障」が手厚くなるメリットがあります。
  • キャリアの幅が広がる
    社会保険加入を前提に働くことで、責任あるポジションや長期的なキャリアアップも視野に入れやすくなります。

デメリットと注意点

  • 社会保険料負担による「手取り減」リスク
    106万円や130万円のラインを超えて社会保険に加入すると、年間十数万〜二十数万円の保険料負担が発生します。収入増が小さいまま加入すると、かえって手取りが減る「働き損ゾーン」が生じることがあります。
  • 扶養手当等の喪失
    会社によっては、配偶者が扶養から外れると配偶者手当・家族手当などがゼロになる場合も。社会保険料だけでなく、会社独自の手当の有無も必ず確認が必要です。
  • 国民健康保険・国民年金になるケース
    勤務先の社保に入れず扶養からも外れる場合(週20時間未満など)は、自分で国保・国民年金に加入し、保険料を全額負担する必要があります。
ねくこ

ざっくりと言うと、「今の手取り」を優先するか、「将来の年金と保障」を優先するかという選択になります。

【ここで判断!①】「働き損」を避ける分岐点を見極める

社会保険に加入する場合、年間の保険料負担(おおよそ16万円〜程度から)のイメージを持ったうえで、それを上回るだけの収入増が見込めるかどうかが重要です。

働き損を避けるための分岐点は、

  • 加入している健康保険・厚生年金の保険料率
  • 住民税の有無・金額
  • 会社の配偶者手当・その他手当の有無
  • 通勤手当が社会保険上の「収入」としてカウントされるか

といった要素で変わります。

「何となくでシフトを増やす」のではなく、いちど紙に書き出して簡単なシミュレーションをしてみるのがおすすめです。

※健康保険の収入判定に通勤手当も含めて計算する保険者もあります。勤務先または加入している健康保険組合に確認しましょう。

【ここで判断!②】企業の手当・支援策も確認する

厚生労働省は、「年収の壁」への対応として、企業が従業員の社会保険加入を進める際に活用できるキャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コースなど)といった助成制度を案内しています。

(助成金の活用には、支給要件の確認や申請手続きが必要です。)

そのため、会社によっては独自に「社会保険適用促進手当」などを設け、従業員の手取り減を緩和する取り組みを行っているところもありますが、こうした手当も課税対象の「給与扱い」になる点には注意が必要です。

【今やるべきToDo】自分の「最適ライン」を決める3ステップ

  • ① 現状把握:給与明細・源泉徴収票・労働条件通知書(シフトの目安)を手元に揃える。
  • ② 条件の確認:「配偶者の社保扶養かどうか」「会社の従業員数」「加入している健康保険の種類」「配偶者手当の有無」を確認。
  • ③ ゴールを決める:
    A:年収130万円以内で扶養内キープ
    B:130万円を超えて、160〜178万円くらいまでしっかり稼ぐ(社保加入前提)
    C:いっそフルタイムに近づけて、将来の年金重視で働く
    のどれを目指すかを、家計と将来の希望を見ながら決めていきましょう。
ねくこ

これらの情報と、自分や家族の価値観を合わせて、

・「一旦は年収130万円以内にとどめる(+増えた手取りを貯蓄や運用など検討する)のか」
・「年収130万円を超えて、160〜178万円ゾーンまで一気に上げるのか」


を決めていくイメージです。

企業側の影響:コスト増と人材確保のバランス、業務委託へのシフトリスク

一連の「年収の壁」見直しは、パート・アルバイトを雇用する企業側にも大きなインパクトを与えます。

「労使折半」による社会保険料負担増が、企業の経営を圧迫する可能性

厚生年金保険料健康保険料は、「労使折半」=従業員と企業が半分ずつ負担する仕組みです。

具体的には、厚生年金保険料率(約18.3%)の半分の約9.15%、健康保険料率(協会けんぽ等で約10%前後)の半分の約5%を、企業が負担します。

短時間労働者の社会保険加入が進むと、「加入した人の保険料負担」と同じ額を企業側も負担するため、人件費の固定コストが増えることになります。

ねくこ

その一方で、サラリーマンや社会保険に加入しているパートさんは、保険料の一部を事業主が負担してくれる(労使折半)仕組みになっているのも事実です。

個人事業主(フリーランス)は、基本的に自分で全額負担する仕組みになるため、「誰の方がトクか」ではなく、制度の違いを知っておくことが大切です。

今回の制度改正、とくに106万円の賃金要件撤廃企業規模要件の段階的撤廃により、これまで対象外だった多くのパートタイマーが新たに社会保険に加入することになると見込まれます。

例えば、年収130万円のパートタイマーが1人新たに加入した場合、企業側の社会保険料負担が年間で「数十万円程度」増えるイメージになるケースもあります。

従業員数が多い企業では、加入拡大によるコスト増は決して小さくありません。

※この金額は、保険料率や標準報酬月額、賞与の有無などを一定と仮定した概算例です。実際の負担額は、会社ごとの加入健康保険や給与水準によって変わるため、個別試算が必要です。

給与所得者である「社員」や「パート」の雇用を控える企業も出てくる可能性

日本の企業の大部分を占める中小企業にとって、「人手不足」と「社会保険料負担の増加」は、両方とも重いテーマです。

対応として、一部の企業では、これまで直接雇用(パート・アルバイト)でお願いしていた業務の一部を、業務委託(個人事業主)に切り替える動きも指摘されています。

目的は、

  • 社会保険料の企業負担を抑える
  • 労働基準法上の各種義務(残業代・有給など)の一部を回避する
ねくこ

ただし、ここは要注意ポイントです。

契約書上は「業務委託」でも、実態としては会社の指揮命令のもとで働き、勤務時間も細かく管理されている場合、いわゆる「偽装請負」などの問題として指摘される可能性があります。

結論として、企業は「人材確保・育成によるメリット」と、「社会保険料などの固定費増加」、そして業務効率化や業務委託のリスクなどを総合的に考えながら、最適な働き方を社員・パートと一緒に設計していく必要があります。

【Q&A】2026年版・年収の壁のよくある疑問

ここまでの内容を、Q&A形式でおさらいします。

「103万円の壁」は今どうなっていますか?

いわゆる「103万円の壁」は、本人の所得税の世界では「160万円」→「178万円」のラインに移っていく方向になりました。

2025年分からは、給与収入のみなど一定の条件を満たす場合に「年収160万円程度」、2026年分・2027年分は税制改正大綱ベースで「年収178万円程度」まで所得税がかからない人が多くなるため、所得税(本人)に限っていえば、年収103万円を基準に就業調整する必要性はかなり小さくなっています。

ただし、住民税や社会保険の扶養、会社独自の手当などで「103万円」が目安として使われているケースも残るため、「どの制度の103万円なのか」を確認しながら考えるのがおすすめです。

「130万円の壁」はそのまま残っていますか?

社会保険の扶養の基準は、原則として今も「年収130万円未満」が目安です。

ただし、一時的に130万円を超えた場合は、人手不足等による一時的な事情を事業主が証明することで、被扶養者認定の判断を円滑にする仕組みがあり、2026年4月からは労働条件通知書ベースで年収を判定する新ルールも始まる方向です。

最終的な認定は、加入している健康保険ごとの判断になる点に注意しましょう。

「106万円の壁」は今後どうなりますか?

賃金要件(月8.8万円=年約106万円以上)を撤廃することは法律で定められています。

施行は法律の公布から3年以内とされており、全国の最低賃金などを踏まえて、今後「週20時間以上勤務」など時間ベースの条件が中心になっていく見込みです。

実際にいつから変わるかは、最新情報をチェックする必要があります。

社会保険に加入すると損ですか?

短期的には手取りが減るケースがあり、「損した」と感じることもあります。

一方で、将来もらえる年金額が増える・病気やケガで働けないときの保障が手厚くなるなど、長期的にはメリットも大きい制度です。

「働き損」にならないために、年収はいくらを目指すべき?

一つの目安としては「年収150万円〜160万円以上」まで上げられると、社会保険料を払ってもトータルの手取りが増えやすいゾーンに入ります。

ただし、実際の分岐点は、保険料率や会社の手当、住民税の有無などで変わるため、一度は具体的な金額でシミュレーションしてみることをおすすめします。

会社の手当で社会保険料を補助してくれることはありますか?

会社によっては、社会保険加入を促すために「適用促進手当」などを支給しているケースがあります。

制度の有無や金額は企業ごとに違うので、就業規則や社内の案内・人事担当への相談で確認してみましょう。

週20時間未満なら、これからも社会保険に入らなくていい?

雇用契約上の週所定労働時間が20時間未満であれば、原則としてその通りです。

ただし、「週20時間未満のはずが、長期間20時間以上働き続ける」といったケースでは、加入対象と判断されることもあります。

特に、2か月以上連続して週20時間を超える勤務が続きそうなときは、加入の可能性が高まりまするため、雇用契約書やシフトの組み方について、不安があれば早めに会社や社労士に相談しておきましょう。

会社がパートを「業務委託」に切り替えることはありますか?

一部の企業では、社会保険料負担などを理由に、これまでパートで雇っていた仕事を業務委託へ切り替える動きもあります。

ただし、実態が雇用と変わらないのに「業務委託」として扱うことは、「偽装請負」として法的なリスクを伴う可能性があります。

従業員側としても、契約を切り替える際は仕事内容・指揮命令の有無・社会保険の扱いをよく確認しましょう。

年収130万円超でも扶養を続けられる方法はありますか?

一時的な収入増(繁忙期の残業など)の場合は、勤務先が「一時的な事情」と証明することで、被扶養者認定の判断を柔軟に行ってもらえる運用があります。

ただし、毎年恒常的に130万円を超えてしまう見込みの場合は対象外です。

この場合は、社会保険加入を前提に、働き方と家計のバランスを再設計する必要があります。

まとめ:2026年は「税金の壁」と「社会保険の壁」を分けて考える年

今回の「年収の壁」改正は、特にパート・アルバイトで働く方にとって、これまで当たり前と思っていた「103万」「130万」「106万」の感覚を見直す大きなきっかけになります。

今回のまとめ

  • 所得税の「103万円の壁」は、「160万円」→「178万円」へと大きく緩和。
    所得税だけを理由に「年収103万円で止める必要」はほぼなくなりました。
  • 社会保険の扶養の「130万円の壁」は金額そのまま。
    一時的救済や2026年4月からの新ルールはあるものの、ここを超えると保険料負担がドンと増える構造は当面続きます。
  • 社会保険加入の「106万円の壁」は、賃金要件撤廃が決定済み。
    今後は「週20時間」を1つの目安に、時間ベースで働き方を考える時代になっていきます。

大切なのは、

「税金の壁」と「社会保険の壁」を分けて理解し、自分と家族のライフプランに合った年収ラインと働き方を選ぶことです。

ねくこ

もし迷ったら、①現状把握 → ②条件確認 → ③ゴール決めの3ステップから始めてみてください。

社会保険加入のメリット・デメリット、保険料負担と収入増のバランスを落ち着いて整理しつつ、必要であれば勤務先とも相談しながら、2026年以降の新しいルールを味方につけて働いていきましょう。

免責事項: この記事は2026年1月時点の情報に基づいて作成しています。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・社会保険・法律の助言や、特定の働き方を保証・推奨するものではありません。

税制や社会保険制度は頻繁に改正されるため、実際の年末調整・確定申告・社会保険加入の判断にあたっては、必ず最新の公的情報(国税庁、日本年金機構、厚生労働省、加入している健康保険組合等)や専門家の助言を確認してください。

なお、本記事で紹介している「160万円」「178万円」「106万円」「130万円」などの年収ラインは、主に給与収入のみ等の前提を置いた目安であり、住民税・社会保険料・家族構成・会社の手当・自治体や保険者の運用によって実際の負担や手取りは変わります。また、「178万円の壁」など税制改正大綱に基づく内容は、今後の法令・通達により変更される可能性があります。

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この記事を書いた人

編集部の資産形成担当。
20代後半ながら金融に関する相談実績多数で、投資信託から株式まで幅広い知識を持ち、今のあなたに必要なことを洗い出し、寄り添った提案を心掛けています。
たけのこ派&猫派です!

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