個人事業主の住宅ローンはどこまで経費になる?利息の按分・計算・仕訳までをわかりやすく解説

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個人事業主には個人商店や士業(税理士・司法書士等)、フリーデザイナーやフリーエンジニアなど、さまざまな業種の方がいます。

近年は、パソコンがあれば開業できる業種も増えているため、自宅の一部をそのまま事務所にする方も多いです。

そうした個人事業主がマイホームを建てたり購入する場合、事業用スペースのある自宅に住宅ローンを適用できるのか、また経費にできる部分があるのかは大きな関心ごとでしょう。

住宅ローンの一部や住居費の一部を経費にすることは可能ですが、それぞれ要件があります。

この記事では、住宅ローンや居住費をどこまで必要経費にできるのか(家事按分の考え方)、住宅ローン控除との違いも含めて整理します。制度は改正されることがあるため、控除要件などは申告時点の国税庁・関係省庁の最新情報で確認してください。


この記事の結論

経費になり得るのは、取引記録等に基づき業務に直接必要だったことが明らかに区分できる場合の、事業割合分の利息および家事関連費(固定資産税・光熱費等)の区分できる金額です。[1]

住宅ローン控除は“経費”ではなく“税額控除”です。

※住宅ローン返済の元金は必要経費になりません。必要経費になり得るのは、利息のうち事業割合分と、家事関連費のうち区分できる金額です。
※家事関連費として必要経費にできるのは、取引記録などに基づき区分できる金額に限られます。
※本記事は一般的な情報です。個別事情で取扱いが異なるため、不安がある場合は税理士等の専門家にご相談ください。

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目次

事業用部分があっても、住宅ローンは適用できるか

テーブルでノートパソコンを操作する女性の俯瞰写真で、自宅兼事務所の作業風景を表している

住宅ローンは、給与収入や事業所得といった契約者ご自身の収入を原資に返済するため、貸し倒れリスクが低いと考えられます。そのため一般に、住宅ローンの金利は不動産投資ローンなどと比較すると低く抑えられています。

結論として、併用住宅で住宅ローンが使えるかは、金融機関・商品(住居部分のみ対象か、併用住宅も想定するか)・非住宅部分の割合などで取扱いが変わり、審査も個別判断です。

どの程度なら住宅ローンを適用できるのか

目安として、例えば【フラット35】の技術基準では、居住用と事業用の併用住宅は『住宅部分の床面積が非住宅部分以上』などの要件があります(他にも要件があります)。[13]
※住宅ローン全般の共通要件ではなく、商品・金融機関により取扱いが異なります。

建物すべてを住宅ローンにできる金融機関もありますが、「住居部分」のみ住宅ローンの対象とする商品もあります。

住宅ローン申し込みの際は、事前に条件を把握しておきましょう。

※事業用スペースに住宅ローンが適用できない場合は、事業用ローンや融資、もしくは事業資金の支出を検討します。

住宅ローン返済で経費にできるのは「利息のみ」

ノートと電卓、硬貨、鉛筆が机に並び、家事按分や経費管理の作業をイメージしている

住宅ローン返済(元金+利息)のうち、必要経費になり得るのは“利息の事業割合分”です(元金は必要経費になりません)。

個人事業主の経費の概念と、住宅ローンの支払で経費にできる範囲を解説します。

個人事業主の経費とは

個人事業主の経費として認められているのは、「事業のための支出」です。

事業を運営するために必要な出費、と考えるといいでしょう。

その考えに基づくと、マイホーム、つまり「自宅に住むことでかかる費用」は、すべて経費の対象外です。

経費計上の大原則として、自宅兼事務所といった一つの建物の場合においても、費用を「住居用」と「事業用」のスペースや支出に分けて考えていかなければなりません。

面倒だからと住居部分もまとめて経費として計上してしまうと、誤った申告内容となってしまいます。

誤った計上は、加算税等の対象になり得るため注意が必要です(詳細は後述します)。

利息部分は経費にできる可能性がある

事業用スペースが住宅ローンの対象となるときも、「住宅ローンの借入額」自体は経費となりません

というのも、そもそも借入額そのものは「支出」ではないため、経費にはできないのです。

ただし、必要経費になり得るのは“事業に対応する借入金利子”で、かつ自宅兼事務所のように家事と業務の両方に関わる場合は、取引記録等に基づき業務に直接必要であったことが明らかに区分できる金額に限られます。[1]

事業用スペースも住宅ローンの対象とできた(全額住宅ローンが適用できた)場合で考えてみます。

  • 住宅ローン全体のうち事業スペース部分が事業に関連する借入となる
  • 事業用スペースに対応する住宅ローンの利息部分が経費にできる

仮に4,000万円の住宅ローンを組んで、居住スペースが7割で事業用スペースが3割なら、住宅ローンの割合は次のようになります。

  • 居住用スペース 2,800万円
  • 事業用スペース 1,200万円

事業用であっても、借入額自体は経費にはできないものの、借入額にかかる1,200万円の利息相当分は経費計上が可能です。

※経費は事業に関連した支出が対象、という前提を忘れないようにしましょう。
※資金使途(融資契約)・名義・負担者・使用実態で取扱いが変わるため、判断に迷う場合は税理士等に確認してください。

【早見表】住宅ローン関連費用の“経費になる?”判定表(○△×)

スクロールできます
支出項目判定どこまでOK?(ざっくり)勘定科目例根拠・注意
住宅ローン返済の元金×経費になりません借入元本は費用ではありません
住宅ローンの利息支払利息 × 事業割合支払利息/利子割引料事業に対応する部分のみ(家事按分)
固定資産税支払額 × 事業割合租税公課家事関連費は区分できる範囲のみ[1]
電気・ガス・水道支払額 × 事業割合水道光熱費面積/時間など合理的基準+根拠保存[1]
通信費(ネット等)支払額 × 事業割合通信費仕事利用分を説明できる形に
修繕費(事業スペースの修理)○〜△事業部分のみ(or按分)修繕費原状回復中心。価値増なら別扱い注意
減価償却(建物の事業部分など)償却費 × 事業割合減価償却費対象・耐用年数は資産ごとに異なります
住宅ローン控除経費ではなく税額控除要件・上限は公式で確認[3]

なお、住宅ローンが“住居部分のみ”を借入対象としている商品では、事業部分に対応する借入金利子が発生しない(または別融資になる)ことがあります。

返済予定表の利息を按分する前に、契約書(資金使途)・借入対象(住居のみか、併用住宅全体か)を確認し、事業部分に対応する利息があるときのみ按分してください。

利息を経費にするための「計算手順」(返済予定表のどこを見る?)

電卓の上に『COST』の木製ブロックが置かれ、住宅費用の経費計上を連想させる

住宅ローンで経費にできる可能性があるのは「利息(事業割合分)」です。

まずは、毎月の返済額のうち利息がいくらかを正確に把握します。

用意するもの(どれか1つでOK)

  • 金融機関の「返済予定表(償還予定表)」
  • 毎月の「返済明細(Web明細)」
  • 年間分がまとまる「返済履歴(利息額がわかるもの)」

※元利均等返済の場合、返済当初は利息が多く、後半ほど少なくなるため、固定の割合で推定せず、明細にある利息額を使うのがおすすめです。

事業割合(家事按分)の決め方

一般的には、次のような「合理的な基準」で按分します。

  • 床面積按分:事業用スペース ÷ 自宅の総床面積
  • 時間按分:事業で使う時間 ÷ 24時間(または在宅時間)
  • 日数按分:事業で使う日数 ÷ 月の日数

迷ったら、最も説明しやすい「床面積按分」をベースにし、使い方が特殊な場合だけ時間按分を補助的に使うと整理しやすいです。[1]
※按分方法に一律の決まりはありません。取引の記録等に基づき、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる合理的な基準を継続して用います。実務上は床面積を基準に整理する例が多く、必要に応じて時間等の要素を補助的に用います。

計算式(毎月やることはこれだけ)

事業用に経費計上できる利息(当月)= 当月の支払利息 × 事業割合

(例)当月の支払利息が50,000円、事業割合が1/3なら
50,000円 × 1/3 = 16,666円(端数処理は会計ルールに合わせてOK)

¥按分根拠として残しておくと安心なもの

最低限、次の4つは按分の根拠として手元に残しておきましょう。帳簿・領収書などは整理して保存が必要です。

  • 間取り図・平面図(床面積がわかる資料)
  • 事業スペースの写真(机・機材・業務用棚など)
  • 事業の稼働メモ(週◯日・1日◯時間などで十分)
  • 毎年同じ基準を継続する(変更時は理由もメモ)

利息の仕訳例|事業主貸・事業主借の使い分け

住宅ローンの返済額には「元金」と「利息」が含まれます。元金は経費になりません。経費にするのは、利息のうち事業割合分だけです。

ここでは、実務で迷いにくい「よくある2パターン」で仕訳例を紹介します。

パターンA:住宅ローンの引落しが【個人口座】(プライベート)からの場合

この場合、事業の帳簿には「事業分の利息だけ」を計上します(個人で支払ったものを事業に立て替えたイメージです)。

(例)当月の支払利息50,000円、事業割合1/3 → 事業用利息16,666円

  • 借方:支払利息(または利子割引料) 16,666
  • 貸方:事業主借           16,666

※「事業主借」は、プライベート負担分を事業が借りた(立替してもらった)扱いにしたいときに使います。

パターンB:住宅ローンの引落しが【事業用口座】からの場合

この場合、事業用口座から落ちた金額のうち、事業に関係ない部分(元金+住居分利息など)は「事業主貸」で整理しておくと、経費の過大計上を防げます。

(例)毎月返済額99,378円、当月利息50,000円、元金49,378円
事業割合1/3 → 事業用利息16,666円

1)事業分の利息(経費にできる部分)

  • 借方:支払利息(または利子割引料) 16,666
  • 貸方:普通預金           16,666

2)残り(元金+住居分利息など、経費にしない部分)

  • 借方:事業主貸           82,712
  • 貸方:普通預金           82,712
    ※82,712円=99,378円−16,666円

よくあるミス

  • 返済額(元金+利息)を丸ごと経費にする
  • 「利息」ではなく「返済額」に事業割合を掛けてしまう
  • 事業割合の根拠(面積・時間など)を残していない
補足住宅ローン控除との関係

住宅ローン控除は「経費」ではなく「税額控除」です。自宅兼事務所の場合でも要件を満たせば適用を検討できますが、経費(家事按分)と混同しないように整理しておきましょう。

住宅関連の経費(固定資産税・光熱費・減価償却)の計算と仕訳

電卓とグラフ資料の上に家の模型が置かれ、住宅ローン控除や利息計算のイメージになっている

居住用住宅に事業用スペースがある場合、住宅ローン以外にも住宅に関する費用の一部を、経費とできるケースがあります。

必要経費に算入できれば課税所得の計算に影響し、結果として税負担が変わる可能性があります。

それぞれの経費の概要と、経費にする際の勘定科目を解説します。

減価償却費

減価償却とは、事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、器具備品などの資産を対象に、取得価額を一定の方法で各年分の必要経費として配分し、計上する会計処理です。

かかった費用を購入年度にまとめて経費計上するのではなく、次年度以降も経費として、分割して計上することができます。

また、どの品目がどの期間、経費計上が可能かは、その品目によって定められています。

法定耐用年数は資産の種類ごとに異なるため、耐用年数表で確認します。[8] [10] 減価償却により数年に按分して経費を計上することで、節税効果を2年目以降にも継続することができます。

減価償却費の計算方法

減価償却費の計算には、次の5つが必要です。

  • 建物の取得価額(※土地を除く)
  • 耐用年数
  • 償却方法(建物は取得時期により、定額法などに限られる場合があります)
  • 事業割合
  • 使用開始時期(年の途中なら月割り)

例)建物取得価額2,400万円、耐用年数24年、事業割合25%で、年の途中の月割り調整が不要な場合

年間の減価償却費=2,400万円÷24年=100万円 → 経費にできる額=100万円×25%=25万円

※耐用年数は、建物の構造などにより異なります。

仕訳例(年1回の計上でOK)

借方:減価償却費 250,000円
貸方:減価償却累計額 250,000円
※減価償却の基本的な考え方(必要経費算入、土地は対象外等)は国税庁の案内に沿わせるのが安全です。[8]

勘定科目は「減価償却費」です。

※土地は減価償却できず、原則“建物等”が対象です。共有名義・マンション等は区分に注意してください

固定資産税

固定資産税は、保有する不動産に対して毎年かかる税金です。

自宅に事業用スペースがある場合、事業スペース部分を経費に計上できます。居住用スペースと事業用スペースの割合を算出する具体的方法は決まっていませんが、合理的な基準で計算することが求められています。

例えば、全体の床面積と事業用スペースの床面積の割合で算出する方法があります。

勘定科目は「租税公課」が一般的です。

電気・ガス・水道代

毎月の使用料のうち事業で使用した部分についても、経費とすることが可能です。

固定資産税と同じく、合理的な基準で計算します。業務時間や出勤日数で使用割合を出す方法があります(一日8時間業務を行っている場合、全体の1/3など)。

勘定科目は「水道光熱費」です。

修繕費

修繕費とは、資産の状態が悪くなったとき、購入時と同じ状態まで資産を回復させることです。

例えば、事業用スペースの窓ガラスが割れたので取り替えた場合や、事業用の複合機を修理したようなケースです。

原則として、事業用の資産のみが対象です。

ただし、資産の「原状回復」や「維持管理」が対象です。資産の価値が増加するような場合は「資本的支出」といって、修繕費以外の費用になるので注意します。

勘定科目は「修繕費」です。

参考:国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定」[9]
※経費について迷ったときは、国税庁に問い合わせたり顧問税理士に相談したりすることをおすすめします。

住宅ローン控除(住宅ローン減税)との関係

コインと木製ブロックの『住宅減税』の文字、家の模型が並び住宅ローン控除をイメージしている

事業用スペースがある場合でも、居住用の床面積が半分以上であれば、住宅ローン控除の適用は可能です。経費ではありませんが、住宅ローン控除は所得税の還付が受けられるうれしい制度です。

なお、住宅ローン控除の適用を目指す際は、いくつかの注意点があります。

【2026年以降】税制改正大綱(閣議決定段階)の内容と注意点

国税庁の現行案内は、「令和7年12月31日までの入居」を対象(令和7年4月1日現在)と示しています。[3]

一方、令和8年(2026年)以降の住宅ローン控除は、令和8年度税制改正大綱(閣議決定)で延長・拡充が示されています。[11][12]

主な変更点(閣議決定段階)[11][12][14][15][16]

  • 適用期限を5年間延長(令和8年1月1日から令和12年12月31日までに入居した場合に適用可能、という方針)
  • 控除率0.7% [3][11][15]
  • 床面積要件40㎡(ただし例外条件あり)
  • 令和10年以降の取扱い(省エネ基準適合住宅の対象外等、レッドゾーン新築の対象外等)

※令和8年(2026年)以降入居の住宅ローン減税は、関連税制法の成立が前提です。成立後に国税庁の案内で最新要件を最終確認してください。

住宅ローン控除の適用条件

住宅ローン控除の主な適用要件は、次のとおりです。

【住宅ローンの主な適用条件】

  • 購入(工事完了)から6カ月以内に居住していること
  • 控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること
  • 住宅の床面積が50平方以上であり、かつ床面積の2分の1以上が居住用。その場合、控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下(床面積50㎡以上等の共通要件の一部)であること。
  • 住宅の床面積が40平方以上であり、かつ床面積の2分の1以上が居住用。その場合、控除を受ける年の合計所得金額が1,000万円以下であること(※)
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
  • 親族等からの購入でないこと など

※40㎡以上50㎡未満の“小規模居住用家屋”等は、対象となる住宅区分や建築確認等の期限条件が別建てで規定されています(居住年が令和6年・7年の場合の追加要件もあり)
※床面積要件や所得要件等は居住年・住宅区分により異なります。床面積は登記事項証明書の床面積で判断し、店舗・事務所併用住宅の場合は建物全体の床面積で判断します。

上記の「3」「4」にあるように、50%以上が居住用であることが必要です。

ただし、必要な条件を満たした場合も、住宅ローンの控除を受けられるのは「居住用部分」のみです。

例えば60%が居住用スペース、40%が事業用スペースである場合、要件を満たせば住宅ローン控除が受けられますが、対象となるのは60%のみです。

住宅ローン控除がすべて適用できるケースも

原則は、居住用スペースのみが住宅ローン控除の対象となります。

なお、床面積・敷地面積・増改築等費用のいずれかについて、居住用に供する部分が全体のおおむね90%以上である場合は、全部(または全額)を居住用として取り扱えることがある旨が示されています。

どの“90%”か(床面積/敷地/費用)を前提に、確定申告の計算明細書と合わせて整理してください。

住宅ローン控除の適用は「確定申告書」が必要

住宅ローン控除の適用を受けるためには確定申告が必要です。

給与所得のみの会社員であれば、多くの場合は年末調整で済みますが、個人事業主の場合、毎年確定申告が必要です。

個人事業主の方であれば、確定申告をする際、住宅ローンの控除申請をうっかり忘れないようにしましょう。

※自宅開業の個人事業主が住宅ローン控除を受けるときは、要件や申請(確定申告)に注意が必要です。

事業用スペースがある場合のシミュレーション

借入額3,000万円、うち事業用部分は3分の1とした場合の利息と住宅ローン控除のシミュレーションを紹介します。

利息のシミュレーション

  • 借入額3,000万円(うち事業用部分は3分の1)
  • 返済期間35年/利息2%

の場合、当初の利息額は次のとおりです。

【元本と利息の割合(第1回支払)】

毎月返済額99,378 円
元本49,378円
利息50,000円

※住宅金融支援機構のシミュレーションを使用[7]

第1回の支払利息は5万円ですので、約16,666円(=5万円÷3)が、利息として経費にできる計算です。

利息割合については、借入先金融機関から「返済明細表」等を出してもらえば確認可能です。

「住宅ローン控除」適用額のシミュレーション

  • 借入額3,000万円(うち事業用部分は3分の1)
  • 返済期間35年/利息2%

の、場合の初年度の住宅ローン控除額を紹介します。

住宅ローン控除の控除率は年末の住宅ローン残高×0.7%で、住宅区分・入居年で控除期間や限度額が異なります(令和4年〜令和7年入居”の現行説明による)。[3]
※令和8年(2026年)以降の入居については、延長・拡充が“閣議決定(税制改正大綱)段階”で示されているため、成立後の国税庁情報で最新化してください。

計算上3,000万円にそのまま控除率をかけた時の控除額は次のとおりです。

住宅ローン全体に住宅ローン控除が適用される場合

・3,000万円×0.7%=21万円

居住用スペースのみに住宅ローン控除が適用される場合

・3,000万円×2/3×0.7%=14万円

このように、控除額に差が出ます。

なお、控除しきれるかはその人の所得・控除・税額で変わります(税額が上限)。

よくある質問(Q&A)

個人事業主の住宅ローン返済はどこまで経費になりますか?

住宅ローン返済(元金+利息)を丸ごと経費にすることはできません。

経費になり得るのは、事業に対応する部分を合理的に区分できる場合の「利息」や、固定資産税・光熱費など家事関連費のうち区分できる金額です。[1]

住宅ローンの「利息」はどこまで経費にできますか?

業務のための借入金の利息は必要経費になり得ます。

自宅兼事務所の場合は、事業に使っている割合(家事按分)を合理的に区分できる範囲で、利息を按分して計上します。[1]

利息の按分はどう計算しますか?(毎月の計算式)

基本は次の式です。

事業用に経費計上できる利息(当月)= 当月の支払利息 × 事業割合

利息額は、返済予定表やWeb明細などに記載の「当月利息」を使うのが安全です。[1]

事業割合(家事按分)の決め方に決まりはありますか?

一律の決まりはなく、取引の記録などに基づき、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる割合で計算します。

一般には床面積など、説明しやすい基準を継続し、変更する場合は理由も残します。[1]

住宅ローンの利息の仕訳はどうしますか?

個人口座から引き落ちているなら、事業分の利息だけを「支払利息(または利子割引料)/事業主借」で計上するのが分かりやすいです。

事業用口座から引き落ちているなら、経費にしない部分(元金や住居分など)を「事業主貸」で分け、経費の過大計上を防ぎます。[1]

固定資産税や光熱費も経費にできますか?

店舗併用住宅などの費用は家事関連費に当たり得ますが、必要経費にできるのは取引の記録等に基づき区分できる金額に限られます。

固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になります。[1]

住宅ローン控除と、利息の経費(家事按分)は両方できますか?

住宅ローン控除は「経費」ではなく税額控除です。

経費(利息や家事関連費の按分)と性質が異なるため、要件を満たす場合は両方を検討できますが、控除対象(居住用部分など)と経費の対象を混同しないよう整理します。[3][2]

自宅兼事務所でも住宅ローン控除は使えますか?控除対象はどこまでですか?

要件を満たす場合でも、原則として控除対象は「居住用部分」に対応する借入金等です。

居住用部分が家屋全体の「おおむね90%以上」の場合に全部を居住用として取り扱えるケースが示されています。[3][2]

個人事業主が住宅ローンを組む時の特徴と注意点を知っておこう

自宅でパソコン作業をする個人事業主の女性が、前向きな表情でガッツポーズしている

住居兼事業所で住宅ローンが適用できるかは、割合によって決まることが多いです。

そして、住宅ローン返済の元金は経費になりません。経費になり得るのは、

  • 事業割合分の利息
  • 固定資産税・光熱費・修繕費・減価償却費などの家事按分(区分できる範囲)

、うっかり経費にできないところまで経費にしてしまうと、誤った確定申告となってしまいます。

申告が必要なのにしていない場合は無申告加算税、申告後の誤り(経費の過大など)には過少申告加算税、納付が遅れた場合は延滞税が論点になり得ます。[4][5][6]

また、住宅ローン控除の適用にも条件があります。個人事業主が事業用スペースのある住宅を購入する際は、住宅ローンや住宅ローン控除の対象や条件をしっかりと知ることが重要です。

住宅購入と、適切な経費計上による節税を両立させていきましょう。

免責

2026年2月18日時点の一次情報を基にしています。令和8年(2026年)以降入居は制度改正の影響を受けるため、成立後の国税庁情報で最新要件をご確認ください。

本記事は一般的な情報提供を目的とするもので、個別の税務判断・申告の保証をするものではありません。名義・負担者・資金使途・使用実態・住宅区分等により取扱いが異なります。重要な判断は税理士等の専門家へご相談のうえ、申告時点の国税庁等の最新情報をご確認ください。

出典一覧

[1] 国税庁 No.2210「必要経費の知識(家事関連費は区分できる金額のみ)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm

[2] 国税庁 質疑応答事例「居住の用に供する部分の敷地の面積(おおむね90%以上の取扱い)」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/06/17.htm

[3] 国税庁 No.1211-1「令和4年以降居住の住宅借入金等特別控除(0.7%・控除限度額表)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm

[4] 国税庁 No.2024「確定申告を忘れたとき(無申告加算税)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm

[5] 国税庁 No.2026「確定申告を間違えたとき(過少申告加算税)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm

[6] 国税庁 No.9205「延滞税について」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/osirase/9205.htm

[7] 住宅金融支援機構「住宅ローンシミュレーション」
https://www.jhf.go.jp/simulation_loan/

[8] 国税庁 No.2100「減価償却のあらまし」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

[9] 国税庁 No.1379「修繕費とならないものの判定」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1379.htm

[10] 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表(No.2100関連PDF)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

[11] 財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要(令和7年12月26日 閣議決定)」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_gaiyou.pdf

[12] 国土交通省「住宅ローン減税等の延長・拡充が閣議決定されました!」
https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000241.html

[13] 【フラット35】物件検査・適合証明(新規)“併用住宅は住宅部分の床面積が非住宅部分以上”
https://www.flat35.com/business/standard/new/index.html

[14]国土交通省「報道発表資料」(PDF)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001975749.pdf

[15] 国土交通省「(別紙1)令和8年度住宅税制改正概要」(PDF) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001975750.pdf

[16] 国土交通省「(別紙2)住宅税制Q&A」(PDF)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001975751.pdf

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この記事を書いた人

編集部の資産形成担当。
20代後半ながら金融に関する相談実績多数で、投資信託から株式まで幅広い知識を持ち、今のあなたに必要なことを洗い出し、寄り添った提案を心掛けています。
たけのこ派&猫派です!

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