住宅ローン完済後の抵当権抹消|自分で進める手順と司法書士に頼む場合の判断基準を徹底解説

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本記事は一般的な情報提供であり、個別の案件に対する法的助言ではありません。手続や必要書類は物件・登記内容・金融機関の取扱いで異なるため、最終的には管轄法務局の案内をご確認ください。

ついに住宅ローンを完済したものの、銀行から届いた書類を見て、

抵当権抹消って自分でやるの!?

と驚いている人はいませんか?

あるいは、売却や借り換えの準備で「抹消が必要です」と言われ、何から始めるべきかと首を傾げている人もいるのでは。

結論から言うと、登記簿上の抵当権は、住宅ローンを完済しても自動では消えません。[1]

売却や借り換え、相続のタイミングで「抹消していないこと」に気づくと、手続きが間に合わず、予定どおりに進めづらくなる場合があります。

MIYABI

この記事では、法務省・法務局の案内や法令など一次情報を前提に、抵当権抹消登記の費用、必要書類、手続きの流れ、オンライン申請の注意点までを、初めてでも迷いにくい順番でお伝えします。

また、自分でできるケースと司法書士に任せた方が早いケースの見分け方も紹介します。

この記事でわかること
  • 住宅ローン完済後、抵当権抹消が必要な理由と、放置することのデメリット
  • 自分でやる場合の費用と必要書類、法務局への提出方法(窓口・郵送・オンライ
  • 自分で進めるべきか、司法書士に任せるべきかの判断基準

まずは次のリストをチェックして、住宅ローン完済後にどんな作業が必要になるのか、頭に入れておきましょう。

住宅ローン完済後にやることリスト

  1. 登記簿の住所・氏名が一致しているか確認する
  2. 抹消書類の有無を確認する
  3. 管轄法務局の確認
  4. 「自分で進める/司法書士に依頼する」のどちらで手続きをするか決める
  5. 申請方法(窓口・郵送・オンライン)を選択する
目次

住宅ローン完済後の抵当権抹消は早めに進めると安心

抵当権のイメージ画像

住宅ローンを契約したとき、物件には抵当権が設定されます。

そして、住宅ローンを完済しても、抵当権は自動では消えず自分自身で抵当権を抹消する手続きを行わなければなりません。

ですから、住宅ローンを完済したら、金融機関から届く抹消用書類が手元にあるうちに、必要書類を確認し、抵当権の抹消手続きを進めましょう。そうすれば、売却や借り換えを急に検討することになっても、スムーズに対応できます。

抵当権の抹消には手続きが必要

住宅ローンを完済すると、金融機関や保証会社から、抵当権抹消のための書類一式が郵送されたり、窓口で交付されたりします。[2]
※完済後しばらくしても手元に届かない場合は、取引店(または担当部署)に確認してください。[1][3]

これらの書類を使い、不動産の所在地を管轄する法務局に「抵当権抹消登記」を申請してはじめて、登記簿(登記事項証明書)から抵当権が外れます。

「いつまでに必要か」は期限より放置リスクで判断

抵当権抹消は、先送りにしてもすぐに生活へ影響が出る手続きではありません。一方で、売却や借り換え、相続などの予定が入った瞬間に「早急に必要な手続き」へ変わります。

住宅ローンの完済直後は必要書類の確認や問い合わせがしやすいタイミングなので、ここで動くと手続きを進めやすくなります。

法務局も、住宅ローン等を完済した場合は、できるだけ速やかに抹消登記を申請するよう案内しています。[1]

MIYABI

放置すると、書類の紛失、住所氏名変更、金融機関の統廃合などで確認事項が増え、手続きが滞りがちです。予定がまだ決まっていない場合でも、抹消用書類が手元にあるうちに進めると安心です。

「司法書士に相談・依頼/自分で進める」の判断チャート

まずは、抵当権抹消の手続きを「司法書士に相談・依頼する」か「自分で進める」かを考えましょう。

次のチェックリストを見ると、おおよその見極めができます。

司法書士に相談・依頼を検討したいケース ※1つでも当てはまれば

  • 住所変更や氏名変更がある(登記の記載と現状が一致しない)
  • 抹消書類の一部が見当たらない、または内容が読み取りにくい(登記識別情報通知書・登記済証に相当する書類、委任状など)
  • 土地の筆数が多い、共有名義、相続が絡むなど、確認事項が多い(例:複数筆の土地、相続人が関係する可能性がある)
  • 売却や借り換えなど、動かせない期限が決まっている
  • オンライン申請を使いたいが、電子証明書の準備や原本提出の段取りに不安がある[3]

自分で進めやすいケース ※上の項目に当てはまらない場合

  • 住所氏名に変更がない
  • 金融機関等から受け取った抹消書類がそろっている
  • 法務局へ行く、または郵送で手続きできる
  • 権利関係がシンプル(例:単独名義、相続・共有なし など)

判断に迷う場合は、まず司法書士に見積もりを依頼し、手続きに必要な費用と手間を比べてから「依頼する」か「自分で進める」かを決めても問題ありません。

抵当権抹消をしないと困ること

困った顔でスマホを見る人

抵当権抹消を後回しにすると、次のようなことで困る場合があります。

売却や借り換えの段取りが滞る

住宅の売却や借り換えでは、完済(決済)と同時に抵当権抹消まで進める段取りになる場合があります。ところが、抹消書類の準備に時間がかかると、決済日(引渡し日)に間に合わない可能性があります。

たとえば、執筆時点では三井住友銀行が「完済日と同日に抵当権抹消書類の受取が必要な場合は、取引店に3週間前(大型連休を挟む場合は4週間前)までに申込みが必要」と案内している例があります。[4]

また、三菱UFJ銀行では、郵送受取を指定した場合に、完済日の約10営業日後を目安に簡易書留で発送する旨が案内されています。[2]

いずれも取扱いや必要な日数は変更されることがあるため、実際の手続きにあたっては、必ず各金融機関の最新の公式情報をご確認ください。

必要になってから書類を集めようとしても、すぐ手元にそろうとは限りません。売却や借り換えのように期限が動かせない場面ほど、後回しの影響が出やすくなります。

相続や名義変更が絡むと確認事項が増える

抵当権抹消を後回しにしていると、相続や名義変更のタイミングで、抹消手続きも一緒に片づけることになります。

その結果、「抹消書類はどこに保管してあるか」「誰が申請を進めるか」「金融機関(または保証会社)にどこへ連絡するか」など、関係者間での確認や調整が増えがちです。

住宅ローン完済時点で手続きを終えておくと、あとで書類を探したり連絡先を調べ直したりする手間を減らせます。

書類の紛失・汚損で手続きが止まる

抵当権抹消は、必要書類がそろっていることが前提の手続きです。法務局も、必要書類を受け取ったら紛失・汚損しないようにし、できるだけ速やかに登記申請することを推奨しています。[1]

法務局資料では、紛失した権利証(登記済証・登記識別情報通知書)を再発行することはできません。[5]

時間が経つほど「どこに保管したか分からない」「引き継ぎが難しい」などのリスクが上がるため、書類が手元にあるうちに進めるのが安全です。

抵当権抹消登記の費用|目安と内訳

「費用」のイメージ

抵当権抹消登記の費用は、大きく「登録免許税」と「書類取得などの実費」に分かれます。司法書士に依頼する場合は、これに「報酬」が加わります。

表1:抵当権抹消登記の費用

区分自分で申請司法書士に依頼
登録免許税不動産1個につき1,000円同左
証明書など登記事項証明書600円など同左
司法書士報酬0円事務所により異なる

※金額の根拠:[6][7][8][9]

自分で進める場合、費用は実費が中心

自分で抵当権抹消登記を申請する場合、主な費用は次のとおりです。

  • 登録免許税(国に納める税金)
  • 登記事項証明書などの取得費用
  • 郵送する場合の送料(必要な人のみ)

登録免許税は「土地・建物の個数」で決まる

抹消登記の登録免許税は、

土地または建物1個につき1,000円

です(例:土地+建物なら合計2,000円になりやすい)。[6]
※不動産の個数が多い場合、税額が一律に増えるとは限らず、記載例では20個以上を一の申請情報で抹消する場合は20,000円となる旨も示されています。個数の数え方は登記事項証明書で確認してください。[6]

土地が複数筆に分かれている場合などは「個数」が増えることがあるため、申請前に対象不動産の数を確認しておくと安心です。[6]

登記事項証明書などの取得費用も要確認

申請準備や確認のために、登記事項証明書(謄本)を取り寄せる人も多いです。

手数料は請求方法で異なり、法務省の案内では、登記事項証明書は書面請求600円/オンライン請求・送付520円/オンライン請求・窓口交付490円などと示されています。[7]

いまの登記内容を確認するだけであれば、登記情報提供サービス(全部事項331円など)も選択肢になりますが、これは証明書(登記事項証明書)とは別物です。[8]

司法書士に依頼する場合は「実費+報酬」

司法書士に依頼する場合も、登録免許税や証明書手数料などの実費は基本的に必要です。加えて、登記申請の代行に対して報酬を支払います。

報酬額は事務所によって異なり、不動産の個数(筆数)や、住所・氏名変更の有無、書類の不足対応、急ぎ対応の要否などで増減することがあります。[9]

見積もりでは、「報酬」と「実費(登録免許税・証明書取得費・郵送費など)」が分かれているか、追加費用が発生する条件が何かを確認しておくと安心です。[9]

見積り時に確認したいこと

  • 報酬に含まれる作業範囲(申請書作成/提出/補正対応など)
  • 報酬の算定の考え方(不動産の個数(筆数)、住所・氏名変更、書類不足対応、急ぎ対応などで加算の有無)
  • 追加対応の有無と条件(共有・相続が絡む場合なども含めて)
  • 実費の内訳(登録免許税、登記事項証明書、郵送費、交通費等 ※発生する場合)

抵当権抹消登記の必要書類をチェック

抵当権抹消登記に必要な書類は、大きくわけて、「添付書類(主に金融機関から受け取る)」と「申請書(自分で作成する)」です。[10]

金融機関や保証会社から受け取る書類(添付書類)

住宅ローンを完済すると、抵当権者である金融機関などから、抹消登記に必要な書類がまとめて案内・交付されるのが一般的です。[10][11]

主な書類は次の3点です。[10][11]
※登記簿上の登記の目的が『抵当権』か『根抵当権』かで、申請書の記載(登記の目的・原因等)が変わることがあるため、登記事項証明書で名称・順位番号を確認してから作成すると補正リスクを下げられます。[17]

・登記原因証明情報(例:解除証書、弁済証書)
・委任状(抵当権者が、所有者側に登記申請を委任する趣旨の書類)
・登記識別情報(登記識別情報通知)または登記済証

※オンライン申請では、登記識別情報通知に記載された「12桁の英数字」の入力を求められます。[11]

自分で作成・用意するもの(申請書)

自分で抵当権抹消登記を申請する場合、登記申請書は事前に作成しておきましょう。[10]

また、申請書には抵当権者(金融機関等)の会社法人等番号を記載します。金融機関から届く書類で確認しておくとスムーズです。[10]

司法書士に依頼する場合に必要な書類

司法書士など代理人に申請を任せる場合は、代理権限証明情報(委任状)を用意します。[10]

このとき、委任状は2種類必要です。

金融機関(抵当権者)から渡される委任状(抵当権者→所有者)

とは別に、

司法書士へ依頼するための委任状(所有者→司法書士)

も準備します。[10]

オンライン申請は原本提出が必要(になる場合がある)

オンライン申請でも、書類がすべて電子データでそろうとは限りません。電子データにできない書類がある場合は、その書類を後日、法務局へ郵送または持参して提出する運用が案内されています。[11]

また、オンライン申請で「登記識別情報の暗号化に関する件」が委任状に含まれない場合、オンライン申請ができないケースがある旨も示されています。[11]

表2:必要書類チェックリスト

区分書類・情報主な入手先
添付書類登記原因証明情報(解除証書・弁済証書など)金融機関・保証会社[10][11]
添付書類委任状(抵当権者→所有者側)金融機関・保証会社[10][11]
添付書類登記識別情報通知/登記済証金融機関・保証会社[10][11]
申請書登記申請書自分で作成[10]
記載情報抵当権者の会社法人等番号金融機関の送付書類等[10]
代理申請代理権限証明情報(委任状)自分で作成(依頼時)[10]
オンライン注意書面添付の後日提出/暗号化委任の有無法務局案内[11]

抵当権抹消登記の手続きの流れ

抵当権抹消登記は、どの申請方法(窓口・郵送・オンライン)を選んでも、基本の流れは共通です。

大まかには「書類をそろえる申請書を作る登録免許税を納付する法務局へ提出する完了を受け取る」の順で進みます。[10][1]

窓口で申請する場合

  1. 必要書類をそろえる(金融機関から受け取る添付書類+申請書の準備)[10]
  2. 申請書を作成し、登録免許税を納付する[10]
  3. 不動産の所在地を管轄する法務局へ提出する[1]
  4. 不備があれば補正に対応する(法務局から連絡が入ることがあります)[10]
  5. 登記完了後、登記完了証や還付書類を受け取る[10]

郵送で申請する場合

郵送申請は「法務局へ行く時間を取りにくい人」に向いています。

提出先は窓口申請と同様に、管轄の法務局です。[1]

  1. 必要書類をそろえ、申請書を作成する[10]
  2. 申請書類一式を封筒に入れ、封筒の表面に「不動産登記申請書在中」と記載して送付する[12]
  3. 送付方法は書留郵便で送付する[12]
  4. 郵送での返却(登記完了証や原本還付書類など)を希望する場合は、返信用の手配(切手同封など)も忘れずに準備する[13]

オンラインで申請する場合

オンライン申請は「入力・送信はオンラインで行い、原本は別途提出する」運用になることがあります。[11]

また、登記識別情報通知に記載された12桁の英数字を入力する場面があります。[11]

  1. オンライン申請システムで申請情報を作成・送信する[11]
  2. 登録免許税の納付まで完了させる[11]
  3. 書面で受け取った添付書類(登記原因証明情報、委任状、登記済証など)は、申請先の法務局へ提出する(郵送または持参)[11]
  4. 不備があれば補正に対応する[11]
  5. 登記完了後、完了関係書類を受け取る[11]

オンライン申請で書面の添付書類を提出する場合、受付日から2日以内(初日、休日等を除く)に法務局へ到達が必要と案内されています。郵送の場合は到達日ベースで逆算してください。[11]

自分で進める手順をチェック

ここでは、迷いにくい順番で、抵当権抹消登記を自分で進める場合に「やること」を整理します。

申請方法(窓口・郵送・オンライン)の違いは、前章「抵当権抹消登記の手続きの流れ」で確認するとスムーズです。[10]

表3:自分で進めるチェックリスト(やること順)

やることポイント参照
1名義変更の有無・不動産の個数を確認土地の筆数で「個数」が増えることがあります[6]
2管轄法務局を確認所在地で管轄が決まります[14]
3金融機関の書類がそろっているか確認主要3点(原因証明・委任状・識別情報等)[10][11]
4申請書を作成会社法人等番号などを送付書類で確認[10]
5登録免許税を準備電子納付/収入印紙など[15][16]
6管轄法務局へ提出提出方法の違いはH2(⑤)で確認[1][14]
7完了書類の受領・抹消確認必要なら登記事項証明書で確認[10][7]

最初に確認すること

  1. 登記の名義(住所・氏名)に変更がないか確認す(変更がある場合は、手続きが増えることがあります)
  2. 抵当権が付いている不動産の個数を確認する(土地・建物・土地の筆数など)
  3. 不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)を確認する[14]

1. 金融機関からの書類がそろっているか確認する

金融機関や保証会社から交付される書類がそろっているかを確認します。[10][11]

主に確認したいのは次の3点です。[10][11]

  • 登記原因証明情報(解除証書・弁済証書など)
  • 委任状(抵当権者→所有者)
  • 登記識別情報通知/登記済証

住宅ローン完済からしばらくしても手元にない状況が続く場合は、取引店(または担当部署)に確認しましょう。[2]

2. 申請書を作成する

申請書は、法務局が公開している様式・記載例に沿って作成します。[10]
法務局のホームページで「抵当権抹消登記申請書」をダウンロードし、作成してください。

法務局の窓口では登記申請書の用紙を備え付けていないため、注意しましょう。

なお、登記申請書の各項目で書くべき内容は以下のとおりです。

スクロールできます
登記の目的「抵当権抹消登記」と記載
原因「○○年○月○日 弁済」と記載
権利者債務者(自分)の情報を記載
義務者金融機関名・金融機関の代表者名を記載
添付情報添付する書類の名前を記載
申請日の情報申請日を記載
申請人兼義務者代理人金融機関から発行された委任状に記載した申請人の情報を記載
登録免許税登録免許税として支払う金額を記載
不動産の表示抵当権設定契約証書の裏に書かれている内容を記載

記載する内容は、金融機関から受け取った書類(登記原因証明情報や委任状など)に書かれている事項を転記するのが基本です。[10]

特に、抵当権者の商号・住所や会社法人等番号、不動産の表示などは、誤記があると補正(修正対応)が必要になりやすいため、送付書類や登記内容を見ながら丁寧に確認して記入してください。[10]

不明点がある場合は、法務局に問い合わせてみるとよいでしょう。

3. 登録免許税を計算して納付準備をする

登録免許税は、

不動産1個につき1,000円

です。

[6] たとえば、土地1筆と建物1棟の2個なら2,000円になります。土地が複数筆ならその分増えます。

納付方法は申請方法で変わります。オンライン申請では、インターネットバンキングやATMなどの電子納付に対応する案内があります。[15]

書面で納付する場合は、収入印紙を貼り付けた納付用紙を作成して提出する運用が示されています。[16]

4. 法務局へ提出する

申請書と添付書類がそろったら、不動産の所在地を管轄する法務局へ提出します。[1][14]

提出方法(窓口・郵送・オンライン)の違いは、前章「抵当権抹消登記の手続きの流れ」で確認しましょう。

5. 完了後に確認する

登記完了後、登記完了証や還付書類を受け取ります。[10]

必要に応じて、登記事項証明書を取得して、抵当権が抹消されているか確認しておくと安心です(手数料は請求方法で異なります)。[7]

追加の手続きが発生するケース

抵当権抹消登記の手順自体はシンプルですが、状況によっては「抹消の前提として別の登記が必要になる」「追加書類が求められる」など、確認事項が増えることがあります。[17]

以下のケースに当てはまる場合は、先に該当箇所だけ確認してから進めると、やり直しや補正の手間を減らせます。

登記の住所・氏名が現状と一致しない

登記簿上の住所・氏名が、現在の住所・氏名と一致しない場合は、抵当権抹消の申請の前に、住所変更登記や氏名変更登記が別に必要になる旨が案内されています。[17]

ここでいう「住所・氏名」は、不動産の所有者として登記簿に記載されている情報のことです。転居や婚姻などで住所・氏名が変わっている可能性がある場合は、まず登記事項証明書で、登記簿上の住所・氏名が現在の情報と一致しているかを確認してから進めましょう。
注:住所等変更登記については、制度改正により、住所や氏名・名称の変更日から一定期間内(原則2年以内)に申請する義務や、正当な理由なく義務に違反した場合の過料に関する規定が設けられています。施行日や経過措置、具体的な期限は変更される可能性もあるため、必ず法務省の最新案内でご確認ください。[18]

共有名義は全員分の申請が前提

不動産の所有者(抵当権設定者)が夫婦共有などで複数いる場合、申請書の「権利者」にはその全員の表示が前提になる旨が、法務局の記載例で示されています。[17]

共有者のうち一部が手続きに関われない状況(遠方・多忙など)の場合は、必要な段取りが増えることがあるため、早めに確認しておくと安心です。

書類がそろわない場合の対処

金融機関や保証会社から受け取った抹消用書類の一部が見当たらない場合は、まず取引店(または担当部署)に確認しましょう(再交付や代替対応は書類の種類で扱いが異なるため)。

また、登記識別情報を提供できない場合の代替措置として、登記所からの「事前通知」による本人確認(2週間以内の申出が必要)や、司法書士等が作成する「本人確認情報」を提供する方法などが案内されています。[19]

売却・借り換えで期限がある場合は、こうした確認に時間がかかる可能性も見込んでおくと安全です。[19]

金融機関の統廃合で名称・所在地が一致しない

金融機関などから受け取った解除証書・弁済証書・委任状に記載された金融機関の名称や所在地が、登記簿上の抵当権者の表示と一致しない場合は、追加の書類が必要になることがあります。[17]

たとえば、統廃合や本店移転など「変更の経緯」が分かる書類(商業登記簿の証明書等)の提出が求められる場合がある旨が示されています。[17]

統廃合や移転が関係しそうなときは、申請前に金融機関側へ連絡し、追加で用意すべき書類がないか確認しておくと、手続きが止まりにくくなります。[17]

相続が絡む場合は相続登記も視野に入れる

所有者が亡くなっている、遺産分割が未了、相続人が複数いるなど「相続が絡む」ケースは、抵当権抹消だけで完結しない場合があります。実務上は個別事情で必要な手続きが分かれるため、早い段階で管轄法務局や専門家へ相談するのが安全です。

なお、相続(遺言を含む)により不動産の所有権を取得した相続人には、原則として、相続の開始と不動産取得を知った日から一定期間内(原則3年以内)に相続登記を申請する義務があり、正当な理由なく怠った場合は過料の対象となる旨が法務省から案内されています。[20]
※詳しい起算点や経過措置は、必ず法務省の最新案内をご確認ください。

法務局では、申請書作成に必要な情報提供等の「登記手続案内」を予約制で行っている旨も案内されています。[21] ただし、法務局では申請書の代筆や添付書類の記載事項の補充などには対応できない旨も案内されています。[21] 

抵当権抹消登記のよくある質問

「Q&A」のイメージ

抵当権抹消はいつまでにやればいい?

抵当権抹消は、売却や借り換えなどの予定が入ったときに一気に優先度が上がる手続きです。法務局も、抹消に必要な書類を受け取ったら紛失・汚損しないようにし、できるだけ速やかに申請することをおすすめしています。[1]

期限よりも「書類が手元にあるうちに進められるか」を基準に考えると、段取りが崩れにくくなります。[1]

抵当権抹消登記の手続きはどれくらい時間がかかる?

抵当権抹消登記の手続きにかかる時間は、

  1. 書類準備と申請書作成
  2. 法務局での処理
  3. 不備があった場合の補正対応

で変わります。[10]

急ぎの予定(売却・借り換えなど)がある場合は、金融機関側の書類手配に日数がかかることもあるため、早めに確認して進めると安心です。[2][4]

住宅ローン完済後、抹消書類が届かないときはどうする?

完済後しばらくしても抹消書類が手元にない場合は、取引店(または担当部署)に確認しましょう。[2]

郵送ではなく窓口交付のケースもあるため、まずは「受け取り方法」と「いつ頃交付されるか」を確認してから動くと迷いにくくなります。[2]

登記識別情報通知や権利証を紛失したらどうなる?

権利証(登記済証)や登記識別情報通知は、再発行することはできません。[5]

登記識別情報を提供できない場合でも、事前通知や本人確認情報などの代替手続が案内されていますが、手続きに時間を要することがあります。[19]

売却・借り換えなどで期限がある場合は、紛失に気づいた時点で早めに管轄の登記所(法務局)や司法書士へ相談し、必要な対応を確認しましょう。[19]

住所や氏名が変わっているときはどう進める?

登記簿上の住所・氏名が現状と一致しない場合は、抵当権抹消の前提として住所変更登記や氏名変更登記が別に必要になる旨が案内されています。[17]

また、住所等変更登記は申請義務化の案内もあるため、該当する場合は法務省の最新案内もあわせて確認して進めると安心です。[18]

抵当権抹消が完了したか、確認する方法は?

抹消できているかの確認は、登記事項証明書で行うと確実です(手数料は請求方法で異なります)。[7]

登記情報提供サービスは便利ですが、登記事項証明書とは別の位置づけなので、提出先から「証明書」が求められている場合は取り違えに注意しましょう。[8]

オンライン申請でつまずきやすいのはどこ?

オンライン申請は、事前準備(例:マイナンバーカードの電子証明書、ICカードリーダライタ、申請用ソフトの準備など)が必要です。[11]

また、添付書類を電子文書で用意できない場合、書面で作成された添付書類を後日、法務局へ郵送または持参して手続きを進められる旨が案内されています。[11]

委任状の記載内容によってオンライン申請ができないケースがある旨も示されているため、手元の委任状の記載を確認してから進めると安心です。[11]

迷ったときはどこに相談すればいい?

手続きに不安がある場合は、法務局の登記手続案内(予約制)を利用する選択肢があります。[10]

また、専門家に相談したい場合は司法書士や弁護士への相談が案内されています。[10]

自分で進める/司法書士に依頼する」の最終判断

抵当権抹消登記は自分で進めることもできます。ただ、状況によっては「自分でやるより、司法書士に頼んだ方が早い・安心」というケースもあります。

ここでは、自分で進めるか司法書士に依頼するかを決めるポイント、依頼する場合の進め方を整理します。[9][17][19]

自分で進めやすいのはどんなとき?

次に当てはまる場合は、自分で進めやすい傾向があります。

  • 登記簿上の住所・氏名が、今の住所・氏名と一致している[17]
  • 金融機関から受け取る抹消書類(原因証明・委任状・識別情報等)がそろっている[10][11]
  • 売却や借り換えなどの期限が迫っていない
  • 法務局とのやり取り(窓口/郵送/オンライン)を自分で進められる[10]

司法書士に依頼した方がいいのはどんなとき?

次のいずれかに当てはまる場合は、まず司法書士に相談して見積もりをもらうと、依頼するか自分で進めるかを判断しやすくなります。

  • 登記簿上の住所・氏名が、今の住所・氏名と一致しない(抹消の前に別の登記が必要になる場合がある)[17]
  • 登記識別情報通知/権利証などが手元にない(代わりの手続きが必要になることがある)[19]
  • 共有名義、相続が絡む、土地の筆数が多いなどで確認事項が多い[17]
  • 売却や借り換えなど、動かせない期限がある(金融機関の書類手配に日数がかかることがある)[4][2]
  • オンライン申請を考えているが、事前準備や原本提出の段取りに不安がある[11]

見積もりで確認したいのはどこ?

司法書士報酬は司法書士によって異なるため、依頼先で確認できます。[9]

見積もりを取るときは、次の3点をセットで確認すると比較しやすいです。

見積もり時のチェック項目

  • 報酬に含まれる作業範囲(申請書作成/提出/補正対応など)
  • 追加費用が発生する条件(住所・氏名変更、書類不足対応、共有・相続が絡む場合、急ぎ対応など)
  • 実費の内訳(登録免許税、登記事項証明書、郵送費、交通費等(発生する場合))[9]

司法書士に依頼する場合の流れは?

依頼の流れは事務所によって異なりますが、一般的には次のように進みます。

  • 状況の確認(住所氏名の変更、書類の有無、期限の有無など)
  • 必要書類の確認(金融機関からの抹消書類、本人確認書類など)[10]
  • 見積もりの提示(報酬と実費、追加費用が発生する条件の説明)[9]
  • 委任状などの手配(所有者→司法書士の委任状など)[10]
  • 申請〜補正対応〜完了書類の受領[10]

期限があるときに司法書士へ依頼するなら何を優先する?

売却や借り換えなどで期限が動かせない場合は、まず「金融機関の抹消書類がいつ手元にそろうか」を確認するのが先です。完済日と同日の受け取りに事前申込みが必要なケースや、郵送受取に日数がかかるケースが案内されています。[4][2]

そのうえで、司法書士に相談するときは、次の情報をまとめて伝えると話が早くなります。

  • 期限(決済日、いつまでに抹消が必要か)
  • 不動産の数(土地・建物、土地の筆数など)
  • 登記簿上の住所・氏名が現状と一致しているか(不一致なら追加の登記が必要になる場合があります)[17]
  • 抹消書類がそろっているか、紛失がないか(識別情報がない場合は代替手続の検討が必要になることがあります)[19]
  • 共有名義や相続など、関係者が増える事情があるか[17]

期限がある状況で、住所氏名の不一致や書類不足が見つかった場合は、早い段階で依頼を含めて相談した方が、全体の遅れを抑えやすくなります。[17][19]

住宅ローン完済前に売却したい場合は「任意売却」を検討

これまで解説してきた抵当権を抹消する方法は、住宅ローンを完済した人が行うケースを想定しています。しかし、現在住宅ローンを返済中の方でも、抵当権を抹消できます

住宅ローンを完済する前に保有している物件を売却したい場合は、任意売却という方法を検討しましょう。

もし物件の売却代金が住宅ローンの残債を下回っている場合、不足分を手元の資金で補填しなければなりません。

手元資金が不十分で完済できない場合は、抵当権を抹消できないため、原則として不動産の売却ができません。

ただし、任意売却においては、金融機関の了承が得られれば、抵当権を解除したうえで売却が可能です。

債権者である金融機関に相談したうえで、売却する不動産を不動産会社に査定してもらい、売却するのが具体的な流れです。

任意売却は、早く不動産を売却したい事情を抱えているときや、経済的に住宅ローンの返済が厳しい状況に陥っているときに検討する余地があります。

MIYABI

ただし、金融機関が売却を急ぎたい事情があることから、一般的な市場取引よりも売却価額が低くなってしまう可能性がある点には注意が必要です。

まとめ:抵当権抹消登記は完済後に申請して終える

住宅ローンを完済しても、抵当権は自動では消えません。抵当権を登記簿から外すには、法務局に抵当権抹消登記を申請する必要があります。[1]

完済後に金融機関などから届く抹消書類が手元にあるうちに動くと、書類の紛失や確認の手間を増やしにくく、売却や借り換えの予定が入っても予定が崩れにくくなります。[1][10]

自分で申請する場合は、登録免許税と証明書取得費などの実費が中心です(登録免許税は不動産1個につき1,000円が基本です)。[6]

一方、住所・氏名が登記と一致しない、書類がそろわない、共有名義や相続が絡むなどのケースは、追加の手続きが必要になったり、代替手続の検討が必要になったりすることがあります。迷う場合は、司法書士に相談して見積もりをもらい、依頼するか自分で進めるかを決めるとスムーズです。[17][19][9]

最後に、完了したか不安な場合は、登記事項証明書で抵当権が抹消されているか確認すると確実です。[7]

最短でやることチェックリスト(印刷・スクショ推奨)

  • 登記簿の住所・氏名が現状と一致しているか確認する(不一致なら追加対応の可能性)[17]
  • 金融機関などの抹消書類がそろっているか確認する(原因証明・委任状・識別情報等)[10][11]
  • 不動産の所在地を管轄する法務局を確認する[14]
  • 自分で申請するか、司法書士に相談・見積もりを取るか決める[9]
  • 提出方法(窓口・郵送・オンライン)を選び、申請に進む[10][11][12]

免責

本記事は、抵当権抹消登記等に関する一般的な情報提供を目的としており、個別の案件に対する法的助言や登記申請の代理を行うものではありません。手続きの要否や必要書類、進め方は、不動産の状況(共有名義、相続、住所・氏名変更、書類の不足など)や金融機関の取り扱いによって異なります。実際の手続きにあたっては、管轄の法務局の案内をご確認いただくか、司法書士・弁護士などの有資格の専門家へご相談ください。

なお、制度・税額・手数料・各機関の取り扱いは変更されることがあります。本記事は2026年1月7日時点の公的情報をもとに作成していますが、実際の手続きにあたっては、必ず最新の公的情報および管轄の法務局・専門家の案内をご確認ください。

出典一覧(本文注釈番号順)

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この記事を書いた人

住宅ローンアドバイザー&不動産投資家として25年以上の経験を持つ、不動産領域の頼れるナイスミドルのライター。
FP1級や宅建、住宅ローンアドバイザー資格を活かし、無理なく返せるローンの選び方から不動産の最新市況までを分かりやすく解説。
自身は持ち家と賃貸物件を1つずつ保有しており、長く安心して返済できる知識を発信している。

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