カブアンドの「株式併合」、ホントのところの狙いはどこにあるのかを解説

12月22日、持っている株が10分の1に。
前澤友作さんが社長を務めるカブアンド(株式会社カブ&ピース)が、2026年10月29日にこう知らせました。
すると、SNSなどで「株数が10分の1になるなら、価値も10分の1になるの?」という声が挙がりましたが、「どういうこと?」が分かりにくいですよね。
前澤さんが翌日にあらためて説明の記事を出すほどの話題になった、この「株式併合」。
株主は2026年6月の時点で約101万人いるので、気になっている人も多いはずですが、結局株主は損をするのか、しないのかが知りたいですよね。
ホントのところを、見ていきましょう。

そもそも「株式併合」って何?
株式併合は、何株かをまとめて1株にする手続きで、カブアンドの場合は10株を1株にまとめます。
たとえば、50株を持っている人は、12月22日から5株になります。
前澤さんは「千円札10枚を、1万円札1枚に両替するイメージ」と説明していて、財布の中の合計は変わらないというわけです。
また、まとめられるのは株主の株だけではなく、前澤さんが持つ普通株式(株主総会で投票できる株)も含めて、会社が出しているすべての株が、同じく10株で1株になります。
ちなみに、株式併合に関する手続きは会社が行うので、株主が申し込みなどをする必要はありません。
そもそも、前澤さんの株だけ得する仕組みなの?
ここで気になるのが、「前澤さんの株だけ得をする、なんてことはないの?」という点です。
会社の決まり(定款)でも、普通株式とカブアンドの株(種類株式という種類の株)は「同時に同一割合」でまとめると決まっていて、前澤さんの株だけが有利になることはありません。
少数株主や株主でなくなる人が出て有利になるのでは?
では、端数の精算などで株主でなくなる人が出ると、会社の決め方は変わるのでしょうか?
実は、カブアンドの株(種類株式)には、株主総会で投票する権利(議決権)がもともとありません。
これは、上場の準備などの大事な仕事を進めやすくするためだと、会社の書類に書かれています。
実は、カブアンドの株自体、株主総会で投票できる「普通株式」を持つのは前澤さん本人と、前澤さんが100%出資する会社2社だけです(2026年10月29日時点)
そのため、今回の株式併合によって株主の数が減っても、会社の決め方は変わらないということです。
上場することで、「種類株式」を「普通株式」に変えてくれないの?
後述のとおり、株式併合の目的のひとつは、上場したときの対策と思われますが、上場の申請が決まれば、会社は種類株式を投票できる普通株式に替えることもできるようになります。
替える場合は、会社が決める日に種類株式を持っている人が、普通株式を受け取るのですが、会社が必ず替えなければいけない決まりではありません。
目論見書のリスクの欄にも、上場できる保証はなく普通株式に替えられる保証もない、としっかり書かれています。
なんで、わざわざ「株式併合」によってまとめるの?
では、なぜ株式併合をするのかというと、これはカブアンドが上場(証券取引所で、誰でも株を売り買いできるようになること)を見据えて、1円の値動きで株価が大きく上下しないようにするためです。
1円の上下で株の変動する割合を抑えたい
たとえば株価が8円なら、9円に1円上がるだけで12.5%も動いたことになります。
たった1円と思われがちですが、まさにチリツモで、これが何万、何百万株と持っていると、その人(たち)の資産が大きく変動することに繋がります。
これが10株を1株にまとめた80円の株なら、同じ1円の動きは1.25%で済むので、売り買いしやすくなるという考え方です。
※8円・80円は、しくみを説明するための例です。上場したあとの株価は、市場で決まります。
8円の株が、いちばん小さくても1円ずつ動くのは、株の値段に刻みがあるからです。
東証(東京証券取引所)では、TOPIX500(大きな会社500社でつくる株価の指数)に入る株を除くと、1,000円以下の株の値段は1円刻みで動きます。
そのため、8円の株は、いちばん小さな動きでも12.5%の変動になってしまうのです。
※東証は2027年3月1日から、この値段の刻みを、株ごとの売り買いの活発さで決める方式に変えます。そのため、上場したときの刻みは、今の決まりと同じとはかぎりません。
なお、カブアンドは2027年春ごろを、最短の上場時期の目安にしています。
ただし、これはあくまで目安なので、上場できるかどうかや時期は取引所の承認などしだいで、まだ決まっていません。
株式併合によって「10株に届かない分」はどうなるの?

カブアンドに限らず、「株主やっている(やってみたい)」という方が最も気になるのは、
株式併合の場合、端数はどうなるの?
という点ではないでしょうか。
今回のカブアンドの株式併合の場合、10株単位で割り切れない分は「端数(1株に満たない半端な株)」になり、お金で精算されます。
たとえば15株なら1.5株になるので、1株はそのまま持ち続け、残りの0.5株分がお金で支払われます。
そして9株以下の人は、まとめると1株に届かないため全部がお金での精算になり、カブアンドの株は手元に残りません。
端数は、法律の手続きを経て、裁判所の許可を得た値段で会社が買い取る予定です。
ただし、具体的な値段やいつ支払われるかは、11月3日の時点ではまだ決まっていません。
あくまで目安として、11月に始まる第4期の株引換の値段(1株8円)で計算してみます。
15株の人の0.5株分(まとめる前の5株分)は40円、9株の人は72円です。
つまり、この値段なら、端数として受け取るお金は多くても72円ということです。
会社が買い取った端数の株は、会社自身が持つ株(自己株式)になって、自己株式をあとで消したり、あらためて売り出したりできます。
一方で、会社は精算のためのお金を出すことになりますし、買い取った株をこの先どうするかは、現時点では発表されていません。
※カブアンドの株(カブアンド種類株式)は、株主総会で投票する権利(議決権)がない株です。こうした株を持つ人は、法律上、端数になる分を「公正な価格」で買い取るよう会社に求めることもできます。その期間は12月22日の20日前から前日まで(12月2日〜21日)です。
じゃあ、株主は何をすればいいの?
株式併合そのものについては、株主がやることはありません。
ただし、同じお知らせには、併合より先に期限が来る手続きが2つありました。
1つ目は、証券口座の開設とID連携です。
第1〜3期に株を受け取った人は、12月10日23時59分までに会社が指定する証券会社で口座を開き、カブアンドのIDと連携する必要があります。
間に合わないと12月16日に、持っている株を全部、払い込んだときと同じ値段で会社が買い取る予定です(会社の事業や業績によっては、取りやめる場合もあります)。
口座の手続きが求められているのは、上場したあと、株を証券口座で管理する必要があるからです。
2つ目は第4期の株引換で、期間は11月6日〜26日、値段は1株8円です。
今回は割り当てたあとの持ち株がちょうど10の倍数になるように株数を調整するので、第4期で株が割り当てられれば、併合しても端数は出ません。
そのぶん使われなかった株引換券(多くて79枚分)は返され、次の募集や割引券に使えます。
※第4期で申し込んだ人は、12月6日23時59分までに口座の開設とID連携を済ませないと、株が割り当てられません。
併合のあとに株主でなくなるのは、9株以下の人と、12月16日に株を買い取られる予定の人(12月10日までに口座をつながなかった第1〜3期の株主)です。
つまり、12月22日のあとも株主でいられるのは、併合の前に10株以上を持っていて証券口座もつないだ人です(12月16日の買い取りが予定どおり行われた場合)。
また、今の時点で分かっていないのは、次の3つです。
- 端数を買い取る値段と、支払いの時期
- 株主でなくなる人が、何人になるか
- 上場できるかどうかと、その時期(2027年春ごろは最短の目安)
端数が出る人は、値段が発表されたら、受け取る金額を確かめておくと安心です。
【今回のまとめ】結局、損するの?
今回のニュースの答えから言うと、株式併合そのもので、持っている株の値打ちが減るわけではありません。
ただし、気をつけたいのは、次の3つです。
- 10で割り切れない分と9株以下は、お金で精算(値段はこれから決まる)
- 第1〜3期の株主は、12月10日までに証券口座の開設とID連携
- 第4期の株引換は11月26日まで、割り当てられると持ち株は10の倍数に
「なんとなく減らされた」というイメージに踊らされないことも重要な一方、実際に10株未満の人は株主ではなくなる人も出る。
そもそも、私たちがカブアンドの株を持っても株主総会での投票権などは与えられていませんが、それが上場を果たした後にどうなるかは未定、といったところが現状です。
※この記事は情報提供を目的としたもので、特定の株の売り買いをすすめるものではありません。内容は2026年11月3日時点のものです。

引用・参考出典
引用・参考出典は、次のとおりです。
- 株式会社カブ&ピース「【重要】上場に向けた大切なお願いと、決算説明動画の公開について」(2026年10月29日)「https://kabuand.com/mz/articles/astvmrb0c68r7xzz06gqrdz0m4」確認日:2026年11月3日
- 株式会社カブ&ピース「株式併合そのもので、損をするわけではありません」(2026年10月30日)「https://kabuand.com/mz/articles/qd0xhahg36xh2bmj06grrfqhnr」確認日:2026年11月3日
- カブアンドFAQ「カブアンドの株式併合について」「https://faq.kabuand.com/faq/show/7802?site_domain=kabuand」確認日:2026年11月3日
- カブアンドFAQ「証券口座開設とID連携が期日までに完了していない場合」「https://faq.kabuand.com/faq/show/7801?site_domain=kabuand」確認日:2026年11月3日
- 株式会社カブ&ピース「新株式発行届出目論見書(カブアンド種類株式第4期募集)」「https://kabuand.com/documents/prospectus4.pdf」確認日:2026年11月3日
- 株式会社カブ&ピース「新株式発行届出目論見書(カブアンド種類株式第5期募集)」「https://kabuand.com/documents/prospectus5.pdf」確認日:2026年11月3日
- e-Gov法令検索「会社法」(第113条、第155条、第172条、第178条、第180条〜第182条の5、第199条、第234条、第235条)「https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086」確認日:2026年11月3日
- 株式会社日本取引所グループ「呼値の単位」「https://www.jpx.co.jp/equities/trading/domestic/07.html」確認日:2026年11月3日