【2025年6月13日】の経済・時事ニュースまとめ

6月13日は、イスラエルによるイラン空爆の報道が世界市場に緊張を走らせ、原油高と安全資産への資金移動が同時に進みました。
国内ではJERAが米LNG調達を大幅に拡大し、テスラが仮想発電所事業を全国展開すると伝わるなど、エネルギーを巡る動きが目立ちます。
主要株価指数・為替レート(6月13日 午前10時時点)
指標名 | 値 | 前日比 |
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日経平均株価 | 37,780.11円 | −392.98 (1.03%)円 |
NYダウ | 42,967.62ドル | +101.85 (0.24%)ドル |
S&P500 | 6,045.26ポイント | +23.02 (0.38%)ポイント |
ドル/円 | 143.12円 | −0.78円 |
株価の下落と為替の円高
日経平均株価は中東リスクが意識され1%超の下落。37,780.11円で推移しています。
前日までの戻りで、利益確定売りが出やすかったことも下押し要因となっています。
安全資産買いでドルと円が同時高
イスラエルの攻撃報道後、ドル指数は0.4%高となる一方、ドル/円は143円付近まで下落(円高方向へ推移)しました。
円とスイスフランが買われる典型的なリスクオフ相場が確認されます。
国内ニュース
JERAが米LNGを最大5.5百万トン/年で長期調達
JERAは米国4案件と20年契約を結び、米LNG比率を現行の約10%から30%へ引き上げます。
データセンター電力需要の急増を見据え、豪州依存を減らしエネルギー安定調達を図る戦略です。
このニュースの背景・意味
- JERA(ジェラ)は日本最大級の電力会社(東京電力と中部電力の合弁)で、日本の発電燃料を安定して確保する役割を担っています。
- 今回、アメリカの液化天然ガス(LNG)を年間最大550万トン、20年間にわたり長期契約で調達することを決めました。
- これにより、JERAが使うLNGのうち、アメリカ産が約10%→30%まで増えます。
なぜ今、アメリカのLNGなの?
- 背景①:電力需要の急増
- AIやクラウドなどのデータセンターが急激に増えており、日本でも「電力不足」が懸念されています。
- 背景②:オーストラリア依存のリスク
- これまではLNGの多くをオーストラリアから買っていましたが、「地政学リスク」や「値上げ」など将来的な不安要素があります。
- リスク分散のため、調達先を増やしたいのが本音です。
- 背景③:トランプ政権との関係値
- 取り組み自体はバイデン政権時代から行われていたが、トランプ現政権と関税協議を続ける日本政府にとっては対米貿易黒字削減のアピールになりえます。
誰に影響する?どんな人・業界が関係する?
- 電力料金や電力の安定供給に直結
- 家庭・企業問わず、「電気をたくさん使う人」や「電気料金の動向が気になる人」には重要なニュース。
- データセンターやIT業界
- 今後も大容量の電力が必要になるため、電力安定確保は企業経営に直結。
- 日本全体の産業・経済
- エネルギー調達コストが抑えられ、価格高騰リスクも減るため、経済全体への影響も大。
テスラ、仮想発電所事業を全国展開へ
テスラは企業に無償で蓄電池を提供し、遠隔制御で需給を調整するVPP(仮想発電所)を全国に拡大すると報じられました。
再エネ比率向上と電力コスト抑制の両立を狙い、Fuyoリースなどと連携します。
どういう意図・狙い?
- 再エネ比率の向上支援
- 太陽光など再エネの不安定な供給を、蓄電池で平準化し、グリッドの安定化につなげます。
- 電力コストの削減
- 需給ピークに合わせて放電・充電制御することで、企業の電力料金を抑制できます。
- テスラのエネルギー領域拡大
- EVだけでなく、エネルギー貯蔵から需給制御サービスまでビジネスを拡張。
誰にどう影響する?
- 企業ユーザー
- 蓄電池をタダでもらって制御される代わりに、ピーク電力の制御によって電気代が安くなるメリット。
- 電力会社/地域の電力インフラ
- ピークの負荷を分散させることで、系統全体の安定化に貢献。
- 再エネ推進・政策関係者
- VPPは「脱炭素」「再エネ大量導入」の鍵。政策目標への寄与も期待されます。
- テスラ
- 日本市場でEV+家庭用蓄電池「Powerwall」以外にも、法人向けエネルギーサービス領域で存在感を強化。
なぜ“今”このタイミング?
- 脱炭素・再エネ推進の潮流:2040〜2050年カーボンニュートラル目標実現に向け、電力需給のスマート化が急務。
- 企業需要家の関心増:電気代高騰リスク・BCP対策で、蓄電池+スマート制御へのニーズ増。
- 政策追い風:環境政策・補助金制度の整備も進み、VPP事業が政府支援の対象になりやすい構造。
海外ニュース
イスラエルがイランを空爆し市場は急変
イスラエルはイラン核施設を先制攻撃したと伝えられ、S&P500先物は最大1.5%下落、ブレント原油は6%急騰しました。
米当局は作戦に関与していないと強調しています。
EU、バーゼルⅢ取引勘定規則を2027年に延期
欧州委員会はFRTBの施行を1年遅らせ2027年1月とすると正式決定し、「米英の遅れに歩調を合わせ競争条件を維持する」と説明しました。
邦銀も欧州子会社経由で影響を受けるため、規制空白期間のリスクテイク加速が懸念されます。
そもそも「バーゼルⅢ」って何?
- 世界の銀行が安全・健全に経営するための“ルール”のこと(バーゼル銀行監督委員会が決める)。
- 主に「自己資本比率」(銀行の“体力”の指標)などの厳格なルールを定めている。
- 2008年リーマンショック後、「銀行のリスク管理が甘かった!」という反省から、世界で足並みを揃えて規制が強化された。
FRTB(Fundamental Review of the Trading Book)=「取引勘定規則」とは?
- 銀行が保有するトレーディング目的の資産(株、債券、デリバティブ等)について、「どれだけリスクを取っているか」を厳密に計測・資本積み増しする新しいルール。
- いままでより「リスクの計算方法」が格段に厳しく・細かくなる。
- 万が一、市場で大きな損失が出ても「銀行が潰れにくい」ように、“多めに資本(自己資本)を持っておけ”という主旨。
今回のニュース、なぜ延期?
- EUは「アメリカやイギリスも同様に施行を遅らせるので、足並みを揃えて延期する」と発表。
- 目的は銀行の国際的な競争条件をフェアにするため(早く厳しいルールを適用するとEU勢が不利になる)。
誰がどう影響を受ける?
- 大手銀行(特にグローバルに展開する銀行)が対象。
- 日本のメガバンクも、欧州現地法人を通じてこのルールの影響を受ける(資本コストや業務負担が増える)。
- 施行までの空白期間は「規制が緩い分、リスクを多く取って利益を出そうとする動き」が加速する懸念も。
私たちの生活に起こること
原油高が長期化すればガソリン・電気料金が上昇し家計を圧迫します。
省エネ家電への買い替えやポイント還元を活用し、光熱費の増加を抑える工夫が有効です。
社会保険の適用拡大やエネルギーコスト上昇で可処分所得が変動する可能性があるため、家計簿アプリで支出を把握し、NISAやiDeCoの積立額の調整も視野に入れましょう。



為替が円高方向に振れた局面は、為替ヘッジ無しの米国株ETFを割安に買い増す好機です。
ただし中東情勢の急変で再び円安へ戻るリスクもあるため、ヘッジ付き商品と組み合わせてリスクを平準化すると安心です。