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iDeCoの10年ルールはいつから?退職金との受取順序・税金・対策を解説

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この記事で分かること

  • iDeCoの「10年ルール」がいつから、どの受け取る順番に当てはまるか
  • 「前年以前9年内」「前年以前19年内」の数え方と、控除が減る場合・減らない場合
  • 退職金2,000万円・iDeCo一時金500万円の計算例と、受け取り方を決める前にそろえる資料

iDeCoを一時金で受け取るつもりの人から、

iDeCoの受け取り時の控除が「5年ルール」から「10年ルール」になって、退職金の税金が増えるのでは?

という不安の声をよく聞きます。

いわゆる「10年ルール」は、2026年1月1日以後に受け取るiDeCoなどの一時金から、すでに適用されています。

ただし対象は、iDeCoの一時金を先に、会社の退職金を後に受け取る順番で、逆の順番には以前から別のルールがあります。

しかも受け取る年どうしが近くても、退職金の税金を軽くする「退職所得控除」がどれだけ減るかは、働いた期間と加入期間の重なり方で変わるため、全員の税金が増えるわけではありません。

そこで今回は、受け取る順番ごとに確認する期間、控除の計算手順、退職金2,000万円・iDeCo一時金500万円の計算例、受け取り方を決める前にそろえる資料を、私「ねくこ」が順にお伝えします。

ねくこ

「10年」という言葉だけで受取時期を決めず、まずは自分がどちらを先に受け取る予定なのかを確かめましょう。

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目次

結論|iDeCoの10年ルールは受け取る順番で確認する期間が変わる

iDeCoの一時金と会社の退職金を別々の年に受け取るとき、確認する期間は「どちらを先に受け取るか」と「iDeCoの一時金をいつ受け取ったか」で決まります。

ここでの「iDeCo等の一時金」は、iDeCoと企業型DC(会社で加入する確定拠出年金)から一時金で受け取る老齢給付金を指します。

通称の「5年」「10年」「20年」は、法律上の「前年以前4年内」「9年内」「19年内」(後に受け取る年の前の年から数えて4年分・9年分・19年分の年)にあたり、受け取る順番と次のように対応します。

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先に受け取るもの後に受け取るもの確認する期間(法律上)通称注意点
iDeCo等の一時金(2026年以後)会社の退職金など前年以前9年内10年ルール2026年の改正で4年内から延びた
iDeCo等の一時金(2025年以前)会社の退職金など前年以前4年内5年ルール9年内には広がらない
会社の退職金などiDeCo等の一時金前年以前19年内20年ルール今回の改正の対象外
同じ年に両方(同じ年)年で区切らず、収入を合計して計算なし別の年に受け取る場合と計算が違う
受け取る順番と確認する期間(2026年10月16日時点)

この表のうち、2026年の改正で変わったのは1行目だけです。

たとえば2025年以前にiDeCoの一時金を受け取った人なら、その後の退職金で確認する期間は「前年以前4年内」のままです。

また、期間内に入っても控除がなくなるわけではなく、2つの期間が重なる年数の分だけ、後に受け取るほうの控除が減る仕組みです。

ねくこ

自分がどの行に当てはまるかが分かれば、確かめる年数と、そろえる資料が決まります。

何が変わった?2026年1月1日以後のiDeCo一時金から「前年以前9年内」に

2026年1月1日以後に受け取ったiDeCo等の一時金の後に退職金を受け取る場合、退職金の控除を調整する期間が「前年以前4年内」から「前年以前9年内」に延びました。

ここでいう調整とは、2つの給付で計算の基礎になった期間が重なっているとき、重なった年数の分だけ退職金の退職所得控除を減らすことです。

改正前は、iDeCo等の一時金を受け取った年から5年後以降の年に退職金を受け取れば、この調整はかかりませんでした。

ねくこ

改正後に調整がかからないのは、一時金を受け取った年から10年後以降の年に退職金を受け取る場合です。

なお、2025年12月31日以前に受け取ったiDeCo等の一時金は、9年内の対象になりません。

その後に受け取る退職金は、これまでどおり「前年以前4年内」に入るかで調整の有無を確かめます。

一方、退職金を先に受け取り、後からiDeCo等の一時金を受け取る順番は、改正前から「前年以前19年内」を確認するルールで、今回は変わっていません。

ねくこ

2025年までにiDeCoの一時金を受け取った人は、確認する期間が延びたわけではないので、慌てて退職の計画を変える必要はありません。

受け取る順番別に、自分のケースを年表で確かめる

「前年以前9年内」とは、後に受け取る年の前の年から数えて9年分の年の中に、先に受け取った年が入っているかという意味です。

誕生日や受け取った日からの日数ではなく、受け取った年(1月〜12月)で判定します。

次の年表は、2026年10月16日時点の制度をそのまま当てはめた説明用の例で、将来の制度変更や実際に受け取れる年齢は考えていません。

iDeCo一時金が先なら、退職金の年から「前年以前9年内」を数える

iDeCo等の一時金を2026年に受け取った場合、その後の退職金で調整を確かめる必要があるかは、次のように決まります。

スクロールできます
退職金を受け取る年「前年以前9年内」の年2026年の一時金が入るか控除の調整
2031年2022年〜2030年入る期間が重なれば必要
2035年2026年〜2034年入る期間が重なれば必要
2036年2027年〜2035年入らない不要
iDeCo等の一時金を2026年に受け取った場合の説明用の年表

2035年に退職金を受け取ると2026年は9年内に入りますが、2036年なら外れます。

つまり「10年ルール」は、一時金を受け取った年から10年後の年以降なら調整がかからない、という意味です。

ねくこ

同じ年の中で受け取る月をずらしても判定は変わらないので、月ではなく年で考えるのがコツです。

退職金が先なら、iDeCo一時金の年から「前年以前19年内」を数える

退職金を2026年に受け取り、後からiDeCo等の一時金を受け取る場合は、一時金を受け取る年から19年分さかのぼって確かめます。

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iDeCo等の一時金を受け取る年「前年以前19年内」の年2026年の退職金が入るか控除の調整
2036年2017年〜2035年入る期間が重なれば必要
2045年2026年〜2044年入る期間が重なれば必要
2046年2027年〜2045年入らない不要
退職金を2026年に受け取った場合の説明用の年表

ただし、iDeCoの受け取りは75歳になるまでに始める必要があるため、たとえば60歳で退職金を受け取った人が20年空けることはできません。

そのため退職金が先の人は、間を空けて調整を避けるより、調整がかかる前提で控除の残り方を計算したほうが現実的なこともあります。

ねくこ

退職金を先に受け取る人は、「10年」ではなく「20年」で数えると覚えておくと間違えにくいです。

同じ年に両方受け取るなら、収入を合計して1つの控除で計算する

iDeCo等の一時金と退職金を同じ年に受け取る場合は、ここまでの「前年以前◯年内」の調整とは別の計算になります。

具体的には、2つの収入を合計し、期間は最も長いものに重ならない部分だけを足して、1つの退職所得控除を計算します。

後から支払う側は、合計した金額で税額を計算し直し、先に差し引かれた税額を引いた残りを差し引きます。

そのために受け取る人は、「退職所得の受給に関する申告書」(退職金などを受け取る前に支払者へ出す書類)に先の受け取りを書き、その源泉徴収票を添えて出します。

ねくこ

同じ年にまとめると控除が1つの計算になるので、別の年に分けた場合と金額を並べてから決めましょう。

退職所得控除と重複期間の調整はこの順番で計算する

別の年に受け取る場合、後に受け取るほうの税金は、次の順番で計算します。

  1. 先に受け取ったものと後に受け取るもの、それぞれの控除の基礎になる期間を確かめる
  2. 先の受け取りが「前年以前◯年内」に入るか、2つの期間が重なっているかを確かめる
  3. 先に受け取った金額が、その控除額より少ないかを確かめる
  4. 重なった年数分の控除を差し引き、後に受け取るほうの控除額を出す
  5. (収入金額-控除額)×1/2で、課税の対象になる金額を出す
  6. 受け取る年の税率表などで税額を出す

退職所得控除は控除の基礎になる年数で決まる

退職所得控除は、退職金なら勤めた期間、iDeCo等の一時金なら加入していた期間を年数にして、次の表で計算します。

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年数(1年未満は切り上げ)退職所得控除額
20年以下40万円×年数(80万円に満たない場合は80万円)
20年超800万円+70万円×(年数-20年)
退職所得控除額の計算(2026年10月16日時点)

障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、この額に100万円が加わります。

なお、iDeCoで掛金を出さなかった月(年単位で拠出する人が拠出しなかった月など)は控除の計算に使う期間に入らないため、加入した年から機械的に数えないようにしましょう。

控除額が決まったら、次の式で課税の対象になる金額(課税退職所得金額)を出します。

課税退職所得金額=(収入金額-退職所得控除額)×1/2

この1/2は一般の退職金の扱いで、役員として5年以下勤めた人の退職金は1/2になりません。

また、勤続5年以下の人の退職金は、控除後の金額のうち300万円を超える部分が1/2になりません。

ねくこ

iDeCoを「運用していた年数」と控除の計算に使う年数は同じとは限らないので、加入期間の記録で確かめておきましょう。

期間が重なる年数分の控除を、後に受け取るほうから差し引く

先の受け取りが調整の期間に入っていると、2つの基礎期間が重なる年数を数え、その年数分の控除相当額を後に受け取るほうの控除から差し引きます。

重なる年数は、1年未満の端数を切り捨てて数えます。

一方、勤めた期間や加入期間の年数は1年未満を切り上げるので、同じ「年数」でも端数の扱いが逆になる点に注意が必要です。

たとえば今の会社に勤めている間ずっとiDeCoに加入していた人は、加入期間がそのまま勤続期間に含まれるため、重なる年数が大きくなりやすいです。

反対に、2つの期間が重なっていなければ、調整の期間内に受け取っても控除は減りません。

ねくこ

「9年内だから控除が減る」と決めつけず、まずは2つの期間が何年重なっているかを確かめましょう。

先に受け取った金額が控除より少ないなら、重なる期間を短く見なす

先に受け取った一時金などがその控除額より少なかった場合は、先の期間をそのまま使わず、受け取った金額から出した年数に短くして重なりを数えます。

短くした年数は先に受け取った金額に応じて次の式で出し、1未満の端数は切り捨てます。

先の金額が800万円以下:年数=先の金額÷40万円

先の金額が800万円超:年数=(先の金額-800万円)÷70万円+20

先の期間は、その初日から、この年数がたつ日の前日までだったと見なします。

つまり、先の受け取りで使い切らなかった控除の分だけ、後の控除から差し引かれる年数が短くなる仕組みです。

ねくこ

iDeCoの一時金が控除の範囲に収まっている人ほど、この扱いで重なる年数が短くなる可能性があります。

退職金2,000万円・iDeCo一時金500万円で計算すると

ここでは、iDeCoの一時金を先に、会社の退職金を後に受け取る例で、9年内の調整を計算します。

試算の前提

  • iDeCoの一時金:500万円を2026年に受け取る
  • iDeCoの控除の基礎になる期間:20年(2006年4月1日〜2026年3月31日)
  • 会社の退職金:2,000万円を2031年に受け取る
  • 会社の勤続期間:35年(1996年4月1日〜2031年3月31日)
  • iDeCoの期間はすべて会社の勤続期間に含まれ、ほかの退職金や障害による退職などはない
  • どちらも一般の退職金として計算し、「退職所得の受給に関する申告書」を出している

期間は説明用の仮の数字で、実在する人の経歴ではありません。

退職した年と実際に支払われる年がずれる場合は、どの年の収入になるかを支払者に確かめてください。

iDeCo一時金500万円は控除800万円に収まり、課税の対象は0円

まず2026年のiDeCoの一時金は、基礎になる期間が20年なので、控除は40万円×20年=800万円です。

受け取る500万円は800万円より少ないため、課税の対象になる金額は0円になる計算です。

このとき控除のうち300万円分は使われませんが、この分は、後の退職金の計算で重なる年数を短くする形で反映されます。

ねくこ

一時金だけを見ると税金がかからない例でも、後の退職金の控除には影響が残る点を押さえておきましょう。

退職金の控除は1,850万円から480万円を差し引いて1,370万円

次に2031年の退職金は、勤続35年なので、本来の控除は800万円+70万円×(35年-20年)=1,850万円です。

2026年に受け取ったiDeCoの一時金は、2031年から見て「前年以前9年内」(2022年〜2030年)に入るため、期間の重なりを確かめます。

ここで一時金500万円は控除800万円より少ないので、先の期間を500万円÷40万円=12.5、端数を切り捨てて12年と見なします。

見なした期間(2006年4月1日〜2018年3月31日)はすべて会社の勤続期間に入るため、重なる年数は12年です。

その結果、差し引く控除相当額は40万円×12年=480万円で、調整後の控除は1,850万円-480万円=1,370万円になります。

課税の対象になる金額は、(2,000万円-1,370万円)×1/2=315万円となる計算です。

ねくこ

加入期間の20年がそのまま重なるように見えても、この例で差し引くのは12年分になるのがポイントです。

調整がない場合と比べると、課税の対象は75万円から315万円に

同じ条件で、仮に期間の調整をしなかった場合と、iDeCoの一時金も2031年に受け取った場合を並べると、次のようになります。

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項目仮に調整しない場合(参考)2031年に退職金(9年内の調整あり)2031年に両方を受け取る場合
2031年の収入金額2,000万円2,000万円2,500万円(合計)
控除の基礎になる年数35年35年35年
差し引く控除相当額なし480万円(12年分)なし
退職所得控除1,850万円1,370万円1,850万円
課税退職所得金額75万円315万円325万円
説明用の仮定条件による試算(2026年10月16日時点の制度を当てはめた場合)

「仮に調整しない場合」は、同じ条件から調整の決まりだけを外した比較用の数字で、この条件で受け取る人に当てはまるものではありません。

実際に調整がかからないのは、2025年以前に一時金を受け取って5年後以降の年に退職金を受け取る人、2026年以後に受け取って10年後以降の年に退職金を受け取る人、そもそも2つの期間が重ならない人です。

また、同じ年に両方を受け取ると、この例では課税の対象になる金額が325万円となり、別の年に分けた場合より大きくなります。

ねくこ

年を分けるか同じ年にまとめるかで差が出るので、自分の金額と期間でも3つの並びを比べてみましょう。

税額は受け取る年の税率表と住民税で決まる

課税退職所得金額から実際の税額を出すには、受け取る年の「退職所得の源泉徴収税額の速算表」で所得税等を計算し、住民税も別に計算します。

2027年以後は、所得税と一緒に差し引かれる税に「防衛特別所得税」が加わりますが、復興特別所得税と合わせた税率は変わりません。

それでも2031年の税率表や住民税の扱いはその年の制度で決まるため、受け取る前に支払者が出す見込額で確かめるのが確実です。

住民税は、退職所得をほかの所得と分けて計算し、通常は退職金の支払時に所得税等と一緒に差し引かれます。

支払者へ「退職所得の受給に関する申告書」を出していれば、所得税等は支払時に差し引かれ、原則として確定申告は要りません。

反対に申告書を出していないと、支払額の20.42%が差し引かれ、確定申告で精算することになります。

ねくこ

受け取り方の比較は課税退職所得金額の段階でもできるので、最終的な税額は受け取る前に支払者へ見込みを確認しましょう。

受け取り方を決める前に比べたいこと

受け取り方を決めるときは、調整で増える税金だけでなく、受け取れる年齢、ほかの所得、手数料、生活資金も一緒に比べる必要があります。

一時金・年金・併用のどれが合うかは人によって違うため、次の4つの点を順に確かめましょう。

受取時期をずらすなら、75歳までという上限を前提に考える

iDeCoは原則60歳から受け取れ、受け取りを始める時期は75歳になるまでの間で選べます。

ただし60歳から受け取るには、60歳になるまでの加入期間など(通算加入者等期間)が10年以上必要で、足りない場合は受け取れる年齢が遅くなります。

そのため、退職金の年から10年空けようとしても、年齢の上限や受け取れる年齢の関係で、選べる年が限られることがあります。

また、受け取りを遅らせる間も運用は続くので、資産の価格が下がった時期に受け取る年を迎えるおそれもあります。

ねくこ

勤務延長や再雇用で退職の時期が動く人は、生活資金との兼ね合いも含めて、何年空けられるかを先に確かめておきましょう。

年金や併用で受け取るなら、公的年金と合わせた税金と手数料を比べる

iDeCoには一時金のほかに、年金として分けて受け取る方法や、一部を一時金・残りを年金にする方法もあります。

  • 一時金で受け取ると「退職所得」になり、退職所得控除の対象
  • 年金で受け取ると「雑所得」になり、公的年金等控除の対象

年金で受け取る分は公的年金と合わせた金額で毎年の税金が決まるため、公的年金が多い人ほど控除の枠が残りにくくなります。

また、年金として受け取る分は毎年の所得に入るので、国民健康保険料や介護保険料などの計算に影響する場合があります。

さらに年金で受け取ると振り込みのたびに給付の手数料がかかり、金額は金融機関によって違います。

年金で受け取る期間や併用ができるかも運営管理機関によって違うため、まずは自分の運営管理機関で選べる方法を確かめましょう。

ねくこ

年金にすれば必ず有利というわけではないので、一時金と年金それぞれの税金・保険料・手数料を同じ条件で並べて比べるのがおすすめです。

退職金の受け取り方は、勤務先の制度で選べる範囲が決まる

会社の退職金は、勤務先の制度によって、一時金だけの場合もあれば、企業年金として分けて受け取れる場合もあります。

自分の都合で自由に分けたり、受け取る年を動かしたりできるとは限らないため、まずは人事・総務の担当者に選べる方法と支払日を確かめましょう。

そのうえで、iDeCo等の一時金をどの年に受け取るかを合わせて考えると、調整の期間に入るかを比べやすくなります。

ねくこ

複雑になりますが、勤務先とiDeCoの選択肢を両方そろえたうえで、受け取り方ごとに比べることが大切です。

NISAは、これから用意するお金の置き場所として比べる

これから老後資金を積み立てる人なら、iDeCoだけでなくNISA(少額投資非課税制度)と組み合わせる考え方もあります。

iDeCoは掛金が全額所得控除になる一方、原則60歳まで引き出せず、受け取るときは今回の調整の対象になることがあります。

一方のNISAは運用で得た利益が非課税になる制度で、いつでも売却できますが、投資額の所得控除はなく、元本保証もありません。

なお、すでにiDeCoにある資産を引き出してNISAへ移すことはできないため、比べるのはこれから積み立てるお金の配分です。

ねくこ

退職金のある企業にお勤めの人は、受け取るときの税金も含めて、iDeCoとNISAへの配分を考えてみましょう。

受け取り方を決める前にそろえる資料と相談先

自分の場合に調整がかかるかは、それぞれの支払の年と期間が分かれば確かめられるため、まずは次の資料をそろえましょう。

  • 会社の退職金の見込額と、計算の基礎になる勤続期間
  • iDeCo・企業型DCの加入期間(掛金を出していた期間)と、一時金の見込額
  • 過去に受け取った退職金・一時金の「退職所得の源泉徴収票」
  • それぞれが支払われる予定の年
  • iDeCoを受け取れる年齢と、受け取りを始める期限(75歳になるまで)

過去に退職金や一時金を受け取っている場合は、「退職所得の受給に関する申告書」にその内容を書いて、支払者へ出します。

支払者はこの申告書をもとに重なる期間を計算するため、書き漏れがあると、差し引かれる税額が正しくなくなります。

確認先は、知りたい内容によって次のように分かれます。

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確認したいこと確認先
退職金の額・支払日・勤続期間・企業年金の選択肢勤務先の人事・総務の担当者
iDeCoの加入期間・受け取り方・受け取れる年齢・手数料加入している運営管理機関(給付の請求先は記録関連運営管理機関)
申告書の書き方・重なる期間の数え方・確定申告税務署
受け取り方ごとの税額の比較税理士

特に、企業年金や転職時に受け取った一時金など3つ目以上の給付がある人は、2つの給付だけの例では判断できないため、資料を持って税務署や税理士に確かめましょう。

ねくこ

資料がそろえば、先ほどの年表と計算手順に自分の数字を当てはめて、どの年に受け取るかを比べられます。

【Q&A】iDeCoの10年ルールの疑問に答える

そして、ここまでの内容をQ&A形式にまとめました。

10年ルールはいつから、どの受取順序に適用される?

2026年1月1日以後に受け取るiDeCo・企業型DCの一時金を先に受け取り、その後に退職金を受け取る順番に適用されます。

退職金の年から数えて「前年以前9年内」に一時金を受け取っていれば、期間の重なりを確かめます。

2025年以前にiDeCo一時金を受けた場合も対象?

対象ではありません。

2025年12月31日以前に受け取った一時金は、その後の退職金で「前年以前4年内」に入るかを確かめる、改正前と同じ扱いです。

退職金を先に受けた場合は何年を確認する?

iDeCo等の一時金を受け取る年から数えて「前年以前19年内」に退職金を受け取っていないかを確認します。

この順番は改正前から同じで、「10年」ではなく「20年」で考えます。

9年内・19年内はどう数える?

後に受け取る年の前の年から数えて、9年分(19年分)の年の中に先に受け取った年が入るかで判断します。

たとえば2026年にiDeCoの一時金を受け取った場合、退職金が2035年なら入り、2036年なら入りません。

受取時期が近いと必ず増税する?

必ずではありません。

調整の期間に入っても、2つの期間が重なっていなければ控除は減らず、先の一時金が控除より少なければ重なる年数は短く見なされます。

iDeCo一時金が退職所得控除未満ならどうなる?

その一時金の課税退職所得金額は0円になり、後の退職金の計算では、先の期間を「一時金÷40万円」(800万円以下の場合)の年数に短くして重なりを数えます。

500万円なら12年と見なされ、加入期間が20年でも差し引くのは12年分になります。

年金や併用なら必ず有利?

必ずではありません。

年金で受け取る分は公的年金と合わせて税金が決まり、保険料や受け取りのたびの手数料にも影響するため、一時金と同じ条件で比べて選びましょう。

自分の場合に何を揃え、どこへ相談すればよい?

退職金と一時金の見込額・期間・受け取る年と、過去の退職所得の源泉徴収票をそろえます。

退職金は勤務先、iDeCoは運営管理機関、申告書や期間の数え方は税務署、税額の比較は税理士に確認しましょう。

まとめ

iDeCoの10年ルールは、2026年1月1日以後に受け取るiDeCo等の一時金を先に、退職金を後に受け取る順番で、すでに適用されています。

  • 一時金が先なら「前年以前9年内」、退職金が先なら「前年以前19年内」を確認する
  • 期間内でも控除が減るのは期間が重なる年数分で、全員の税金が増えるわけではない
  • 受け取り方は、受け取れる年齢・公的年金・手数料・生活資金も含めて比べる

iDeCoの最大のメリットは、拠出時の「全額所得控除」や運用益の「非課税」など、長期にわたる税制優遇にあります。

ただし、受け取る順番と年によって控除が調整されることがあるため、受け取る前に支払の年と期間を確かめ、必要なら税務署や税理士に相談しましょう。

※2026年10月16日時点の制度で計算した説明用の例です。実際の税額や合う受け取り方は、収入・勤続期間・加入期間・ほかの所得や家族構成などで変わります。

ねくこ

制度はすでに変わっているので、心配するより先に、自分の受け取る順番と年を確かめるところから始めましょう。

引用・参考出典

引用・参考出典は、次のとおりです。

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